• エッセイ「ラブレター」

    2020-12-16 23:55

    深夜にラブレターを書いた。

    非常に危険な行為だ。

    くっさいくっさい歌の歌詞とかどこかで聞いたことのある言葉を並べて

    相手のことなんか考えずに自分に酔って勢いでやってしまう。

    朝になって読み直したら


    それはそれはもう恥ずかしさで

    目の前に核ボタンがあったら迷わず押して


    この世界が滅亡してしまえと望んでしまうだろう。


    しかし僕は読み直さずに深夜のテンションのままラブレターを封筒に入れて封をした。


    小学六年の時、一番後ろの席になり、通路を挟んで隣に好きな女子がいた。

    名前はさやかちゃんといった。

    他の女子より見た目大人びていて美人だった。

    壁新聞の企画でミス6年2組を決めようと、クラスの男子全員が投票した時

    さやかちゃんは9割の票を集め圧勝だった。

    帰りの会の時、さやかちゃんはいつも僕が自由帳に描いた漫画を見てくれた。

    クスクスと笑ってくれている時、うれしいような恥ずかしいような、とにかく幸せな時間だった。

    読み終えると「ありがとう、また見せてね」と言ってくれた。

    帰りの会の中のこのこっそり感が、二人だけの秘密を持っているような気がして、

    僕はさやかちゃんの中で特別なんだと思っていた。




    運命の日、僕は自由帳の中にラブレターを挟み、いつものようにさやかちゃんに渡した。

    横目でドキドキしながらさやかちゃんを観察していると、

    さやかちゃんは間に挟まっていたラブレターを見て手に取った。

    そして僕を見て小声で「これなに?」

    と聞いてきた。

    僕はドキドキしながら「どうぞ」と手で合図をした。


    一瞬間が空き、

    「あっわかった、これ不幸の手紙でしょ?」

    まさかの言葉だった。

    僕の頭の中のシュミレーションでは、

    ラブレターだとなんとなく気が付いたさやかちゃんは恥ずかしそうに頬を赤らめ、そっとカバンに入れる。


    なのにこんなの想定外だ。

    「バレた? ふへへ」

    と僕は気持ち悪い笑みを浮かべてラブレターを受け取り、急いでカバンにぶち込んだ。

    家に帰り、ラブレターの封を開け、自分の書いたラブレターを読んだ。

    自分の視野がぐにゃって曲がるくらいの衝撃だった。

    あんな恥ずかしいラブレター読まれなくてよかった。


    当時は気づかなかったが、今思うとさやかちゃんはラブレターだとわかっていながら

    「不幸の手紙でしょ?」と言ったんじゃないだろうか




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  • エッセイ「キスマーク」

    2020-12-02 20:40

    キスマークに憧れた。

    小学6年生だったので

    どうやったらキスマークができるのか知らなかったし

    どうしてキスマークを付けるのか知らなかったが

    とにかくキスマークに憧れた。


    テレビドラマの影響で、

    モテる男はキスマークがついているんだ。

    そして女性に嫉妬されてさらにモテるんだ。

    と勘違いしていた。



    僕は首にツメで軽く傷をつけ、その上に絆創膏を貼ってキスマークもどきを作った。

    ウキウキで学校に行くと、想定通り友達が聞いてきた。

    「首のところどうしたの?」

    すると待ってました!とばかりに

    「ちょっとね・・・」

    と、目を細めて遠くの一点を見つめ、物憂げな感じを演じるのだ。

    モテてモテて困っちゃうぜまったくと言わんばかりに。


    隣の席の女子も

    「首の絆創膏どうしたの?」

    と聞いてきた。

    そして僕はまた窓から見える空を眺めながら、物憂げな表情で

    「ちょっとね・・・」

    と演じた。

    僕の心の中では

    「決まった!」

    と叫んでいるが、今考えるとキマっているのは僕のオツムのほうだ。


    後日キスマークというのは皮膚を口で強く吸うと出来るものだと知ってから

    腕に斑点のようにキスマークを付けるととんでもなく気持ち悪がられ、


    それからキスマークを付けて学校に行くのはやめた。


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  • エッセイ「いごっそう」

    2020-11-29 22:09

    うちの父方のおじいちゃんはそれはそれは気難しくて土佐のいごっそう(頑固者)そのものだったんじゃなかろうか


    戦争中は満州でラッパ吹いてたと言っていたのだが、

    戦争が終わって高知に帰って来ると、仕事はせずおばあちゃんに働かせて、ハーレーを乗り回し遊びまわっていたらしい。

    なんといううらやま・・けしからんおじいちゃんだ。

    子供の頃は夏になるとおじいちゃんの住んでいる町内会のお祭りに、弟と二人で毎年参加していた。

    知り合いに一通り「コレうちの孫です」挨拶をすませた後

    焼きそばやらかき氷やらをおじいちゃんに買ってもらい、ベンチで弟と二人で食べていると

    万年町内会長のおじいちゃんはドヤ顔でお祭り会場中にドデカイスピーカーからお決まりの曲を流すのだ。

    同じ曲を延々リピートで。




    とある時に自分の放送でこの曲のサビを思い出して、この曲名教えてと鼻歌で歌ったらリスナーさんが教えてくれた。


    アイランドのステイウィズミーという曲だった。




    実はおじいちゃんが亡くなった時僕はもうすでに関東で働いていて、父親からその旨の電話があった。。

    電話で僕は「帰るよ」と言ったが、父親の電話口の口調で何かあると察して帰るのをやめた。


    おじいちゃんが亡くなった姿を見ていないからなのか、実家に帰ると今でもまだ生きているような気がする。

    そして来年の夏もまたドヤ顔でドデカイスピーカーからステイウィズミーをかけているような気がするのだ。



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