直感と思考のバランス
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直感と思考のバランス

2015-01-21 05:01
    前回の続き。



    ボナンザ1手10秒+継ぎ盤使用可というルールで千日手引き分けか。
    多分彼の棋力は自分と同じぐらいですけど、それでもそこまでやれるということは、やっぱり盤面評価に関してはソフトも人間も大差ないということですか。つまり情報処理の速度とミスのあるなしとが、勝敗の境目になっているんでしょうね。



    斉藤さんも1分将棋という制限こそあれ、Aperyに勝ちましたね。
    この動画でも遠山さんが説明していますけど、素早い展開にするのと、長い序盤にしてソフトに水平線効果を出させた上で、ソフトの得意な中盤以降をさらっと切り上げていくのが人間側勝利のコツなんでしょうね。だからきちんと対策を立てれば恐れずに足らずということなのか。

    人工知能が人間の脳を鍛える日

    http://president.jp/articles/-/14216

    でも将棋ソフトとは、これからどうやって付き合っていけばいいんでしょうね。
    前述のようにソフトには弱点があるので、そこを突くように局面を誘導すれば勝つことはできるけれども、果たしてそれで人間側にメリットがあるのかどうか。確かに人間側のプライドは満たされるけれども、本人や周りの人間にとって良いことはどうかはわからない。
    
    そしてその一方で、将棋ソフトが人間の棋力向上に役に立っているという現実もある。茂木さんが記事で言っているように、最新のトレーニングマシンを手に入れたようなもんですわ。知らないことは全部教えてくれるし、いつでも対戦相手になってもくれる。


    羽生善治「若手に負けぬための秘密の習慣」

    http://president.jp/articles/-/14033

    でも自分に関して言うと、あまりソフトを使って強くなったという実感がないというのが、現状なんですよね。

    この点年齢が問題だとは全然思ってないんですよね。自分が思うに年を取ると勝てなくなるのは、向上心が衰えるからだと思います。つまり家族をもったり生活が安定して現状に満足してしまって勝とうという気力が衰えるからであって、茂木さんの言うように加齢とともに記憶力や思考の粘り強さが衰えるわけでは、恐らくはない。引退表明された内藤9段のように、膝が痛いとか腰が痛いとかいう身体的な衰えがない限りは、人間は年を重ねても思考面では若手に勝つことが出来ると思います。

    では何故自分が強くなっていないかというと、自分が分析するにソフトを使ってるせいで、わかってるつもりになってるからだと思うんですよね。つまり最新のトレーニングマシンを手に入れて体が鍛えられたつもりでいるけれども、実際には鍛えられていないと。その結果負荷が足りなくなっている。



    つまりこの羽生さんの言葉を借りるなら、「大量の情報に触れる機会が多いということは、自分の頭で考え、課題を解決していく時間が少なくなっていく」という状態に置かれている。

    だから上達するには情報の奴隷になるのはやめて、自分の力で考える時間を増やさないといけないんですけど、でもうわべだけでも大量の情報に触れておかないと、羽生さんの言うところの「経験知」は得られないのではないかとも思うんですよね。

    自分の将棋を客観的に分析するに、自分は明らかに「直感力」や「基本的な知識」が足りていない。先日リベンジマッチに出場した森下さんの師匠である故花村9段は、森下さんに「指し手の7、8割は、相手に指された瞬間に思いつかないといけないんだ」と言いながら数千局教えたそうですよ。でも自分はプロや普通の人なら一目でわかる[7,8割の手」を、それこそウンウン唸りながら考え指している。

    では果たしてそれで本当に良いのかどうか。「野生の勘」を大事にすることも「羅針盤が効かない状態」に身を置くことも大事だけれども、それでも基本的な航海術や知識がなかったら遭難するだけなんじゃないか。自分はそんなことをある時ふと考えたので、自分は敢えて対局数を増やしソフトに頼るという方式を採用することにしたんですね。具体的には早指しで1日5局~10局ほど指し、対局後にはソフトで検討しながら、使えそうな手筋や受けはチェックしておくと。つまり記憶と場数重視。

    史上初の学生竜王「トップは将棋ソフトに負けない」

    http://dot.asahi.com/wa/2015011500082.html

    でもそれでも強くなっていないというのは、自分のトレーニング方法の弊害が出てるんですかね。つまりソフトに頼りっきりで自分で考える力が失われているし、早指しで指すせいで、手拍子でポカをすることが多くなっている。ちょっとトレーニングを変えないといけないかな。

    だから羽生さんも糸谷さんもそうですけど、きっと強い人はバランスが良いんでしょうね。ソフトやインターネットで大量の情報が得られる中にあってもそれに依存することはないし、糸谷さんのように早指ししながらも、正確な手が指せている。だって「先入観を排除するという意味で哲学に学ぶことは大きい」とか言ってますからね。他人の指し手や思想に傾倒する中で先入観を排除できるというのは、それは凄いことだと思いますね。

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