琴葉探偵事務所 ~いつもの日常~ 
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琴葉探偵事務所 ~いつもの日常~ 

2018-10-14 14:59

    ~イントロダクション~

    ・これは前編、中編と投稿していたものの完成版となります。
    ・舞台は異世界で魔法ありのトンデモ世界です。
    ・タイトル通り、琴葉姉妹がメインになります。
    ・そこまでダークにするつもりはありませんが、一応、エログロに関しては注意願います。




     朝、目が覚める。重い瞼を開こうとしたら、眩しい太陽の光がそれを遮ってくる。
    「う、ううん……」
     逃れるため、寝返りを打って逆を向く。
     ――でも、二度寝はまずい。私の勘では、既に起床予定時刻を過ぎている。意地でも起きるんだ、私。
     そうやって自分を奮い立たせ、どうにか上半身を持ち上げることに成功した。
    「ふああ……ふぅー、起きよう、起きろ」
     くどいくらいに二度寝を誘惑してくる睡魔を完全に断ち切るため、ついに勢いよくベットから降り、立ち上がった。
     毎日毎日、朝にこんな激闘をしなければならないのはとても損している気分だ。朝に強い人が心底羨ましい。
     ようやく、視界がはっきりしてくる。壁の木々の板の継ぎ目、所々にある節が確認できるようになった。意識が覚醒してきたのだろう。
     私は自室からリビング――実質の事務所に向かった。今日の朝食は姉が担当だ。しかも私は起きるのがちょっと、いや、大分遅くなった。さぞかしこの扉を開けると美味しそうな匂いが……。
    「——お姉ちゃん?」
     私は立ち尽くした。
     姉が、事務所のソファでだらしなく仰向けに眠っていたのだ。昨日、「何か依頼がないか探してくるわ!」と出掛けていったのだが、帰りに買ってきたと考えられる漫画雑誌が床に落ちているところを察するに、読みながら寝てしまったのだろう。
     探偵事務所は絶対に木製の家具主体、アンティークな雰囲気にしたいという私の要望が色濃く反映されているが、そんな事務所で、寝間着で寝相悪く眠っている姉の姿はなんとも、場違いであった。
     しかし、姉が寝坊するなんていつものことだ。朝食担当が姉だったとしてもそれは変わらないし、叩き起こして作ってもらえば問題ない。
     でも、今日は違う。今日に限っては私も起きるのが遅かった。だから今から起こして朝食を作らせたとして……食べ終わったころには、もうすぐお昼になる。
    「……しょうがないなあ」
     私は手早く食パンを二枚、トースターにセットした。
     ソファに戻り、じい、と姉の顔を観察する。
     すぴー、すぴー、と眠る姿は、この世で一番幸せな人なのではないか、と考えてしまうくらいには平和な顔をしていた。
     思わず顔が強張る。私は努めて平静に、言う。
    「お姉ちゃん、もう朝、というか昼だよ。起きて」
    「……そんな食べれへんよ、あおい……ムニャムニャ」
    「コラー、起きろ!」
     朝食を食べたいのはこっちだよ。私は勢いよく枕替わりのクッションを引っこ抜く。頭が急に落ちたショックで、姉を強引に現実世界へと引き戻す。
    「うっ、なんや……? 葵?」
    「今何時だと思ってるの? 朝ごはん、今日はお姉ちゃんの担当でしょ」
    「んんー? ええ、と……?」
     これはだめだ、全く状況の整理ができていない。私は寝ぼけている姉の方をつかんで上体を起こし、言う。
    「ほら、まずは顔を洗ってきて」
    「はぁーい……」
     姉は素直に従って、ゆっくりとした足取りで洗面所に向かっていった。
    「仕事でもこれならどれだけ楽か……」
     頼りない背中を見つめ、そう独り言ちた。


