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  • 【Minecraft】ゆかりのち を小説化してみた 8日目

    2016-06-16 22:44
    ※※諸注意※※
    これは「【Minecraft】ゆかりのち ~ゆかりさんが助手になって約束の地を目指すお手伝いをするクラフト~」を小説化してみたものです
    基本原作の雰囲気を壊さないようにしてます(たぶん)
    筆者は物書きはど素人です

    第1話へ 「ゆかりさん、働く」
    前へ 「ゆかりさん、走る。」
    次へ 作成中
    マイリスト[小説版ゆかりのち]
    ※※※※※※※


    § § § ゆかりさん、励ます。 § § §

    ----- 1 -----



    「ゆかり君、すまないが無秩序<Perditio>のエッセンシアの保護瓶を持ってきてもらって良いかね?」
    「無秩序<Perdito>ですか?今手元に粘土瓶で少し持ってますが、これで足りますか?」
    「む……。いや、少し足りないな。すまないが粘土瓶の分はこの保護瓶のほうに戻してもらって、満タンのやつを持ってきてもらって良いかね?」
    「わかりました、じゃあちょっと行ってきますね。」

    そう言ってゆかりは隣の部屋へ入っていった。


    祭壇部屋を作り、さらに各種儀式のための施設を整えていたら瞬く間に1週間過ぎていた。
    ゆかりが向かった部屋もそのうちの一つ、儀式に必要なエッセンシアを抽出・保管するための部屋だ。数十種類に及ぶ保護瓶が整然と並べられている。
    今は稼働させていないが、錬金かまどを起動すれば蒸し暑いほどの蒸気とともにエッセンシアが抽出される。しかしすでに儀式に必要なソレは十分集まっているため今は休業中。
    石造り独特のひんやりした空気で満たされていた。


    そんな中を慣れた様子でゆかりは進む。
    (えーっと、無秩序<Perditio>でしたね。確か黒っぽいエッセンシアの瓶だったはず……)
    この部屋を作ったのは教授だが、レイアウトを決めたのはゆかりだ。そのおかげもあって、どこに何のエッセンシアがあるか、そしてそれがどんな色をしているかはほとんど頭に入っていた。魔術を習い始めたころの、ソーモノミコンとにらめっこしていたのはすでに過去の姿となっていた。
    (っと、ありましたありました)
    ゆかりは満タンになってる保護瓶を回収し、代わりに教授から受け取った、まだ十分に余裕のある保護瓶を置く。そして粘土瓶に入ったエッセンシアを次々と注いでいった。
    (これでよしっと)

    足取りに迷いはなく、トントンと教授の下に駆けていった。
    その姿は、どこからどう見ても一人前の助手そのものだった。


    「教授、持ってきましたよ」
    「おぉ、ありがとうゆかり君。それでは早速儀式に取り掛かろうではないか!」
    「そういえば教授、次は何を作るんですか?」
    「おっと、そういえばまだ言ってなかったな。次作るのはーー」

    こうして次々と教授と助手の二人は新たな魔導具を作っていったーー。



    ----- 2 -----



    バンッ!!!

    大きな音ともに台座に乗っていた原木が吹き飛ばされ、毒ガスが発生した。
    「ゆ、ゆ、ゆかり君!は、はやく原木を台座に戻すんだ!」
    「教授、焦りすぎです……。はい、戻しましたよ」
    この手のイレギュラーも、最初は教授と一緒に大慌てしたりもしたが、何度も経験してしまえば焦ることは無くなっていた。もっとも、誰かさんは今だ不意打ちに弱いようだが。
    「それはそうと教授、儀式、完成しましたよ」
    「お、おぅ……」
    すでに教授と助手の立場が入れ替わり始めている気がしなくもなかった。
    「で、これが風の大剣、ゼファーソードですか……」
    ゆかりが台座から取りあげたのは一振りの大剣。
    長さは軽く1メートルを超えそうな剣だった。刀身は青白く、のこぎり状の両刃となっていた。柄には風の意味を表す空気<Aer>のシンボルが輝いている。
    そして何よりも特徴的なのはその重さだった。まるで羽を持っているかのように軽かった。ゆかりは棒切れを持ってるかのように大剣を軽々と振って見せた。

    「これは……すごいですね。ほとんど重さを感じないです」
    「うむ、しかしその剣のすごいところは別にある。ゆかり君、試しにその剣を持ったまま、剣に力を込めてみてくれ」
    「力を込める……ってどうすればいいんでしょうか?」
    「え、あ、あー……お、おそらくそれっぽいことをイメージすればいいんじゃないか……な?」
    「は、はぁ……。じゃあなんか風っぽい何かをイメージしてみますね」
    半信半疑で剣を構え、目を閉じた。そしてイメージする。


    ヒュオオォォォ……


    (……風?)


    ビュオオォォォ……!!


    「って、これは……!う、浮いてる!?」
    ゆかりを中心として竜巻状の風が発生していた。その力はそよ風というのは生ぬるい、暴風そのものを体現しているかのような勢いだった。

    「おぉ!うまく起動できたようだな。それがゼファーソードのもう一つの能力、風を纏い、空を舞う力だ!付け加えるなら弓矢などの簡単な飛び道具なら弾き返せるほどの……って、ゆかり君、聞いてる?」
    「え!?何ですか!風がうるさくて聞こえないですー!」
    ゆかりはゼファーソードの力で徐々にその高度を上げていった。力の制御がうまくいっていないのか、あるいは逆に未知の体験に心躍らせているのかはわからなかったが、すぐに祭壇のてっぺんに届きそうだった。ちょうど教授を見下ろす形で。

    ところで、今日のゆかりの服装はいつも通りのパーカーに白衣、そしてこれまたいつも通りのお気に入りのワンピース上のスカートである。もう一度言おう、スカートである。

    (げっ!?これは、まずい……まずい、まずい!!。ゆかり君に気づかれたら今度こそ命はない……!!!)


    「ゆ、ゆかり君!そろそろ次の儀式に取り掛かりたいので降りてきてもらっていいかね!?」
    「はーい!、わかりましたー!」
    (ってこれ、どうやって力を解除すれば……。うーん、風をイメージしたら能力が解放されたのなら……その逆?)
    そう考えてイメージを切り替えてみた。

    途端、ゆかりの周りを囲んでいた風がぴたりと止んだ。
    そして当然、浮力もなくなり……

    「いたっ」
    「だ、大丈夫かね!?」
    「えぇ、そんなに高くなかったので大丈夫です。ただ、ちょっと制御が難しいので要練習ですね」
    「そ、そうだな……!。さて、それでは次の儀式に取り掛かろうかーー!」
    「……?教授、どうかしました?」
    「ど、どうもしてないぞ!?」
    「???」


    九死に一生を得た教授は、大急ぎで次の儀式の準備へと取り掛かったーー。
    余談ながら、教授が垣間見た奇跡は誰にも語られることなく、永久に封印される運びとなった。




    ----- 3 -----



    「ではゆかり君、このポータブルホールの杖星をつけてみてくれ」
    そう言って教授が渡したのは深緑の杖星。中心は漆黒の闇のように光を吸い込んでいるようにも見えた。

    「分かりました。……教授、なんとなく名前から予想つくのですが、この杖星の効果は?」
    「うむ。一言でいえば通り抜け○ープだ。因みに通り抜けフープというのは昔のマnーー」
    「あぁ、通り抜けフー○ですか。つまり一時的に壁に穴をあけて通り抜けられるようにするんですね?」
    「えっ?」
    「え……?」
    「……ゆかり君、実は歳のサバ、ヨンデタリシナイヨネ……?」
    「なっ!?ち、違います!たまたま、たまたまです!!家でずっと引きこもっていたころ、あまりに暇だったので町の図書館からパク……じゃない、借りてきた漫画で読んだんです!!」
    「そ、そうだったのか。うん、そうだよな。すまん、私の早とちりだったようだ。」
    「まったく……。では、さっそく試してみますね」
    ゆかりは雷撃の杖星を外し、代わりに教授から渡された杖星をカチッと嵌めた。
    心なしか杖から伝わる空気が変わったように思えた。
    それまではピリッとした空気が、今は静かに、そしてすべてを吸い込むかのような引力を感じた。
    (な、なんでもないですよね……?)
    そんな不安が頭を掠めたが、気を取り直して杖を構え、壁に向かう。
    ちょうど壁の向こうは教授が使っているアルス魔術の研究室だ。

    シュヴィンーー。

    杖を振ると低い音とともに壁が一瞬で消え去り、アルスの研究台が姿を現した。
    「やりましたよ教授!成功です!!」
    「うむ、どうやら問題なさそうだな。念のため穴をくぐってこちらに戻ってきてくれ給え。」
    「わかりました、行ってみます。」
    ゆかりは恐る恐る穴に近づく。
    よくよく観察すると、トンネルの淵は青白く輝いており、壁だった部分は宇宙のような暗い深淵が広がっていた。距離感がおかしくなりそうなその遥か彼方には、恒星の瞬きなのか、極小の光が無数に見えた。
    (綺麗……)
    思わずずっと眺めていたくなる衝動に抗いながら、一歩を踏み出す。

    トンッーー。

    見た目に反して足場はしっかりしていた。最も、足元を見るとどこまでも落ちていきそうで、大丈夫だとわかっていても心臓に悪かった。

    一歩ずつ、一歩ずつ。

    わずか数歩程度の距離が異様に長く感じられた。

    タンッーー。

    ゆかりの足が石のタイルを踏みしめると同時に、背後から再びシュヴィンーー、という音がした。
    慌てて振り返って見れば穴は消え去り、見慣れた石造りの壁があった。
    (こ、これ……もう歩くのが少し遅かったらーー)
    冷たい汗が背中を撫でていった。

