【小説第二回】meeting and parting
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【小説第二回】meeting and parting

2013-04-26 21:53

    ということで続きをアップ。
    そのうち小説はまとめでリンクブロマガ作ります。


    before


    【一章 私と私生活とバーチャルと】

    ゲームにもようやく慣れて楽しく世界を駆け巡ってます。でも現実世界はそうもいかず。

    いらっしゃいませ。ここはアジアンレストラン、アクセルでございます。
    当店ではイタリアンからフレンチ、簡単に言ってしまえば和洋中なんでも揃っております。
    朝食、昼食、夕食、はたまた夜食時まで、あなたのお腹を満たします。

    私のバイト先は実に突っ込みどころ満載なファミレスである。名前のアクセルとかどこに
    加速するの?って名前だし、アジアンレストランと言いつつもメニューは和洋中と全然
    アジアンしてないし。ちなみに一番の人気メニューは目玉焼き付きアメリカンハンバーグ。
    価格は控えめ、ボリューム満点!時代のニーズに合わせたらこうなっちゃいました☆

    真面目に考えるとそんなお店なのかもしれない。

    「これ三番テーブル持ってくね。新規オーダー待ち三枚。カウンター待ち二枚!」

    私がバイトをする時間帯というのが夕食時で、もの凄く忙しいのだ。同じバイトをしている
    人から聞く話によると、深夜帯の客層と比べると夕食時の客層はすこぶる良いそうな。
    客層が違うと何が違うっていうと、肉体的疲労感だけでなく精神的な疲労感も半端じゃない
    ってことみたい。でも深夜手当でバイト代がいいこともあって、進んでシフトを入れる人も
    多い。もちろん万が一なにかあったらいけないってことで、女の子は入っちゃいけないって
    ことになってるみたいだけど。鳴り響く呼び鈴、厨房から出てくる山のような料理。
    店内で走り回る子供。時々思う。バイト先変えた方がいいかもって。


    ディナーのラッシュも終わり、同じ時間帯にバイトしてた面子と事務所で休憩して帰る。

    「お疲れさまー。まさか店内で走ってたガキンチョ殿がお一人様でのご来店だったとはね。」

    「走り回るだけ走り回って帰ってったもん。最近のガキンチョ殿はあんな子ばっかなの?」

    こんな感じで本日のイベントのおさらい。みんなでゆっくりお茶して過ごすこの時間帯は
    わりと好き。困難を乗り越えた後の一体感というのだろうか。なんか不思議な感覚。
    バイトも終わり家に帰るとカバンをベッドに投げて、着替えつつパソコンの電源を入れる。
    でもパソコンに触るのはお風呂に入ってご飯を食べてから。
    なんでパソコンをすぐに触らないのかって言われたら、それは実際にパソコンを動かしたい
    時にいつでもすぐに操作出来るから。優がそうしてるからちょっと真似してみたら癖に
    なってた。パソコンが近くにあるとちょっと調べたいことがあるとすぐに検索で分かるし、
    なにより勉強しながら息抜きでみんなの日記を見たり出来るのって私的にはかなりの高
    ポイント。で、決まった時間にメールが来て。

    「おつかれちゃん☆9時30分にいつもの場所で!」

    あれから優や風子に色々とゲーム内で連れ廻されて、ギルド?とかいうやつに入れられた
    のはいいんだけど。そこはゲームをする人が部活動?みたいにグループで集まっていて、
    分かり易く言えば仲がいい人たちが集まって遊んでるってことみたい。で、ゲームだから
    みんな相手のことをキャラ名で呼ぶわけ。ここらへんはEVEと同じなんだけど。
    動いてるキャラそれぞれパソコンの向こう側で人が操作してるってことは、自分と同じ
    時間にこれだけ沢山の人が遊んでるってことだよね。なんか学校みたい。
    そしてある程度の時間になったら外に出てるわけじゃないから、そのまま歯を磨いてあと
    は寝るだけ。時代はこれだけ変化したよおじいちゃん。


