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  • 2014年11月第3週号

    2014-11-17 15:05
    めるまがアゴラちゃんねる、第117号をお届けします。
    配信が遅れまして大変申し訳ございません。


    コンテンツ

    ・今週の池田信夫
     アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事、アゴラ・チャンネルの動画を紹介します。

    ・ゲーム産業の興亡(129)
    同人&インディゲームのイベントが示すゲーム市場の裾野の変化
    新清士(ゲームジャーナリスト)


    アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I

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    今週の池田信夫

    増税の賛否で政界を再編せよ
    http://agora-web.jp/archives/1620314.html
    急に解散風が吹いてきた。政治部の記者は、政策はアマチュアだが政局はプロなので、彼らの解説は信用できる。12月2日解散で14日投開票というスケジュールが有力らしい。その理由は消費税ではない。内閣支持率である。政治家が使うNHKの世論調査で、支持率は8%落ちて44%にな...

    劣化する民主政治 - 『なぜ大国は衰退するのか』
    http://agora-web.jp/archives/1620290.html
    消費税の増税を延期して解散という話がにわかに現実味を帯びてきたが、これは政治的には合理的だ。このように厄介な問題を次の世代に先送りするのは、民主政治の必然的結果である。アメリカでも政府債務はGDPの7割に達し、戦時中の水準に近づいている。ローマ帝国の時代…

    なぜ円安で不景気になるの?
    http://agora-web.jp/archives/1620121.html
    来年4月から消費税率を10%に上げることについて、「増税したら景気が悪くなる」という人が騒ぎ始めています。しかし増税しなかったら、景気はよくなるんでしょうか? 今年になって景気が悪くなったのは増税のせいなんでしょうか?

    景気がよくなれば財政は黒字になるのか
    http://agora-web.jp/archives/1620480.html
    増税先送りを主張する人は「先送りで名目成長率が上がれば、財政は黒字になる」という。これは昔の「上げ潮」派の主張で、論理的には正しい。リーマン・ショックのあと成長率が回復したので、プライマリーバランス(PB)の赤字は縮小した。問題は、それが均衡するためにどれぐ...

    「明るい焼け跡」からの再出発
    http://agora-web.jp/archives/1620756.html
    きのうのアゴラ読書塾では本書を読んだが、昨今の増税先送りをみていると、財政が崩壊して「焼け跡」になるのも、そう遠い将来ではないだろう。そのときのために、かつての敗戦がどういうものだったか、知っておくことは役に立つ。

    G型とL型に分岐する社会 - 『なぜローカル経済から日本は甦るのか』
    http://agora-web.jp/archives/1619650.html
    先月の「G型大学とL型大学」という記事には大きな反響があり、ニュースにもなった。これは「L型大学」のイメージが、私立文系の大学によく当てはまるためだろう。ただニューズウィークにも書いたように、もっと本質的な変化は日本社会そのものがG型とL型に分岐することだ。

    G型大学とL型大学
    http://agora-web.jp/archives/1618134.html
    富山和彦氏のプレゼンテーション「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性」が話題になっている。

    1000兆円の借金を返す方法
    http://agora-web.jp/archives/1619938.html
    「クルーグマン教授、“消費増税で国債暴落”論を一蹴」とかいう支離滅裂な記事が出ている。「国債暴落」というのは金利上昇と同じことだが、本文では彼は「株価が暴落する可能性を指摘する経済専門家もいるが、金利が低いままとどまり、円安のおかげで日本企業がますます競...

    世代間戦争としての「原発再稼動」
    http://agora-web.jp/archives/1619974.html
    川内原発の「再稼動」が決まったことで、また原発が注目を集めているが、NHKニュースの世論調査はちょっと意外な結果だ。上の図のように、「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合計した回答は、30代以下でもっとも高い。この結果について、小林傳司教授なる人物が、次のよ...