    「ゆ、ゆかり君大丈夫かね!?」
    教授の慌てた声と壁を叩く音が聞こえる。どうやらギリギリだったため、きちんと通り抜け終えたかどうかがわからなかったようだ。
    「はい、大丈夫です。今そちらに向かいますね。」
    「よ、よかった……。すまない、制限時間があることを伝え忘れていた」
    「……ちなみに、時間切れになったときに壁の中にいたらどうなるのですか?」
    「埋まる」
    「…………」
    この後、ゆかりの機嫌が斜めに転がりかけたが、自分も気づけなかったことと、教授がすぐに助けようとしてくれたことを加味した結果、プラスマイナスでいえば若干のプラスに傾いて終わった。
    なお、そんなことは露とも知らない教授の態度はどこかおびえた様子だったが。




    ----- 4 -----



    あの後、いくつかの杖星や装備品を作り終えた二人は成果を確認するため研究室に集まった。
    「これで一通りの魔導具は作ることが出来たな。
     もうゆかり君に敵無しなんじゃないかな?これで安心して冒険へ行けるね!」
    確かにそれらを使えば大抵の敵は近づかれることなく倒すことが出来るだろう。ただ、すべてを十全に使いこなせるかどうかと言われれば不安が残る。そんなことを考えたらふと、

    「せっかく強力な魔導具が作れるようになったのですから、
     教授も冒険へ出てはいかがですか?」
    教授を誘ってみたくなった。もっとも、その大半は「なぜ自分だけ危険な目に!」という思いから来ていたのは否めないが。

    「い、いや…私は私でいろいろ忙しくてね…私の分まで冒険を楽しんでくれたまえ!」
    「……」
    この反応も予想通りのもの。もしここで少しでも誠意を見せてくれれば、教授の評価がぐぐーんと上がる……かもしれない。そんな心境を知ってか知らずか、教授は話を続ける。

    「まあまぁ。それではゆかり君、今日の君の任務だ。研究に必要な」
    「素材を集めてこい、ですね?それで、今日は何をお求めなのですか?」
    「欲しいものはこのリストにまとめておいた。多次元世界へ集めに行って欲しい。
     上の階に本を設置したのでそこから移動してくれたまえ。」
    ただ、まぁ、元々自分が素材集めに行くつもりだったうえに、教授が来たらかえって足手まといの可能性が高いことを考えれば、適材適所とも言えるな、と一人で納得した。
    「準備がいいのですね。分かりました。それでは準備を整えて出発したいと思います。」
    「世界構造を調整したから、比較的安全なはずだ。のんびりしてくるといいさ。」
    「そうですか?それでは探索も併せてゆっくり楽しんできたいと思います。」
    「あ、えーと…夕方くらいには帰ってきて欲しいかなー、なんて…」

    ため息ひとつ。歳は教授のほうが上のはずなのにこれではどっちが年上なのかわからない。もちろん、教授がその辺無頓着なこともわかっているし、むしろ頼られるのは嫌いじゃないので、やぶさかではなかった。
    「全く…一人じゃご飯もロクに作れないんですから。

     分かりました、日が暮れないうちには戻るようにしますよ。それでは行ってきます。」
    「うむ、気をつけていってきてくれたまえ!」
    ゆかりは準備をするため研究室を抜け出し、長い階段を上っていった。恐らく自室で冒険用の服に着替え、そのまま多次元世界に向かうだろう。そう考えながら、教授はゆかりの姿が見えなくなるまで地上への階段を眺めていた。
    そして彼女の姿が見えなくなったころ、
    「…さて、ゆかり君も出かけたことだし、こっちを進めるとするかな。」
    そう言って、杖に深緑の杖星を嵌め込み、研究室の向かいの壁に杖を振る。

    シュヴィンーー。

    果てしなく、それこそ地下洞窟にぶち当たるまで続くはずだったトンネルは、わずか数ブロック分で途切れ、隠された個室への入り口となった。
    閉じ込められないように、そしてゆかりに見られないように素早くトンネルをくぐる。
    あまりにあっさりと部屋には入れてしまい、思わず振り返ってしみじみと思う。
    「この杖星は便利だな。これでいちいち壁を壊さなくて済む。」
    以前はバレないように注意を払いながら壁を壊していたことを考えれば雲泥の差だった。


    部屋は1chunkほどの広さだった。しかしそこかしこに置かれてる物体によって、見た目以上に狭く感じた。入って右手にはいくつかのラージチェスト、そして左手には、かつて彼が捨て去ったソレらの姿があった。
    教授は慣れた様子でチェストから鉄鉱石を1スタックほど取り出し、
    「さて…残っている鉱石を砕いて洗浄して…」
    そう言いつつ、ソレに鉄鉱石を放り込んだ。
    途端、ソレらは息を吹き返し、ウィンウィンと唸りをあげ、熱を発し始める。
    「うーむ相変わらずうるさい音だ…
     しかし鉱石を増やすならこの手に限るし…贅沢は言ってられんな。」
    椅子に座りながら、淡々と作業をこなすソレらを眺める。しかしその目に映るのは過去の情景。
    「もっと規模を大きくしたいが…昔の二の舞になってはいけないしな…」

    成功に失敗はつきものだ。そのため失敗を悔やむことはしないつもりだった。
    しかしそれはあくまでやり直せることが前提だったのだと、あの時思い知った。
    それゆえに、二度と同じ過ちだけは繰り返すまいとソレらを封印し、二度と手を出すことはないと思っていた。
    ただ、その思いが変わり始めたのはゆかりが来てからだった。
    偶然に張り出して、自分すら忘れていた募集をたまたま見つけてやってきてくれた彼女。
    最初はどこか自信がなさげなところもあったが今では一人前の立派な助手になった彼女。
    まるで我が子の成長を見ているようでうれしかった。所帯を持ったことはないが。
    今日も素材集めを引き受けてもらったが、本来は自分が行かなければならないものだ。
    しかし冒険はもとより、運動すら絶望的な自分がついて行っても足手まといになるのは必然。なのでせめてそれ以外の部分では全力でサポートをしようと思った。
    ゆかりが少しでも安全に冒険ができるように、採取してきた鉱石を少しでも効率的に使えるように。
    そう考えて行きついた先が、魔導具造りであり……鉱石の倍加だった。
    不安はある。
    一度は捨てた道を歩むのだ。また同じ過ちを繰り返すとも限らない。
    だが、それでも。
    そう思えるくらいには今の生活が掛け替えのないものになっていた。

    ウィーーン……。
    と、思考の海から帰ってくれば、音がずいぶん静かになっていた。
    「ん?燃料が切れたか。補充して、」

    ラージチェストから燃料を取り出そうと思って振り返れば、

    ゆかりがいた

    「うわああああああああああぁぁあぁぁぁぁ!!!」

    勢いのあまり椅子から転げ落ちてしまった。
    「ゆ、ゆかり君?!いつからそこに…!」
    ゆかりはまるで変な生き物を見るかのように教授の様子をうかがう。
    「いつからって…教授がこの部屋に入ってからずっとですが。
     むしろなぜ気づかないのですか…」
    (え、あれ?戸締りも後方確認もしっかりして……たっけ?)

    「一人でコソコソしていたので気になって後をつけてみたら…
     この部屋は…何をしているのですか?」
    ゆかりは物珍しそうにソレらを眺めていった。興味津々な様子はまさに助手そのもの。
    「あ、えーと…あ、新しい魔術の研究…ですか?」
    教授はこんらんしている!
    「なんで私に聞くんですか。知りませんよ何も聞いてませんもの。」

    わからないことはわからないとはっきり言う。
    学ぶ者として必須の、しかし実際にやるにはなかなかに難しい、当たり前のこと。
    そんな当たり前を当然のように振る舞うゆかりの姿を見て、教える者として誠実に向き合うことに決めた。


    「ああ、うん、そうだな。…わかった、すまない。私の話を聞いてくれるかね?」


    ゆかりは気負うことなく頷き、そのまま自分用の椅子を引っ張り出してきた。
    準備は万端である。
    そして、教授は語り始めるーー。



    ----- 5 -----



    「ゆかり君には黙っていたが…実は私は元科学者なんだよ。」
    「知ってます。」
    「まぁ知らなくても無理はない。そんな素振りは…え?知ってますって…」
    「逆に、初めてお話しされた時に魔術師と聞いて驚いたくらいです。
     役場でお話を伺ったとき、求人主は科学者だと聞いてましたし。」
    ゆかりは当時のことを思い出しながら続ける。
    「それに、ここにあるような機械が最初置いてありましたよね?
     魔術と関係なさそうだなとは思っていました。」
    部屋の半分以上を埋め尽くすソレらーー発電機や精錬機といった、多種多様の機械たちーーを見渡しながらゆかりは語った。
    「なんだ…ばれていたならコソコソやる必要もなかったな…」
    「そもそも、なんでコソコソとやっていたのですか?」
    「私が元科学者だということを知られたくなかったのだよ。
     ちょっと情けない理由で科学者を辞めたものでね…」
    「なんですかその理由って。もうこの部屋も
     見つかってしまったことですし、隠さなくてもいいのでは?」
    躊躇った末に出てきた言葉は、