     魔道士たちがこぞって集い、日々魔法の最先端を行く”魔道士の町”、ロイドボイス。賑わいを見せる商店街付近から、少し離れた落ち着きのある地帯にぽつんと構える平屋が、琴葉探偵事務所兼、私たち琴葉姉妹の住居である。
     今日も今日とて、琴葉探偵事務所には探偵らしい仕事や、……主にお姉ちゃんのせいで、冒険家に依頼して下さいと首を横に振りたくなるような調査といった仕事がやってくる。
     私たちは朝食として食パンを一枚、食べていた。お姉ちゃんがバターを塗って、私はそれを待っている。
    「やってもうたなぁ、もう事務所開けてる時間や。早よ食べんと」
    「コーヒーを淹れる時間もないし、いったい誰のせいだと……いや、私もか」
    「ウチらどっちも、朝に弱いもんなぁ……良い目覚まし時計買わんと」
    「そうだね、でもあんまりうるさいと近所迷惑になっちゃうし」
     ん、と姉から手渡されたバターの容器を受け取り、スプーンでバターを削りとる。
    「……あ、思い出した。今日の朝、依頼持ってくるらしいんよ」
    「へえ、そうなんだ」
     バターをパンに乗せて塗っていくと、じわり、とバターが溶けていく。ああ、美味しそう。
    「――――へっ?」
     私は思わずスプーンを離した。皿に当たり、甲高い音が鳴る。
    「ちょ、ちょっと待って、お客さん来るの? しかも朝に?」
     姉は私の動揺を気にもせず、パンを頬張って、言う。
    「せやなぁ。詳しい時間は聞いてないけど、多分もうすぐ来るんとちゃうかな」
    「えええ!? 私たち身だしなみも何も準備できてないよ! 早く支度しなきゃ!」
    「いや、別にええんちゃうかな……」
     なぜか危機感の欠片もない姉が呟くと、カランカラン、と事務所入り口から来客を示す音が鳴った。
    「うわわわ来ちゃった! どうするのさお姉ちゃん!」
    「だから別にええって」
     姉はそう言うと、寝間着で髪もボサボサのまま、事務所の入り口を開けた。
    「ちょ、ちょっと――」
    「やっほーゆかりさん」
     扉の前に見えた人の姿は、見知ったものだった。
    「お久しぶりです、1か月振りくらいですかね? ……って、何ですか、二人そろって寝起きですか?」
     ゆかりさんは、魔法犯罪捜査班の巡査だ。若手で期待されている……らしい。
     流石に私も、警察内部には詳しくないし、ゆかりさんもその辺の話はあまり教えてくれないのだ。
     私はゆかりさんを見て、さっきまでの焦りが嘘のように落ち着いて、言う。
    「ええまあ、寝坊しちゃいまして。コーヒー淹れますね」
    「あれ? そういや葵、なんで今日の朝ごはんではコーヒーなかったんや?」
    「そりゃ、焦ってたからだよ。早く支度しないとお客さんが来てしまうかもしれないじゃない」
     私たちは身支度もろくに済んでいない寝間着姿、対してゆかりさんはピシっと決まったスーツ姿である。
     ゆかりさんは不満そうに私を睨み、言う。
    「私もその客人だと思うんですがね」
    「不満があるならお姉ちゃんに言ってくださーい。私だってゆかりさんが今日訪ねてくるのを知ったの、朝ごはん食べてる最中だったんですから」
    「あ・か・ね・さ・ん?」
     ターゲットが変更され、ゆかりさんと目が合った姉は、頭をかく。
    「いやーごめんな? 帰り道で買った少年ジャ〇プがおもろくて、つい夢中に読んでたら寝てもうたんよ」
    「私の依頼はマンガ以下ですか!? 全くもう……なんでこんなだらしない姉妹に頼らないといけないのか……」
     グチグチ呟きながら、ゆかりさんはソファに座った。
     姉は食事を再開しながら、ゆかりさんに言う。
    「そういうゆかりさんこそ、生活はどうなん? 忙しいからって、食事とか疎かにしてへんよな?」
    「し、してませんよ?」
    「どうせゆかりさん、お腹空いてないからって、軽食をつまんだりしてるだけやろ」
    「うっ」
    「そっちこそ、気をつけなあかんで? 何事も身体が資本や。倒れたら事件も解決できひん」
    「そ、そうですね……気を付けます」
     ゆかりさんが怒っていると思ったら、いつのまにか姉が説教を始めていた。そんなやり取りを背中で聞いて、私はクスリと笑った。