    池田信夫の【アゴラVlog】増税を先送りすると政府債務は発散する
    http://youtu.be/pfmfnPiA03c
    衆議院の年内解散総選挙の可能性が濃厚です。「消費増税延期の可否を問う」選挙ということですが、はたしてそのような悠長な政局争いをしている場合でしょうか。日本の財政は待ったなし。現状を改めて確認します。



    特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)

    ゲーム産業の興亡(129)
    同人&インディゲームのイベントが示すゲーム市場の裾野の変化


    11月16日に、秋葉原で「デジゲー博2014」というイベントが開催された。コミックマーケット(コミケ)などで、趣味で開発されてきた「同人ゲーム」や、大手企業に所属しない独立系開発者が作った「インディゲーム」の展示・販売イベントで、今年で2回目だ。

    日本でも、インディゲームへの関心が高まりつつあるが、コミケはあくまでマンガなどの同人誌販売が中心で、ゲームの比率は全体としては多くない。近年はコミケへのゲーム関連の出展者は、減少気味と関係者からの声も出ていた。

    自身もベテランの同人ゲーム開発者の主催委員長の江崎望氏によると、デジゲー博は、出展サークル数は、162サークルと募集予定の150を大幅に超え、昨年の2倍に達したという。入場者数についての正式発表は、まだ行われていない。感覚的には数千人規模の入場で、これも昨年の約2倍にはなったのではないかという。


    ■海外で広がるインディゲーム、遅れる日本

    海外では、インディゲームの大きなブームが、この10年あまりに間に着実に広がってきている。特に、09年にリリースされ世界的にブームになった「マインクラフト」(PC、Xbox360、PS3、iPhoneなど)いった最も成功したゲームは、今年10月までに5400万本の販売する途方もない成功にまで至っている。

    そして、開発会社のスウェーデンのMojang(モーヤン)は、今年9月に、マイクロソフトに25億ドルで買収されるという途方もない結果を生みだしている。製品のリリース時には、わずか7人で開発していた企業のサクセスストーリーだ。

    この成功は極端なレベルの動きだが、それでも世界的に見ると数人の開発チームで数十万本の売上を達成しているケースは少なくない。競争は激しくなっており、ゲームを作ればヒットするという状況でなくなってきているものの、優れたゲームが次々に出てきている状態だ。世界的に見てインディブームといってよいただ中にある。

    一方で、日本では、こうしたインディゲームの成功は、まだ登場していない。

    デジゲー博は、海外の動きも含め、日本での同人&インディゲームの盛り上がりを生み出せないかと、同人ゲームの開発を長年行ってきた開発者たちが中心になって企画したイベントだ。

    80年代後半から、90年代前半にかけては「パソケット」という同人ゲームだけを対象としていた即売会イベントが存在していた。ピーク時には週に1度は日本のどこかで、そうした即売会イベントも開催されていたようだ。しかし、90年代は、家庭用ゲームが中心となり、パソコンゲームが廃れていった影響もあって、いつしか同人ゲームだけに特化したイベントは開催されなくなった。

    00年代に入ると、3Dグラフィックスの技術が求められるようになったことで、ゲーム開発は非常に敷居の高いものになってしまい、PCゲームの市場もあまり存在しない日本では、同人(アマチュア)のゲーム開発者の数は増えなくなってしまった。

    同人ゲームを、新規に作る開発者はあまり増加せず、開発者も年齢を重ねベテランばかりという状態になってしまったと言われるようになった。


    ■裾野の広がりを生む開発者をどのように増やしていくのか

    ゲームの開発環境は、10年前後から、UnityやUnrealといった安価な開発環境が登場したことで、開発自体は行いやすい状態が生まれた。しかし、新規にゲームを作り、発表をする人が増えないという状態が起きてしまった。

    そのため、江崎氏たちは、コミケとは違う形で、ちゃんとゲームが主体になるイベントの必要性を感じて、昨年11月、デジゲー博を企画した。パソケットの復活を目指したのだ。

    すでに、スマホゲームはネット配信によって、ゲームを展開できる時代に、リアルなイベントにニーズがあるのかと危ぶまれたのだが、結果的に、大きな反響を得て成功を収めることができた。

