職場で体験した怖い話---足音
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職場で体験した怖い話---足音

2013-09-03 14:54
  • 70

 今日は職場で体験した怖い話・・・というか、洒落にならない話をしたいと思います。
 体験した時も『怖い』というより、洒落にならない…と思った体験です。

 私がかつて勤めていた病棟でのことです。
 その病棟は内科系の科が3科集まった複合科の病棟でした。
 その病棟はナースステーションとナースステーション前のエレベーターを中心に配置した、横の辺が長い長方形の造りをしていました。
 短い縦の辺部分は片側がスタッフ休憩室とスタッフ用トイレ、反対側が物品庫で横の辺部分は病室という配置です。
 スタッフ休憩室はナースステーションとの間にエレベーターがあり、休憩室とその前の廊下は微妙に隔離されたような状況になっていて殆ど病棟スタッフしか利用しない造りでした。

 今回の話は、その微妙に隔離されたようなスタッフ休憩室で体験し、その後『洒落にならない・・・』と思った話です。
 
 この病棟のナースステーションは前述した通り、病室等にぐるりと周囲を囲まれた配置です。病棟の主な出入り口はナースステーションの前にあるエレベーター。
 エレベーターから降りるとナースステーションの窓口カウンターが目の前にありました。
 この病棟に勤め始めたばかりの頃、カルテ記載などの事務系業務をしていると時折、その窓口カウンター(高さ110cmくらい)の前を楽しげに行ったり来たりする子供(らしき)気配を感じる事がありました。
 こうヒョコヒョコと、頭のてっぺんがカウンターの上に出たり引っ込んだりするような気配です。
 内科系の病棟ですので入院患者さんには老年の方が多く、最初のうちは御両親にでも連れられて小学生のお孫さんがお見舞いに来たのだと思っていました。
 気配を感じ始めた最初の頃は、その子供さんの気配と共に小柄なお婆さん(らしき)気配も感じていたからです。
 けれどその子供さんやお婆さんの姿は見た事がありませんでした。
 気配を感じて顔を上げても姿が見えないのです。
 カウンター側を正面に見ると左右が病室なので病室の方へ行かれたのか、談話室の方へ行かれたのかな?と暫くの内は思っていたのですが、その後気配を感じた時にカウンターの前や廊下、談話室等を確認してもそれらしき見舞客と患者さんの姿は無く…。
 あれ?ひょっとして生きてる人じゃない?と思うようになりました。
 そのうちにお婆さんの気配は無くなり、夜勤をしている真夜中過ぎの時間帯でもカウンター前をヒョコヒョコと楽しげに行ったり来たりする子供(らしき)気配を感じるようになって『ああ、やっぱり生きてる人じゃないんだ』と確信。
 でも特に怖いとは思いませんでした。
 姿の見えない気配だけでしたし、悪寒がするとかの嫌な感じは無かったし、仕事中は幽霊とか霊的なんとかよりも『生きている人』の方がよほど色々やらかしてくれましたから。

 その病棟での夜勤は2交代制で夜勤スタッフは3人。夜勤の間は、深夜帯と呼ばれる消灯後の時間に休憩室で夜10時~朝4時までの間に1人2時間ずつの仮眠休憩を取る事が出来ました。
 とはいえ、私は夜勤の時に仮眠を取る事は殆どありません。というより出来ません。
 脳内から興奮物質でも出まくっているのか、神経が昂っていて眠れないんですよね。
 酷く疲れている時にはグッと寝入ってしまう事もありましたが…良く寝てしまった!と思って飛び起きると10分ぐらいしか経ってないという具合で、仮眠休憩の時はTVや電灯を消して神経を休める為に横になって目を閉じて何となくウトウトするだけでした。
 
 今回の体験をした時、私は夜勤リーダーで3人の中で一番最後、午前2時~4時までの休憩でした。
 眠れないだろうなと思いつつ、電気とTVを消してとりあえず横になって目を閉じウトウト。
 だいたい3時くらいの事です。
 ナースコールも殆どない静かな夜勤の夜でしたで、その足音は良く聞こえたんです。
 
 パタパタパタ…という休憩室前の廊下に走りこんでくる軽い足音。
 
 何か子供が走っているみたいな足音だな、とは思ったのですが夜中の3時に子供の足音はあり得ませんし(その時病棟に子供の入院患者さんは居なかった)元々休憩室前は殆どスタッフしか通らないような廊下です。足音が聞こえた時は一緒に夜勤をしているスタッフが、休憩室に隣接するトイレに来たのだろうと思ったのです。
 が、休憩室の扉前辺りでパタッ!と足音は途切れ、スタッフがトイレに入ったなら聞こえるトイレの扉の開閉音や水の流れる音も全く聞こえません。
 『?』とは思ったものの、緊急時であれば休憩室の内線かスタッフピッチが鳴る筈なので、その時はあまり気にしませんでした。休憩室の並びにはリネン庫もあったので、スタッフがシーツか何かを取りに来たのかな?とも思いましたし。(夜中でもいろんな理由でシーツが汚れ、シーツ交換をすることは結構普通にあったんです)

