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ポプコムを語る その6 RPG同時進行レポート
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ポプコムを語る その6 RPG同時進行レポート

2015-07-14 21:18
    @攻略記事ブーム

    80年代中盤あたりから、ゲームではAVG(アドベンチャーゲーム※1)、RPGがブームを迎えます。謎解き型のゲームが中心になるに連れて、パソコン雑誌にも攻略法が記事として載るようになってきました。

    ところが攻略するための情報「だけ」では面白くないんですよね。マップ一覧や武器のリストだけ載っているだけでは、プレイしている人にとっては役立つ情報でも、プレイしていない人にとって、興味がわきにくいものです。雑誌の方針として、攻略情報だけを載せるという雑誌もあったようにみえますが、自分はあまりそういうのは買わなかったです。

    攻略法の掲載は、攻略するための情報「だけ」でなく、記事として面白く構成されるようになっていきます。この時代を代表するライターといえば、「マイコンBASICMagazine」で連載されていた、山下章さんでしょう。単純な攻略記事に終わらず、ゲームをプレイしているときの楽しさや、プレイしている感覚が伝わってくるよう、うまく工夫されていました。山下章さんの連載は単行本になるのですが、攻略本というよりはゲーム紹介のカタログ本のような感覚でみんな買っていたんじゃないかなあ、と思います。

    @RPG同時進行レポート



    86年からポプコムでは「RPG同時進行レポート」という企画がスタートします。突っ込まれる前に言っておくと、これって「コンプティーク」でも似たようなことやっていたので、ポプコム独自とは言い切れないんですけどね・・・

    RPG同時進行レポートとは何かというと、そのまんまですが、ザナドゥ、ハイドライドなど、それぞれのRPGごとにプレイしたレポート風の連載記事のことです。「同時」とはそのソフトが発売されて買ってきたユーザーと同じ箇所をプレイしているということを指しています。そのゲームが解くまで3ケ月かかるようなサイズなら、ひと月ごとに、ユーザーがプレイしていそうなところまでレポートが進む、攻略法の記事がのるという形になります。(わかりにくいかな?)

    記事の特徴としては、しっかりとした文章を読ませる記事だったということでしょう。つまり、ゲームの紹介、攻略の記事というのは画面写真を並べたりして、その横にちょこっと文章をつけるという構成で、記号的な記事になりやすい。

    そこがRPG同時進行レポートではこんな感じになります。

    適当なところを書き出そうと思ったのですが、なかなかいいところがなかったので、「こんな感じ」ということで自分で書いてみますけども・・・

    「あの北の洞窟にいってみようと思ったんだけど、スケルトンが強すぎてたどり着けない。じゃあ強力な武器を買ってみようとお店にいってみたら、なんとロングソードは5000G!おじさんぼったくりじゃないの?このへんのスライム倒したって20Gしか入ってこないのにさー。仕方なくチマチマとスライムを倒してたんだけど、そのうち南の橋の向こうに出るコボルドが150Gくらい持ってるのがわかってきた。しかもそんなに強くない。コボルド狩りじゃー!と乗り込んだんだけど、このコボルドがクセモノ。5回に1度の割合で麻痺の攻撃をしてくるんだけど、麻痺すると即ゲームオーバー。しかもこの橋の近く歩いてたらなんかHPが減ってる!なんだこりゃ、と思ってたらこのあたり毒の沼で歩く度にダメージを受ける。こりゃたまらん、ということで町まで戻る。やっぱり苦しいけど急がば回れ、ということでスライム倒しを繰り返すことにした」

    繰り返しますが、ごめんなさい、当時の記事風にこれ自分が書いてみたものです。すいませんです・・・

    でも、こういう文章で書くと、ゲームをプレイしているときの臨場感が伝わってくるでしょう?レベルアップでむちゃくちゃ苦労してる様子や、GOLDが貯まらずに毒消しを買うのもままならない感じなど、プレイしているときの様子が感じられてワクワクするものがあるんです。