    リアルなイベントの良さは、多様な意図を持ったサークルが参加してくるため、非常にバラエティに富み、裾野を広げる効果がある。

    参加しているサークルには、単なる趣味でゲームを開発しているサークルが展示をしているところから、実際に販売してヒットを目指すサークルが宣伝目的で出展しているところ、開発ツールを宣伝しているところ、その場で同人ゲームを販売することを目指しているところ、Oculusのような新しいVRデバイスでのデモを行うところなどがあった。

    これまでの古い同人サークルから、新しくゲーム開発を始めた若い層まで、多様なサークル参加があったようだ。それは参加者の側にもいえ、社会人から高校生といった一般のユーザーから、様々なプロのゲーム開発者も見学に訪れていた。


    ■日本でも広がるインディゲームの動き

    ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)が、「プレイステーション4」向けに、インディゲームをサポートすることを強調していることもあり、日本国内でも注目が着実に集まってきている。

    9月に、サイバーエージェントが、クラウドファンディングサービス「Makuake」でインディゲームに力を入れていくと発表している。

    会場には、商品展開の可能性がないかと探している、ソーシャルゲーム系企業の姿も見受けられた。

    デジゲー博のようなイベントは、インディのみならず、アマチュアも含めたゲーム開発者の裾野を広げることを、着実に進むきっかけとなるように思われる。今後も、成功例が出てくるにしたがって、さらにこうしたイベントの重要性は増してくるだろう。

    終了時には、来年の開催も発表が行われた。



    □ご意見、ご質問をお送り下さい。すべてのご質問に答えることはできないかもしれませんが、できる範囲でメルマガの中でお答えしていきたいと思っています。連絡先は、sakugetu@gmail.com です。「新清士オフィシャルブログ」http://blog.livedoor.jp/kiyoshi_shin/ も、ご参照いただければ幸いです。

    新 清士(しん きよし)
    ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
    Twitter ID: kiyoshi_shin

  • 2014年11月第2週号

    2014-11-10 15:37
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    配信が遅れまして大変申し訳ございません。


    コンテンツ

    ・今週の池田信夫
     アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事、アゴラ・チャンネルの動画を紹介します。

    ・ゲーム産業の興亡(128)
    毎日2億円を稼ぎ出す「モンスターストライク」ブームのmixi
    新清士(ゲームジャーナリスト)


    アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I

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    今週の池田信夫

    資本主義の不平等化は避けられない - 『大格差』
    http://agora-web.jp/archives/1618564.html
    1980年代以降、格差が拡大する現象が先進国に共通にみられるが、これには次のような原因が考えられる:
     1. 技術革新
     2. グローバル化
     3. 資本蓄積

    「G型幻想」を捨てよう
    http://agora-web.jp/archives/1619809.html
    冨山和彦氏のG型/L型モデルでみると、日本経済の問題がすっきり整理できる。今まで経済学者も官僚も、G型が無条件にいいと信じて「スーパーグローバル大学」などの恥ずかしい政策を打ち出し、それに反発する側は、本書のように「反グローバリズム」をとなえる。本書は「原...

    G型とL型に分岐する社会 - 『なぜローカル経済から日本は甦るのか』
    http://agora-web.jp/archives/1619650.html
    先月の「G型大学とL型大学」という記事には大きな反響があり、ニュースにもなった。これは「L型大学」のイメージが、私立文系の大学によく当てはまるためだろう。ただニューズウィークにも書いたように、もっと本質的な変化は日本社会そのものがG型とL型に分岐することだ。

    1000兆円の借金を返す方法
    http://agora-web.jp/archives/1619938.html
    「クルーグマン教授、“消費増税で国債暴落”論を一蹴」とかいう支離滅裂な記事が出ている。「国債暴落」というのは金利上昇と同じことだが、本文では彼は「株価が暴落する可能性を指摘する経済専門家もいるが、金利が低いままとどまり、円安のおかげで日本企業がますます競...

