ちょこっと思い付きを書いただけ【声劇】
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

ちょこっと思い付きを書いただけ【声劇】

2015-04-22 16:28




    声劇


    **************



    男「人間は良く例え話をしたがる。例えば自分がその立場だったなら、例えば自分がそこに居たのなら。
     しかし、どれだけ臨場感あふれる【もしも】の話しをしたところで、それは彼らの妄想に過ぎない。

     そう、それは全て【例えば】なのだから。

     では、それが実際に起こったとき人間はどう行動するのだろうか。
     【もしも】のときの自分など、全くもって、当てになどなるまい。

     なぜなら、それは全て【例えば】なのだから・・・」



    少女「ねぇねぇ、どうかな!私、似合ってる? 今日から小学生になるんだよ。
     似合ってる?ねぇ、似合ってる?」

    少年「あぁ、とても似合ってるよ。そうか、もう小学生になるのかー。大きくなったな」

    少女「えへへ。ねぇ、お兄ちゃん。学校ってどんなことをするところなのかな。
     いっぱい友達出来るかな。勉強難しくないかな、出来るかな。宿題っていうのもあるんでしょ?」

    少年「大丈夫だ、すぐに友達なんて出来るさ。勉強も宿題も、困ったときは教えてやるよ」

    少女「嬉しいな、嬉しいなぁ!私だって、1人でなんでも出来るようになるんだから!」

    少年「んじゃ、今度1人で夕飯でも作ってもらおうかな?」

    少女「それはまだ無理!やだ!お兄ちゃんのが食べたいもん」

    少年「はははっ、しょうがないなぁ。入学祝の料理は、腕によりをかけないといけないな!」

    少女「やったぁ!いっぱい、いーっぱい食べるんだから!」

    少年「その制服、着られなくなるくらい食べるのはやめとけよ?」

    少女「そんなにすぐに太らないもんっ」

    少年「あっははは」


    少女2「困ったわね・・・あんな幼い子にステッキが渡るなんて・・・でも、仕方ないわ。
     あの子にやってもらうしかないわね」

    少女「なっ、なに!? あなた誰なのっ」

    少女2「そのステッキの正統な持ち主よ。別けあってあなたの手に渡ってしまったようだけど。
     そうなってしまった以上は、あなたに頑張ってもらうしかないの」

    少女「私に何をしろって言うの!?」


    少年「最近寝不足みたいじゃないか。どうしたんだ?学校で何かあったのか?」

    少女「う、ううん、学校では何もないよ・・・」

    少年「学校以外で何かあるのか?友達とは仲良くやってるのか? 本当に大丈夫なのか・・・?」

    少女「大丈夫! ――っ、ごめんお兄ちゃん、私ちょっと行かないと!!」

    少年「あっ、おいこんな時間からどこに・・・!!」


    少女「・・・大丈夫、だって私は1人じゃないもの。そうでしょう?」

    少女2「今のあなたなら、そいつを倒すことだって出来るはずだわ。
     ステッキは使用者の魔力放出を手助けしてくれる。それがある限り、どんな強力な敵だって・・・」

    少女「倒してみせる!!」



    少女3「世界は願わくば、平和であってほしい。大体の人が、そう願っているでしょう。
     私も、願わくば。そうであってほしかった。

     だけど、そんなことが叶っていたのなら、誰も理不尽なんて言葉を生み出す必要もなかったでしょうし、
     正義の味方になんて、あこがれる必要も無かった。

     それでも、そんな幻想を抱くのは、世界は理不尽で、平等ではなくて。
     思惑と、ほんの僅かな人間の利益の為に出来上がっていて、醜くて、だけど時折尊い。

     もしも最初から希望がひとかけらもなかったのなら、空の青さなんて求める必要も無かったでしょう?」

    男「どれだけ【もしもこうであったなら】と願ったところで、それが現実になるわけもない。
     見せ掛けの幸せに縋ったところで、現実との差に辟易するだけであろう」

    少女3「無駄な事だと、最初から諦めていた者に、
     希望を与えることの方が、何よりの苦痛でしかないというのに。

     だからこそ、私は自分と同じ所に、引き入れてしまえばいいと、思うの」

    男「それもまた、ひとつの答えかも知れんな」

    少女3「あなたの同意が得られるとは思いませんでした・・・何か、他に考えでも・・・?」

    男「いいや、何もあるまい。
     絶望の淵に見た夢が一際輝いて見えるのは、それが得がたいものだと我々が理解しているからだろう。

     それとも君は、それ以上を望むというのか」

    少女3「ふふふ、何を言っているんですか?
     あなたも私も、同じ穴の狢でしょう・・・。違う、とは言わせませんよ・・・?」

    男「あるいは、な」

    少女3「・・・・・・私は、まだあなたの思い通りに、狂ってしまうつもりはありません。
     彼女のように、夢のような世界を生きたいとも思いません。

     私は・・・・・・・・・あら、私はいったい、誰だったんでしょうか・・・」




    少女「あの人は嘘つきだよ。昔から、嘘ばっかり。
     胡桃の冬芽の数だって嘘をつくし、私を迎えになんて来なかった。

     お母様はいつも私の中にいると言ったけれど、どこにもいないもの。
     だって私は、私は――」




    男「例えば、の話が一番輝くのは、恐らく妄想の中だけであろう。
     だがしかし、その妄想こそが、何よりも尊く、そして望まれる世界なのだと。

     そして叶わぬ夢だからこそ、人間は幻想を抱き現実から目をそむけるのだ。

     ふふふ、愚かしくも愛おしいではないか。
     そうは思わんかね? 諸君――これはあくまで、【例えば】の、話しだが、ね」




    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。