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記事 47件
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #43 DEEPstation誕生

    2016-10-14 06:57  
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    ■ワークステーションを作る 深層学習をいち早くビジネス化しようと考えた僕は、ワークステーションを開発して売ることを考えた。かのSUNマイクロシステムズも、最初のSUNワークステーションはできあいの部品を組み合わせただけだった。 ちょうどいろいろな人から「深層学習用のPCを組み立てたいんだけどパーツ構成教えてよ」と言われていたのでここにはマーケットがある!と直感したのだ。 そしてここではenchantMOONを製造・販売したときのノウハウが大きく役立った。 enchantMOON用のユーザーサポート体制や在庫管理はそのまま残っていたので、いきなり深層学習用ワークステーションを売ると言っても、かなりのスピードで即応できた。 
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #42 地獄のCUDAチューナー

    2016-09-30 07:00  
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    ■地獄のチューナー Chainerが公開されてから、僕はもう夢中になった。 朝から晩まで、何らかの学習タスクが走っている。 すぐにマシンが足りなくなる。  会社の片隅で誇りをかぶっていたWindowsマシンを片っ端からかき集め、アキバのARKでメモリを調達し、中古のグラフィックスボードを放り込んで次々と即席の深層学習マシンを作った。 Ubuntuをぶち込んでセットアップ・・・これが、ぜんぜんうまくいかない。 そもそもNVIDIAのCUDA推奨環境であるUbuntuには、NVIDIAのドライバのオープンソース版であるnouveauというのがもとから入っていて、こいつがCUDAドライバと干渉する。 仕方ないのでインストールするときにはnouveauをブラックリストに入れて起動しないようにする、などの処理が必要で、インストールの複雑さは熾烈を極める。 それもこれも、そもそもGPUというのがもともとは画面表示が"本業"であり、高速な計算がオマケであることに由来する。 画面に何も表示されないとそれはそれで困るので、一度ウィンドウ環境を落としてからドライバをインストールする必要があるのだが、これが絶望的にうまくいかない。 
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #41 Chainer

    2016-09-23 10:26  
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    ■フローかチェインか Chainerはプリファード・ネットワークスが発表した深層学習フレームワークである。 githubで公開されていて、誰でも使うことができる。 とはいえ、機械学習系のフレームワークはChainerが最初というわけではない。 scikit-learnや、pylearn2、theano、torch7など、既に数々の機械学習系フレームワークが跳梁跋扈していた。 その中でどちらかというと後発のChainerが注目を集めたのはなぜか? ひとつは圧倒的なわかりやすさ。 それまでの機械学習系フレームワークを使いこなすには機械学習の計算が具体的にどのように行われているのか強く意識する必要があった。 
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #40 ファイナルファンタジー7をプログラミングした男

    2016-08-15 07:00  
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    ■伝説を作った男 「よう、飯食った?」 北野さんとの出会いから2年が経過した頃、橋本和幸からそういうメッセージが来ることが頻繁になってきた。
     橋本和幸は、伝説的なプログラマーの一人だ。 もとはLISP使いで、人工知能の研究者。 しかし、橋本が学生の頃は人工知能の研究が再び冬の時代に入っていた頃だ。 人工知能の研究者たちがよく使っていた言語のひとつ、LISP使いだった橋本は、世界で最も理想的な就職先を見つけた。LISPマシンを製造販売していたSymbolics社だ。 ところがSybmolics社に就職すると、実は人工知能そのものを扱う仕事はないのだという現実を知る。 「コンピュータグラフィックスとかやってみて」 そう言われて、橋本は仕方なくコンピュータグラフィックスを扱うことにしたのだという。 その彼が、後に初代PlayStationの恐竜のデモンストレーションを作り、ついにはゲーム業界最
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #39 深層ニューラルネットワーク

    2016-08-01 07:00  
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    ■深層ニューラルネットワーク 「なに・・・これ」
     その日、僕は画面の前で固まっていた。 今でも目の前で起きていることが信じられない。 それくらい衝撃的だった。 「おい、ちょっとこれ見ろ」 後藤を呼び出して、画面を見せる。 「なんですかこれは」 後藤は迷惑そうに顔をしかめた。 「いいから。これな、これ何に見える?」 僕は画像ファイルをダブルクリックしてつけ麺の画像を表示した。 「えーっ、つけ麺でしょ。つけ麺じゃないんですか?」 「いや、つけ麺だ」 「????」 続いて僕は、コマンドラインでプログラムを実行した。 「これはカリフォルニア大学バークレー校で訓練された人工知能だ。こいつにつけ麺の画像を見せると・・・」 「どうなるんですか?」 「そもそもアメリカ人はつけ麺なんか知らないだろ?」 「たしかに」 「じゃあどうなると思う?」 後藤はクビを傾げる。 「エラーとかになるんですかね」 「そう思
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #38 グランドチャレンジ

