ドイツの技術力は……フランスに劣る?
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ドイツの技術力は……フランスに劣る?

2017-06-06 23:56
  • 5
カメラを愛する人達の中には、ドイツ製のカメラにひかれる人がいる。ライカ、ツァイス、ローライ……ドイツは民衆受けする実用的なカメラを製作した地であり、現在でもその光学技術は卓越している。そのはず。そう信じたいのだが。

 しかし少なくとも宇宙では「ドイツの技術は世界一ィィィ!!!」ではない。今回は空のカメラ=偵察衛星のお話だ。


 今回の主役はCSO衛星。フランス語でComposante Spatiale Optique、直訳すれば「光学機器コンポーネント」の略だ。フランス語が使われているのでもちろんフランスの衛星である。製造はアストリウム(エアバスの子会社)&タレスアレニア。分解能20cmという非常に高い能力を持つ最新の偵察衛星である。打ち上げは2018年からの予定だ。



フランスの最新式偵察衛星 CSO 
[(c)Airbus Defence and Space, Thales Alenia]

 フランスは長年、光学センサーを搭載したスパイ衛星を保有していた。1995年には、地球観測衛星として知られるSPOTをベースにした偵察衛星Helios-1Aを軌道に投入した。このときすでにベルギー・イタリア・スペインなどと「共同」で利用している。製造・運用・地上設備は全てフランス持ちであるので、要するに金を払えば画像は渡すというスタンスなのだろう。

 さて、話は2015年に遡る。
 このCSOは3機体制を予定しているのだが、フランス政府にはお金がなかった。2機までは予算が組めたので製造に入ったが、あとの1機には手が回らない。そのためフランスは金策に走った。自国ではない、他のヨーロッパの国に目をつけたのである。それがドイツであった。

 一方のドイツ。ドイツにも自前の偵察衛星はあったのだが、こちらはSAR(合成開口レーダー)という別タイプのもの。カメラが得意なイメージの強いドイツだが、宇宙では全く通用しない。光学センサーの偵察画像を得るためには、フランスの言いなりになるしかないのだ。

 結局ドイツが結んだ条件は、
「3機目の衛星の約50%の製造金額を負担する。その代わり、衛星画像全体の20%にアクセスが可能になる」
というものであった。

 これをどう捉えるかだが、フランスは自国の企業のために税金を投じて産業を活性化しているのに対し、ドイツはただ単にフランスに金を払うだけ。その偵察衛星システムも他国に握られているため自由が効かない。ついでに言えば、ドイツの見ている画像はフランスに筒抜けだ。即応性もなく、外交的にも弱みを握られた形である。

 それでもドイツは、この条件を飲むしかなかった。フランスの、というかエアバスの強大な権力と実力には逆らうことなどできないのである。哀れ。


<おしらせ>
 最近動画作る意欲がだだ下がりなので、思い切って充電期間ということにします。
「モチベのないときに書いた原稿が面白いわけない」というニュアンスのことを某ラノベ作家の山田先生からお伺いしたので……KSPをひそひそやりつつ、気合溜めていきます。
 今回の話も面白いのかな……? てか面白いってなんだ……? なんかもうよくわかんないや。
 ではでは。


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楽しい話でしたよ。
これからも、楽しみに待っています。
28ヶ月前
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政治経済的にヨーロッパを牛耳ってるドイツの意外な一面を知れて面白かったです
28ヶ月前
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お二方ともありがとございます。ブロマガの方が更新が楽なので、とりあえずこちらだけでもコツコツ活動していきます。
28ヶ月前
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宇宙産業と関連があるかどうか不明ですが、航空産業については第二次世界大戦における敗戦国は、暫く航空産業そのものの禁止を命じられました。我が国・ドイツ・イタリア、がその対象で、これは現在も航空・宇宙産業で後れを取る結果となっています。私は良い悪い抜きで「そういった歴史もある」と言う程度ですが。
28ヶ月前
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>>4
しかし戦勝国であるイギリスはロケットの開発から手を引いてますから、あまり単純には語れないだろうなと思います。
それにドイツもESA(欧州宇宙機関)の中ではかなり重要なポジションを占めていますから、決してドイツの宇宙開発に陰りがあるといいたかったわけではありません。独仏の争いというよりは、こういう政治的な取引があるんだね、と軽く読んでいただければと思っております。
28ヶ月前
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