X線天文衛星「ひとみ」喪失
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X線天文衛星「ひとみ」喪失

2016-06-21 21:22
  • 6



このブロマガは、私が制作した動画『迷衛星の軌跡Special 天文衛星「ひとみ」の喪失』の補足&コメント返しのためのものです。
質問・議論などはお気軽にどうぞ。ただし質問される方は、一度参考資料をお読みください。自己解決できるかもしれませんからね。

[参考資料]

X線天文衛星ASTRO-H「ひとみ」異常事象調査報告書B改訂

JAXA制作の事故報告書。今回の事故を詳しく知りたい方は絶対に読みましょう。専門用語がポンポン出てくるので読みにくいとは思いますが、プレス用だけあって親切に書かれていると思っています。図表が多いからビジュアルでわかるし、文章もほどほどの長さです。グーグル先生もいるしな!

この動画はこの報告書を基に作りました。

また、Webに掲載されている記事だとこんなものがあります。どれも良い記事なので、関連記事も合わせて読むと勉強になります。

かなり“攻めている”「ひとみ」事故報告書(日経BP,松浦さん)
X線天文衛星「ひとみ」はなぜ失敗したか(1) 「要求以上の要望」の罠(Sorae.jp,大貫さん)
運用断念のX線天文衛星「ひとみ」、事故の背景には何があったのか(MyNavi,大塚さん)

[ありそうな質問とか?]

Q.スタートラッカー(STT)はなんでエラー吐いたの?
A.センサーに写る星の数が少なかったから、らしい。ちなみに地蝕時(つまり地球の夜側のとき)STTのカルマンフィルタをリセットした理由は、地蝕で星が見えずに姿勢を決定できないというトラブルが起きたため。なにもフィルタをリセットしなくてもいいとは思うんだけどね。

Q.あの回転に耐えられずに分解したのはどうなのよ?
A.人工衛星は重量の制約が厳しく、ほとんど有り得ない回転(数秒に1回転)のことまで考えてたらきりがない。ちなみに「ひとみ」は三軸安定ゼロモーメンタム制御=宇宙空間でゆっくりとしか回転しないという前提のもとで設計されている。スピン安定型の人工衛星(GMS時代のひまわりとか)は、もちろん激しい回転のことを考えて設計しています。人工衛星の姿勢制御方法は構造の強度も決めるんですね。

Q.310億円が無駄になったけど、それについてはどうお考えで?
A.科学っていうのは未知の現象を探る冒険なんですよ。だから失敗することもある。リスクを冒さない研究なんてほとんどないわけですから。それがほかの公共事業(社会福祉とか建設とか)と違うところだと思ってます。その失敗をある程度許容するしかないのではないでしょうか。
建前かもしれませんが、日本の国民は総意として科学の発展を望み、研究者に費用を与えて研究してもらっているわけです。そしてその研究は失敗する可能性もある、というのは織り込み済みなはず。まあ今回の事故はあまりにもずさんだったから文句を言いたい気持ちはわかるし、宇宙研を完全擁護はできないけど、「高くついた失敗」くらいで済ませてほしいというのが私の願いです。H-II8号機みたいにね。
それと「X線天文学なんて無意味だ!」って思った人は人類の文化を全否定していることになるので、今日から裸になって狩猟生活送ることをおすすめします。ラッキー、税金払わなくていいしね。


コメントはどうぞご自由に。なるべく返答するつもりではいます。





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今回の事件(事故?)に対してJAXAの方が謝罪したことに大貫さんなどが謝罪すべきではないと語っていたのですが、理由としては科学は失敗がつきものであるから謝罪していたらキリがないからなのでしょうか?
54ヶ月前
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>>1
大貫剛さんがどういうお考えを持っているのかは図りかねますので、僕なりの考えを述べさせてもらいます。

僕としては別に謝罪があってもなくてもよかったと思います。重要なのは謝罪や減給・謹慎といった処分ではなく、JAXAがどう変わっていくかということ。「ひとみ」の事故の教訓を生かしていくことがこれからのJAXAの責務であり課題だと思っています。
僕は大貫さんみたく「謝罪すべきではない」とまで強く否定はしません。が、日本の謝罪文化ってどうせメディアが写真を撮るだけのパフォーマンスですから、ほとんど意味を持たないと思います。それより次のミッションのことを考えて、事故を繰り返さないための対策や体制を構築する方がよっぽど有益で有意義なことだと思います。
謝罪は別にどうでもいい。重要なのは未来を変えていくことだ!
(よっしゃーかっこいいこと言えた)

あと「科学には失敗がつきもの」だろうけど、それじゃあ失敗してもいいのかっていうとそうではありません。失敗から学んだり、失敗から新発見をすることに意味があるのだと思います。
ではでは、長々と失礼いたしました。
53ヶ月前
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メディアにとって都合のいい対応を求められるのはなかなかやるせないですね。私も機械技術を学ぶ学生として動画を見させていただきましたが、機械機能・技術は十分な力を持っているにもかかわらず組織やコミュニケーションなどのソフトウェアに問題があるのは数多くの日本企業に当てはまるように思えます。安全対策に関しても、大学では専門の講義というものがなく関連講義の1~2コマで触れられる程度です(基本的なことはやります。ただフェイルセーフやフォールトトレラントは必須ではないのです)。高度な技術が必要とされる現代産業においては、純粋な技術知識のみならずソフト面での考え方を重視する必要があるように思えます。
53ヶ月前
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私自身も迷列車関連の動画作成をするために、様々な事故関連の調査資料を閲覧する事が多いのですが、その殆どは複数の悪要因が重なって大惨事が発生していることに気がつきます。そして解決方法は複数の悪要因を一つ一つ取り除くことで、正直地味で途方も無いことの繰り返しです。個人的にはその地味で途方も無いことの繰り返しによって、同じような事故を繰り返さないことでその罪を贖うという考えですが、役所関係や報道関係はそうでは無いのが悲しいところです。

くれぐれもコツコツ努力し続ける現業現場に悪影響を及ぼさぬよう、と願うばかりです。
53ヶ月前
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>>4
コメントありがとうございます。ハードウェアの評価はわかりやすい一方、ソフトウェアの評価や人物・組織の(客観的な)評価というものはとかく難しいものです。ハードは日に日に発展していく一方、組織形態は旧態依然としているなんてこともあるのかな……
良い商品だけ作っていればOKという時代ではなくなりましたから、そこでどう変わっていくのかが企業にも政府組織にも求められていることなのでしょうかね?(かくいう私もソフトウェア論とかよくわからないのです)
53ヶ月前
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>>5
コメントありがとうございます。今回の事故、研究者
が10余年かけて積み上げてきたものが一瞬で消えてしまうことを考えると胸が痛くなります。鉄道では指さし確認が確実に行われることで安全が守られれているわけですが、それは宇宙開発にもいえることだと思います。今回もチェックを怠ったことが事故を招いたわけですからね。
現場レベルでは過ちを繰り返さないために、すでに対策や検討を始めています。チェック体制の強化、文書化、責任の明確化など改善に向けた努力がなされていますが、一方で作業量も増してしまい、今まで以上に仕事が増していくことが予想されます。苦労は絶えないですね……
53ヶ月前
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