 洒落にならない事態が発生したのは休憩開け後、でした。
 その病棟の夜勤帯では、消灯以降の偶数時間は巡視の時間です。私が休憩開けでナースステーションに戻った時も、他のスタッフは4時の巡視に出発していました。
 おむつ交換とか手伝う事があるかなぁ?なんて暢気に思いつつ、ナースステーションに置いてある心電図モニターをチェックしていた私は、心電図モニターの一つがフラットな状態…つまり横線一本の『---』という状態になっているのに気が付きました。
 横線一本だと『心停止!?』と思うかもしれませんが、意外に多いのがモニター電極の外れです。同じように横線一本になることがあるんですよね(心停止の場合は心拍数値表示が0で横線一本、モニター外れの時は確かエラーメッセージに横線一本の表示かノイズ。但し心拍数0表示の横線一本でもモニター外れの事もある…簡易心電図モニターって以外にチートなんですよ…orz)。
 ですので然程緊迫感も無く、モニター電極を持ってその患者さんの所へ行こうとナースステーションを出たんです。巡視の手伝いも兼ねて。
 途端、勢いよく走り寄って来たスタッフに私は声を掛けられました。

「●●さんが止まってます!!」

 …と。
 省略されまくってますが、勢いよく走り寄って来たスタッフが顔を引き攣らせて告げる『止まってます』は『心拍・呼吸』が『止まってます』です。

「!!!」
 告げられた名前は先ほどのモニターフラットの患者さん。
 しかもよくよく思い起こせば、元々その方に心電図モニターはついていなかったのです。
 心電図モニターは状態の悪い患者さんか心疾患のある患者さんにつけます。けれどその患者さんは90歳を超える高齢の方でしたが、病状は回復し食事も普通に摂取され数日後の退院も決まっていた方なので心電図モニターはついていなかったんです。
 つまり急変に気付いた患者担当のスタッフがモニターを装着し、休憩明けの私を発見してヘルプ要請をしたのが先の科白。

 そこからは怒涛です。
 年齢も年齢でしたので、入院の時点で家族とは『もしもの時のコース確認』はされており、急変時には心臓マッサージや挿管・人工呼吸器の装着などの延命処置は『しない』ことに決まっていました。
 それでも退院直前の急変ですので、全く何もしないわけにはいきません。
 救急カートを運び入れ、吸引(窒息の可能性もあるので窒息解除の為。この時は結局気管吸引までしても何も引けて来ず)と一応心臓マッサージ、直ぐに当直医師を呼び出し点滴確保。更に家族と主治医に連絡し…最終的に主治医&家族到着を待って死亡確認となりました。

 実際の所、この手の原因らしい原因の無い急変は、老年の患者さんではものすごく珍しいという事でもありません。 
 ですのでこの怒涛になってしまった夜勤が終わった時も『驚いたね、大変だったね』という感じで、件の患者さんを担当していたスタッフを労う形での夜勤終わりでした。

 私がふと、休憩中に聞いた足音の件を訪ねるまでは。

私:「そーいえば、私が休憩中に誰かトイレに来た?パタパタ走ってくる足音がしたんだけど」
スタッフA:「…?誰も行ってませんよ」
私:「…シーツを取りに来たとかもない?」
スタッフA:「行ってませんよ、ねぇ?」
スタッフB:「ずっと二人でカルテ整理してましたよ。ナースコールも無かったですし」
私:「・・・。」

 夜勤帯の病院というのは最低限のスタッフしかいません。病棟にいるのは夜勤の看護職員のみで当直医はよほどの用事がない限り病棟には来ません。
 夜警の警備員の巡回もありますが、聞こえた足音のようなパタパタパタという軽い足音で走るような事はありません。(警備員さんは全員男性、夜警の巡視は歩いて行っている)
 入院している患者層を考えると、あんなに軽快に走る患者さんも居ません。
 子供が走るような足音を立てる事が出来るとすれば、一緒に夜勤をしていたスタッフぐらいしかいない筈なんです。
 が、私の休憩中誰も休憩室の方へは行っていない(ずっとナースステーションに居た)というスタッフの言葉を聞いてよくよく思い返して見れば、20代の看護スタッフの走る足音がそんな軽い音なわけがないんですよね。
 何せ、小学校低学年前後の子供が立てる足音にそっくりな音だったんですから。
 大人と子供では歩幅が違うし、音の強さ・・・というか軽さだって異なります。

 私が聞いた足音は、本当に子供の立てるような足音だったんです。
 しかも休憩室前辺りで突然、消失。
 休憩中は特に変だと思わなかったんですが、子供の走る足音というだけでも異常なのに、休憩室前で足音が消えるっていうのも変…というか異常なんですよね。
 トイレ-休憩室-リネン庫・車椅子等を入れて置く物品庫の並びになっているので、休憩室前で立ち止まるか意図して足音を消さない限り、休憩室前の廊下を通る足音が消える筈がないんです。
 しかも更に思い返してみれば、ナースステーションの方から聞こえ始め、休憩室前の廊下に曲がりこんで休憩室前で唐突に消えたあの足音、音が消えずにそのまま進むと亡くなった患者さんの部屋に行きあたるんです。