    いつものように遊んでいたある日のこと。優からいつもの如くメールが届く。

    「明日新しいゲーム買いたいから付きあって!」

    なんとなく分かってはいたけれど、この子って気持ちの移り変わり早すぎるんじゃない
    だろうか。やっとこのゲームにも慣れてきてレベル上げやら、装備やら、町の名前も
    分かってきたってところなのに。でもモンスターは多過ぎていちいち名前覚えられてない。
    あの鳥っぽいのとか、犬とか、お猿さんとか。知らない人が聞いたら<もも太郎>の
    ゲームしてるの?って言われそう。そう。なんか列車で各地を周って一番先に目的に辿り
    ついたり、ビリになった人には貧乏そうな神様が付いたりするかもしれないあのゲーム。
    でも残念ながら彼らは味方ではなくて敵。そうすると私は鬼の立場になるのではないか。
    黄色いシマシマパンツに赤い肌。そして角の生えているあれ。昔の人は言いました。
    駄目だこりゃ。

    待ち合わせはいつもの場所アクセル。もちろん私がバイトしている店舗とは別の場所。
    以前までバイト先のアクセルを待ち合わせ場所に使っていたのだけど、急に他の子が
    こられなくなったとかで駆り出されることが何回もあったのだ。ファミレスのバイトって
    見た目以上に重労働だから困る。そんなこともあって別の店舗。なんでアクセルを
    待ち合わせ場所にしているかと言うと、バイト特権で割引きしてもらえるから。
    実に単純な話し。通称25券。(25パーセントoffだから)お店に入ると、顔見知りの
    店員さんが出迎えてくれた。

    「いらっしゃいませ!働いてく?」

    こんな軽口を言ってくれるくらいの仲の人。この店舗にも何度かヘルプ要員で来たり、
    もしくはこの子がこっちの店舗にヘルプとして来たり。お互いに助っ人的な立ち回りを
    しているのだ。さすがに他店で本当に声が掛かることはまずない。労働のお誘いは丁寧
    に断ってテーブル席へ。そこには携帯ゲーム機でゲームをしながらメロンソーダを飲んで
    いる優の姿が。

    「素材足りないからレウさん狩りたいんだけど!今日PSP持ってきてる?」

    持ってきてないことを伝えて私も顔馴染みの店員さんにドリンクバーを頼み、風子を待つ
    ことに。前に一度持ってきたら、買いものに行くはずがそのまま遊んで昼食から夕食まで
    アクセルで食べるなんてことを経験したものだから、二度と持ってこないと決意をしたのだ。
    楽しかったんだけど、一言で言えば恥ずかしかった。具体的に言えば、バイト中に顔馴染み
    の店員さんやら、社員さんの私を見る目が物凄く痛かったから。そういう意味ではアクセル
    以外のお店でならそういうことしてもいいのかな?いやいやいや。そういうことじゃなくて。

    「遅れてごめん。あ、店員さんとりあえずドリンクバーで!」

    少し遅れて風子が到着。いつも一番ルーズそうな性格してる優が時間にはきっちり来て
    いて、見た目からもしっかりしている風子が遅れるというのもなんか納得がいかない
    というか。なんというか。三人集まったところでいざ出発!と、なるわけもなく。
    お昼が近いこともあって昼食はアクセルで取ることに。

    「そう言えば佳織はレベルいくつになったの?ジョブはもう取れた?」

    「レベルは上がったんだけど、ジョブ?なにそれ?優ってどれだけ先進んでるの?」

    フォークでパスタを絡めつつ、そんな他愛無い話をしながら優はPSPでゲームをしている。
    ある意味器用。大人の目で見れば凄く下品。でも携帯をいじりながらご飯食べてる人も、
    ゲームしている人と比べるとそう変わらない?そう思うと現代人って大半の人が下品な人
    になるのだろうか。ゲームは駄目でも携帯は大丈夫って線引きも良く分からないし。
    大人の基準って難しい。昼食を食べ終わってからはドリンクバーで食後のブラックコーヒー。
    中学生まで飲めなかったけど、とある冬に大人になりたい症候群というか。大人とは何かと
    考えた時に、食後はブラックコーヒーを飲むことなんて結論に至った。嫌いだったけども、
    飲んでいれば慣れるものでいつの間にか習慣になってた。そして分かったこと。
    食後にブラックコーヒーなんて飲んでも全然大人になんてなれない。
    そう。食後にブラックコーヒーを飲むのは飽くまで大人のイメージであって、出来たから
    といって大人のわけではないのだ。最近それがわかった。
    こないだその事をお姉ちゃんに伝えたら馬鹿なんじゃないの?って言われた。やかましわ。

