この物語はフィクションです。 第1話 思ってたのと違う
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 この物語はフィクションです。 第1話 思ってたのと違う

2019-07-07 20:34


    私は数年前に病気で突然下半身不随になってしまいました。
    そこから生活は一変します。
    歩くことはできなくなり、車いす生活に。
    今までやっていた仕事は辞め、家にひきこもりがちな生活に。
    友人とのつきあいも減りました。
    本当は外に出ていろんなことをしたいのですが、家族やいろんな人に迷惑かけます。
    そのためにどうしても消極的になってしまいます。
    生きている意味なんてあるのかなと、度々感じてしまうようになっていました。
    しかし、そんな生活でも唯一自分でも生きがいを感じる時間はあります。
    それはネットでいろんな人達とコミュニュケーションを取ることです。
    ある配信サイトがあり、社会人や学生、無職やいろんな悩みをかかえている人が相談したり、愚痴をこぼすようなものがあります。
    視聴者はそれを聞いてアドバイスをして元気づけたりします。
    私もその視聴者の一部で気になった配信者にコンタクトを取ったりしています。
    そしてある会社員の女性の方と毎日のように連絡や口をかわすような関係になりました。
    でも本名や電話番号などはお互いに知りません。
    あくまでもSNSでの間だけの親しい関係なのです。
    彼女はよく会社の悩みや、家族の悩みを私に打ち明けました。
    会社ではいつも失敗をする為、よく怒れるようでした。
    家庭でも認知症のおばあちゃんがいて大変苦労されているようでした。
    私は日頃役に立つことなど無いですから、彼女の悩みを聞いてアドバイスするだけでとてもいいことをしているような気分になりました。
    言い方は変ですが、彼女の悩みを聞くのが楽しみになっている自分もありました。
    あるとき、彼女から会ってみたいとの誘いがありました。
    私も会ってみたいとは思っていました。
    しかし、私は自身のことをあまり打ち明けていませんでした。
    車イス生活をしていることは言っていません。
    簡単な自分のことと、今は就職活動中で時間があるようなことしか言っていませんでした。
    所詮ネットだけの関係と思っていました。
    なので本当の自分を見せないまま話をしていたのです。
    彼女に本当のことを言おうと思いました。
    でも彼女は幻滅するでしょう。
    おそらく彼女は私のことを頼って接しているはずです。
    私が車いすで障害者だと知ったらどうでしょう。
    今までの友人や家族みたいに一歩引くような感じになると思いました。
    でも私は試したくなりました。
    私の本当の姿を目の当たりにして彼女はどういう反応するのか、どう接してくるのか。

    私は勇気出して彼女の誘いにのってみました。
    そしてついに会うことになりました。
    できるだけ広いところで自分がよく見える位置で待ち合わせをしました。
    彼女が遠くから私の姿を見て、考える時間を与えたかったからです。
    結果、彼女と会うことはできませんでした。
    SNSで彼女の「今からそこにいくね」というのが最後のメッセージになりました。
    当然といえば当然の結果です。
    悪意は無いにしろ、言わなければいけないことを言ってなかったのですから。
    私が逆の立場だったとしても会いに行ったでしょうか。
    分かりません。そのときになってみないと。
    しかし、躊躇するのは間違いないです。
    でも見た目が普通の人とは違うという理由で、相手を完全否定することはしたくないと思いました。

    こういうことがあり私は自分を隠すことに抵抗を感じるようになりました。
    思ってたのと違う。
    それはいい方向に感じればプラスになります。
    でも悪い方向に感じてしまうと、憤りを感じます。
    やはり自分をアピールして本当の姿を見せて、相手や周りに判断させなければならないと思いました。
    そこで近づいてくれる人こそ自分の本当の理解者なのです。

                      終
                                      (0607)

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