• 足ちょうだい

    2020-06-08 00:04
    仕事終わりにふとスマホを見ると、LINEにメッセージが届いていた。
    メッセージの主は従姉妹。

    従姉妹「ねぇ、足ちょうだいって言われたらどうする?」

    私「どうするって・・やれないだろ」

    従姉妹「だよねーww どうしよっかなぁ」

    従姉妹について説明します。
    私より3歳年上の女性で、3人姉弟の長女。
    大学卒業後、看護免許を取得して今は病院で看護師をしています。
    又、彼女を含め姉弟3人とも所謂「視える人」で、特に彼女はかなり霊感が強い人です。

    子供の頃から一緒に遊んだりしてましたが、たまに誰もいないところに向かって喋ったりしてたので、薄々「もしかして・・・」と思っていましたが、私の勘は当たっていました。

    そんな従姉妹は、何かしら霊体験をすると特にヤバい時は連絡をよこします。
    今回もLINEが来たということは、またヤバい者に会ったのでしょう。

    従姉妹の話を要約すると、従姉妹の勤めている病院に女の子の霊が出る。
    女の子の霊は当直日の夜中、午前1時頃にナースセンターに現れて当直の看護師にこう言うそうです。

    「ねぇ、足ちょうだい!」と。

    この女の子の霊は困ったことに、当直担当になった看護師全員に視えているらしく、「霊が視える」とか「霊感の強弱」は関係ないみたいです。

    女の子に対面した看護師の応対は様々、遊びだと思い「あげる」と言う人、逆に「あげない」と断る人。

    「あげる」と答えた人に女の子は「ありがとう!今度取りに来るね!」とにっこり笑って走り去って行くのですが、女の子とやり取りした数日中に何らかの形で足を怪我をする。
    これまで骨折が4人、片足切断が1人って状況です。

    「あげない」と断った人には女の子は何も言わずに俯いてとぼとぼ歩いてその場を去ります。
    断った看護師は6名、この中に従姉妹も含まれますが、特に何かケガをしたとか言った話は聞いていないらしいです。

    ただ、「あげる」にしろ「あげない」にしろ当直になれば決まって夜中に女の子はやってきます。
    そしてまた聞くのです、「足をちょうだい!」って。

    今では看護師だけではなく、患者さんにも話が漏れ伝わっていてちょっと有名になっているみたい。

    当直を露骨に嫌がる看護師も出てきて大変らしいです。

    幼い頃から心霊体験をしてきた従姉妹ですが、霊が視えるだけで除霊とかはできないので困っている、と言うことでした。

    幸い女の子がやってきて足をねだられても、「あげない」と断るという選択肢を取れば怪我もしないので、当面は断り続けるしかない。
    今後女の子が諦めてどこかへ行ってくれるのか、もっと恐ろしいことが起こるのかは従姉妹はわからないみたい。

    女の子はこの病院で亡くなった子なのか、何のために足を要求しているのか、謎な事が多いですが、今現在でもその病院では当直の夜中に女の子が足をねだりに来るので新人看護師にはベテランが教えているみたいです。
    女の子が来て足をねだられても絶対「あげる」と言ってはいけない・・と。
























  • 広告
  • 海で見た人影

    2020-06-01 23:50
    昔、小学3年生くらいの時に体験した話。
    私の生まれ故郷である九州の某県、某島に夏になると夏休みを利用して毎年帰郷していました。

    普段住んでいる所は付近に海が無いので、海で遊ぶ事のできる夏休み中はうれしかったです。
    でも『海』っていうのは楽しい事だけではないんですよね。

    その年の夏休み、いつものように宿題を朝の涼しい時分に終わらして、午後からは同じく夏休みを利用して遊びに来た従姉妹と一緒に海に遊びに行く予定でした。

    私の生まれた島はさほど大きな島ではなく、スーパーはおろか
    コンビニすらありません。
    もちろん子供が遊ぶような公園や遊戯施設も当然ありません。
    そうなってくると子供達の遊び場は自ずと自然の山や海となってきます。

