主張
子ども医療費助成
いっそうの拡充こそ急がれる
子どもの医療費の窓口負担を無料にする助成制度が全国の自治体に広がっています。子どもの健やかな成長を願う世論と運動の力で拡充させてきたものですが、対象年齢が自治体ごとに大きく異なるなど、いっそうの充実を求める声は切実です。自治体は、住民の声にこたえ無料化をさらにすすめるとともに、国も子どもの医療費無料化へ責任を果たすべきです。
「無料化」いよいよ切実
子どもが病気やけがをしたとき医療機関を受診すると、かかった医療費の3割(小学校入学前は2割)は患者・家族が支払います。
この負担が、病気にかかりやすい乳幼児、アトピー性皮膚炎やぜんそくなど慢性疾患で継続的な治療が必要な子どものいる家庭にずしりと重くのしかかっています。急に高熱が出たのに手元にお金がなくて病院にいけない事態は、病状が急変しやすい幼い子どもたちにとって命にかかわる問題です。
「お金がなくても子どもが医者にかかれるように」。医療費無料化を求める運動が各地でまきおこり、自治体独自の助成制度を導入する動きが広がりました。日本共産党は住民とともに実現に力を尽くしました。対象年齢や、所得制限があるかどうかなどの違いはありますが、いまでは全自治体がなんらかの助成を実施しています。
子育て世代を応援する医療費助成は、少子化や地方の人口減少に歯止めをかける重要な制度であるだけでなく、安倍晋三政権の下で「子どもの貧困」が広がるなか、いよいよ緊急課題になっています。
宮城、長野、大阪の保険医協会・歯科保険医協会の調査では、学校歯科健診で「要治療」とされた子どものうち小学生の半数、中学生の3分の2が受診をしていないことが分かりました。虫歯が10本以上あるなどの「口腔(こうくう)崩壊」の子どもたちも少なくありません。経済的事情が未受診の一因になっている傾向が見られました。3府県の府県段階の医療費助成が就学前にとどまっていることの反映ではないかとの指摘もあります。
中学3年までの無料化を実現した群馬県では、無料化後、虫歯処置完了の子どもが全国平均を上回りました。医療費無料化が所得の違いに関係なく、すべての子どもの健康を守るうえで大きな役割を果たしていることは明白です。
異常なのは、子どもの医療費無料化に背を向ける国の姿勢です。独自に無料化努力をしている自治体にたいし補助金減額という「罰則(ペナルティー)」を科し、妨害までしています。「罰則」を口実に無料化をやめる逆行した自治体まで出ています。知事会も廃止を求め続けている、道理なき「罰則」はただちにやめるべきです。
医療費抑制効果も明白
経済的負担が軽くなることで病気の早期発見・治療が可能になり、重症化を防ぎ、医療費を抑制している効果も生まれています。自治体は子ども医療費の無料化を積極的にすすめるべきです。
就学前の医療費を所得制限なしで無料化する国の制度の確立も急がれます。国の制度を土台に自治体が上乗せすれば、無料化はさらに充実させることができます。
4月のいっせい地方選挙で、子ども医療費無料化を住民とともにすすめてきた日本共産党を大きく伸ばし、さらに制度を拡充させようではありませんか。