    「ところで今日って何のゲーム買うの?」

    そうそう。本題を忘れていたけれど、今日は優がゲームが買いたいからってことで集まった
    んだった。たぶん見るだけ見てやっぱり買わないってパターンが多いんだけれど。

    そしてら優は満面の笑みで

    「あのねあのね!子供を作るゲーム!」

    風子と私の口から同時にコーヒーがミストのように噴き出た。茶色い虹が出来た。

    「うっわ汚!二人とも汚いよ!」

    とりあえずハンカチで口元を拭う。ブラウスにちょっとついちゃったよばか優。

    「それってさ、ほら、成人向けのゲームなんじゃないの?」

    風子が眼鏡に付いたコーヒーを拭きながら苦笑い。

    「違うよー。何想像してるのー。スケベなのはいけないと思います!」

    引っ叩いてやろうと思ったのは私だけじゃないはず。

    「あのね!ロボットと人間の恋愛もので、アンドロイドが出来ちゃうの!」

    恋愛もののゲームなのになんでアンドロイドが出来るのか意味不明だったので、詳しく
    聞いてみると。

    「いや、ただのエロゲーじゃん。ばーかばーか。」

    風子の思っている通りの内容でした。知ってたよ。こうなることは最初にコーヒーを
    噴出した時から知ってたよ。この子は時々ネットで評判の良いゲームを見つけると、
    すぐに欲しがるから困るってのは今日始まったことではなく。

    「えーでも凄く評判いいんだよ?面白いんだよ?」

    「はいダウト!やったことないのに面白いとかダウト!」

    二人の漫才を聞きながら、今日このあとどうするんだろうとか考えちゃうのもいつものこと。
    何も変わらない美しき日々。よきかなよきかな。

    「ちょっと佳織!あんたも素知らぬ顔で見てないで何とか言ってよ!もーなんなの本当!」

    初めて二人に出会った時にこのやり取りを見て喧嘩してるのかとおどおどしていたけど、
    私も慣れたものだなーなんて思ってると怒られちゃった。

    「風子と優って異性だったらお似合いカップルだったのかもね!」

    「「それはない!」」

    そんなやり取りを<EVE>にブログを更新。あの後は結局買いものは中止になりカラオケ
    行って解散。さりげなくこんなやり取りが<EVE>では受けが良かったりするのだ。

    フェウスブックっていう実名を公開しているSNSもあるけれど、ハンドルネームって
    言って、自分で決めた偽名を使ってやり取りをするSNS方が安心出来るし、私にはこっち
    の方が合ってるみたい。ちなみに私のハンドルネームはfragrance(フレグランス)。
    佳織っていう字を英語にしたらどうなるのか調べたらこの単語が出てきたので、
    何も考えないで使って今に至る感じ。そのままだと長いからフレちゃんって呼ばれてたり。
    お互いハンドルネームで呼び合って、分かってるのは学生か社会人かとかそれぐらい。
    貴族で言えば、ネットのやり取りって仮面舞踏会なのかも。豪華なドレスを着て、
    変なマスク付けてワインを飲みながら優雅に社交をするあんな感じ。実際に見たことない
    から飽くまでイメージだけれど。家や学校、ご近所の方々、バイト先と人との繋がりがある
    わけだけど、まったく接点のない人と関われるってネットだけなんだよね。
    日中は友達と、夜は<EVE>でブログのやり取りをネットの知人と。夜もネットゲームで
    友達と遊んだりするけれど、ここ最近は遊び過ぎて学業面に支障が出てしまったので
    控えがち。パソコン触ってると時間の流れなんてあっという間だから怖い。
    そしてテスト期間になってから優の顔色が著しく悪くなったのは言うまでもなく。
    反面教師じゃないけど、優が傍にいるからこそ、ああはなっちゃいけないって強く思える
    のかも。ちなみに優が風子にノートを借りたらほとんど落書きだらけで全然使えなかった
    とか。風子いわく、授業なんて聞いてれば覚えるとかなんとか。色々な人がいるんだな
    って思いつつも、ちょっとだけ悔しかった。

    to be continued

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