    幸い好奇心旺盛な子供たちの欲求を自然は満たしてくれました。
    又、同時に危険な事も自然は教えてくれます。
    毒のある生き物、潮の流れ、触るとかぶれる植物・・・
    そういった自然の中で私たちは育った為、当時は人間的な思考よりも動物的な直感のほうが強かった気がします。

    昼御飯を食べ終わった後、各自親と一緒に海に繰り出しました。
    海に遊びに行くといっても、整備されたビーチや海の家なんて物があるわけでもない場所です。
    そんな場所の中で波止場で区切られた一角が私たちの遊び場でした。

    しばらく遊び、疲れたので海から上がって一休みしていると従姉妹がポツリと呟きました。

    従姉妹「あの人どこに行くんだろう?」
    私「ん?どれどれ?」
    従姉妹「ほら、あそこにいる人。釣りかなぁ?」

    そういって従姉妹の差した指の先には確かに人影がありました。
    私たちのいる場所からかなり離れていたのでぼんやりとしかわかりませんが、背の高さ、海風で髪がなびいていたので大人の女性ということが辛うじてわかりました。

    その人影を見た時、私は何となく「気持ちが悪い」「近寄りたくない」といった不快感を感じました。

    従姉妹「ねぇ?行ってみない?」
    私「えっ・・・」
    従姉妹「気になるじゃん!」

    従姉妹は面白がって跡をつけようと言いますが、私は不快感を感じていたので嫌でした。
    しかし強く言ってくる従姉妹に負け、従姉妹と私の二人で女性の跡をつける事になりました。

    人影が見えた場所は、私たちは「磯」と呼んでいる岩場がゴツゴツしており、かなり高い波も来る所で、釣りに来る人以外は滅多に人がこない場所です。

    私たちが磯に行くと、白波が岩場に打ち付ける音が響いているだけで、釣り人の姿も件の人影もありません。
    磯には人間、それも大人が姿を隠す物はどこにもありません。
    それでも私と従姉妹は躍起になって人影を探しました。

    どれくらい時間が経ったでしょうか。
    姿が見えなくなった私たちを探して、私の親と従姉妹の親が探しに来ました。
    私たちは見た人影の事を説明しましたが、親は「気のせい」「見間違い」で済ませ、信じてくれませんでした。

    帰宅後、従姉妹と昼間見た人影について話していると祖母が私たちの話を聞いていたらしく、そばに来て話をしてくれました。

    祖母の話では、昔から磯ではよく人が亡くなっているそうです。
    磯はゴツゴツした岩場で波も荒いですが、海に潜るとサザエやアワビなど海の幸の宝庫なので島の人が潜って採る事もあります。
    ただ入り組んだ岩場に勢いよく流れ込む海水の流れは強く、泳ぎに慣れた島民でも流され、溺れることがあります。

    又、勢いのついた海水は岩場で流れを変え、やがて渦を作り始めるので溺れた人は海面に上がってこれない。
    つまりは亡くなった人は遺体を発見されることもなく、いつまでも海中に沈んだままになっているそうです。

    「不慮の事故で波に攫われ命を落とし、遺体を発見すらされない」そんな霊達の無念の思いがまた次の犠牲者を連れて来ているのかもしれない。


    祖母「その人も、もしかしたら霊達の思いに誘われて命を落としたのかもねぇ」
    従姉妹「可哀そうな人なんだね」

    従姉妹共々しんみりしましたが、次に祖母の言った一言でゾッとしました。

    祖母「お前たちを仲間に引き込もうとしていたのかもね」

    自らを発見して欲しくて姿を現したのか、私たちを海へ引きずり込もうと誘っていたのか、人影の目的はわかりませんが無事に帰ることが出来たのは幸運でした。

    この体験の数年後同じように人影を見ましたが、無視しました。
    不慮の事故で亡くなった無念には同情しますが、仲間入りは勘弁してほしいですからね。

    ※私、従姉妹、祖母の言葉はわかりやすいように記載していますが、本来は方言で喋っています。







































  • プレス機

    2020-05-31 17:29
    私の父は高校卒業後、ある大手電機メーカーに就職し、
    長年工場勤務をしていました。

    この話はそんな父が実際に体験した話です。

    その日、父は夜勤で勤務していました。
    夜勤と聞くと人が少ないイメージがあるかもしれませんが、父の働いていた工場は結構な社員数がおり、夜勤でもそこまで人が少なくなる事もない職場でした。

