第2次安倍改造内閣で入閣した高市早苗総務相と、自民党政調会長に就任した稲田朋美前行革相が、旧ナチス・ドイツを信奉する極右団体代表と議員会館でそれぞれ会い、ツーショットで撮った写真が団体のホームページに掲載されていたことが10日、わかりました。主要閣僚、政権党幹部が反社会的な勢力と親密な関係にあったことを示すもので、海外の主要メディアも相次いで批判的に報じています。
問題の団体は「国家社会主義日本労働者党」という「ネオナチ」思想を掲げる極右団体で、山田一成氏が代表となっています。ツーショット写真はどちらも背後に日の丸を掲げ、山田氏と並んだ高市、稲田両氏が撮影されていました。ほかに、自民党の西田昌司参院議員との写真が載っていました。当該のページは既に削除されています。
ホームページによると、団体の綱領には「日本民族の優秀性を確認し血の純血を保持し全世界の指導国家として世界の自由に貢献する」と明記。基本理念には「民族浄化の推進」などを掲げています。ページを開いていくと旧ナチスのカギ十字をまねた印や、“ハイル・ヒトラー(ヒトラー万歳)”のポーズをまねたイラストが掲載されています。
英紙ガーディアン9日付(電子版)は「2人の政治家が山田のネオナチ思想を共有しているという証拠はないが、両氏を任命したことにたいし、安倍が政権をさらに右傾化させているとの非難が強まっている」と指摘し、両氏が「A級戦犯14人を含む日本の戦死者をたたえる靖国神社を参拝してきた」ことを紹介しています。豪紙オーストラリアン9日付(電子版)も報じています。
またフランス通信(AFP)は8日、「この写真は、安倍首相が、日本政界の右翼的人物でますます周辺を固めているとの見方を強めることになるだろう」と指摘。AFP電は、フランスのほか、フィリピン、シンガポール、タイ、香港など、アジア諸国の新聞などで掲載されました。
高市氏の事務所は本紙の取材に対し、山田氏について「雑誌のインタビュアーの補佐として(メモを取る程度の係)議員会館に来訪された」と回答。「撮影時に彼がどういった人物であるか不明」だったと説明し、撮影以前も以後も付き合いはないとしています。
稲田氏の事務所も「その人物の所属団体を含む素性や思想はもちろん、名前も把握しておらず、それ以後、何の関係もない」とのコメントを出しました。
ネオナチ団体代表の山田氏=反共謀略本の出版社社長
ネオナチ団体「国家社会主義日本労働者党」の代表、山田一成氏は、自民党とかつてから深い関係のある人物です。
2000年6月に行われた総選挙では、日本共産党へのデマ攻撃を目的とした、1億枚を超す反共謀略ビラが自民、公明勢力によって、全国的に配布されました。
この反共謀略ビラのために大量出版された単行本『誰も知らない日本共産党のホンネ』の出版社、「雷韻出版」(東京都目黒区)の社長が山田氏でした。
当時、自民党本部はこの本を大量に買い取り、選挙に活用するよう同党広報本部長名で、都道府県連合会や衆院選挙事務所、参院選挙区比例区事務所に通知していました。本紙が2000年6月21日付で報じていました。