    自分は「覇邪の封印」「タイムエンパイア」なんていうゲームの連載記事は、まるで冒険物の連載小説を読むように楽しみにしていましたね。そういうおもしろさに憧れて、発売してから大分たってからでもソフトを買ったりしていました。

    記号的な攻略法の記事では表現できないゲームの面白さを丁寧に伝えていて、すぐれた紹介記事でした。文章でプレイする様子を書くという手法が非常にうまくハマった連載と言えるでしょう。

    面白かった要因としてはRPGというジャンルと相性がよかったことです。レベルアップを目指してキャラを育てること、謎を求めてフィールドを歩き回るという行為が、画一的なプレイになりやすいAVGなどと違って、記事を書く人と、ユーザーや読者との間で体験を深く共有できたのです。この記事のスタイルにはあっていました。。まあ後にRPGというジャンルも変化するため、このスタイルでは難しい面も出てくるのですが・・・

    もうひとついうと、ユーザー目線だったということも上げられます。山下章さんの記事は「ゲームが上手い人が、君たちに教えてあげる」という先生的な立場であったのに対し、RPG同時進行レポートは記事を書いているライターも、ユーザーと同じようにレベルアップで苦労して、ワープするマップで迷うんだよ、というユーザーと同じ高さにいる距離感が気持ちよかった。だから読んでいて「ああ、そこちがう!」と突っ込みたくなるような気持ちをもてることが魅力となっていました。

    @ライターの存在



    RPG同時進行レポートでは、文章が主役であるため、ライターの色が濃く反映されました。
    ハイテンションな人、レベルアップしないで突っ込んでいく人、RPGは初プレイで息子のほうが詳しいと言い出す人など、ライターさんによって文章のタッチやゲームのプレイスタイルが変わるのが面白かったですね。自然とライターに注目が集まるようになり、JD加藤さんをはじめとするスターライターが認知されだしました。

    この時期に比べると、90年以降の後期はよくも悪くも後のポプコム、というかパソコン雑誌ではライターの存在が薄くなったように思うのですが、原因は・・・やっぱり長くなりそうなので、パソコン雑誌のライターさんの話は別の機会にあらためて書き直します。


    @しかし時代は変わるのよね・・・
    そんな楽しみだったRPG同時進行レポートですが、最盛期は86年から88年あたりの約3年間ぐらいではないでしょうか。

    これは「イース」のようなお手軽ゲームが登場したことで、攻略記事がそもそも必要でなくなったこと。ストーリーが重視されるようになったことで、レポート風の記事はネタばらしにつながるので書きにくくなったこと。解けるまでの時間が短くなって商品サイクルが短くなり、数ヶ月も話題にすることがなくなったこと、などが原因としてあげられます。イース同時進行レポート第二回!っていってもユーザーはその頃にはエンディングみてるわけですし。また87年あたりから各誌はゲーム攻略の別冊付録をつけるようになって、誌面で継続的に取りあげることが少なくなるなど、様々な要因で徐々に攻略系の記事の存在が薄くなっていきます。



    @ゲームの面白さを伝えるには?
    現在、自分はニコ生でゲーム実況をおこなってますが、「ゲームプレイは完全ノーカット」というのが基本方針のひとつです。生主さんの中には経験値稼ぎなど、退屈な部分を放送外でプレイして、イベントシーンなど要所だけを放送される方も多いですが、自分としては、そういうめんどくさい部分もリスナーにみていただくほうが面白いだろう、と思っています。退屈なレベルアップでも、それを乗り越えてボスキャラを倒すというのは快感です。生放送というのは、そういう体験を共有するものであり、それが一番このゲームって面白いな、と伝えることであると思うんですよね。その共有が面白い、というのはRPG同時進行レポートを読んでいた経験から思っていることです。だからみんな退屈な生放送でもつきあってくだされ。


    ・・・・・
    今回は長くなりすぎたかな。しっちゃかめっちゃかの文章スマソ。これにこりずにまた次回もよろです。次回「ポプコムを語る」は渡辺茂さんについて書こうと思います。

    ※1 アドベンチャーゲームって最近は「ADV」て表記するんですかね?自分の記事では昔通り「AVG」です。


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