新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

無駄から生まれた利益の共有

2016-06-21 07:32
    前回の続き。

    産学官で新バイオ産業 経産省が研究組織、AI連携加速

    http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/160620/cpd1606200500002-n1.htm

    付加価値は人間の能力から生まれるのであって職業から生まれるものではないから、人間の基礎的能力の向上がない限りはいくら新しい産業を興したところで経済の成長はないとなる。

    ただし難易度の高い職業を作ることで、能力の高い労働者の実力をフルに発揮させるということはありうるかもしれない。例えば体操でC難度までしか使ってはいけないというルールで競技をさせても、それぐらいの技であれば体操選手なら誰でもできるから、みんな満点を取ってしまって差がつかないということがあるだろう。そしてそうなれば、一流選手が自身の持つ能力をアピールできないということがあり得る。

    でもF難度やG難度まで使って良いですよというように技の制限を外せば、ひねり王子であるとか内村航平といった選手たちが、真の実力を発揮することができるわけだ。だから職業の難易度を上げるということは、実は優れた労働者のリミッターを外すという効果があるわけだ。よってそれにより付加価値の上昇が見込める。

    ただし原則的には付加価値は人間の能力によって決まるわけだから。職業のバラエティを増やそうが経済成長することはないですよと言っておけば良いのかもしれない。

    「格差拡大していない」 日銀・黒田総裁、慶大生に反論

    http://www.asahi.com/articles/ASJ6N5QNLJ6NULFA01X.html

    黒田の無能ぶりが、改めて明らかになった瞬間か。
    失業者が減って雇用者の総所得が増えれば実質賃金が下がる。そして資産価格が上がればそれら資産のある富裕層だけが儲かるから、結果格差が拡大すると考えるのが自然だろう。

    浜田宏一・内閣官房参与 核心インタビュー 「アベノミクスがもたらす金融政策の大転換 インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」

    http://diamond.jp/articles/-/30804?page=6

    それに黒田は必死になって格差は拡大していないと否定しているのだが、そもそもリフレの本質というものは、格差拡大させることで景気を拡大するというのが、ベースなのではなかったのか。つまり彼らの主張はインフレにすれば本来支払うべき人件費が浮くから、企業はそれを元手に生産活動を活性化させて経済を成長させるというものだろう。



    例えば10%のインフレが起こったとする。すると本来企業は労働者に10%の賃上げをしないと労働者は来てくれないはずなのだが、でも労働者は7%給料が上がっただけで沢山お金をもらえたつもりになって満足するので、高い給料目当てにみんな求職に殺到する。ここでこの「人がお金を沢山もらえたつもりになった状態」を、貨幣錯覚と呼ぶ。

    そして貨幣錯覚が起きて労働者が沢山集まると、企業はそれを元に生産活動を活性化し始めるのだが、この時賃金の支払い額を見ると、10%の賃金上昇があるべきものが7%で済んでいるのだから、企業は10-7=3%分の人件費が浮き、労働者は3%分の賃金を損していることになる。だから実質賃金が下がっていくことになり、それに伴い格差が拡大する。

    しかし時間が経つと労働者達は自分たちが騙されていたことに気が付くので、10%の賃金上昇を求めるようになる。するとその頃には企業の生産活動も軌道に乗っているから、賃金の支払い額が増えたとしても、企業や経済が力強く成長しているでしょうというのが、アベノミクスでありリフレ派の浜田宏一の主張と思われる。

    だからリフレ政策を日銀として進めているのであれば、格差が拡大しているだろうといわれて、わざわざ反論する必要はないはずである。なぜなら説明したようにインフレにして格差を拡大させることが、リフレ政策の本質なのだから、むしろ胸を張って「格差を拡大させれば経済が良くなります」と堂々と言えば良い。

    にも拘わらずそれが言えないということは、それは基本的な知識が足りないからである。自分が何をやっているのかがわからないから、反射的に大学生の質問に反論して、頓珍漢なことを言っているのである。はっきり言ってコイツは日銀総裁としての資質に欠けている。

    財政危機という言葉に惑わされてはいけない

    http://toyokeizai.net/articles/-/123258

    こんな説明でようストラテジストなんてなれたもんやわ。
    何度も言っているが、脱デフレと財政再建とは両立するわけがない。つまり財政再建するためには税金を取ることが必要である。そして税金を取ることは市中のカネを回収することであるから、デフレになるということである。だから財政再建するためには脱デフレを捨てなければならないし、逆に脱デフレをするのであれば、財政再建を捨てなければならない。脱デフレした後で財政再建をすることはできない。

    そしてコイツは、公的部門の改革が必要なのだという。しかしながら前回書いたように、政府支出の削減によっては財政再建は達成し得ないと考えるべきである。何故なら財政赤字というものはインフレに起因するものであるので、通貨の流通量を減らさない限りは解決できないからである。

    議員を10名減らしたくらいで「身を切る改革」? まずは国会議員の給与をカットすべき!

    http://wpb.shueisha.co.jp/2016/03/10/62087/

    それにそもそもとして、「行政に無駄がある」という出発点自体に問題がある。例えば公的部門の改革で出てくる話が「議員の給料を削って無駄をなくせ!」というものである。よく使えない奴らがこぞって声高に叫ぶこの手の話なのだが、でもよく考えてみてほしい。無駄ということは、物や人、サービスが持つ価値よりも、高い代価を払うことにより生まれるものである。

    例えば1個100円のリンゴに200円払うとか、時給800円の能力の労働者に1000円支払うなどのように、適正とされる価格よりも高い価格を提示することにより不必要なカネの支払いが発生すると、それにより無駄が生まれることになる。だから「議員の給料が無駄である場合」とは、「議員が持つ能力以上の給料を支払っている場合」ということになる。

    しかしながらここで考えてみてほしいのは、「全ての需給は均衡へ向かう」という事実である。つまり100円のリンゴに200円支払ってくれるお客さんが生まれれば、その周りにはもっと質の良いリンゴを売ろうと人が殺到するだろうし、時給800円の労働者に時給1000円支払ってくれる雇用主が現れれば、もっと能力のある労働者が手を挙げて、「そんな使えない労働者を雇うぐらいなら、私を使ってください」と名乗りでるはずである。

    そしてそうすることで価格と価値との接近、または一致が行われることになる。つまり200円支払えば200円のリンゴが手に入るようになるし、時給1000円を提示すれば、時給1000円の能力のある労働者がやってくる。だから同様に考えると、議員の給料においても、能力からくる価値と価格とが接近または一致していると考えるべきである。

    なぜ舛添都知事の無駄遣いをだれも止めなかったのか?

    http://nikkan-spa.jp/1109699

    つまり何が言いたいかというと、結局誰も得してないんですよということだ。高い給料をもらってる人や偉そうな人をみると、人は反射的に彼らは利権があるとかもらいすぎであるとか言われるけれども、実際には前述のように価格と価値との接近が行われているし、最悪舛添のように社会的な制裁により強制的な修正も行われる。だから特定の個人が利益に預かるということは、長期的に見るとないと考えられる。

    それどころか、実は無駄から生まれた個人の利益というものは、終局的には国民全体に還元されている。つまり舛添のような無駄遣いはマクロ的にはインフレに働くので、経済全体の需要がその分押し上げるからだ。よって個人の利益も損失も、最終的には国民が享受することになる。
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。