     淹れたての珈琲の香りと、バターとパンの香りで満たされた事務所。
     私はパンを食べ終えたところで、ゆかりさんに尋ねる。
    「それで、今回の依頼はどのような内容ですか?」
    「幽霊屋敷の調査及び異常の解決、です」
     私はコーヒーを一口飲んで、言う。
    「……意外ですね、お姉ちゃんが探してきた依頼と聞いて内心ビクビクしてたんですけど、幽霊屋敷なんてよくある話じゃないですか」
     幽霊。亡くなった人の思念に、人由来でない魔力、オドが反応して物体化したモノ――要は、物質として存在するようになった人の心だとか魂だ。
     幽霊には魔法による攻撃で、物理的に倒すことが可能である。幽霊が出た、というだけならそれを倒してしまえばおしまいだ。
     姉はちっちっちっ、と舌を鳴らして人差し指を左右に振り、言う。
    「甘いで葵! この幽霊屋敷は、普通とは違うんや」
     焦らす姉はスルー。私はゆかりさんに聞く。
    「どういうことですか?」
     ゆかりさんは神妙な顔で、言う。
    「それが……不死身なんですよ」
    「へ、ふじみ?」
     気の抜けた声が出た。
     姉が頷いて、ふふん、と語り始める。
    「そうやで! 何と、これまで二回も幽霊討伐を完遂したのに、また出てきとるんや」
    「復活してる、ということ? ただ単にいっぱいいる中の幾つかが小出しに出てきているだけじゃ……」
    「それはないですね。私たち警察は幽霊の住処と思しき屋敷の内部まで鎮圧、調査を行いましたが、イレギュラーはありませんでした。どちらも参加された方の証言では、幽霊の特徴は一回目と二回目でそん色なく、一致していたようです」
     ゆかりさんが代わって説明してくれた。私は両肘を膝に立て、手に顎を載せて考える。
    「なるほど、興味深いですね」「せやろ!?」「うん、ほんとに。でもどうして一度倒してもまた出てくるんだろう? 復活してるのかな? それとも倒せたと思っているけど実は倒せていないとか? もしくは————」
    「……アカン、こうなると葵は自分の世界から出てこーへん」
    「まあ、推理してくれる分にはこちらとしてはありがたいのですけどね」
     二人が何か話していることにさえ気づかず、私は現状ではどれだけ考えても無意味という結論に達するまで推理を続けた。
     そこまで時間はかからなかった。きっと、姉が退屈しのぎにコーヒーを一口飲むくらいの間だろう。
    「うーんダメだ、やっぱり自分たちで調査に行かないと」
     私はソファにもたれかかり、力なく天井を見上げながら言った。
     ゆかりさんと談笑していたらしい姉は、私の言葉を聞いてぱあ、と表情を輝かせる。
    「お、やってくれるんか葵!」
     私は姉を睨みつけ、言う。
    「やってくれるって……勝手に依頼受けてきたのはお姉ちゃんでしょ」
    「ま、まあそこはええやん、実際、葵も興味出てきたんやろ?」
     それは間違っていないが、私としては達成できる自信のない依頼は受けたくないのだ。あくまでこの事務所は”代理で運営している”だけだ。私たちが調子に乗って依頼を受けて失敗、事務所の評判を落とすことは絶対にしたくない。
    「私たちの手に終えないやつは持ってこないでよ?」
    「そこは心配いらんで葵」
    「心配だよ」「心配でしょうね」
     私とゆかりさん、二人に揃って否定された姉は不服を申し立ててくる。
    「何でや!? ウチだってさすがに世界滅亡レベルの災害を止めろ、とかできるできないの区別はつくで!」
     --お姉ちゃんの場合、区別できる能力が問題じゃないんだよねえ。
     私とゆかりさんは目を合わせ、その瞬間に意思の合致を確認。
    「いやあ、何ででしょうねぇ」
    「何でだろうね」
     言わぬが花、とニヤニヤする私たちに、姉は納得できないと意義を唱え続けるのだった。

