自民党の小渕優子経済産業相の政党支部や後援会の政治資金の不明朗な支出が相次ぎ発覚しています。これらの不明朗な収支は、有権者の買収や収支報告書の虚偽記載の疑いが指摘されており、疑惑解明が求められています。
本紙報道機に疑惑が次つぎ
本紙は、小渕経産相の関連政治団体「自由民主党群馬県ふるさと振興支部」が小渕氏の第3の“財布”として、企業・団体献金を2012年だけで2758万円集めていることを報じました(9月18日付)。
この「ふるさと振興支部」が関わる疑惑が浮上しています。2010年と11年に「小渕優子後援会」が開いた「観劇会」の収支に約2600万円もの開きがあるのです(図)。
同後援会の収支報告書などによると、10年と11年に東京・日本橋の明治座で開いた「観劇会」で計742万円の収入を得ました。一方で、明治座には、同後援会と「ふるさと振興支部」で合わせて3384万円の「入場料食事代」を支払っています。
差額分の2640万円余を小渕氏側が負担した形で、選挙区の有権者に格安で観劇させたという公職選挙法違反の疑いがあります。
さらに、バス代を加えると差額は3500万円を超えています。
同後援会が行った「野球観戦」でも、同様に後援会側がチケット代を負担し、格安で参加者を観戦させた疑いがあります。
もう一つの疑惑は、政治資金の私的流用です。
小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」の政治資金を、ベビー用品や化粧品、ストール、著名なデザイナーズブランドへの支払いに充てていたことが判明しています。
同会はまた、実姉の夫が経営する服飾雑貨を扱うアパレル関連会社から、政治資金で毎年約50万~150万円分の買い物をしていました。
政治資金収支報告書によると、同会は政治活動費のうち交際費の名目で10年から12年までの3年間で計27回、約200万円をこの会社に支出しています。
小渕経産相は16日の参院経済産業委員会で「姉がデザインしたネクタイやハンカチを贈答品や海外出張のお土産に使った」と説明しました。しかし、購入した物品はとても「政治活動費」を使うものとはいえません。しかも親族会社からの購入となれば、きわめて不適切・不透明です。
立正大学法学部 浦野広明客員教授
買収の疑いも
観劇費用の大部分を後援会などが負担することは地元有権者への利益供与で、買収の疑いもあります。首相の任命責任も問われます。
政治資金規正法第2条第2項は「政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように」としており、これらの支出は国民の批判に耐えられないと思います。
今回の問題は返金すれば済むものではありません。私的に使用したお金は、今後、小渕氏個人の「雑所得」として税務申告するなど、責任ある態度が求められます。