    父のその日の業務はプレス機で製品に使用する板金を造るというものでした。
    プレス機にもいろいろなサイズがありますが、その業務に使用する物は大型の物で扱うにも危険が伴うので『ベテランの社員ではないと使用してはいけない』、『使用時は複数人で作業する事』という社内のルールになっていました。

    しばらく順調に作業していましたが、食事休憩前にプレス機の調子が悪くなり作業が滞り始めたので、父と一緒に作業していた同僚Aは、
    不調の原因を突き止めようと話し合いました。
    その後直ぐに休憩時間を知らせるチャイムが鳴り、殆どの社員が作業をいったん止めて食堂に食事にいきました。

    父も一緒に作業していた同僚Aと食事休憩に入りました。

    食事休憩は45分、父は食事後別の同僚と世間話をしており食堂に残っていましたが、一緒に作業していた同僚Aは「プレス機の様子が気になる」と言って先に工場に戻っていきました。

    休憩時間中社員は各々の時間を過ごしますが、休憩時間中工場内に戻る社員はほぼいなかったそうです。

    就業開始のチャイムが鳴る少し前、世間話しながら「そろそろ工場に戻ろうか」と父が思い適当に話にオチをつけて席を立ちあがった時、「おいっ!救急車!救急車を呼べっ!」と言う社員の叫ぶような怒声の声が聞こえてきました。

    同時に数人の社員が廊下を工場方向へ走って行く姿が見えました。
    父も周りの社員も何があったのかと工場へ走りました。

    工場につくと、父が作業していたあのプレス機の周りに人が集まっていました。
    この時父はすごく嫌な予感がしたらしいです、それも体が震えるレベルの・・・

    プレス機の周辺に近づいていくと、床にはおびただし量の血が流れており、正に『血の海』という表現が合う様な状態。
    そんな血の海の中に誰かが倒れていました。

    『誰か』というのは父は倒れている人の、膝より上は見なかったそうです。
    ただ父はこの時、誰が倒れていたのか、その人物に何が起こったのか、事の顛末全てを察したので敢えて見なかったらしいです。

    その誰かは社員の呼んだ救急車で運ばれて行きました。

    その日は父を含め、その工場で働いている社員は帰宅指示が出された為、強制帰宅。
    私自身はその当時小学生で、父が夜勤の時は私が学校に行ってから帰宅してくるので、朝に顔を合わせることは無いのにその日は父がリビングでコーヒー飲んでたんで不思議に思っていました。

    後日、工場の職員が集められ詳細が聞かされました。
    結論から言うとあの血の海の中に倒れていたのは、父と一緒に作業していた同僚Aで病院に搬入はされましたが、即死だったので工場で倒れていた時には既に亡くなっていた。
    なんでも食事後、同僚Aはプレス機の様子を見るために一人で工場にいました。
    そしてプレス機の調整を一人でやっていた時、プレス機が稼働して上半身が押し潰されてしまったみたいです。
    なぜプレス機が稼働したのかについては、普通は安全装置という物がついており、例えば人間がプレス機の内部に入っている状態では絶対稼働しない様になっているのですが、件のプレス機についていた安全装置は事故後調査すると故障していたらしいです。

    父はその後職場を変えてくれる様に上司に掛け合い、定年退職までプレス機を使用することはありませんでした。

    私自身製造業に就職して、加工装置や工具を扱う頻度が多くなりましたが、父からこの話を聞き怖くなり工具や装置を使用する時は、細心の注意を払うようになりました。

    新人や経験が浅い内はみんな気を付けるんですが、ある程度作業に慣れてくると「これくらい」といった軽い気持ちで、決められた手順を疎かにすることが多いので、製造業種だけに限らずお気を付けください。