        △△△

     昼過ぎ。昼食を食べた後に件の幽霊屋敷のある地域へと向かったのは、私、姉、ゆかりさんの三人だ。
     今回は私たちの財布事情も考慮して二人で行こうと思ったが、その意思を伝えると、ゆかりさんは肩をすくめた。
    「私も行きます。これは上司からの指示でもあるので、別途お給料を払っていただく必要はありません」
     そう言われれば断るべくもない。
     姉の運転する車で小一時間。これくらい離れると、もう魔法の町なんて呼ばれ栄えている同じロイドボイスとは思えない、のどかな田舎町だ。
    「ここで止めて、後は歩きで進みましょう」
    「りょーかい」
     後部座席で道案内をしていたゆかりさんの指示で、姉は住宅街から離れた林の入り口付近に車を停めた。
    「やっと到着や、ふー、疲れたわ……」
     扉を閉めると、姉は車の屋根で両方の二の腕を重ね、そこに頬を預ける。
    「お疲れ様。休憩する?」
    「なめんな、ウチの魔力量なら一日ぶっ続けで運転しても死なんで」
     顔を上げ、ニヤリ、と笑う姉を見て私は苦笑する。
     車は運転手が魔力を少しずつ供給しながら、オドをエネルギーに変換するための機構を駆動させている。普通の人ならば一時間も運転すればまず休憩しないと猛烈なダルさがやってくるはずだが、どうやら姉は全然平気らしい。
     流石は中等部時代、魔法戦闘で無双を誇った脳き――魔力量の素質だ。そのあたりは、私なんかではちっとも敵わない。
     ゆかりさんはため息をつく。
    「羨ましい限りです。……さて、この道を進んでいけば、幽霊屋敷があるはずですよ」
     私と姉はゆかりさんが向いている方向を見た。
     その道は舗装はされていないがなだらかで、草も生い茂ったりはしておらず、疎林を真っ二つに割っている。
    「何でこんな場所の、しかも奥の方に屋敷を建てたんやろな?」
    「人里から離れてのんびりしたかったのでしょうね、別荘ですから」
    「ゆかりさん、一応聞いておきたいのですが、その屋敷と主人ですけど……何かこう、曰くつきだったりしませんでした?」
     幽霊が発生するには相応の理由が必要だ。幽霊に関する仕事の際は、まずはそもそもの発生原因から入れ――私の師匠、マスターの教えの一つだ。
     ゆかりさんは力なく首を振る。
    「……分かりません。先輩方に聞いてみたり、資料を漁ってみたのですが、特に事件といったことは警察では認知していないと思います」
    「ですよねー……。知ってたらとっくに警察が解決してるだろうし」 
     いやしかし、幽霊に成った原因が分かったところで、一番大きな謎の解決はしない。姉が辺りをキョロキョロしている様子を眺めながら、呟く。
    「で、どうして幽霊が復活するのか……。そこまで解明しないとこの事件は終わらない」
    「ええ、どうせ今回も撃退したところで復活するでしょうからね。……ほら茜さん、行きますよ」
     ほーい、と返事をして、私たちの元へ帰ってくる。
    「じゃあ進むで」
     私とゆかりさんは頷く。前に姉、後ろに私とゆかりさんが横に並ぶ。3人で調査に挑むいつものフォーメーションだ。
     しばらく歩くと、姉がぼんやりと呟く。
    「……んー? 魔物が出てこーへんな。明らかに居る痕跡はあるのに」
    「ああ、それなら私たち警察が調査したからでしょう」
     魔物。好戦的な生物の総称であり、明確な線引きはされていない。
     ゆかりさんは屋敷に向かう際に襲ってきた魔物は撃退したから、今は近寄ってこないのだろうと言っているのだ。
     姉は納得いかないのか、腕を組み、首を傾げながら歩く。
    「でも痕跡は新しい感じがするし、幽霊が居るところにはよく魔物も集まってくる気がしてんやけどなぁ……うーん」
    「魔物が見当たらない理由……お姉ちゃんとしてはどう思う?」
     私が姉に問いかけると、首を回して振り返り、言う。
    「え、ウチ? そやなぁ……。良い場所やのに居らへんのやから、居たくない理由があるんちゃう? 何か怖い奴の縄張りになってるとか?」
    「怖い奴、ですか。この事件の黒幕だったりしますかね」
    「それはどうでしょう。警察の1回目、2回目の調査共に魔物と交戦はしたんじゃないですか? 少なくとも2回目で魔物と会っているなら、幽霊復活の原因と魔物が見えないことに関係はないと思いますけど」
     ゆかりさんは目をそらして、申し訳なさそうに言う。
    「あー……、すみません、葵さん。魔物については警察として注意はしておらず、資料にも情報が記載されていませんでした」
    「そっかー、そりゃ残念やなあ」
     ゆかりさんがこの件に関わったのは2回目が終わり、また復活した後だ。情報を得る手段は資料を漁るか、調査していた人に聞きこむくらいしかない。
     警察は魔物に関する記録を残していなかった。落胆しかけたその時、ゆかりさんの言葉が頭に引っかかった。
     ――残してくれなかった……いや、わざわざ残さなかった、とは考えられないかな? えっと、それってつまり……。
     私は口角を少し上げて、言う。
    「なんだ、良かった。少し前進しましたね」
    「え、どういうことですか?」
    「例えばゆかりさん、今回の調査結果のまとめを作成するとしましょう。もし結局、今日一日ずっと魔物と遭遇しなかったとして、その情報を放置しますか?」
    「それはさすがに書くでしょう……あっ。なるほど、そういうことですか」
     姉は首を傾げる。
    「んん……?」
    「警察の人が資料に魔物のことを書いていないのは、別段おかしいことがなかったから。つまり、1回目と2回目の調査では魔物が普通に出没していたか、数が少なめくらいだった――と考えていいかなって。余程無頓着だったか書き忘れていた場合は知らないけど」
     姉はぱん、と手を叩く。
    「ああ、なるほどなぁ!」
    「ありがとう、お姉ちゃんのおかげだよ。ちょっとだけ見えてきたかも」
     私は微笑してそう言った。
     しかし、これまではパズルを解け、と言われながらピースを一つも渡されていない状態から、ようやく一つ目を入手しただけにすぎない。
     まだまだ、情報が必要だ。


