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NHK「参院選特集」―市田書記局長の発言
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NHK「参院選特集」―市田書記局長の発言

2013-07-15 10:30

     日本共産党の市田忠義書記局長は14日、NHK「参院選特集」に出演し、各党代表と討論しました。

     冒頭、司会者から選挙戦の手ごたえを問われた市田氏は景気、原発、憲法、環太平洋連携協定(TPP)など四つの課題をあげ、「どんな問題でも自民党政治と真正面から立ち向かって、抜本的対案を示して頑張るという姿勢に対して共感の声が寄せられていますが、それを得票と議席にどう実らせるかは、残り1週間の奮闘にかかっています」と述べ、議席・得票増に実るように頑張る決意を表明しました。

    内部留保の活用など所得増で景気回復を

     討論でまず景気回復に向けた方策について問われ、「規制緩和する」(自民・石破茂幹事長)、「ともかく規制緩和を実行」(公明・井上義久幹事長)、「新規参入をどんどん認める」(維新・橋下徹共同代表)、「成長分野に新規参入させ、法人減税、投資減税」(みんな・江田憲司幹事長)と大企業支援の意見が相次ぎました。

     一方、市田氏は国民の所得を直接増やす道を示しました。

     市田 いまのデフレ不況の一番の原因は、1997年をピークにして国民の所得がずっと減り続けていることです。したがって、「国民の所得を増やして景気回復を」。何よりも大企業の懐にためこまれて、使い道に困っている260兆円もの内部留保のごく一部でいいから賃上げのために使う。あるいは中小企業がやっていけるように適切な下請け単価を保証する。

     雇用のルール破壊で、ただ働き残業を合法化したり、正社員でも自由に首が切れるようにするやり方は改めて、“雇用は正社員が当たり前”という方向にもっていくべきです。

     それから、最低賃金が都道府県七百数十円なんです。こんな国は世界の主な国でないわけで、どこで働いても最低、時給1000円以上にする。中小企業には財政支援してでも可能にしていく方向性が大事だと考えています。

    消費税増税で経済・暮らし・財政が破たん

     次に争点になったのが、消費税増税と財政再建の問題。民主党の細野豪志幹事長は「他の野党は消費税に反対しているが、私は政府に将来の絵を描いてもらいたい」と消費税増税は当然だと主張。自民、公明両党は、公共事業バラマキと社会保障切り捨てをさらに推し進める姿勢を示しました。これに対し市田氏は、次のように述べました。

     市田 これだけ暮らしと景気が大変な時に、消費税を今の5%から倍の10%に再来年上げるというわけです。これ13・5兆円なんですよ。歴史上、これだけの大規模な庶民増税というのは初めてなんです。

     一方で、自民党の選挙公約では、大企業には大胆な減税をと(書いてある)。260兆円の内部留保をもっている大企業に減税して、庶民には増税。これは、経済・暮らし・財政も破たんに導く。こんな方向ではなくて、国民の所得を増やして、まともな経済の土台をしっかりさせて、成長を図っていく。

     それから税金は応能負担―負担能力に応じてきちんと税金を払ってもらう。法人税の実質負担率をみたら、大企業が18%なのに、中小企業は26%なんです。あるいは富裕層・大金持ちほど、所得が1億円を超えると税負担率が下がる。こういったことは改めさせていくということが大事だと思います。

    社会保障は切り捨てばかり。財源は応能負担で確保を

     社会保障について自民と民主が「社会保障改革とセットで論じるべきだ」(石破氏)と主張。橋下氏も消費税増税を容認、江田氏は「給付と負担を明確化すべきだ」と述べました。これに対し市田氏は次のように述べました。

     市田 今も社会保障の給付が切り下げられ、低年金、介護サービスも切り下げられている。さらにさまざまな理由をつけて、70歳から74歳の医療費の窓口負担を2倍にするとか、年金の支給開始年齢を68歳から70歳に先延ばしする。かぜや湿布は保険の適用外にしようとか、あるいは介護サービスの保険適用を要介護3以上の重度者に限定するとか切り捨てばかり。社会保障というのは国民の権利で、国がきちんとそれを保障しなければならないと憲法25条にも書いてある。