    G型大学とL型大学
    http://agora-web.jp/archives/1618134.html
    富山和彦氏のプレゼンテーション「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性」が話題になっている。

    世代間戦争としての「原発再稼動」
    http://agora-web.jp/archives/1619974.html
    川内原発の「再稼動」が決まったことで、また原発が注目を集めているが、NHKニュースの世論調査はちょっと意外な結果だ。上の図のように、「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合計した回答は、30代以下でもっとも高い。この結果について、小林傳司教授なる人物が、次のよ...


    【アゴラVlog】朝日新聞世紀の大誤報 慰安婦問題の深層
    http://youtu.be/yd1UXTecs4U?list=UUJHLwoEJ55msgoxeiqJjOvA


    特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)

    ゲーム産業の興亡(128)
    毎日2億円を稼ぎ出す「モンスターストライク」ブームのmixi


    スマホゲーム会社関連の四半期決算が、11月8日に集中して、行われた。大きく目を引くのが、ブームを引き起こしている「モンスターストライク(モンスト)」のmixiだろう。

    14年7~9月期の売り上げは222億3400万円と、モンストがリリースされる前の前年7~9月期が18億3400万円しかなかった。また、そのうちゲーム事業の売り上げは194億4700万円と、全体の87%を占めており、好調さが突出している。月に約64億円売り上げている計算となる。一日2億円の売り上げがあるという大当たりの状態だ。

    モンストの売り上げは、14年4~6月期と比較しても、93.5%増加したと発表され、好調さなペースで拡大が続いている。今や、mixiはモンストの専業企業といってもいい状態になっている。


    ■「パズドラ」を抜き、首位に躍り出るのが常態化

    決算説明会では、10月28日に発表になった、米調査会社AppAnieeの世界ランキングの売り上げトップパブリッシャーのランキングで5位に付けているとアピールしている。

    ちなみに、1位は「クラッシュ・オブ・クラン」のフィンランドのSupercell、2位は「キャンディ・クラッシュ・サーガ」の英King、3位に、「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」のガンホー・オンライン・エンターテイメント、4位がLINE、6位がコロプラという推移だ。

    mixiは、先月、コロプラを抜いて順位を一つ上げている。10位以内の日本企業は4社だ。ただ、日本の企業は各社とも、日本以外の国での進出にはあまり成功できていない。アプリのトップダウンロード数のランキングでは、10位以内に日本の企業はない。

    モンストは今年1月には200万人のユーザー数だったが、10月には世界で1500万人のダウンロード数を記録している。

    日本国内でのアップルのAppStoreでのトップ売り上げランキングでは、9月以降に、パズドラを抜き1位に出る回数が増加している。10月29日に行われたガンホーの決算では、9月には1位をパズドラがしめることができた日数は、17日で56.7%だったと発表が行われている。

    モンストは10月には、1位となった日数は15日だったので、2年半にわたり常に首位を取っていたパズドラを抜き、首位となることが常態化しつつある。業績の急上昇を支えたのが、8月からのLINEとの提携で、4人対戦をすることを可能にしたことで、プレイするユーザー数が劇的に増加した。

    ついにパズドラのブームが終わり、それに変わったのが、モンストのブームの時代になったと言ってもいいだろう。


    ■順調とはいえない海外進出

    ただ、モンストのブームは、日本国内に限られる日本のゲームの特性には変化がない。世界進出しているとはいえ、5月に台湾版をリリースし、10月に北米版を提供しているのみで、まだ、完全にワールドワイドにリリースしているわけではない。

    そして、北米版は決して好調といえる立ち上がりではない。10月24日にダウンロードランキングの最高位で355位につけたが、11月1日以降は1500位以下のランキング外となっている。売り上げランキングでは、250位前後に付けているものの、100位以内に入らなければ、大きな収益が望めないスマホゲーム市場では、好調といえる数値ではないだろう。

    日本のスマホゲームは、海外ユーザーとの好みの相違などを乗り越えることができず、クラッシュ・オブ・クランのように、世界のどこでもヒットするという状態を生み出せてはいない。日本国内のユーザーの課金率と課金額の高さによって、支えられている世界的な高順位であるという国内市場頼みという状況には起きていない。

