【闘会議レポ】ただのゲーオタが、スマブラプロにブチのめされて泣いたお話
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【闘会議レポ】ただのゲーオタが、スマブラプロにブチのめされて泣いたお話

2019-01-29 21:37
  • 6


▲プロゲーマーと対面する私。なお30秒後に心を折られます。

「これ、出なよ。」
ディスコードの友人から誘われた
闘会議2019 スマブラSPniconicoチャンピオンシップ


「当たったらいくかー」くらいでお知らせをぼーっと待っていたら
当選のお知らせが届いたのはなんと開催三日前!

当然ホテルも新幹線も予約なんてしていない。開催日の朝イチに会場に新幹線で眠たい目えこすって、わざわざ負けにいくのかよー……とニコ生でボヤいていると、

「ウチに泊まっていいっすよ。」
嘘みたいなコメントが書き込まれた。
書いてくれたのは、同じ出場選手の”さくままゆP”さん。
普段なら「アヤシイ」とスルーするはずの言葉。だけど、当時の私には、何か、天の声が聞こえた気がした。「行ってらっしゃい」と。「行かないと後悔するよ」と。
そんなこんなで、もうすぐ30歳になろうというゲーオタのおじさんは、初めてのオフライン大会に参加するべく、「ネットで知り合って3日と経たない相手の家に泊まる」という、家族が聞いたら卒倒しそうな決断を下し、大会参加の意思を固めたのだった。


大会当日。会場に案内され試合開始を待っていると、何やら明らかに纏っているオーラが異なる面々が集まりだしている。
海外から招待された、Ally選手ESAM選手。その周りに集まる日本の有名人。プロゲーマーと呼ばれる人たちだ。
そう、「誰でも参加OK」だからこそ、ゲーム内ランク上位をキープするベテランや、オフラインの大会でシノギを削ってきた強豪、猛者、修羅達が集まってきているのである。
対人戦を意識したのは前作から。それも「できれば強くなってみたいなあ」くらいの筆者は、場違いも良い所。オタクの得意技「空気になる」を発揮して、試合開始までおとなしくしておこう…と思っていると
「サインもらってきたら?」とあっけらかんと話すまゆPさん。
あんたほんとどういう肝っ玉してんだ!
「こんな時だからこそ、今じゃないとお話しする機会なんか無いよ。」
…確かに!もうどうせ記念参加なんだったら、せめてプロのサインでもお土産にもっていくか。声をかけたのは、日本のトッププレイヤー「あばだんご」氏。
「さ、サインもらえますか?」「ああ、いいですよ。」サラサラ。

ーⒶⒷⒶー
あば、と書かれた団子。であばだんご。

さすが、プロはサインひとつとっても、オリジナリティにあふれている。そうしてふと、あばだんご氏のネームプレートを見ると、とんでもないことに気付く。
「…同じブロックだ…」



一応言っておくが、彼のことを知らなかったわけではない。
てっきりひらがな表記だと思っていた彼の登録名がローマ字表記だったため、事前の確認中には気が付けなかったのだ。
「ああ、もうムリだな。」あわよくば選手層によっては勝てちゃうかも?なんて妄想が、煙のように掻き消えた。
別ブロックに参加している、実況者仲間やまゆPさんと、負けたらどこ見て回ろうかなーと、もう闘争の士気はガックリと落ちていた。
「まあどこまで行ってもトップは無理だなーワンチャン一回戦くらい勝ちて―」くらい。

「それでは試合を開始します。」
「え~…C45番の…んーーーーーと…」
ああ、そっか。俺の名前、読めないんだ。なにしろスマブラ大会なんてこれが初めて。出場選手の知り合いなど1%もいない。完全なアウェイであることを思い知らされた。
あ!「すいーつあまぞう」って言います!
読者の皆は読めるようになっていってね!


「不戦勝です。」
…勝っちゃった。不戦勝だけど。
当落発表が三日前。受付が早朝なので前日入り必須。しかも連絡手段がわかりにくい。と三拍子そろった大会形式であったため、当選しても参加できないプレイヤーも多いらしかった。
(440人参加の大会だが、どう考えても300人もいなかった。)
待ってよ、不戦勝で二回戦あがりってことは、強い人と、まったくコントローラー触ってない状態で当たるの?なんてこった。
一回戦でどんどん倒されていく友人たち。ネットで戦闘力を争うよりもさらに上の、真のガチ勢の巣窟にいることを、嫌でも実感させられた。

よくわからないままに座らされた2回戦。
勝てた…勝てちゃった。

もちろん、相手のミスもあったけれど、運と偶然だけの勝利じゃない。
ちゃんと切り札を当てられれば、もしかしたら、次も勝てるのかも!
初陣で「ちゃんと勝てた」と思えたのは、とっても大きかったと思う。