    2016-07-15 07:00  
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    ■グランドチャレンジ 古くからの知人が連絡をとってきたのは、ちょうど2013年の2月頃だった。 その頃の僕は、enchantMOON開発の大詰めに差し掛かっていて、とても身体が自由な状況ではなかったが、とにかく言われるがまま品川に行くと、何百人という大観衆で埋まったホールに通された。 ステージの上でその観衆たちの注目を一身に浴びる人物こそ、僕をその日どうしてもと呼び出した人物だった。 そして、僕はその姿を見て、唐突に学生時代の記憶が蘇った。 そうか、あの人だったのか。 あれは僕がまだかりそめの学生として、まがりなりもキャンパスに通っていた頃、ちょうど20年も前だっただろうか。                      * 調布市は東京都でありながら、田舎過ぎずさりとて都会過ぎない、快適な街だった。 僕の住んでいた調布ケ丘のアパートの近くに馬小屋があり、毎朝コケコッコーという鶏の声と、馬糞の
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #37 コンピュータと人工知能

    2016-07-08 07:00  
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    ■コンピュータとはなんであったか いったい、コンピュータとはなんであったのだろうか。 Oxford英英辞典によれば、「computer」という単語は17世紀から存在している。 この当時のコンピュータとは何を意味していたか。 これである。 computerは、20世紀の前半までは、機械を意味していなかった。 computerが意味していたのは、オックスフォード英英辞典によれば「one who computes」つまり、人を意味していた。 もっといえば、computerとは、職業であった。 computerは大学院や研究所などにいた、計算を専門とする職業で、主に女性たちが行っていた。 英語では頭文字が大文字になると意味が大きく変わるが、頭が大文字のComputerが初めて登場したのは1853年のニューヨーク・タイムス2月号だったという。 そこにはこんな一節があった。"Mr. Walker wa
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #35 人工知能の胎動

    2016-06-22 07:50  
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    ■人工知能と僕 「プログラミングバカ一代」は、僕の反省を過去20年のブログをもとに後藤大喜がまとめたものだが、僕がこれまであまり書いてこなかった、というよりも自分の歴史のなかであまり強調していなかった事柄がある。 人工知能はそのひとつだ。 僕は子供の頃から人工的な知性に憧れ、作り出し、挑戦し、そして幾度かの挫折と諦観を繰り返して、結局のところ自分は人工知能を仕事にすることはないだろう、と思って趣味の範囲にとどめていた。 そもそも最初にコンピュータに興味を持ったきっかけが、人工知能だったのである。 「ソレハ・・・シカクケイデハ・・・アリマセン。 ソレハ・・・サンカクケイデモ・・・アリマセン・・・ソレハ・・・マル・・・デス」 カメラに見せられた図形を解析し、合成音声で認識する。 こういうことができる機械があるのかと衝撃を受けた。 これがたしか幼稚園の年長だかのときのNHKの番組で、これにおおい
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #34 深層学習

    2016-05-23 07:31  
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    ■突然の邂逅 きっかけはFacebookだった。 久夛良木健といえば、この業界では知らぬ者はいない。 プレイステーションの開発者であり、ゲームビジネスでソニー副社長まで上り詰めた男。 その久夛良木さんは今はソニーを引退し、自らサイバーアイエンターテインメントという会社を経営されてる。 僕が子供の頃に最も強い影響を受けたアーキテクチャである、初代プレイステーションについて、久夛良木健が月刊アスキーのロングインタビューに語ったのは1994年頃だったと思う。インタビューなのに前後編に別れるという、異色中の異色な記事で、そこで語られる家庭用コンピュータの未来像に、心臓を鷲掴みにされるような衝撃があった。このマシンでプログラミングしてみたい。それが結局のところ僕がゲーム業界に足を突っ込むようになった主な理由である。それまでの僕は、そもそもゲームをろくに遊びもしないわけだから、ゲームに興味がなかった。
  • 月と鼈 〜僕の人類補完計画 #33 メールを使わない人たち

    2016-03-25 07:00  
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    ■雪国のジャズ 一関にはジャズ喫茶の名店がある。 その名もベイシー。 「ジャズは冷えた部屋で聞くのがいい」 ブラタモリでタモリが演じるジャズバーのマスター、吉原さんのモデルとなった、菅原さんはそう言って笑った。 「気温が変われば、音速が変わる。だから冷えた部屋で聞くのがいい」 確かに、音が空気を伝わる振動波である以上、音速は気温によって変化する。摂氏0度では秒速331.5メートルだが、1度ごとに秒速0.6メートル上がる。 ベイシーの音響システムは、メーカーのJBLの幹部がはるばる海外から聞きに来るほどの完成度だという。震災で調整が一度狂ってしまったそうだが、それでもその店のスピーカーからは重厚かつ軽快なメロディが聞こえてきていた。 ジャズを聞く、という経験にはいくつかある。 ジャズバー、というのは生演奏が基本だ。 しかしジャズ喫茶、というのは生演奏ではないらしい。 遠方から長時間かけて客が