    モンストは、11月に韓国版をリリースし、今後、提携している中国最大のゲーム会社テンセントを通じて、中国市場でのリリースが開始されるが、大成功は容易ではないだろうと見ている。韓国市場は小さく飽和状態にある。比較的成功している台湾市場でも100万ダウンロードまでしか達成できていない。

    特に、中国市場で好まれるゲームは、大きく人気が出る要因となった4人の他プレイヤーと共闘できるというモンストが最大の売りとして、部分とは大きく異なっているためだ。一緒に遊ぶというよりも、相手を倒すタイプのゲームが好まれる。そのため、モンストは、中国のゲームユーザーの好みと少し違っている。

    日本の国内市場がユーザー数の獲得面からいっても、飽和状態に向かっているのは間違いないのだが、今後、これ以上の成長をどこに見出していけばいいのかというのが難しいところだろう。


    ■「パズドラ」から学べる法則性

    ただ、モンストの場合は、ガンホーという前例があるため、今後がまったく予想が付かないとまではいえないだろう。

    第一に、まだまだガンホーの売り上げは高い状態にあるが、3100万ダウンロードを達成していても、パズドラを通じて、「どんな大ヒットをしているゲームでも、いつかはブームが去る」ということがはっきりした。ガンホーはユーザーの課金率は低下しているものの、無料で遊べる範囲を拡大するなど、多数の施策を打つことで、月間アクティブユーザーは今年に入って、安定していることをアピールしているが、これもいつまで続くかはわからないだろう。

    第二に、「有力なヒットタイトルを持っていても、次の新規ゲームのヒットを生みだすのは容易ではない」ということだ。これはガンホーを含め様々な企業が直面している課題だ。結局、ガンホーはパズドラ頼みになっており、それ以外のタイトルで、ポストパズドラと言えるタイトルを生みだすのは難しい状況が続いている。

    第三に、「続編、もしくは同一のブランドゲームを出して成功することも容易ではない」だ。7月にパズドラ内で卵のキャラクターを育成する「パズドラW」の新機能が追加されたものの人気を劇的に回復させることができてはいない。決算では「8月は新規ダウンロード数は増加したものの、想定よりも低め」と述べている。

    mixiは対戦機能に焦点を置いた「モンストスタジアム(仮称)」を開発していることを発表した。ユーザーが4人対戦時に、2対2で遊んでいる様子が見られていることから、このゲームの検討を開始したということだが、「パズドラW」のような物ではなく、ブランドを利用してブームを継続できるのかどうかは、今後、注目できるだろう。

    もちろん、mixiは、昨年の今頃では信じられなかったほどの高い収益を得ているため、様々な選択肢を取ることができる。単なるモンストだけの会社を脱皮できるのかには、否応なく注目せざる得ない。



    □ご意見、ご質問をお送り下さい。すべてのご質問に答えることはできないかもしれませんが、できる範囲でメルマガの中でお答えしていきたいと思っています。連絡先は、sakugetu@gmail.com です。「新清士オフィシャルブログ」http://blog.livedoor.jp/kiyoshi_shin/ も、ご参照いただければ幸いです。

    新 清士(しん きよし)
    ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
    Twitter ID: kiyoshi_shin

  • 2014年11月第1週号

    2014-11-02 17:13
    めるまがアゴラちゃんねる、第115号をお届けします。
    配信が遅れまして大変申し訳ございません。


    コンテンツ

    ・今週の池田信夫
     アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事、アゴラ・チャンネルの動画を紹介します。

    ・ゲーム産業の興亡(125)
    継続する「モンスターストライク」のヒット
    新清士(ゲームジャーナリスト)


    アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I

    アカシックライブラリー(旧アゴラブックス)は、あなたの原稿を電子書籍にして販売します。同時にペーパーバックとしてAmazon.comサイト上で紙の本も販売可能。自分の原稿がアマゾンでISBN付きの本になる! http://bit.ly/yaR5PK 自分の原稿を本にしてみませんか?