    「…事故だよ。」


    短かった。しかしそこには隠し切れない後悔があった。
    「事故?」

    「あぁ…少し長くなるが、順を追って説明しようか。」
    そう言って教授は機械たちを見上げる。かつて彼らと共に過ごした日々を思い出しながら。


    「私は昔、そこそこ大きな工場で科学者として働いていてね。
     知識もあり腕もそこそこ良く、人望も厚い優秀なサイエンティストだった。
     待遇もよく、のんびり悠々自適な暮らしを送っていたのだよ。」
    「…教授って時々、自分のことを自信満々に語りますよね。」
    どんな辛い過去が語られるかと思えばいきなりの自慢話。さすがに苦笑いだった。それが過去の事実でもあり、今の強がりでもあることが分かったから。
    教授は続ける。
    「…まぁ、自信満々で済めば良かったのだがね。あの頃の私は人生の中でも絶頂期だった。
     次々と新しい発明や新技術を生み出し、少し有頂天になっていてね…。
     …結果だけいうと、つまらないミスで大事故を起こしてしまってね。工場は半壊、

     従業員の3分の2がリスポーンし、私の財産も7割ほど吹っ飛んだわけだよ。」
    「あ…なんか重たい話になってきましたね…聞かなければ良かったです。」
    にべもなかった。
    「今さら後戻りできないぞ!ゆかり君は私の助手なのだからね。
     最後まで話は聞いてもらおう!
     …まぁ本音を言うと、事故を起こしてから誰にも
     話していなかったから聞いてほしかったりしたのだが、ね。」

    「…いつにも無く弱気ですね。事故を起こしたことをまだ後悔しているのですか?」
    「そりゃするだろうさ…あの時ミスをしなければ、腕が良くなければ、
     科学者にならなければ…後悔してもし足りないよ。」
    それはずっと心の底に沈んでいた重り。
    「いくら頭がよかろうが腕力が強かろうが、それを制するのは心の強さだ。
     心が弱いものは、私のように報いを受けるというわけだ。」
    「……」
    ゆかりは何も言わない。ただ真摯に言葉を受け止める。
    「そんなわけで私は辞表を出し、科学者をやめ、その後はこの島で
     暮らしていたというわけだよ。それがつい半年前のことだ。」
    「半年前というと…助手募集の求人を出した頃でしょうか?」
    「そのとおりだ。あのときの私は科学者の仕事とは別に目的…まぁ昔からの夢があってね。
     その夢を叶えるため助手を募集していたのだよ。」
    そしてことさら明るい声で言う。

    「まぁ、事故のゴタゴタのせいで求人のことなどすっかり忘れてしまっていたがね!」
    「……」
    「この島に来てからは細々と暮らしていたよ。
     機械いじりは昔から好きだったから、簡単な機械類だけ揃えたりしてね。」
    ゆかりが初めてこの島に訪れた日、そのとき見た機械たちのことだろう。
    「あとは…それまで触ったことのなかった魔術の研究か。
     私の夢を叶えるためには何かしらの手段が必要だったからね。」
    「なるほど…それなら、初めてお会いした時魔術師だと言っていたことも頷けますね。」
    ただ、頷けないこともある。
    「でも、何も科学者を辞める必要はなかったのではありませんか?
     誰だってミスは犯すでしょうし…機械いじりが好きという事は、
     科学者としての仕事も嫌ではなかったのですよね?」
    「私なりに責任をとろうと思ってね。あのまま続けていればまた事故を起こすやもしれんし。」
    そう言いつつも、教授は自ら首を振った。そして一呼吸置いた後に、
    「…まぁ実際は、周りからの視線がいたたまれなくなってね。逃げ出したようなものだよ。」
    自傷気味にそう言った。


    そんな、過去に打ちのめされた姿を見て、ゆかりはかつての自分を幻視した。
    力がないことを悔やんでいた自分。かつてのミスを後悔し、絶望した彼。
    仲間に迷惑がかかると思い、冒険者を辞めた自分。同じ過ちを繰り返すのを恐れ、科学者を辞めた彼。
    まるで違うが、まるで一緒な姿を。

    「…なんだかもったいないですね。」

    つい、言葉が先に出ていた。
    励まそうなんて偉そうなことは言えない。ただ、放っておけなかった。そこに自分の姿を重ねてしまったから。

    だから思ったことを紡ぐ。
    「え?何がだい?」
    「腕の立つ科学者だったのですよね?それなら、科学者を続けていれば
     教授の発明や発見が、人々のためや今後の世界の発展へと繋がったかもしれませんよね?」
    そうなのだ。教授はかつての自分とは違い、確かな力を持っている。
    「それを放棄してしまうだなんて…」
    「……」
    だから、もったいないと思った。
    もし、昔の仲間のミスでピンチに陥ったとして。
    もし、仲間がそれを後悔して冒険者を辞めると言い出したとしたら。
    自分ならきっと……、いや絶対に。
    「それに、だれも教授に科学者を辞めろだなんて言っていなかったのでは
     ないですか?貴重な戦力を失うのは惜しいでしょうし。」
    それを全力で止めただろう。
    「うん、まぁ…たしかにそうだ。辞める時も引き止められたからな。
     それでも続けられなかったのは、結局のところ私の心が弱かったからということなのだろう。」
    今でも思い出せる戦友たち。
    それは教授も同じだった。

    「…あの時ゆかり君のようなことを言ってくれる人がいれば、
     科学者を辞めるという以外の選択肢が生まれたかもしれないな。」
    「まだ遅くないのではありませんか?もう一度科学者としてやり直せばいいじゃないですか。」
    遅いなんてことはない。
    自分もつい最近までその悔しさを引きずっていたが、教授の場合はまだ半年程度しかたっていない。やり直すどころかちょっと長めの休養程度だ。
    「え?いやでも…一度辞めたことをまたやるのは男としてのプライドが…」
    なんか言い出した。
    「邪魔なプライドですね…というかプライドとかあったのですね。
     そんなものネザーにでも捨ててきたらどうです?」
    「ひどい!私からプライドをとったら何が残ろうというのだね!?」
    「そうですね…子供っぽさ自意識過剰さ適当さ変態さ生活力の無さそれに」
    「分かった悪かった…私が悪かったからそれ以上は…」
    ちらりと見れば深く反省した様子。許すことにした。

    「まぁ冗談は置いといて…
     こんな場所でコソコソやるくらいなら、もっと堂々としてくださいよ。」
    「それに、そんな辛気臭くしてるより、
     いつもみたいに自信満々な態度をとっていた方が教授らしいですよ?」
    「そ、そうだろうか?しかし、科学者か…」
    「何か問題が?」
    「い、いや…コソコソせず機会が触れるのはいいのだが…また事故でも
     起こしたらいやだなーとか、ゆかり君まで巻き込んだらどうしようかなーとか…」
    「何言ってるんですか。私に危害を与えたり、この研究所を吹っ飛ばしたりしたら
     ただじゃすみませんよ?私の住む場所がなくなってしまいますし。
     そうならないよう細心の注意を払ってくださいね?」
    教授にはこれくらいがちょうどいい。

    「あ、あれ…さっきはだれだってミスは犯すって言ってたような」
    「それとこれとは話が別です。ちょうどいいです。教授が逃げられぬよう『教授が私の言うことを何でも聞く券』をここで使わせていただきます。」
    いまだ女々しく御託を並べる教授に対し、伝家の宝刀(笑)を抜くことにした。

    「えぇ!?ここで使うのかい?!私が言うのもなんだがもっと大事に使った方がいいんじゃ」
    「いいんですよ。どうせ教授では大したお願い聞いていただけないでしょうし。」
    「ぐはぁ…!言葉攻めが前にも増して…」

    そして、告げる。

    「もう一度科学者となって、教授の力を世のため、人のために使ってください。
     もちろん、私や周りに危害を加えるようなことは厳禁ですからね?」

    『教授が私の言うことを何でも聞く券』を使ったそれは、
    命令であり、
    願いであり、

    そしてなにより、教授を励ます言葉だった。

    「……」
    二の句が継げられない教授をよそに、ゆかりは続ける。

    「心配いりませんよ。教授がミスをしないよう私が見てますから。
     助手なのですからサポートは任せてください。」
    笑顔で堂々と。
    「ゆ、ゆかり君…!」
    もうそこにはしみったれた男はいなかった。
    教授にとっての最高のパートナーが、胸を張って言ってくれた。

    『支える』と。


    これに応えずしてどうしてゆかりの『教授』と名乗れよう。
    これに応えずしてどうしてゆかりを助手として雇えよう。
    彼女の言うとおりだ。
    男のプライドなど、ゆかりの『教授』足らんとすることに比べればなんと小さき事か!
    むしろここまで言われて何もしないほうが男のプライドが許さない。
    「…ふ、ふふふ…助手である君にここまで言われたのでは、
     いつまでも過去に縛られるわけにはいかんな…!」
    そして口に出してはたと気づく。
    後悔は未来への糧にこそすれ、歩みを止める鎖にしてはいけないと。
    気づいてしまえばなんてことはなかった。
    だからこちらも堂々と告げる。

    「いいだろう!私は封印した力を今ここに開放する!
     そして今日から魔科学者として、この世の覇者となることをここに誓おう!」

    「なんですか魔科学者って…
     それに、世界の覇者になれだなんて誰も頼んでいませんよ。」
    容赦ない突っ込みが入った。
    だが、そんなことはいつものこと。
    「細かいことを気にするな!魔術もかじったのだからな。
     科学と魔術の両方を扱えてこそ、世界の覇者と呼ぶにふさわしいであろう!」
    「まぁいいですけど…
     でも、これで私に素材集めを頼まずとも教授も採りに行くことが出来ますね。」
    「え…?な、なんでそうなるんだい…?」
    なにやら想定外。
    「だって今までは、同じような事故を起こしたくないから力を封印…
     というより、扱うことを避けていたんですよね?それがなくなった今、
     力を存分に振るえるということではありませんか?」
    凄く正論だった。
    「…く…!いかん、封印を緩めたらさっそく暴れだしたか…静まれ、私の中に住む魔物よ…!」
    「…教授って昔からそんな感じだったのですか?」
    容赦ない追い打ちが教授の心をえぐる。
    「ふ…いくら助手だからと言って、私の過去をこれ以上喋るわけにはいかんな!」
    とりあえず誤魔化すことにした。
    そして一呼吸。
    「…だが、ゆかり君は助手として十分な働きをしてくれているからね。