     道中。日中で十分に周囲の光量はあるというのに、まるで深夜のような不気味で不可解な雰囲気が辺りを包んでいる。
     その理由はすぐに分かった。魔物はともかく、鳥といった生き物の生命感が全くと言っていいほど、ない。
    「――待った」
     姉が左手を上げて私たちを静止する。
    「ついに出てきたで――――幽霊や」
    「……とうとう来ましたか」
     敵の出現に、私たちは緊張を高める。
     私の視界でも敵の姿を捉えた。赤く発光する、強力な怨念――――。
    「えぇ? あれ、幽霊の中でも相当に強い個体なんですけど……。ゆかりさん、聞いてないですよ?」
     私は唖然としているゆかりさんの横顔を睨みつける。
    「いやいや、私だって知りませんでしたよ! ていうかこれ大丈夫なんですか? 今すぐ撤退した方が――」
    「撤退? 何言うてんねん」
     慌てふためくゆかりさんの声を、仁王立ちで幽霊と向き合う姉が遮るように言った。
     首を回して振り返り、ニヤリと頼もしい笑みを浮かべる。
    「ゆかりさんは見とるだけでもええよ。……行くで、葵!」
    「了解。……私、いるかなぁ」
     私と姉は刹那、ドン、と地を蹴る。
     まるでどす黒い感情がそのまま可視化されたかのような、暗く、そして確かに強く燃え上がる炎が浮いている。
     幽霊は最初から、私たちに向けて今すぐにでもぐちゃぐちゃに噛み砕いてしまいたい――そんな暴力的な殺意を放っていた。
     そして、私たちが駆けた瞬間、魔力で型取られた獣の顔が幽霊から出現、勢いよく向かってくる。その獰猛な獣に捉えられれば最後、身体は元の形状を保てないだろう。
     姉は私のスピードに合わせてくれている。今、二人は横並びだ。
     私は一歩、前に出た。気づいた姉は速度を落とす。
    「私が止めるよ!」
     素早く体内で魔力を調整し、右手に移動させる。淡く青い光が灯り、バチバチと弾ける。
     そして、言葉で魔力を操作する――”詠唱”を行う。
    「”氷の造形魔法:氷柱”――――!」
     詠唱と共に、右手を前に突き出す。瞬間、魔法陣が手の平の前に現れ、魔法が発動した。
     獣の顔を巻き込むように、地面から氷柱の集合体が生成され、ほぼ一瞬で飲み込むまでに成長する。
    「今だよお姉ちゃん!」
     私は敵の攻撃を防いだことを確認し、叫んだ。
    「おう、ウチに任しとき!」
     姉は私でも追いつけない速度で氷柱の脇を通り、一気に幽霊との距離を詰めた。
     そして右手を握って振り絞ると、炎を纏った。幽霊の懐に入り込む。
    「琴葉流奥義の三、”滝登り”――――!!」
     雄たけびが詠唱となり、屈んだ姿勢から一気に飛び上がり、幽霊に渾身のアッパーがさく裂した。
     鈍く大きな音が周囲を響かせたと思ったら、幽霊は遥か彼方へと飛んでしまい、既に見えなくなっていた。
     ほんのわずかな間騒がしかった林は、すぐに静寂を取り戻した。
     私は先程の氷魔法の操作を解除して、言う。
    「オーバーキルもいいとこだよお姉ちゃん」
     氷柱が魔力に戻り霧散していく光を挟んだ奥で、姉は右手をぷらぷら振りながら言う。
    「そうはいっても、手加減なんて器用な真似できんしなぁ……」
     姉の戦闘力の高さは知っているつもりだが、こうして間近で見るとやっぱりいつも圧倒される。私だって探偵として、自衛できるように魔法を鍛えたつもりだが、姉には遠く及ばない。「はぁ、相変わらず馬鹿みたいに強いですね。警察に招待したいくらいですよ」
     肩をすくめ、呆れ声でそう言ったゆかりさんに、私は返す。
    「お断りします。私は探偵がいいんです」
     するとゆかりさんは、意地の悪い微笑を浮かべる。
    「……まあ、そんな強さを誇る琴葉姉妹探偵事務所ですけど、最近は冒険者として扱ってる顧客も多そうですがね」
    「うぐっ」
     痛いところを突いてくる。それは私も薄々感じていることだ。
     そんな私の苦悩なんて気にもしない姉は、むしろ嬉しそうに言う。
    「へぇ、そうなんか! ならもっと、洞窟の探検とか面白い依頼持ってきてくれるかな?」
    「面白くなーーい! 私は真っ当に探偵業がやりたいのっ!!」
     切実な願いは虚しく、姉の心には届いていないことだろう。私の空ぶった声は周囲にこだまして、やがて聞こえなくなったのだった。
       
        △△△

     何か、蠢く音がする。
     そのナニカが動くたびに、ぐちゃり、ぐちゃり。
    「君でようやく完成するよ……」
     暗闇の中、力ない男の声が静かな空間に溶ける。
     男は右手を振り下ろす。鈍い音が響き、ナニカは動きを停止した。