     問題は財源です。一つは本来、雇い主が責任を負わなければならない厚生年金だとか健康保険の負担を非正規雇用をどんどん増やすことによって企業の負担を免れてきているんです。それが国民年金や国保の方に回されているわけで、雇い主の責任をきちんと果たすこと、税金の応能負担に基づいてきちんと税収を保障していく。

     支え手の力をつけるために国民の所得を増やす。こんなときに最も不公平な消費税の増税なんかは、社会保障にまったく反する、論外だと思います。

    沖縄県民の声に応えて米軍基地撤去を

     沖縄県の米軍普天間基地問題について議論となり、自民、公明、民主、維新、みんなは、辺野古への新基地建設を主張。橋下氏は「辺野古の移設しかない」と述べ、全国への米軍訓練の一部移転も進めるよう求めました。

     市田氏は次のように主張しました。

     市田 沖縄のすべての自治体の議会と首長さんが、普天間基地の閉鎖撤去、オスプレイの配備反対、辺野古への新基地建設反対で全部、一致しておられる。この声に応えるのが、政府の責任です。痛みは日本のどこかに移すものではなくて取り除くものです。どうして米軍基地撤去ということが言えないのか。これ(在日米軍)は日本防衛のためではなくて、まさに侵略力の強化そのものです。

     それから負担軽減ということをよくおっしゃるけれど、負担増のオンパレードですよね。オスプレイの新たな配備、海兵隊は1万3千人から2万人に増やす、ステルス機を嘉手納に配備する。小野寺さん(防衛相)が現地に行った時に、新しい日米合意で負担がどれくらい減りますかと、自治体の長が聞いたら0・7%ですと(答えた)。バカにするなという話だと思うのです。負担増ばっかりやっておいて新たな基地を押し付ける。これは論外だと思います。

    「国防軍」創設で9条の歯止めを取り払う

     自民党が改憲案で「国防軍」創設を掲げていることについて、石破氏は「国の独立を守る組織が憲法に書かれていない状態は変えていかなければいけない」と発言。維新やみんなも9条改憲を主張し、公明党も「自衛隊の存在を、憲法上明記することを検討していい」と述べました。

     これに対し市田氏は次のように反論しました。

     市田 憲法9条がどうしてできたかというのが大事だと思うんです。アジアで2000万、日本国民310万人の犠牲者を出した侵略戦争の反省の上にたって、二度と戦争しない、軍隊は持たないと誓って憲法を定めたと思うのです。自民党の改憲案で国防軍を設けるというのは、戦力不保持、交戦権の行使は認めないという9条2項の削除です。単なる名称の変更ではない。少なくとも、今の(政府の)解釈は、自衛隊は自衛のための最小限の実力部隊であって「戦力」ではない(としている)。これが歯止めになって、日本は戦争で一人の犠牲者も出さないという名誉ある地位を築いてきた。この歯止めを取りはらおうというのが、今度の国防軍の創設です。

     わが党の立場から言いますと、今の自衛隊はどこからみても憲法違反の軍隊であることは事実であり、これは段階的な解消をしていくべきです。軍縮につとめて、安保条約を廃棄して、9条を生かした平和の外交で、自衛隊なんかいらないという状況をつくって、国民の合意でなくしていくのが道だと思います。

     軍事に頼らない平和的安全保障。これが東南アジアで広がっているわけですから、9条を持つ日本こそ、それを北東アジアにも広げる、そういう役割を果たすべきです。

    残り1週間、議席・得票増めざし全力

     最後に、「選挙戦終盤、どうたたかうか」について問われ、市田氏は次のように決意を語りました。

     市田 選挙戦最終盤ですけれども、暮らしの問題、原発、TPP、基地問題、憲法、どの問題でも、今の安倍政権に、かつてない危うさを感じている多くのみなさんがいらっしゃいます。そういう自民党政治に真正面から対決する対抗軸を持っている党はどこか、どんな問題でも対案を示しながら正々堂々とたたかっているのは日本共産党だということをおおいに訴えながら、残り1週間、全力をあげて議席と得票増に結びつけるようにしたいと思っています。

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