     それ以上に、君にはいろいろ助けられているからな。」
    少しもったいぶって続きを話す。
    「代わりと言ってはなんだが、そろそろ『約束の地』について話してあげようではないか!」
    「さっき言ってた、昔からの夢というやつですか?」
    「…あぁもうなんでそういうこと言ってしまうかな!話が盛り上がらないじゃないか!」
    もはや様式美のやり取りだった。
    「なんで盛り上げる必要があるのですか…まぁ、ずっと口走っていたから
     少しは気になっていたのですが。なんですかその約束の地とは?」
    教授は昔を、それこそ科学者になるよりずっと前のことを思い出しながら話す。
    「小さい頃、私の祖母から聞いた話だ。この世には約束の地と呼ばれる
     世界があり、その場所には、この世のものとは思えぬほど美しく、
     自由であり、見たものの心を奪う場所と聞いている。」
    そう語る教授は童心に帰ったように楽しそうだった。
    「実在するかは分からないがな。だが、そんな世界があるなら
     ぜひ見てみたいと思ってな。この今いる世界よりも美しい場所があるのかと…
     それはどんな景色なのかをこの目で焼き付けたい…それが私の夢だよ。」
    「…顔に似合わずロマンチックなところがあるのですね。」
    「一言多いよ!?私をいじめて楽しいかね?!」
    「別にいじめてる気はありませんよ…
     でもいいですね。そんな場所があるなら私も見てみたいです。」
    「それはもう決定事項だよ!この話を聞いたからにはゆかり君には手伝って貰うし、
     求人にも書いたはずだからな。約束の地を共に目指さん!と!」
    どこか満足げに話した教授は、改めてゆかりの眼を見て言う。

    「改めてお願いしようか。私と一緒に、約束の地を目指してはくれないかね?」

    言葉以上の意味を汲み取ってしまいそうなお願い。
    しかしそれを受けたのはゆかり。返す言葉は、
    「こうしてまたお仕事が増えるのですね…
     まぁいいですよ。それが本来のお仕事だったわけですし。」
    汲み取るどころかすべて素通りし、欠片も匂わせないものだった。
    ただ、悪い気分ではなかった。
    「こちらこそ、改めてよろしくお願いします。」

    「うむ、よろしく頼むよ。ゆかり君が手伝ってくれるなら百人力だな!
     これは近いうちに拝めるかもしれないな、約束の地よ…」

    約束の地に思いをはせるその顔は晴れ晴れとしたものだった。
    彼を縛っていた過去の後悔は、助手のサポートによって完全に断ち切られた。



    ----- 5 -----



    「まぁ、約束の地への行き方はおいおい説明しよう。一筋縄ではいかないらしいからね。」
    そして吹っ切れた様子の教授は、
    「さて…もうコソコソせずに済むし、気持ちよく機械を触れるな!
     ゆかり君もお願いした素材集め、がんばってきてくれたまえ!」
    心行くままに機械いじりを始めようとして、
    「なに言ってるんですか。教授も一緒に行くんですよ。こっちはいつでもできるでしょう?」
    当然のように待ったがかかった。
    「えぇ!?だ、だって私、最近外に出てないし戦闘だって」
    「ちょうどいいリハビリになるじゃありませんか。大丈夫ですよ。
     さっき言ったとおり私がちゃんとサポートしますから。さぁ行きましょう行きましょう!」
    「あ、待って…まだ心の準備が…ゆかりーん!!」


    どこか嬉しそうな彼女は教授の静止などどこ吹く風で、駆け足で部屋を出て行った。


    その後は。


    お互い自室に戻って冒険の準備をしたり。
    部屋から出てきた教授の装備が不審者丸出しだったり。
    そのことをゆかりが笑いながら指摘したり。
    教授がいかにこの装備が凄いかを力説したり。
    持っていく道具をどれにしようか二人で悩んだり。
    早速地下に行こうとしたゆかりを、食料を持っていないことに気づいた教授が待ったをかけたり。


    二人で冒険に繰り出していったーー。



    続く。




    あとがき的な何か。

    3か月経ってた。
    申し訳ないですorz
    SplatoonとDarksoul3やってました。(´・ω・`)


    動画でいうところの最初の1分程度のシーンを一瞬で済ませるのはもったいないのでオリジナルで書いてみました。
    後半の教授語りのシーンですが、字の文が結構ブレブレです。読みづらかったら申し訳ありません…。


    また、この「小説版 ゆかりのち」ですが、「カクヨム」のほうにもしばらくしたらあげていこうかと思います。加筆修正するかは…気分次第です。


    次の投稿は……また3か月後くらいかなぁ。。。


    では、今回はこのくらいで。
    ここまで読んでいただきありがとうございました。

    ~~素敵な元動画様~~

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  • 【Minecraft】ゆかりのち を小説化してみた 7日目

    2016-03-20 18:16
    ※※諸注意※※
    これは「【Minecraft】ゆかりのち ~ゆかりさんが助手になって約束の地を目指すお手伝いをするクラフト~」を小説化してみたものです
    基本原作の雰囲気を壊さないようにしてます(たぶん)
    筆者は物書きはど素人です

    第1話へ 「ゆかりさん、働く」
    前へ 「ゆかりさん、振るう。」
    次へ 作成中
    マイリスト[小説版ゆかりのち]
    ※※※※※※※


    § § § ゆかりさん、走る。 § § §

    ----- 1 -----



    「うぅ…ひどい目に遭った…身体中がボロボロだ…」
    ゆかりのオシオキを這う這うの体で耐えた教授は自室に戻るなり、ベッドに倒れこんだ。
    体裁は完全に酔っ払いのそれだったが、事情は大きく異なる。
    ゆかりが新たに手に入れた力、ソーマの杖によって厳しく折檻(具体的には雷撃を13発)された末路だった。
    未だダメージが抜けきっていないのか、ときおり手足が痙攣している。
    教授はしばらくジッと身動きせず固まっていたが、やがて痺れが抜けたのか、仰向けに寝なおした。
    「まぁ、不要な仕事をやらせてしまったのだ。怒られるのも当然か…」
    反省の色は濃い。

    研究所の拡張に新たな星杖が必要になり、材料採取を依頼したのが今朝のこと。
    冒険は好きだが、戦闘は苦手だと言っていたゆかり。
    そんな彼女が、文字通り命を懸けて採ってきた素材が「実は不要でした」と言われれば、さもありなん、本気でキレていた。しかも原因は教授の勘違いによるもの、この程度で済んでよかった、と思うべきだろう。
    「ゆかり君は怒って寝てしまったし…そうだ!この隙に温泉に入るとしよう。」
    ひとしきり反省し終えた教授は、これは名案だ、と早速ベッドから飛び起きた。
    「入ってはダメとは言っていなかったし、体の傷が癒えるかも
     しれないしな。たしかネザーゲートの裏と言っていたかな?」
    痺れはどこへ行ったのやら、颯爽と地下に向かっていった。


    「さて、どんな温泉かな?おぉ!これは…」
    無骨な石レンガのトンネルを抜けたその先には、

    純和風の旅館が広がっていた。

    掛け軸が飾られた入り口を抜けると、そこは広めの脱衣所だった。正面には衣類を入れるための籠が4つ、右手には洗面所、左手は休憩スペースとしてあてがわれていた。
    部屋全体は桜の木材でできており、オークや白樺の木材にはない、落ち着きを感じた。
    また、椅子やテーブルを使わず、タタミを使うことで、調和を保つことに成功している。
    休憩スペース横の障子戸を抜け、階段を下れば、ニホンをイメージしたと思われる、小さな庭園があった。
    さらに奥に進むと、そこには研究室の倍ほどの空間全てが大浴場となっていた。
    温泉はスパのようにいくつかのブロックに分かれており、それぞれに効能が書かれていた。
    その数、実に5つ。
    「ゆかり君張り切って作ったな…一人で入るにしては広すぎやしないかね…?」
    あまりの広さに関心半分、呆れ半分と行ったところ。温泉と言ってもこじんまりとしたものを想像していただけに、面食らってしまった。ただ、まぁ、すぐに立ち直ったが。
    「それはともかく…ひゃっはー!温泉だー!」
    子供の様にダッシュで温泉に飛び込む教授。もちろん、それを咎める人はいなかった。
    「ふぁー暖かい…それに電撃傷がみるみる治っていく…すばらしい温泉ではないか!」
    温泉の名前は「癒しの湯」。効能は、あらゆる傷の治りを早める、だった。
    痛みが引いたことで、改めて内装を見渡す教授。
    「桜もいい味を出しているな。これで混浴だったら完璧だったのに。」
    ゆかりの本気具合が窺える。
    桜は温泉の湯気でゆらゆらと揺れ、灯篭の光は温かみを映し出す。
    竹の持つ独特の静けさは、心にも安らぎを与えてくれそうだ。
    そしてふと、他の温泉はどんな効能があるのだろうと視線を遠くにやれば、

    ゆかりと目が合った。

    …………

    ……………………

    「…さーて、ゆっくり浸かった事だし、そろそろ出るかなぁ…っと…」
    努めて自然に、かつ、迅速に大浴場を抜ける。
    出口の一点を見つめて。振り返ってはいけない。
    振り返れば死が確定する。既に怪しいが。
    (あぁ…今日が私の命日かも…しれんな…)