     ――――さあ、準備は整った。

       △△△

     数度の戦闘をこなした後にも関わらず至って平然と歩く姉が、前を指さす。
    「おっ、見えたで。あれやろ、幽霊屋敷」
     確かに、前方は視界が大きく開いて、建物らしき姿が見えた。
     林から抜け出し、件の屋敷までは真っすぐと道が開けている。芝生が道の左右に広がり、ちょうど屋敷の左右の端からこちらに向かって真っすぐ伸びる並木は、先の方で木の枝が目立っていた。
    「あれが……。けっこう大きいね」
     窓の配置からして三階建て。洋風で華やかな雰囲気を醸し出していたであろうが、今は――とても不気味だ。
     それは私以外も感じたようで、ゆかりさんは顔をしかめる。
    「うわあ、雰囲気出てますね。この世の幽霊のボスが居ても驚きませんよ」
     管理されていないツタが屋敷を伝い、所々、伸びすぎているのか前に垂れている。
     それこそゆかりさんの言う通り、幽霊を統べる幽霊が待ち構えているかもしれない。そんな想像が膨らんだ。
     どちらかと言うと気分を沈めている私とゆかりさんとは打って変わって、姉は興奮気味に言う。
    「これは凄いかもしれん――まさにザ・幽霊屋敷って感じやんか! いやあ楽しみやな、ほら葵、ゆかりさん、早よ調査しようや!」
    「ちょ、お姉ちゃん!」 
     私は静止しようと手を伸ばすが、駆け足気味に館の入り口へと向かっていく。
     姉の戦闘力は確かに高いが、流石に不用心が過ぎないだろうか? もし相手が狡猾で罠でも仕掛けていたらどうしよう、と姉と一緒に行動する私は毎度ハラハラさせられる。
     ――まあ、お姉ちゃんなら「うわー」とか叫びつつ普通に突破しそうだけど。
     姉の背中を、私たちは呆れ顔で見つめた。
    「なんとかしてくださいよ、葵さん。あなたの姉でしょう?」
    「できたら苦労しないですよ……ホント」
     ゆかりさんは、ぽんぽん、と優しく私の肩を叩き、言う。
    「――――ほら、行きますよ? こんなところで立ち尽くしていたら、何かあった時にフォローできませんよ」
    「…………はぁ」
     私は苦虫を嚙み潰したような気持ちで、ため息をこぼした。
    「はいはい、分かりましたよ――――――もう、お姉ちゃん! 一人で突っ走らないでってなんども言ってるでしょーーー!!」
     私は不満を叫びながら、走って姉を追いかける。
     追いついた時には、玄関の大きな二枚の開き扉を引いていた。
     私の心の叫びはぎいぃ、という扉の軋んだ音でかき消されただろう。姉は扉を引きながらこちらを向く。
    「ん? 葵、何か言ったか?」
     私と同い年とは思えない無垢な子供のような、好奇心からくる明るい表情。
     その顔を見ると、何だか棘が抜かれた気持ちになり、苦笑する。
    「ううん、何も。――――うわぁ、凄い豪華……」
     私はそれよりも、幽霊屋敷の中に意識を持っていかれた。
     広々とした空間だ。端には趣のある骨とう品や絵画が間隔を置いて配置されている。成熟した大人の趣味が惜しみなく発揮されていて、思わず魅了された。
    「おぉ、何か凄いなぁ……」
     姉も感嘆の声を漏らしている。
     無意識に歩みだした足で左右を何度も振り返る。
     正面の奥に二本の階段はそれぞれ左右に湾曲し、頂上で中心に合流している。前方には正面にこれまた二枚の開き扉。あの奥は何の部屋だろう? 
     ゆかりさんなら知っているかな、と意識が自分と屋敷以外に向けられたことで、自分が今、まるで姉のような無防備さで屋敷の中を探索していることに気が付いた。
    「……はっ、まずいまずい、警戒しないと」
     すると、まず第一にある違和感が頭をよぎる。
    「幽霊、全然出てこないね」
    「あー、せやな。いっぱい押し寄せてくるんかと思ってたけど何もおらへん」
     周囲を警戒するも、気配は一切感じられない。
    「どうですー? 調査の進捗は」
     遅れてやって来たゆかりさんに対し、振り返らずに答える。
    「幽霊が全く出てきません。本当にここで合ってるんですよね?」
    「合ってますよ。で、どうします? 一応、私たちも中を調べてみますか?」
     既に警察が調査済みの屋敷だ、これといった真新しい情報が得られる可能性は低い。とはいえ、このまま帰ってしまっては何も得られない。
    「調べましょう。一旦別れて、またここで集合ということで」
    「りょうかーい」「分かりました」
     私たちは個々人で思い思いに捜索を開始した。