アイテムにも助けられ、明らかに格上の動きをする相手にストックをもぎ取っていく自分のリンク。
「GAME SET」の表示とともに掲げる握りこぶし。
奇跡のような勝利を繰り返して、ついに予選決勝。相手は当然…
プロゲーマー「あばだんご」氏だった。
脚が震える。心臓がありえないほど跳ねる。息苦しい。意味不明だ。場違いだ。なんで?なんで俺なの?放送に載るだって?ボコされるところだけ映るのかよ。
わけわかんなくなって、気を紛らわせにディスコードを見ると。自分を大会にけしかけた張本人が書き込んでいた。
「勝て」
…信じてくれてるのかよ。無名の自分が、プロに勝てるって。奇跡起こせるって。
もう、ハラをくくるしかない。気を紛らわせるために、あばだんご氏にインタビューしながら、スマホにまとめたアイテムの知識を確認しながら、控え席で自分の番を待った。
プレイヤースキルでかなうはずない。アイテムで1ストック、切り札で1ストック、もしかしたらを、当てていくしかない。

あばだんごさん、胸をお借りします。
カメラの外で一礼して、キャラクターを選択。
3…2…1…GO!!

言葉通り、勝負にならなかった。
1ストック目、こちらがステージ「戦艦ハルバード」の変化する足場に戸惑っていると、容赦なくガケ際で復帰阻止を決めてくるメタナイト。25秒で1機撃墜。しかも相手は0ダメージ。
もう完全に心を折られてしまった。
相手にビビりまくって冷静さのカケラもない切り札ボタン連打。当然当たらない。
対してあばだんご氏はしっかりと確定コンボで切り札を繋げてくる。
今までの対戦相手だって、切り札コンボを入れてくる相手は居なかった。これまでの誰と比べても、格が違う。赤ん坊と五輪選手の競争を見ているようで、追い上げなど許されない。ガンガンダメージ差が開いていく。
せめて、せめてアイテムだ。あ、モンスターボール!お願い起死回生のポケモン!
足場に向けてボールを投げた瞬間、真下から切りつけてくるメタナイト。ほとばしるイナヅマ。こだまするリンクの悲鳴。
アイテム投げのスキを狙われたのだ。
アイテムに頼っても勝てないの!?
強気な表情をつくることもできず、カメラの前で「ダメだこりゃ」と首を振ってしまう自分。

苦し紛れの切り札で1ストック奪ったものの、完敗。いや惨敗だった。
最後は焦った緊急回避を完全に読まれて、綺麗に撃墜。いつまでも、どこまでも掌の上だった。見せ場なんてカケラもない。せっかく皆見てくれてるのに。みじめすぎる。
せめて、せめて負け犬として忘れられる以外の、何か。
精一杯の意地を張って、両手でピースサインを作って、笑ってみせた。
大声で、相手を「強い!」と称賛し叫んだ。ゲームが終わった今、負けた自分にはもう、それしかできないから。

対戦が終わって、翌日の決勝トーナメント表に名前を書くあばだんご氏に、対戦の反省を聞きに行き、再び大きく礼をする。
LINEやディスコードの通知が溜まっている。
「強すぎる」「一矢報いたのすごいよ」「お疲れさま」
「やばいねーアレがプロだよ。とんでもないね。」そんな返事を書いて、会場を見る。明日の椅子を賭けて、せわしなく指を動かすプレイヤーの、真剣なまなざし。嘘みたいだな。ほんの数分前まで、俺も、あそこにいたんだ。勝てたら、もっともっと、長い時間、あそこにいれたんだな。
でも、もう…居ることはできないんだな。
負けちゃったんだから…
たまらなくなって、トイレの個室に逃げた。
急いでカギをかけて、うずくまって、声を殺して、泣いた。ボロボロ泣いた。泣きじゃくった。社会人になって以来忘れていた、数年ぶりの悔し涙だった。
悔しい。くやしいくやしいくやしい。負けた。手も足も出なかった。冷静さも失って、心をずたずたにされて。完膚なきまでに叩きのめされて。あんな姿しか、皆に見せられない。そんな自分が悔しかった。
でも、泣きながら、泣ける自分がちょっぴり嬉しくなった。
負けて当たり前のはずのプロとの戦いに、悔し涙を流せる。そこまで真剣に、必死になっていたことを実感して、まだ自分の中にこんな熱さがあったんだと。誇らしかった。

10分くらいそうしていたんだろうか。泣きはらした真っ赤な目を洗って戻ると、もう予選決勝は全て終わっていた。
機材撤収をしているスタッフに挨拶をして、荷物をまとめ、まゆPさんと合流する。
明日はバトルの予定はない。なんの憂えもなく、お酒を飲んだ。飲み屋を出るころには、全身を疲れと緊張のせいだろう痛みが襲い、崩れ落ちるように布団に入った。

翌日、決勝トーナメントを観戦しにいった。特別ステージに立ち、スチームに包まれながらポーズを決めて登場する選ばれし8人。対戦開始の合図を会場の皆で叫び、撃墜のたびに歓声が巻き起こり、万雷の拍手に包まれる。彼らはまさに、ゲーマーにとってのヒーローだった。
ゲームのコントローラーを握っているその姿が、すごく、ものすごく、カッコよかった。