    脳裏に焼き付いた彼女は驚いたままの顔でただ一滴、涙をこぼしていたーー。



    (遅いな、あれから結構時間が経ったが…私を攻撃する準備を念入りに
     しているのだろうか…回復呪文だけでどこまで耐えられるかな…)
    大浴場での鉢合わせから30分は経過していた。
    教授は自室には戻らず、気を紛らわせるため研究室で研究を進めていた。進捗は毛ほども進んでいない。
    (しかしゆかり君泣いていたな…てっきり激怒するかと思っていたが泣かれるとは)

    「教授」

    「ごめんなさいすいませんでしたぁ!悪気はなかったんです
     お願いします何でもしますからどうかさっきの件は許して」
    「ヒッ…エグ…」
    「ゆ、ゆかり君?」
    「…見ました?」
    「え、な、何をだい…?」
    「ですから…私の身体を」
    「見てない見てないお風呂にどっぷり浸かってたから顔しか見えなかったよ!本当だとも!」
    「でも…ぐす…男の人にお風呂に入ってるところを見られるだなんて…」
    段々涙声になってきた。
    「嫁入り前なのに…ひぐっ…こんな…ふぇえっ…」
    「ああああすいません何でも言うことを聞きますだから
     泣かないでくれないか本当にごめんなさい!!」
    「…何でもっていう言葉の重みを分かっていますか?今すぐエメラルド
     100スタックくださいとか、この世から消えてくださいって言われても実行できるんですね?」
    「あ…えーと…私が可能な範囲で言うことを聞きます…」
    「…さっきのはわざとじゃないんですよね?」
    「もちろんだとも!そりゃ私には前科があるかもしれないが、
     さっきのは単純にゆかり君が入っているとは知らずに入ってしまっただけなんだ!
     風呂場も広くて気づかなくて、いや本当だ信じてくれ!」
    それを聞いて考え込むゆかり。そして、
    「…わかりました。今まで私しか利用していなかったので、
     鍵の設置などを怠っていた私も悪いですし…」
    「ほ、本当かい?ありがとうゆかり君…次からは気をつけるよ。
     それじゃ、許してくれるんだね?」
    「お風呂の件は、です。ただ教授にはそれ以外の…
     部屋の覗きの件、インカムの件。それに対して責任を取ってもらいましょうか。」
    「え…せ、責任って、あの、わ、私とゆかり君は教師と生徒…
     じゃなくて助手とアレな関係なわけでそれ以上でもそれ以下でもなく」
    「何を斜め上なことを言ってるんですか。誰もそんなこと一ミリも頼んでいませんよ。
    「いやあのその言い方はそれはそれで結構傷つくものがあるんだけどね…?」
    教授が一人へこんでいたが、そんなことお構いなしでゆかりは続けた。
    「そうですね…といっても、今はお願いしたいことが特に無いので、
     必要な時が来たら「教授が私の言うことを何でも聞く券」を使わせていただきます。」

    「む、無理難題を言うのはやめてくれたまえよ…?」

    「さぁ?それは今後の教授の態度次第ではありませんかね?」
    (うぅ…生きた心地がしない…)
    調子が戻ってきたのか、教授をいじるゆかりはほんのり微笑んでいた。

    こうして、お風呂覗き見事件は無事?決着がついたーー。




    ----- 2 -----




    翌日。
    (はぁ…昨日は許して貰えたが、内心怒っているんじゃないかな…)
    ベットで目を覚ました教授が真っ先に考えたのがソレだった。
    あの場はなんとか許してもらえたが、だからといって怒っていないとは限らない。
    一晩寝て怒りが収まっている可能性も頭をよぎったが、怪しいものだった。
    しかし、いくら考えても結論が出るものではないな、と諦めて潔く1階に向かう。

    すでにゆかりは起きて朝食の準備に取り掛かっているのか、階段半ばに差し掛かるとゆかりの鼻歌が聞こえていた。

    「お、おはようゆかり君」
    「あ、おはようございます教授。」
    いつも通りの声色で、いつも通りの返答。
    笑顔すら浮かんでる。
    (よ、良かったー!怒ってなさそうだー…)

    「朝食できてますよ。拾ってください。口で。」

    もぎたてのリンゴが床に放られた。

    「うわあああまだめちゃくちゃ怒ってるううう!!」
    教授は脱兎のごとく、2階に続く階段へ駆け出した。
    「じゃ、じゃあ研究があるので私はこれで!!」
    「待ってください教授。」
    言い訳にすらなってない言い訳を残して自室に逃げ込もうとする教授をゆかりが止める。
    「え?」
    「冗談です。ちゃんと作ってありますよ。」
    ホントに?と顔に書いてある。
    そんな教授の慌てっぷりを見て満足したのか、くすくすと可笑しそうに朝食を並べていった。
    もちろん、二人分。
    「どうぞ冷めないうちに食べてください。」
    今日のメニューは目玉焼きとベーコン、そしてサラダの3品。
    朝食のド定番ながら、愛され続けた家庭の味。
    しかもベーコンは自家製のため市販のそれとは異なる、独特の香ばしさが教授の鼻孔を燻った。
    「うひょーーやったーー!!うまそぉ!!」
    冷戦が解除されるまではリンゴと水だけの生活すら覚悟した教授にとってこの匂いは何物にも代えがたいものだった。
    ゆかりからの温もりを感じたから。
    「教授…首折れますよ?」
    狂喜乱舞しすぎて、危うく死にそうになってる教授を、やれやれ……と諫める。

    「では!早速いただくとしよう!ゆかり君も席に着き給え!」
    「はぁ、全く…ふふっ、では私も」
    教授の配膳を終えたゆかりは自分の分も取り分け、席に着く。そして、

    「「いただきます」」

    二人の声が、リビングに響き渡ったーー。





    ----- 3 -----



    「それで、今日は何をするのですか?」
    教授に連れられやってきたのは研究所の地下。ちょうどネザーゲートへ続く階段の途中あたりにある開けた空間だった。
    「今日は地下の拡張と祭壇作りを行う!
     昨日等価交換の杖星を作ったからな。まずは実演してみよう。」
    そう言って教授は杖を取り出した。
    「置換したい物質を杖に覚え込ませ、別の物質を叩くと。」
    教授は杖を丸石に振りかざし、次に部屋の大部分を占めていた黒色花崗岩に振った。すると、
    「こ、これは凄いですね!こんなに硬い石が一瞬で…」
    黒色花崗岩が次々と丸石に入れ替わっていった。
    ゆかりも開いた口が塞がらない。
    「これを使い整地を行う。部屋が完成したら今度はソーマの祭壇作りだ。だいぶ研究が
     進んだのでね。作りたい魔導具がたくさんあるのだ。杖も強化する必要があるしな。」
    「やることが増えてきましたね。」
    「そうだとも。これからも仕事はどんどん増えていくからね。がんばってくれたまえ。」


    こうして、いよいよソーマの祭壇づくりが開始されたーー。



    ----- 4 -----



    作業は滞りなく進んでいった。
    ゆかりが等価交換の杖で黒色花崗岩を丸石に置換し、その丸石を教授がアルスの魔法を駆使して採掘していく。
    邪魔な花崗岩を取り除いた後は整地。ここでも等価交換の杖が大活躍した。床や壁の石を一気に石レンガに置き換えていった。杖一振りで終わるのだから一瞬だ。

    そして一通り整地が終わったころ、
    「むむむ……」
    「どうしたのですか?教授そんな壁とにらめっこして」
    「いやな、先ほど祭壇に必要な空間を計算してみたのだが……どうも足りんのだ」
    「具体的にはどのくらい足りないのですが?」
    「……これの4倍は必要そうだ」
    「よ、4倍……」

    かくして、整地は続くーー。

    何とか昼前には作業を終わらせた二人。
    教授は祭壇の核となる装置を作成中。
    一方のゆかりはゆかにカーペットを敷いて昼寝中。実に見事な擬態っぷりだ。

    午後3時ごろ。ゆかりも昼寝から目を覚まし再び作業に取り掛かった。次の作業は装飾。教授曰く、シンメトリーかつ荘厳なものにする必要がある、らしい。前半はともかく、後半は本当に必要なのか?という疑問を持ちつつもやたら熱く語ってくるので、
    「わかりました、わかりましたからどのような装飾がいいんですか?」
    と聞いたのが運の尽き。どこに隠し持っていたのかというほど大量の赤と黒のブロックが渡された。

    どうやら作業はまだまだ続くーー。

    「立体的な祭壇にしようではないか!」
    床の装飾が8割ほど終わったあたりで幻聴が聞こえ始めた。
    「……私、疲れてるみたいですね。教授がまたろくでもないことを宣っているような気がします。」
    「ろくでもないこととは失礼だな、ゆかり君。この祭壇をもっとクールなものにしたいと思わんのかね!」
    「はい、まったく。」
    時刻はすでに夕方。ここから立体的にすると言ったら夜ご飯をまともに作ってる余裕はないだろう。教授の発言も気の迷いだと思いたい。思いたかったーー。
    そんな願いもむなしく、教授は自ら杖を持ち、喜々として床に穴を掘り始めていった。
    立体的、とは言っていたが、半球状ではなく球状にするつもりらしい。
    (……つかれた)

    ゆかりの心が折れても、教授の心が折れない限り、作業は続くーー。


    それからほぼ丸一日費やして、ついに祭壇の装飾が完成した。夜ご飯を返上したおかげで深夜になる前には終わった。
    教授の希望通り球状にくりぬかれた祭壇が出来上がった。
    天井には6色のクリスタルが祭壇を囲むように配置され、静かな輝きを放っている。
    中心の台座の周りには12本の支柱が立ち、それらの上にはニトロの炎が煌々と輝いていた。
    「これで完成ですか?」
    「いや、最後の仕上げが残っている。」
    「最後の仕上げ?」
    そういって教授は杖を取り出した。
    「そうだ。この杖に込められた魔力を使い、祭壇を活性化される必要がある。」
    祭壇のその中央に据えられたブロックに視線を送った。
    ブロックには不思議な文字がびっしりと書き込まれていた。が、よく見ると魔導書のところどころで見かけた文字と似ていたので、恐らくルーン文字と呼ばれるものだろう。
    「ではいくぞ、ゆかり君。」
    「はい……!」
    教授はルーン文字の刻まれたブロックに杖を振りかざし、魔力を注入する。