     最後に帰ってきたのはゆかりさんだった。
     階段を降りる間に、肩をすくめて首を横に振って見せる。
    「……ゆかりさんも収穫はないみたいやな」
    「そうだね。何か見つけられるならゆかりさんと思っていたけど」
     ゆかりさんは調査・捜索といった”探す”魔法に長けている。そんな彼女でも一切の情報を得られなかった。
    これは本格的に、徒労に終わる可能性が出てきた。
     「どうしましょうか? もうこの屋敷はハズレと断定して良いと思うのですが。どうです? 探偵のお二人方」
    「うーん……」
     私は顎に手を当て、考え込む。
     ――確かに、これだけ調べても何も情報が得られなかった。でも何だろう、調査を始めた頃から、ずっと何かを見落としているような。
     姉は腕を組み、眉をひそめて言う。
    「こんだけ探しても何も出ーへんし、そもそも幽霊は復活も何もしてないんちゃうか?」
    「――――」
     なんだ、何だろう。
     とてももやもやする。
     ――幽霊は復活も何もしていない……。
    「でも現に私たちは幽霊と交戦したじゃないですか。二週間でまた新たな幽霊がやって来るなんて、それこそ考えられません」
    「それもそやな……うーんさっぱり分からん! 葵はどうや? ——って、葵?」
    ――そもそも、私たちは何を調べている? 幽霊が復活している事件の調査。待てよ、そうえいば幽霊が復活している、その証拠はない。ただ、状況からそう考えているというだけ。ならその前提が違ったとすれば?
    これまで追いかけていた光はブラフだった。私はこれまでに得た情報を整理する。
     真っ暗だった事件の真相。それが、一気に光に照らされ始め――。
    「――――見えた。……え? 何、お姉ちゃん?」
    「いや、何かポカンとしてたから……それで、何か分かったんか?」
     私は頷く。
    「うん。そもそも私たちは、幽霊が復活しているか、それとも倒しきれていないか――つまり、幽霊に異常があると思い込んでいた」
    「あっ」
     声を上げたゆかりさんに微笑み、私は続ける。
    「でもそれらを補強する証拠は一切出てこない。なら、違う可能性、つまり人為的な事件であると考えるべきでしょ?」
     姉は首を傾げて、言う。
    「誰か犯人が居るってことか? でも幽霊を生みだすなんてできひんやろ」
    「勉強不足だよ、お姉ちゃん。あまりにも危険とされ、以後一切の使用、研究を禁止された魔法――”禁忌魔法”に指定されているある一つが、今回の事件の内容にマッチしてる。歴史が得意科目だったゆかりさんなら、知っているでしょう?」
     深刻な面持ちのゆかりさんは、言う。
    「公にはされていない事件のはずなのですが……。ええ、知っていますよ。100年以上前にあった事件です。魔物の多かった森で、突如彼らの姿がまばらになって、逆に幽霊が大量に発生、周囲に住む人々に多大な被害を与えた。その真相は、とある魔道士が魔物の死体を使い、”魔物の幽霊”を意図的に作り出す魔法を作り出したことだった……」
    「今回の事件と、状況はとても似てるんやな。でもゆかりさん、禁忌魔法がそう簡単に再現できるんか? 魔法学会が禁忌魔法の流出防止に注力しとるから、使い方を知ることは不可能なはずやろ」
     ゆかりさんは肩をすくめ、言う。
    「あそこも大概、一筋縄ではいかないですからね。そうでもないんですよ。実際に禁忌魔法が行使されたことで起こった事件を挙げればキリがありません。あっ、この話は内緒でお願いしますよ」
     するとゆかりさんは、扉を指さして、言う。
    「じゃあ、行きましょうか」
     私と姉は首を傾げる。
    「行くって、どこにですか?」
     ゆかりさんはニヤリと笑い、言う。
    「屋上ですよ。この禁忌魔法は、太陽光を長く当てないといけませんからね。魔法陣はそこにある可能性が高いです。さすがの葵さんも、知らなかったでしょう?」
     ふふん、と胸を張るゆかりさん。
     情報漏洩って怖いなぁ、と他人事みたいに考えつつ、私たちは外に出た。
    「恐らく犯人はとても高度な幻術使いです。私たちは誰も屋上へ行くことができなかった。でも、外からならいけるはずです」
     姉が手で目の上部を覆って影を作りながら、言う。
    「ここから見上げる分には結界とかもなさそうやし、いけるな」
    「じゃあ、飛ぼうか」
    「せやな」
     姉と目を合わせて頷く。よし、行くぞと足に魔力を込めた時。
    「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! まさか屋上まで一飛びするつもりですか!?」
    「ん? そうやけど?」
    「そうやけど? じゃないですよ! 何で当然のようにしてるんです、あんなの届くわけないじゃないですか」
     屋敷は大きな三階建て。まあ確かに、ゆかりさんなら難しいかもしれない。
     私はさっきのお返しとばかりに、姉を見て、ゆかりさんへと向けて顎をクイッと振る。
     姉は私の内心を理解したのか、ニヤリと笑い、ゆかりさんを一瞬で捕まえ、お姫様抱っこした。
    「うわっ、え、何ですかいきなりやめてくださいよちょっと茜さ――」
    「じゃあ、せーのっ!」
     姉の掛け声に合わせ、飛ぶ。
     あわわわ、と顔を真っ赤にして叫ぶゆかりさんを見て心底愉快になり、屋根に着地した。
     そんな楽しい時間は一瞬にして終わる。
    「――――うっ、この臭い……」
    「うわ、臭っ!」
     屋上の様子を確認した瞬間、血と肉の臭いが鼻につき、浮ついた心に警告が鳴った。
     広々とした屋上の中心に、赤い血で描かれた大きな魔法陣があった。
    「あれは――間違いありません。禁忌魔法です!」
     姉に降ろされたゆかりさんは、言った。
     禍々しさを漂わせている魔法陣に不快な気分になり、私は言う。
    「誰かがこの禁忌魔法を実験して……そして成功させた。それがこの事件の真相だろうね」
     姉は左の二の腕で鼻を抑え、言う。
    「禁忌魔法に辿り着くとか、どんだけヤバい奴なんや……犯人はもう居らんみたいやし、どうする?」
    「犯人を捜すのは無駄だろうね。もうとっくの昔にお暇しちゃってるだろうし」
    「でしたら、この魔法陣を破壊しましょう。残しては置けません」
     ゆかりさんがそう言った直後、魔法陣が妖しく光った。
     そして、上部に明確な形状を持った幽霊が、薄く現れた。
     私たちは息をのむ。
     魔物の顔、前足、前足、顔、顔、尻尾、耳――――
     それは、魔物がめちゃめちゃに混ざり合っている”何か”に見えた。
    これが、私たちが道中倒してきた幽霊の親玉。
     「――そうですね、残しておくべきではありません」
     私は姉を見て、言う。
    「お姉ちゃん、お願いできる? 私の氷魔法は”止める”能力。でもそれじゃあ、何時まで経ってもこの魔物たちが報われない」
     姉は神妙な表情で、ゆっくりと頷く。
    「……分かった。ウチに任しとき」
     姉は数歩、前に出る。
     ”何か”はそれに反応して、顔という顔が様々に吠え、唸り、威嚇する。
     ――その中に、力なく姉を、私たちを見つめる顔もあった。
    「ウチが終わらせたる」
     姉は上半身をねじり、右腕に魔力を集中させる。
    「――――”ファイア”!!」
     潤沢な魔力から繰り出された炎は易々と”何か”を包み込んだ。
     私はなんとなく熱で痛む顔を護らず、目をなんとか開く。
     ただ、真っすぐ立ち続けた。