    今週の池田信夫

    成熟産業としての経済学 - 『ミクロ経済学の力』
    http://agora-web.jp/archives/1617998.html
    本書は学部レベルの教科書だが、よくも悪くもミクロ経済学は成熟したという印象を受ける。第l部「価格理論」は私の学生のころとほとんど同じだが、第ll部「ゲーム理論と情報の経済学」は80年代以降に発展した分野である。大学院の教科書では半分以上が後者だが、本書では伝統的な経済学が7割、残りがゲーム理論などに当てられている。

    G型大学とL型大学
    http://agora-web.jp/archives/1618134.html
    富山和彦氏のプレゼンテーション「我が国の産業構造と労働市場のパラダイムシフトから見る高等教育機関の今後の方向性」が話題になっている。

    「派遣社員を3年でクビにしろ」と主張する野党の倒錯
    http://agora-web.jp/archives/1618651.html
    労働者派遣法の改正案が、争点に乏しい国会の唯一の争点になってきた。野党は廃案を主張し、「派遣の期限を延長するな」と主張している。今は長期的に雇用されている専門職を3年で交代させる改正案もおかしいが、「すべての派遣社員を3年でクビにしろ」と主張する野党はもっ...

    金がないと命も救えない
    http://agora-web.jp/archives/1615345.html
    先月27日のアゴラシンポジウムでは、政府事故調の委員長だった畑村洋太郎さんをまねいて、地震国日本のリスク管理を考えた。東日本大震災の教訓として学ぶべきことは多いのに、原発ばかりに関心が集中しているのは困ったものだ。

    資本主義の不平等化は避けられない - 『大格差』
    http://agora-web.jp/archives/1618564.html
    1980年代以降、格差が拡大する現象が先進国に共通にみられるが、これには次のような原因が考えられる:
     1. 技術革新
     2. グローバル化
     3. 資本蓄積

    【アゴラVlog】ロンドンで展示された福島の「核のスープ」
    http://youtu.be/WgOGVe0jhto?list=UUJHLwoEJ55msgoxeiqJjOvA




    ※これ以降は「週刊アゴラ」有料版をご覧ください。
    http://www.mag2.com/m/0001559193.html


    特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)

    ゲーム産業の興亡(126)
    VRイベントから見えるOculus Riftの普及の課題と可能性

    10月25日〜26日、東京・お台場の日本科学未来館で開催された「デジタルコンテンツエキスポ2014」期間中イベントとして、オキュラスフェスティバル(通称OcuFes)が行われた。

    これはVRを実現するヘッドマウントディスプレイの「Oculus Rift」の愛好者が集まって、自分たちが開発したものを展示するイベントだ。

    OcuFesは、全国で自由に開催される形をとっているが東京での開催は、最大規模になる。

    25日は、開発者会が行われ、6時間、30人近い講演者がOculusについて話すということが行われ、参加者は200名を超え盛況だった。26日のデモ出展は、22種類の数多く出展が行われた。


    ■戦艦大和の大きさを実体験できるデモ

    米Oculus VRが開発したOculus Riftは、7月末より開発者向けキットの「Development Kit 2(DK2)」の販売が開始されている。昨年発売された、DK1と違い、ヘッドトラッキングシステムが搭載されたことで、頭を動かすと見えているVR映像が頭の方向に合わせて変化するという利点を持つ。すでに、世界に数万台の出荷が行われ、各地で様々な可能性を模索する開発の試みが続いている。

    日本では、OcuFesを中心に草の根的に開発者の活動が広がってきているところに特徴があり、ユーザーが思い思いのアプリを開発して展示をしている。

    例えば、仁志野六八氏が個人で開発して展示していた「軍艦搭乗&体験航海」というデモでは、自分が日本帝国海軍の駆逐艦霧島に乗船し、そこから、空母赤城や戦艦大和を眺めるアプリになっていた。VRの特徴は、テレビモニター等を通じてみる映像に比べた大きな違いは、その実際の大きさを把握できるところにある。

    全長100メートルほどの霧島から、260メートルの赤城、大和を見るとその巨大さがはっきりとわかる。

    特に、大和は甲板から射撃指揮所まで50メートルもあるが、その高さを過去にみたどのような映像よりもはっきりと感じられることができる迫力があった。決して現時点のモデリングのクオリティは高いとは言えないものだったが、それでも、映像表現能力としての可能性を感じる部分が大きかった。よりディティールが作り込まれて行くにつれて、迫力はさらに増すと思われた。