    フワッーー。


    魔力に呼応するように、ブロックが宙に浮き、ゆったりとした速度で回転しだした。表面に刻まれたルーン文字も淡く明滅している。
    「教授ーー!」
    「あぁ、うまくいったな!」
    長かった。1チャンク程度の整地から始まったこの作業。気づけば徹夜ぶっ通しで穴を掘ったり、装飾したり、後半は意識がもうろうとしながらもなんとか完成した。
    「いい祭壇だ…私好みに仕上がったな。」
    「え…こういう形の祭壇だと思って作っていたのですが。」

    「あぁ、祭壇としては中央部分だけで事足りる。周りは私の趣味だよ。」
    「……」
    もう寝ようかな。
    「さて、さっそく新しい魔導具を作ろう!…と言いたいところだが、
     必要な道具が足りなくてね。その材料をゆかり君にとってきてもらいたい。」
    「えー…一仕事終えたというのに、まだお仕事を
     頼む気ですか?今日はもう終わりにしませんか?」
    「えぇ…だってせっかく祭壇が出来たことだし、早く新しい魔導具を作りたいではないか!」
    「助手使いが荒い人ですね…それで、何を採ってくればいいのですか?」
    「さすがゆかり君!話が早いね。」
    まぁ仕方ない、自分も儀式を見てみたいし。そう思っての返事だった。
    「シルバーウッドと呼ばれる魔力を帯びた木があってね。
     その原木…できれば苗木を採ってきてもらいたい。」
    「どんな木なのですか?写真でもあれば良いのですが…」
    「あぁ、それならこの魔導書に描かれている。…この木だよ。」
    そう言って教授は魔導書のシルバーウッドの描かれたページを開いて見せた。
    そこには青々とした葉を茂らせた一本の木が写っていた。
    特徴的なのはその幹の色。シルバーウッドと呼ばれるだけあって、その色は白に近いが光沢がある、まさに銀色だった。それ自体が魔力を帯びているのか、淡く光を放っているようだった。
    (って、あれ?)
    「…この木、持ってますよ?」
    「…え?いやいやまさか、この木かなり希少みたいだしそう簡単に」
    「本当ですって。昨日、桜島につく前に見つけたんですから。
     見たことのない木だったので採ってきたんです。」
    「…ゆかり君は本当に運がいいね…幸運もAだったんだね…」
    「なに人を勝手にパラメータ化してるんですか…しかも「も」ってなんですか。」
    「いやーこれで探しに行く手間が省けたねよかったではないか!
     さっそく儀式の準備に取り掛かる!ゆかり君も手伝ってくれたまえ!」
    「……」


    後で電撃をお見舞いしよう、そう心に誓うゆかりだったーー。



    ----- 5 -----



    準備と言われ教授が作ったのは『錬金かまど』と呼ばれるものらしい。見た目は普通のかまどと酷似しているが上部に穴が開いていた。ゆかりがそのことを指摘すると、
    「これを取り付けるのだよ」
    と言って太い円柱状の何かを取り出してきた。魔導書によれば『神秘の蘭引』とあった。錬金かまどとセットで使い、これらで物質をソーマに分解、蒸留し、エッセンスとして取り出す装置……らしい。
    「えぇとつまり様々なアイテムからほしいエッセンス?を取り出す装置…ということですか?」
    「その通りだよ、ゆかり君。まぁ論より証拠だ、さっそくやってみよう。ちなみに魔導書によればそれらのエッセンスは総称として『エッセンシア』と呼ぶそうだ。」
    教授は蘭引にチューブをつなぎ、さらにそれを大き目な瓶につないだ。
    そしてかまどの中に燃料となる炭と、分解するアイテムであるフェンスゲートを放り込んだ。
    すると、
    「おぉ……」
    フェンスゲートに含まれていたエッセンス、改めエッセンシアが瓶の中に溜まりだした。蘭引、というだけあってエッセンシアは液体状になっている。薄灰色のエッセンシアは”Machina"のエッセンシアーー機構、機械を司るエッセンシアーーのようだ。
    教授は満足そうにうなずき、次々とエッセンシアを取り出していった。


    そして場所は再び儀式の間。
    「準備も整ったことだし、さっそく新しい魔導具を作ってみようか!
     危ないからゆかり君は下がっていたまえ。」
    「危ないって、何が危ないのですか?」
    「実際に見れば分かるが、軽い魔力暴走が起きる。異なる物質を融合させ、
     まったく新しい物質を作るわけだからね。それなりのエネルギーが発生するわけだよ。」
    そういいながら教授は次々とアイテムたちを並べ、最後に中央の台座へ皮の靴を置いた。
    「設置は完了した。さぁ始めるぞ!」
    そういって教授は手を祭壇にかざし、詠唱を始めたーー。

    「我、古より伝わりし禁忌に触れ、魔力<<マナ>>を操る者なり。万物に宿りし根源の力を」

    「教授、そのセリフ必要なのですか?」
    「…ああもう必要ないよ!杖を振るうだけだよ!ゆかりんのばーか!」
    「最初からそうしていれば良かったのに…」
    杖を祭壇に向けて振ると、宙に浮かぶキューブが激しく振動し始めた。
    振動自体は物の1,2秒で収まり、紫色に発光しだした。
    そしてこの儀式のために精製したエッセンシアを取り込む。
    「アルスの祭壇と同じく、神秘的ですね。」
    「扱いはこちらのほうが難しいがね。高度な魔導具を作ろうとすれば
     それだけ魔力も必要になり、儀式自体が失敗する確率も上がる。」
    「失敗するとどうなるのですか?」
    「私もどうなるかは分からないな…
     魔導書によれば良からぬ事が起きるとあるが…」
    エッセンシアを十分に取り込んだ祭壇は、今度は並べたアイテムを吸収し始める。粒子状となって取り込まれるその不可思議な様はゆかりの琴線に触れまくった。
    「ゆかり君、近いぞ…」
    「教授はこういうものを見て、もっとワクワクしたりドキドキしたりしないのですか?」
    「私は好奇心の塊だぞ?こう見えて内心では飛び跳ねているよ。」

    パシュンーー。

    「そうこうしているうちに完成したな!名付けて「旅人の靴」だ。履いてみたまえ。」
    教授から渡された靴は一見すると多少の装飾が施された皮の靴そのものだった。
    だが、手に取った瞬間に違いが分かった。
    軽いのだ、圧倒的に。下手をすれば杖より軽いかもしれない。
    はやる気持ちを抑え、早速「旅人の靴」を履いてみるゆかり。
    「こ、これは…速いです!凄く速く走れますよ!」
    履き心地もさることながら、その性能も魔導具の名にふさわしいものだった。
    普段歩いている程度の労力で全力ダッシュ程度の速度が出せている。そして教授が言うにはこの靴の能力はそれだけではないらしい。
    「軽い段差なら乗り越えられるし、ジャンプの高さも上がる。
     まさに冒険者にはうってつけの靴だよ。」

    ダダダダダー、ぴょーん、ぴょーん、ダダダダー、ぴょーん。

    相当気に入ったらしい。さすがの教授も苦笑いだった。
    「新しい材料を集めて貰いたいのでね。あとは新しい防具と、杖も強化せねば…」
    「今度は集める材料を間違えるなんてこと、しないでくださいね?」
    「はっはっは!私がそう何度も同じ間違いをするはずがないだろう!」
    「……」
    「さぁ、少し早いが今日はもう休みたまえ。明日は朝からがんばってもらいたいからね!」
    「分かりました。お風呂に入ってから寝ようと思いますので…覗かないでくださいね?」
    「私もそうそう死にたくないのでね。覗きなぞしないから安心して入りたまえ。」
    「そうですか?それではお先です。おやすみなさい、教授。」
    「あぁ、おやすみ。」
    ゆかりは一足先に儀式の間を出て、その足で地下のお風呂へ向かっていった。
    ゆかりの姿を見送った教授は、
    「さて…続きをやるかな。」
    儀式の間の出口。その向かいの壁をおもむろに破壊した。すると、

    1チャンクほどの空間が現れた。


    そこには、彼がかつて慣れ親しんだモノたちが所狭しと並べられていたーー。




    続く。 

    あとがき的な何か:
    はい、自分でも半分失踪したと思ってました。
    続きを待っていた方がおられましたら誠に申し訳ありませんでしたm(__)m。
    第七話、やっとこさできました。

    遅れた理由は、Splatoonが面白すぎてそっちにかまってばっかりいました。
    あとは最近始まった「カクヨム」サイトで小説書き始めたりしてました↓(失踪フラグが立ちそうで怖い)。
    https://kakuyomu.jp/works/4852201425154900757

    ストーリはオリジナルですが、登場人物はものすごーく誰かさんに似てたりします。まだ全然書けてないですが・・・。




    ~~素敵な元動画様~~

  • 【Minecraft】ゆかりのひ (ゆかりのちifストーリー) を小説化してみた

    2015-12-27 14:44
    ※※諸注意※※
    これは「【ゆっくりゆかり対決】ゆかりのひ【ゆかりのちifストーリー】」を小説化してみたものです
    基本原作の雰囲気を壊さないようにしてます(たぶん)
    筆者は物書きはど素人です