        △△△

     ブロロロ、とのどかな田舎道を走る。
     結局、あの”何か”を解放した後にゆかりさんが魔法陣を調べたが、特に情報を得ることはできなかった。
     右手で頬杖をつきながら不満顔の姉は、言う。
    「あーあ、気分悪い締めやったなぁ」
    「事件なんてそんなもんだよ、お姉ちゃん」
    「あなたたちの協力あって見事に解決したはずですけど、あまりスッキリとはしないですね」
     私は外の景色をぼうっと眺め、言う。
    「私としては、あまり解決した気分じゃないです。犯人はもちろん、動機も一切分かっていないですし」
    「でも報酬は受け取ってもらいますからね」
    「本当にいらないんですけどね……」
     すると姉は何か思いついたのか、ぱっと表情を明るくして、言う。
    「あっ、それならゆかりさん、ウチらにご飯奢ってや! お腹空いたわ、このままどっか食べに行こ?」
    「それ名案!」
     私は姉に便乗する。
    「それじゃあゆかりさん、これが報酬代わりということでお願いしますね?」
     ゆかりさんは手を横に振る。
    「えっ、ちょっと待ってください。私は今すぐにでも署に帰って報告書を――」
    「ふふーん、今、ハンドルを握ってるのはウチやでゆかりさん」
     うわ、とっても悪い顔。
     私は後部座席を振り返り、ニッコリと笑って、言う。
    「往生際が悪いですよ、ゆかりさん♡」
    「…………はぁ、分かりましたよ。で、何食べるんですか?」
    「そらもちろん、小戸屋のエビフライ定食やろ!」
    「何言ってるのお姉ちゃん! 今日はチョコミ――デザートも美味しいマキカフェでしょ?」
    「葵はそこのチョコミントアイス食べたいだけやろ! いつもそこばっかりやんけ!」
    「お姉ちゃんこそいつもエビフライばっかじゃない!」
    「美味いからええねん! チョコミントアイスなんて歯磨き粉やん」
    「あ、あぁ! お姉ちゃん、言ってはならないことを……!」
    「…………もう、どこでもいいですから仲良くしてください……」
     小ぶりな車は、賑やかに事務所の方角へと走っていく。


     これが、琴葉探偵事務所の日常だ。今日も至って普通の一日。
     また明日も、厄介な依頼が舞い込んできて、私と姉、時々ゆかりさんや他の人と一緒に謎を解いているだろう。
     そんな日々を、私はとても充実した気分で過ごしている。
      


     琴葉探偵事務所~いつもの日常~ おしまい


     



    ~~オマケ・人物紹介~~

    琴葉葵 18歳
     探偵。中等部卒業後、探偵に弟子入りした。その後師匠(マスター)の指導もあって、1,2年で一人前に。今ではマスターにロイドボイスの事務所を任されている(押しつけられたともいえる)が、本人はまんざらでもない模様。まだ一年ほどだが、前マスターの影響もあり、既に良い評判が知れ渡っている。
     冷静、慎重。正反対の茜に振り回されている。しかし茜をリスペクトしており、彼女の発想、行動力を頼もしく思っている。


    琴葉茜 18歳
     探偵兼冒険家兼葵のボディーガード(自称)。葵い付いていく形で、探偵に弟子入り。理由は楽しそうだったからで、予想通り、充実した日々。楽しい仕事(冒険的なこと・危険でも可)をやりたいので率先して探してきては、葵を困らせている。​
     生活はだらしない。葵が居なければもっとひどかっただろう。​
     快活、好奇心旺盛、動物的。悪意に対する勘がとても鋭い。葵ほど慎重ではないので、よくケアレスミスするタイプ。葵はその辺強いから信頼している。


    結月ゆかり 19歳
     若手巡査。魔法犯罪捜査班所属。高等部卒業後、憧れの警察へ。日々、平和のために張り切っている。やりがいはあるが色々引き受けるせいで忙しい。その時はいけると自信満々だけど大抵泣きを見る。
     元々しっかりしているが、私生活を犠牲にしているので部屋はどんどん散らかってきている。
     クールなお姉さんを目指している。しかし最後が締まらないことが多く、知り合いからはむしろポンコツ扱い(捜査技術高いけど証拠揃えるまでしか得意じゃない)。不服。褒めてもらうのが好きだったり案外子供っぽい。まあゆかりさんは天才ですから?



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