気象衛星「ひまわり」シンポジウム 備忘録的報告書
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気象衛星「ひまわり」シンポジウム 備忘録的報告書

2017-07-22 21:34
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気象衛星ひまわり~宇宙からの最先端データが切り拓く未来~
主催:気象庁、気象ビジネス推進コンソーシアム、地球ウォッチャーズ-気象友の会-

1977年7月14日。この日、日本初の気象衛星「ひまわり1号」が打ち上げられました。それから40年を記念して、7月22日に東京の一橋講堂にてシンポジウムが催されました。



このブログでは半ば備忘録的ではありますが、私が参加してきたシンポジウムの内容を記録を残しておきます。見づらいとは思いますが箇条書きです。
メモを参考にして書いており、発話者の発言の趣旨から外れている可能性もあるのでご了承ください。また丸括弧()は筆者のコメントです。
あとこの記事ではひまわりの基本的な事項には触れませんので、JAXAでもWikiでも萌衛星でもいいので、参考にしつつ見ると良いかも。

1.堀川康(元JAXA理事)

・NASDA入社後直後からGMS担当に。
・1970年代はじめ、当時はロケットの開発とETS(技術衛星きく)の開発が進められており、GMS(気象衛星ひまわり)、BS(放送衛星ゆり)、CS(通信衛星さくら)の"GCB"が実利用の3本柱。
・GMSの主製造としてはフィルコ・フォード社(のちのロラール社?)とヒューズ社の2つが候補に挙がっていた。甲乙つけがたいものの、製造はヒューズに決定。メディアなどの予想はフィルコ・フォードであり論争にもなったが、この決断は正しかったと思っている。
・1975年、入社3年目なのにヒューズ駐在員に選ばれる。(課長クラスが行くと思っていた)
・ヒューズの工場には7-8機の衛星が同時並行で組み立てられており、「日本もいつかはこうならなくては」と思った
・ヒューズ社は技術流出を恐れ行動を制限された。「そちらに技術力はないのだから、黙って見ていろ」この制限は親睦を深めることで解けていった。
・最後まで図面の開示はなかったが、現地の技術者からは手書きでいろいろ教えてもらえた。日本への報告も手書き図面。2年強の滞在で日本と200通以上もやりとりした。
・報告書は「駐在員報告書」として冊子にまとめられ、NASDA内部で大いに参考にされた。「バイブルだった」
・ヒューズで記憶に残った言葉「地上で起きた問題は、必ず軌道上でも起きる」

・GMSの運用にはヒヤヒヤした。GMS-1ではスピン軸にズレがあり、画像に歪みが生じた。GMS-5では機械のトラブルで南北が切り欠いた画像に。GMS-5は寿命をはるかに超えて運用され、まさしく薄氷を踏む思い。

・ひまわり8号にはNASAの気象衛星に搭載される次世代のセンサー「ABI」とほぼ同レベルのセンサー「AHI」が搭載された。しかしNASAの打ち上げが遅れ、ひまわり8号が先にお目見えすることに。堀川氏は「本当は先行してほしくなかった」と語る(なぜだろう?)。しかし海外からは祝福のメッセージが送られてきた。
・システム工学・品質管理などは、いつの時代も同じ。疎かにしてはいけない。
・ひまわりがあったからこそ気象予報の市場が拡大した。まだまだ開拓の余地はある。

2.宮本仁美(気象庁)

・データ量の比較。初代を1とすると、GMS-3~5は2倍、MTSATは8、ひまわり8号は400倍。
・潮位データ、火山灰、エアロゾル、風、海面温度、雷予報など、幅広く気象・環境に関わるプロダクトを生み出している。

3.パネルディスカッション

・ひまわりは台風に強い。10分ごとの観測になったことで、予報は格段に改善する。
・ひまわりの観測から降水量を割り出し、そこから河川流出量を計算。(河川の水面高さも予測できる?)
・ひまわりのデータから日射量や消雪日を予測する。日射は作物の収穫量に比例し、消雪日は種まき時期や生育に影響する。
・ひまわりは保険にも影響を与えている。農業保険のひとつに天候インデックス保険というものがあり、降水量などから機械的に干ばつ度合いを計算し、農家に保険料を支払う。従来は個別に損害調査を行っていたが、これには手間がかかる。
・東南アジアではアメダスなど地上で降水量を測定する手段すら乏しい地域がある。そこではひまわりの衛星画像から降水量を割り出すことで、保険を適用できるようになった。

4.ひまわりの今後
・現在の台風予報は進路の予測が多い。将来的に進路予測が的確になり、現在の数百kmの予報円から数十kmまで小さくできれば、「台風の東側で猛烈な風が吹くので、この地域のいつ頃は特に警戒」などといったピンポイントな予報に変わる。予報の進化は予報の種類自体を変える(すでに雷予報や記録的短時間大雨情報、竜巻警戒情報、異常天候早期警戒情報など、新しく始められたサービスは多く存在する。社会のニーズという側面もあるが、気象予報の精度向上があってこその産物ではないだろうか)
・ひまわりは日本生まれなので、気象条件も日本を参考にしている。海外での利用を考えると、海外特有の気象(スコール)を考慮したモデルを構築しなくてはならない
・ひまわり8号は可視光~赤外線を見る光学カメラを搭載しているが、将来はマイクロ波などの観測も行いたい(現在の技術では分解能が悪く、静止衛星には搭載できない)(むしろ小型の極軌道衛星から頻繁に観測する方が、実現可能性としては高そうだ)

以上です。短い時間であり、本当ならもっとお話が聞けるとよかったのですが・・・とにかく有意義なシンポジウムでした。気象庁さん始め多くのスタッフと出演者の方々、ありがとうございます。機会があればまたしてほしいな。

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うほ、これは行ってみたかった。
44ヶ月前
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