▲決勝トーナメントの一幕。勝利の後に相手の健闘を称えるあばだんご氏。

いいな、カッコいいな。ちくしょう。強いって、カッコいいんだな。また目が潤んできた。
やっぱり負け犬のままで終わりたくねえ。来年、帰ってきてやる。今度は、あのステージに立ちたい。あんな風に、カッコよくなりたい。
だから、強くなりたい。



リスナーの皆さんへ。
もう少しだけ、この夢見がちなオジサンのワガママに付き合ってください。
もうちょっと、もうちょっとだけ、夢を追いかけてみたいです。
もっと強くなりたい。もう30歳、体力、反応速度、身体的に未来が無いのはわかっている。
これから世界へ。なんて言わない。一度でいい。あんなステージに立ってみたい。
だから、スマブラは続けていきます。まあスマブラ以外のへんてこなイベントに出ることもあるかもしれません。
ああこいつ、またバカなことやってるなあと、観察してやってください。
そして、僕が夢をかなえた時には、「やるやんけ!」と言ってください。
ふてくされるときもあると思いますが、頑張ります。応援してください。
きっと、損はさせません。まずはネットの大会に参加してみます!

この記事を見た若者たちへ
夢はあきらめないでください。でも夢をただ見るだけでもいけません。
あばだんごさんは言っていました。「働きたくなかったんですよ。

「そしたら、楽しそうで、未来がある方に進みたいじゃないですか。だからゲームのプロになろうと思ったときに、大学院に進学し、学生期間を延長しました。そして海外チームに連絡し、勝負しに行ったんです。で、勝ちました。」と。
プロになった理由。子供みたいな理由でしょ?動機だけみたら、きっと君たちとほとんど変わりません。では何が違うか。彼は「行動」したんです。
夢をかなえるために必要なのは、彼のように「夢」を「目標」にして、目標に向けた段階を設定して、走り続けること。
夢をかなえるためにはどんな能力が、どんな実績が必要なのか調べて、目標が明らかになったらそこに向かって地道に、地道に行動を重ねること。
ただ「なりたい」ではなく「なりたいなら何をすればいいのか」調べてみてください。
そうしてどんどん、「夢」を具体的にしていってください。
それができたなら、将来、あのステージに立てるプレイヤーになれるのは、キミかもしれませんよ。
あ!もちろん勉強もしろよ!あばだんごさんだって、大学院に行けるくらい勉強してんだからな!?

お父さんへ。
母には放送を見せましたが、あなたはきっと見たくないでしょうね。
正月に帰省した時に、ゲーム機を持ち込んだ私に対して「いい加減に空想の世界から卒業したらどうだ」と、呆れたように言いましたよね。
でも、もう、僕にとってはゲームはただの逃避の道具じゃないんです。あの場にあったのは、バーチャルなんかじゃない、どうしようもないリアルです。ゲームを遊ぶだけで、あそこまで人を熱狂させられる。そんな人もいるんです。僕には、世界中の人間を相手にソレをする器は無いのかも知れないけれど、ほんの数人でも、応援してくれる人がいます。
こんな楽しくて面白いものを、「卒業」なんて、できるはずありません。
もう、逃げてるだけじゃない。戦ってるんです。いつか、あなたにも伝えて見せます。その時までは、呆れた顔で、僕のことを見ていてください。


子どものころの僕へ
ゲームが好き、じゃなく、ゲームしか好きになれない。そんな自分がどんどん孤立していく中で、みじめな気持ちになったこともありましたね。
でも、大人になる日を楽しみにしていてください。あなたは、ただ、ゲームが好きだという気持ちだけで、日本一のゲーム名人と勝負できるような場所に、立てる大人になるんだから。
次はプロを追い詰めたんだぞ。と、いや、プロに勝てたんだぞ。と。もっと誇らしい自己紹介ができるようになります。楽しみにしていてください。

みんな、見ていてくれ!!
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ちなみにそのさくままゆPは1回戦で無事敗退した模様
18ヶ月前
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>>1
コメントありがとうございます。まゆPさんには感謝してもしきれません!
また遊びましょうね!!
18ヶ月前
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>当落発表が三日前。
>受付が早朝なので前日入り必須。
>しかも連絡手段がわかりにくい。
>と三拍子そろった大会形式であったため、
>当選しても参加できないプレイヤーも多いらしかった。
>(440人参加の大会だが、どう考えても300人もいなかった。)

本題である甘造くんの挫折と青春より大会の酷さが気になってしまった
18ヶ月前
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>>3
コメントありがとうございます。
大会のために休みをとって、アシを確保するところから戦いが始まっているということなのでしょう。
本題ちゃんと読み取ってるやんけ!
18ヶ月前
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ものすごい情熱が伝わってくる記事でした。読んでいて熱くなりました。こんなにも熱い人が、キッチン杯に参加してくれたこと、改めて光栄に思います。
応援しています。頑張ってください。
18ヶ月前
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>>5
だーやまんさんコメントありがとうございます!
実際、キッチン杯で敗退したことは、必要な経験だったのだと思います。
あれがあったからこそ、アイテムや切り札でなら、格上にも勝てると希望を持てました。ありがとう。

また何か企画される際には参加させてくださいね。
18ヶ月前
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