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    マイリスト[小説版ゆかりのち]
    ※※※※※※※

    § § § ゆかりさん、働く? § § §

    ----- 0 -----




    「そういえばゆかり君。いまさら気になったのだが、どうして私の求人募集に応募してくれたのかね?自分で言うのもなんだが、あの募集、相当うさんくさかったと思うんだが……」
    「あぁ、あの求人募集ですか?確かに最初見た時は、うわぁ……って思いましたね。」
    「では、なぜ?ゆかり君ほどの人間なら、ほかの職などいくらでもあったろうに。」
    「それは買いかぶりすぎですよ、教授。ーーそうですね、今日はすることも特にないですし、
     せっかくの機会ですから話しておきましょうか、あの日、いったい何があったのかを……」



    そう言って彼女は滔々と話し始めたーー。




    ----- 1 -----



    「…またお昼過ぎまで寝てしまいました。」
    既に太陽は大きく上り、外からは村特有の喧騒が聞こえてくる。
    「こんな生活をもう何ヶ月続けているのでしょうか。」
    そうぼやいても、答えてくれる人はおらず、ただひとりごとが小さな部屋にこだまする。
    「私がエメラルドを取らないことで、代わりに誰か一人エメラルドを取れる。そういうことに幸せを感じるんだ、と堕落生活を送ってきた日々。」
    と、今の現状への言い訳と客観的事実を口にしても、何一つ現実は変わらなかった。
    ベッドから起き上がった目の前には読みかけの本と後で洗おうと思ってた夕食のお皿。
    左手の部屋の端にはうっすらと埃が積もった、クラフト台を始めとしたツールキッド。
    食糧という名の瓶詰クッキー。
    私は堕落の道を究めるのだ!という雰囲気がにじみ出る、そんな部屋の主は、
    「村の人々との物々交換に必要なエメラルドもいい加減そこを突き始めました。」
    そう言いながら、壁際に置いてあるエメラルドの入った木箱を覗き見る。
    4個。
    1,2,3……4個。
    何度見てもその数は変わらず、現実を否応なく突きつけてくる。
    「そろそろ何か手に職を付けないと、生活すらままならなくなりそうです。」
    たっぷり熟考したけれども、良い案は浮かばなかった。
    「しかたありません。観念して、働くことにしましょうか。」
    (そうと決まれば何か求人募集していないか、村の中心のほうに行ってみましょうか)



    そして彼女は、NEET生活まっしぐらだった、結月ゆかりは家から一歩を踏み出した。
    その一歩が、彼女の今後の人生を大きく左右する……かもしれないことなど、露とも知らずに。
    今はただ、再び堕落した生活に戻ることだけを目指して……




    ----- 2 -----




    (やっぱり外に出ると気持ちがいいですね。おかげでついつい道草を食ってしまいました。)
    ゆかりが向っているのは村の中心にある求人募集の掲示板。
    役場の隣にあり、求人をしたい人が比較的自由に募集できるとあって、利用者は多かった。
    「ええと…いくつか募集があるようですね。」
    掲示板に張り出されていた募集は4つだった。

    1つ目。
    「これは鍛冶屋さんですか。」

    『アルバイト募集
     日給:鉄2個
     時間:フルタイム
     -鍛冶屋ー』

    「お給料が鉄2個ですか…報酬としてエメラルドをいただきたいのですよね…」

    物々交換に使えない鉄ではどうしようもないな、と諦めかけた時、
    「…そういえば、向かいのおじ様が鉄コレクターだったような…」
    ゆかりの頭にはお向いに住んでる、やたら逞しいおじいさんの姿が浮かんできた。
    既に80歳は超えているはずなのに、現役の冒険者なのかやたら筋肉隆々で毎朝筋トレを欠かさないという超人的なお方。
    時折朝見かけて挨拶するが、体育系のノリで話しかけられるのでゆかりは若干の苦手意識を持っていた。
    そんなステキ?なおじ様が鉄コレクターということは、割と有名だった。筋トレに使っているのか、はたまた冒険用の資材として使っているのかは定かでないが、ゆかりにとってはさほど問題ではなかった。
    なんとかして鉄からエメラルドを手に入れられないか、脳内シミュレートを行った結果、
    「うまく話をつけて、鉄とエメラルドを交換してもらえれば…
     うん…うん…鉄2個でエメラルド10個は固いですね。これは名案です!」
    鉄2個でエメラルド10個のレートになった。
    「気になるのは、このフルタイムですが…でも、鍛冶屋さんの
     仕事と言ったら、何か注文を受けて、それを作るってだけですよね?」
    冷静かつ客観的(ただし本人主観)に仕事内容を分析し始めるゆかり。
    「それなら、日によって仕事量も変わるでしょうし、もしかしたら
     働かなくていい日があるかも…私にぴったりじゃないですか!」
    結果、カンペキだった。
    「そうと決まれば、さっそく役場で話を聞いて、職場に向かってみましょう!」
    すでに頭の中のゆかりは、両手に抱えきれないほどのエメラルドを持っていた。


    果たして……?



    ----- 3 -----



    「言われた場所に来てみたのですが…ほ、本当に
     ここなのでしょうか…?こんな大きなお城で働くのですか?」
    町の役場に場所を聞いて早速来てみたら、そこは大きなお城だった。
    大きな堀で囲われたお城で、唯一の入り口の大門は、10人が横に並んで歩いても余りあるほどの幅だった。外観から想像するだけでも、1000人は優に収容できるだろう。
    そんなお城へ各国の冒険者がひっきりなしに出入りしていた。
    「とりあえず、詳しい話を聞いてみないことには始まりませんね。」
    スケールの大きさに圧倒されながらも、気を取り直して依頼人を探し始めた。
    が、依頼人らしき人物はすぐに見つかった。入り口のすぐ左手にあからさまに鍛冶屋然とした男が立っていたからだ。
    彼はわき目も降らず鉄装備一式を作っていた。その姿には何か鬼気迫るものを感じたが、意を決して話しかけてみる。
    「あの、すみません。」
    「んん?なんでぇ?今仕事中で忙しいから後に」
    「求人募集を見てお話を聞きに来たのですが」
    「おぉ!仕事しに来たのか!いやー助かるねぇ。
     今すげー忙しくてブタの手も借りたいほどだったんだ!」
    「い、いえ、まずは仕事の内容を聞いてから」
    「よぅし!早速で悪いが仕事してもらおうか!
     ホレ、前金の鉄2個だ。受け取りな。」
    そう言って男はゆかりに鉄2個を放り投げた。勢いに気圧されながら、反射的に受け取る。
    ……あれ?何かおかしなことに……。
    「え、前金って、あの」
    「フルタイムとは言ったが、うちの仕事はノルマ制だからな。
     ノルマ分の道具が作り終わったら、好きな時間に
     帰ってくれて構わねぇからな!休憩も好きなだけしていいぞ。」
    休憩も好きなだけ、あたりで心が揺らいだが、それ以上の嫌な予感がしてならなかった。
    そもそも、仕事内容がまだ一切明かされていないことに。

    「あ、あの…」

    「そうだなぁ…初日だし、軽めにしとくか。」
    ゆかりの話は全く聞かず、男は続けた。
    「とりあえず、石のツルハシ、シャベル、斧を各一万本、ダイヤのクワを二千本、
     弓と鉄の剣を八千本。作り終わったら、向こうのチェストに入れといてくれ。」
    「は?え、な、なにを言って」
    「あー?聞いてなかったのか?仕方ねぇ。これやるから、
     これ見て数間違えねぇよう作ってくれよな。あと、当然だけど
     材料集めからだからな?それじゃ頼んだぜ!」
    男はゆかりに1冊の本を手渡すと、自分はどこかへ行ってしまった。
    「え?あ、いや、人の話を…!」
    静止は無意味だった。
    「……」
    あまりの出来事に茫然としてしまった。
    手には渡された本と、前金の鉄2個。
    これからどうするべきか、と考えようとしたが、
    (えぇ、そうですね、悩む必要、ないですよね……)
    既に結論は出ていた。


    鉄はお返しします
     お世話になりました
     ゆかり


    男がいた場所には、看板とチェストが置かれていた。
    チェストには、1冊の本と、鉄2個が入っていた。

    ゆかりの姿は、どこにもなかった……。




    ----- 4 -----




    「はぁ…あんなところで働いたら、命がいくつあっても足りませんよ…
     人の話聞いてくれないし、そもそもあれ、1日で終わる作業量じゃないでしょう…
     それで鉄2個って、完全にブラックじゃないですか…」
    愚痴をこぼしながらも再び役場前の求人募集所に帰ってきたゆかり。
    「まぁ、働く前にブラックと分かってよかったです。
     いただいた鉄も置いてきたし、大丈夫ですよね…?」
    流石にこの町まで追ってくることはないだろう、忙しそうだったし、と思うことにした。
    「気を取り直して、次ですね、次!」
    最初の1発目からアタリになることは少ない、下手な鉄砲なんとやら、というやつだとポジティブに考えることにした。

    2つ目の募集。
    「次は…狩り友募集。」

    狩り友募集
     ぁたしと一緒に
     どぉくっぃこぉ
    Tel:xxx-xxxx


    「…いやいや、求人募集の看板にこんなの張らないでくださいよ。
     狩りならフレンドと行ってください。」
    (そもそも、ここはモンハンじゃねーんですけど。)
    論外だったので次。

    3つ目。
    「これは…リフォームのお仕事ですか。」

    『リフォーム作業員募集
     日給:ガンパウダー3個
     要自爆検定2級
     -リフォームの匠-』

    「報酬がガンパウダー、要資格で…自爆検定2級保持?」
    (…………)
    「あれ、おかしいですね。どう考えても緑の悪魔の姿しか思い浮かびません。」
    ゆかりは件の募集を見上げつつ、ひきつった顔を浮かべていた。
    「大体なんですか、自爆検定2級って。
     そんな資格聞いたことありませんし、持ってる人も見たことが…」
    そこまで自分で言ってて、あることに気付いた。
    「…いや、待ってください。見たことも聞いたこともないということは、
     それだけ取得するのが難しいか、珍しい資格なのではないでしょうか…?」
    さらに思考を進める。
    「私がその資格を取得して、本にして、自爆検定必勝マニュアル!
     とか言って売り出せば、夢の印税生活が出来るのでは…!?」
    あまりの自分の天才的な閃きに、小躍りしそうになった。
    「か、完璧です…完璧なプラン過ぎて、エメラルドの海で
     溺れてる自分しか想像出来ません…」
    一片の隙も無い(本人談)プランだったようだ。
    「このリフォームのお仕事には興味ありませんが、
     自爆検定がどんなものなのか知る必要がありますね…」
    そうと決まれば、同じことを思いつく人が出る前に行動あるのみである。
    「教えていただけるか分かりませんが、まずは行ってみて、
     自爆検定の取り方を聞いてみましょう!」

    果たして……?