 で、思い出したのがカウンター前を行ったり来たりする子供の気配。
 楽しそうにカウンター前をヒョコヒョコ行ったり来たりするその子くらいの子供が廊下を走ったとしたら、丁度聞いた足音になる…。
 しかもよくよく記憶を辿ってみれば、あの子供らしき気配がする時は、状態の危ない患者さんが居る時が殆ど。翌日または次の出勤日には状態の危ない患者さんが亡くなられている…。

『…つまりお迎え…?』

 多分、なんですが。
 あの子供(らしい)気配、どうも死神---というか、あの世のお迎えのようなんです。

 病院勤務をしていると、実際あの世ってあるな…と思える事があります。
 彼岸・盆は突然状態が悪化する患者さんが増えます。しかも特にその傾向が強く出るのが彼岸・盆以上に年末だったり。退院が決まっていた患者さんでも状態が突然悪くなりそのまま…という事が頻発するんですよね。他の時期と比べて彼岸・盆・年末って。
 そして彼岸・盆、正月が明けるとそんな事はなくなる。
 季節柄なのかもしれまんせんが、毎年同じような傾向があると絶対あの世は存在して、あの世の役所もあってその閻魔帳には今生きてる人の名前があって、一人一人寿命がくるとあの世の担当役人が名前を消してるに違いないと思ってしまいます。
 彼岸・盆はあの世の入り口が開くので迎えられてしまう人が多くて、年末は、絶対あの世のお役所仕事の年末進行だろ!ちゃんと年間計画通りの仕事しろよ!とか思ってしまうくらいには彼岸・盆・年末の状態悪化&そのまま・・・という事は多いんです。

 で、どうやらあの途中で消えた足音の主らしいカウンター前の子供。
 楽しそうにヒョコヒョコ行ったり来たりしているだけの(多分)霊と思っていたのですが、そうやって色々思い返してみると・・・多分あの世のお役人の一人。
 死神---お迎え当番のようです。。。
 気配を感じ始めた時はお婆さんの気配もあったんですが…途中からしなくなったので、前任者(お婆さん)から役目を引き継いだんでしょうか。
 というかあの世のお役人なら、楽しげな気配でカウンター前をヒョコヒョコしないで欲しい…orz。

 今は病棟も変わってしまったので、その子供の気配がするかは分かりませんが。
 この一件の後も少なくとも私が病棟を変わるまで、その気配はカウンター前をヒョコヒョコと楽しげに行ったり来たりしていました。
 死神なのか、単なる子供の幽霊なのか、見えない私には本当の所は分かりませんが。
 あの足音が聞こえた一件以来、あの子供の気配は『死神さん』なんだと私は思っています。


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他60件のコメントを表示
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よく夢を勘違いしてる奴ってこういう事言っちゃうよね~。
63ヶ月前
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看護もそうだけど介護でも霊的なことが起こるみたいなんですよね。使ってないはずの電話が鳴ったりとか。
63ヶ月前
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おもろいおもろくない以前に長い
63ヶ月前
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面白いといっては不謹慎かもしれませんが、面白いお話でした。
こういう怪談チックなものは現象そのものの面白さ以上に
語り手の話のうまさ、文章力に左右されますので。

ただ、盆暮れに亡くなる方が多いのは、夏は暑いから、冬は寒いからで片付く話かと思います。
知り合いに火葬場で働く人がいますが、真夏と真冬は火葬の予約が引きも切らないようです。
また、酷暑厳冬の年はいっそう増えるようで、やはり暑い寒いはご老体や病気の人には堪えるのでしょう。
63ヶ月前
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外が真っ暗な夜の時間帯(20時前)に自室で読んでて思わず背筋が凍りました、こんな感じの顔で→((((;゚Д゚))))!!!???

なんか改めて病棟の階段とか実体験系の話はやっぱ恐怖だな・・・と思いました。

あくまでこれは自分の勘ぐりなんですけど、多分その子供の幽霊さんというかあの世のお役人さんは今でも居て寿命や状態悪化の患者さんをお迎えに来てるっていう思考が頭ん中でグルグル回ってます(´・ω・`)

psマイリストに登録させていただきました!
63ヶ月前
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暑い夏(お盆)に亡くなる事多い。暑いからだと思う。
63ヶ月前
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「気候の変動」は意外に体力を使う。が、しかし、説明仕切れない事が起こることも確か。…かくいう私にも経験が…
63ヶ月前
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病院とかだと霊的な存在って割と受け入れられてるみたいですよね しかし文が長いw
63ヶ月前
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夏にはあっちとこっちの境界線が曖昧になる。
だからお盆に増えるのは必然的なのだろう。

鬼灯様、子供は閻魔庁ではやといませんよね?
63ヶ月前
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こういう手の話は長くてもいいんじゃないでしょうか?私が読むのが好き、ということもあるかと思いますが。
病院系は怖いにもいくつか種類があってほんと身の危険を感じるようなものよりも、こういった『信じてみたい』話は読んでいて罪悪感はあるけど同感したくなります。
63ヶ月前
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