    仁志野氏は11月より大和のVRデータを正確に再現するように開発する資金を得るために、クラウドファンディングを開始することを予定していると述べていた。


    ■VRが一般に広がる上で抱えている課題

    現在、Oculus Riftは普及をする上では、さまざまな課題を抱えている。DK2はあくまで、開発者向けのもので、一般のユーザーも購入可能だが、まだまだ設定上の難しさなど利用上が容易とは言いがたい。

    また、Oculus VRは来年以降にコンシューマ向けのハードの発売を予定しており、9月に「クレセントベイ」という試作機を発表しているが、具体的なハード仕様や発売時期、販売価格といった情報までは公開しておらず、開発者側も、どの時点のハード販売をターゲットとすればよいのかは、明瞭でない状態だ。

    普及するのかどうかも、現時点でははっきりとしないため、どこまで各社が本格的に力を入れて開発をすればよいのか明らかでないのだ。

    なによりも実際に体験してみなければ、VRのすごさが伝わらないという欠点もある。単にモニター等の映像を見ているだけでは、まったくその迫力が伝わらない。筆者は最近、どこにいくにもOculus Riftを持って回って、体験をしてもらう機会を作ることが多いのだが、体験した人からは大抵の場合、肯定的な反応が戻ってくる。

    しかし、Oculus Riftを所有している開発者の絶対数が少なく、体験した人の数が少ないために、ごく一部の開発者だけが盛り上がっているという状態にとどまっている。まだまだ、一般の人に魅力が伝わる段階にまでは至っていない。ビジネスの機会は限られているのが現状だ。


    ■VRの創成期だからビジネスチャンスを探る企業

    それでも創成期だからこそ、今後のビジネスチャンスを目指して、新規参入を行っている企業もある。

    ウェブ開発や中古車販売などを手がけているライズアート(横浜市)が出展していたのは、シート筐体の「没入型VRレーシングシミュレーターのコンセプトモデル」だ。

    レースゲームのゲーム内の動きに反応してアクチュエーターで操作されるシートが動作するというもので、ゲームへの没入感を高めるものだ。VR空間に振動が加わることで、実際に自動車を運転しているような気分は否応に増す。

    同社は、過去に、ゲーム向けの筐体などは開発してこなかったが、個人ユーザー向けに商品化して展開することを検討したいと述べていた。今回のハードは、プロトタイプ版で来年以降にOculus Riftのコンシューマ版の発売を検討していきたいという。想定価格は20〜30万円とのことだった。ここまで値段が高くなってしまうのは、アクチュエーターの価格だけで20万円してしまうからだそうだ。

    ただ、単にレースゲームが好きなユーザーだけをターゲットにしているのではなく、自動車販売を手がけているショウルームへの展示用の販売も想定しているとのことだった。爆発的なヒットは望めないかもしれないが、確実な参入方法として、手堅いビジネス化の方法のように感じられた。

    まだ、VRに関わる関係者は一様に、VRを趣味で作る開発者が多くいる一方で、今後のビジネスとなる可能性を感じて開発を行っている企業もデモ出展を行ってきている。草の根として行われているOcuFesだが、趣味での開発と言うより、次第にビジネス的な展示の色彩も帯びてくるだろうと、筆者は予測している。

    夜明け前ではあるが、Oculus Riftを実際に触っていると、日は昇るのはそれほど遠くないと感じられるのだ。


    Oculus Festival in Japan
    http://www.ocufes.jp/

    仁志野六八氏の「軍艦搭乗&体験航海」が紹介されている神楽坂師団 
    http://yukikaze2ayanami.blog11.fc2.com/

    ライズアート DC EXPO 2014 / OcuFes 出展のお知らせ(動画あり)
    http://www.riseart.jp/news/event-dcexpo2014-ocufes/


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    新 清士(しん きよし)
    ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
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