    ----- 5 -----



    「待ち合わせ場所はここのはず…まだ来てないのでしょうか。」
    町の外れにある小川を挟んだ小さな孤島。そこにある噴水が特徴的な一軒家の前。そこが待ち合わせの場所だった。
    「もしかしたら、あの家に住んでる人なのかな…?」
    そう思って家に近づくと、
    「って、あんなところにクリーパーが…うわ、爆発してますよ…
     相変わらず、人の家を容赦なく壊して…」
    家の壁は無残に破壊され、中身がむき出しになった。
    「って…な、なんだかこっちに近づいているような…」
    よく見れば、爆発したはずのクリーパーが平然とこちらにやってきていた。
    「あ、あわわ…とりあえず逃げないと…」
    仕事に来たつもりだったので弓はおろか、剣すら持っていない。そんな状況でクリーパーと戦闘するのは自殺行為以外の何物でもなかった。
    踵を返して走り去ろうとしたとき、

    「ま、待ってくれ待ってくれ!君だろう?リフォ」

    「ひゃぁあああああああ!?しゃ…しゃべったぁぁぁあああああ?!」
    後ろから声がかかった。
    「お、落ち着きたまえ…こんな姿をしているが、私は本物のクリーパー
     ではないよ。不思議な力で、クリーパーの姿になっているだけだ。」
    「え…?な、なんだ…驚かさないでくださいよ…」
    「すまないすまない。いや、リフォームの仕事をやる前に、
     実際に見てもらった方がいいと思ってね。ちょっとしたサプライズだよ。」
    「サプライズ過ぎますよ…」
    呆れながら戻ってくるゆかり。見た目はどう見てもクリーパーなのに至近距離に来ても爆発しない。確かに普通のクリーパーではないようだ。
    「それで、君だろう?リフォーム作業員募集の求人を見て来た子は?」
    「は、はい。そうなのですが…私、募集要項にありました
     自爆検定という資格を持っていなくてですね…」
    「ん?そうなのか。それは困ったなぁ…この仕事には必須の資格だからな。」
    「それで、よろしければその自爆検定の
     資格の取り方を教えていただきたいのですが…」
    「おぉなるほど!まずは、ということでここに来たのだね?いいだろう!
     やる気がある子みたいだし、特別にタダで教えてあげよう。」
    特別にタダで、ということは通常はお金が必要なのだろうか。それよりも、教えてあげる…?
    とか色々腑に落ちないところがあったが顔には出さず話の続きを聞いてみる。
    最初の鍛冶屋のおっさんに比べたらきちんと会話出来るだけで十分好印象だった。
    「私は自爆検定のインストラクターも務めていてね。
     本来であれば受講するのにダイヤモンドとエメラルドが50スタック必要だが」
    「えぇ?!そんなにかかるのですか?!
     そ、それだけ取得するのが難しいということなのでしょうか…?」
    想像の斜め上を行く受講料の高さだった。
    ダイヤモンドとエメラルドが50スタック、つまり、数年、下手すれば十数年は遊んで暮らせるレベルの受講料だった。遊んで暮らすために遊んで暮らせるだけのお金を集める、既に本末転倒気味だったが、ここで踏ん張れば夢の印税生活が始まる、そう考えれば頑張れなくもない……と思い、詳しくはなしいを聞いてみることにした。
    「んー難しいというより、取得する前にリスポーンの
     し過ぎでみんな気力が削がれてしまうんだ。」
    「へ…?リスポーンのし過ぎとは…?」
    「いうよりまずは慣れることだな。最初から自力で自爆することは
     出来ないだろうから、まずはこれを使って体を慣らそうか。」
    リスポーンのし過ぎ?自力で自爆??体を慣らす……?
    ゆかりの混乱など置いてきぼりにして、自爆検定インストラクターはソレを取り出した。
    「これは…?」
    「ダイヤモンドを超圧縮して作られた、特別なTNTだ。リモコン式になっていてね。
     これを使って、自分の体が内側から弾け飛ぶイメージとともに起爆させるんだ。」
    調子が出てきたのか、ノリノリで解説を続けるクリーパー。
    「それを何万回繰り返してるうちに、
     体が爆発の感覚を覚え、自爆できるようになる。」
    「は?い、言ってる意味が少しも理解できないのですが…」
    「まぁいいからいいから!考える前にまずは慣れだよ慣れ!
     最初のうちは起爆にも勇気がいるだろうから
     私が起爆してあげよう。ではいくぞー!」
    そう言ってササーッと距離を取るインストラクター。
    完全に反応が遅れたゆかりは、まだTNTの近くにいた。
    「え、いや、ちょま」
    静止の声も虚しく、

    ズドン!!!!

    ゆかりの体は弾け飛び、もはや肉片すら残らなかった。

    「…しまった。リスポーン位置を固定していなかったな。
     まぁ、やる気があればまた来るだろう。それまで、
     残っているリフォームの仕事を片付けねば!」

    そう言ってリフォームの匠は、家の爆破作業に戻っていった……。




    「う、うぅ…まさか、いきなり爆死させられるとは思いませんでした。
     あんなの繰り返してたら、慣れる前に自我が崩壊してしまいますよ…」
    自宅のベットで復活したゆかりは、意識がもうろうとしながらもなんとか体を起こす。
    「自爆検定は、簡単に取れる資格ではないようですし諦めるしかありませんね…
     今日は疲れたし、もう寝ましょう。お仕事探すのは、また明日から…」
    外を見れば既に夕暮れ過ぎ。今から募集先に行って帰ってくる時間は無いように思えた。

    決して心が折れたわけではない……はず。




    ----- 6 -----




    「はぁ…昨日はひどい目にあいました。本当、ろくな仕事がありませんね…」
    翌日、体の調子も回復したので、再び町の役場にやってきた。
    4つの募集のうち、既に3つがダメだった。
    願わくば、最後の一つがまともであるように。
    そう祈りながら、
    「残るは…これですか…」
    最後の募集に目を通す。


    『【助手募集だ!】
     給料:応相談
     約束された地を
     共に目指さん!』

    「助手募集。約束された地を共に目指さん!」
    (これは……)
    「なんでしょう…すごく、厨二臭いです…」
    厨二全開の求人募集をみて、ゆかりは苦笑いを浮かべた。
    「見るからに怪しいといいますか、
     何をする仕事なのかさっぱりみえないのですよね…」
    一抹の不安は残るものの、他の募集とは違った点があった。それは、
    「でも、お給料は応相談ですか。交渉次第ではいい条件で雇ってもらえるかも、ですね。」

    ”給料:応相談”の1文だった。他の募集は給料が明記されているか、そもそも仕事ですらないものだった。そのことを考えれば、まだ望みがある方ではあった。
    「しかし、昨日が昨日でしたから、あまり期待は出来ませんが…」
    ただしそれはあくまで比較の問題、この募集もろくでもない可能性は十分にある。
    「それでも、働かないことには生活できませんし…
     ダメもとで話だけでも聞きに行ってみましょうか…」
    鉄2個でエメラルド10個とか、印税生活でウハウハとかは言わないです。せめて、
    「せめて、働きたいと思える環境だといいのですが…」


    ゆかりは一縷の望みをかけて、一歩を踏み出したーー。



    結果的に、私はこの後、この求人主の元で働くこととなりました。

    この時の私は、あんな、不思議で、波乱万丈な
    日々を過ごすことになるなど、夢にも思っていませんでした。

    まぁそれは、また のちのお話 なのですが。




    はじまり。


    【あとがき的なもの】

    気づいたら前回の投稿から2か月経ってました……。
    仕事が忙しくなってまともに時間が取れず、ズルズルと年末まで来てしまった今日この頃。
    何気なくランキングを見ていたら「ゆっくりVSゆかり」なる、面白そうな企画を発見。
    で、ポチポチ見てたら、

    「ゆかりのちifストーリー」

    ん????

    まさか…と思って中身を見たらまさかの第1話のIfストーリー!
    そうと気づいたら第7話中断してコレ書いてました。
    すでに第1話のベースがあるので、割と書きやすかったのもあります。

    因みに小説版では第0章を追加して、ゆかりが教授に過去の話を語ってる、という風にしてみました。長引かせてもダレるだけなので、さくっと終わる0章ですが…。
    動画本編は第1章からです。


    執筆中の第7話は……年明けに投稿で来たらいいなぁ……。


    最後に、ツイッターフォロー、感想、お待ちしております。<m(__)m>


    次へ 第1話「ゆかりさん、働く」


    Twitter:@fei_kome

    ~~素敵な元動画様~~