こんにちは~!
今回はライターの加賀美サイちゃんに寄稿してもらいました!
サイちゃんは以前、AMで連載していた「アルテイシアの恋愛デスマッチ」の『童貞マインド&毒親育ちで恋愛がわからない」王子様に片思い女子にカウンセリング』に登場してくれました。
https://am-our.com/love/218/15063/
その時に「精神的に童貞で恋愛がわからない」「毒親育ちゆえに相手の顔色を窺って、言いたいことを言えない」と悩みを話してくれた彼女。
そんな彼女が「信頼できるパートナーに出会って、童貞マインドを卒業できそうです!」と嬉しい報告をくれました。
こちらのコラムが、同じような悩みを抱える人の参考になれば幸いです。
加賀美サイ/作家ライター。性(ジェンダー)・エロ・精神障害・生きづらさ・恋愛・文学・芸術・サブカルに関するエッセイ、(私)小説を書く。ちなみにADHD/バイセク。
生まれつき精神が病んでいることが取り柄のフツーの女子です。
note:https://note.mu/psy_kagami
連載中: https://otona.howcollect.jp/m/user/index/id/76 …
twitter:@psy_kagami
■童貞マインドを卒業したかった私が、今のパートナーと出会って卒業見込みになった話/前編
皆さんはじめまして。ライターの加賀美サイです。
「アルテイシアの相談室」の読者さんと同じく、私もアルさんが大好き。
我々がRJ(老女)になった頃も愉快に暮らせるデンデラをアルさんが築いてくれる日が楽しみです(中高女子校の私はデンデラ入居希望者)。
そんな未来のデンデラ創設者たるアルさんから寄稿のお話を頂いたきっかけ……というかそもそも知り合えたきっかけは、自らの「童貞マインド」を粉砕したい一心にありました。
去年の5月ごろ、私はこんな内容の長文メールをアルさんに送りしました。
「童貞マインドの持ち主なので、恋愛が分からない。
毒親育ち故に、恋人に言いたいことを全く言えない。
本音で人と付き合えず、自己嫌悪が激しい。
とにかく、自分のクソ童貞精神が憎い!!!!
童貞マインドを卒業したいんです!!!!」
この相談メールを元に、AMで連載中の「アルテイシアの恋愛デスマッチ」でカウンセリングをして頂いた私。
カウンセリングを通じて、ひときわ大きく心に残ったアルさんの言葉がありました。
それは、「マッチングするパートナーに求める条件を3つに絞れ」!!
自分とマッチングする相手と出会うには、まずは自分の中のWANTSを確立させておこう。
自分が欲しいものを自分で分かっていないと、パートナーを選びようがないから。
この言葉を心に刻んだ一人の童貞(私)は、その約2ヶ月後に現在のパートナーと出会い、同棲することになります。
私が今の彼と出会った時期は、マッチングしたいパートナーに求める条件3つを決めた後のことでした。
私が決めた条件は次の通りです。
・信頼できる
・対話ができる
・社会的弱者に対して理解がある(ここでいう理解とは、「そういう人もいるんだ」という認知ができることを指す)
なんか人間として最低限のことばかり挙げてる感じですね(笑)。
でも、元彼とはこの条件が全く擦り合わなかったんです。
今の彼と出会うまでの私は、支え合って生きていけるような、心から信頼できるような男性との恋愛や結婚は、自分とは無関係だと思っていました。
こんなクソ童貞マインドの、クソメンヘラ女の自分は健全な恋愛関係づくりなんか出来ないし、素の自分でいられるような相手なんかいないし、幸せな恋愛や結婚なんか出来るはずがない。
ずっとそう信じていました。
小さな頃から母親に、
「お前は絶対に男と幸せになれないし、男に愛されないし、男に大切にされない運命だ」
と繰り返し言い聞かされて育ったことが、その要因です。
また、父親がDV・働かない・モラハラの三拍子男で、母親が暴力を受けているのを見て育ったことも無関係ではないでしょう。
父に「ブタ」と呼ばれたり、股に足をこすりつけられたりなどの精神的・肉体的虐待を受けていたことも、男性全般に対する不信感を植え付けられた要因です。
自分の思いや意見を主張することが暴力に繋がる家庭だったので、絶えず親の顔色を窺わざるを得ませんでした。
もうこれ以上傷つきたくなかった私が辿り着いた自衛法は、「人に無下に扱われても波風を立てないように笑って流し、自分の本当の思いは隠すように人と関わる」こと。
そうして幼少期から身に付けた自衛法は、いつしか私の生きる姿勢そのものになりました。
毒親由来で身に付けた生きる姿勢は、知らずのうちに自分の恋愛観にも影響し、「どうせ心から信頼し合える・支え合いたいと思える・素を出せる人となんか出会えるわけないから、恋愛について真剣に考える必要なんかない」
こんな価値観に転化していたんです。
呪いにかけられていました。
家庭環境や言葉によってかけられた呪いを解こうとせず、解いてくれる相手とも出会えず、自分で自分を呪いに縛りつけ続けていた。
その結果、好きな人や恋人、もっと広く言うと他人との健全な関係づくりが分からない、童貞マインドの持ち主になってしまったんです。
でも、今の彼氏と出会い、一緒に暮らしていくうちに、
「あれ……?なんか、私童貞マインド卒業見込みになってね?」
そう思えるようになっていました。
と、いうわけで!!
前置きが長くなり恐縮ですが、この記事では彼と出会ってから私に起こった変化、つまり童貞マインド卒業見込みになった話を書かせて頂きます。
が、その前に!!
ビフォー・アフターを紹介するにはビフォーが分からないとピンとこないでしょうから、人間として最低限の条件3つすら擦り合わせられなかった元彼との恋愛のドイヒーエピソードをお話しますね。
私と元彼は、同じ大学の同じサークルで、同級生として出会いました。
雰囲気や外見の好み「だけ」(今も外見が好みかは重視しますが当時は中身をガン無視していました)で人を好きになっていた私は、彼の人間性を掘り下げることなく告白。
2年間の片思いの末のOK、しかも初めての彼氏だったため、浮かれまくりました。
21歳から22歳まで1年半付き合ったんですが、元彼との恋愛を振り返って真っ先に浮かぶ言葉は、
「彼がどんな人物だったのか全く分からない」
という一言に尽きます。
彼は、無口な人でした。
それも、度を越した無口でした。
度を越した、というのは、口数が極端に少ないという意味に留まりません。
なんというか、メンタルまでもが度を越した無口だったんです。
「無口」というより「鉄仮面」という表現の方がしっくりきます。
彼は鉄仮面メンタル過ぎて、どんな感情や思想を持っている人なのか、皆目分かりませんでした。
元はサークル仲間だったので、他の人から話をふられても「うーん、どうかな」とかそんな言葉でかわしたり、皆で輪になって話していても一言も発さなかったりと、その鉄仮面ぶりは認識していたんです。
誰に対しても自分の感情や思い、考えを詳しく言おうとしない人でしたし、行動面でも同様でした。
でも男の中身を見ることを避けていた当時の私は、
「無口なところが渋い♡」
「付き合えば変わるハズ★」
と、のちに「童貞マインドべからず帖」に刻んだよくないポジティブ変換をしていました(そして華麗なまでに鉄仮面メンタル男と付き合うことの苦しさを味わうことになる)。
彼の鉄仮面メンタルぶりが窺えるエピソードを一部紹介しましょう。
・既読無視が通常運転
・LINEで即レスがあったことがほぼない。リアルタイムでやり取りできない。必ず一定時間放置される
・会話の返事は基本「わかんない」「どうかな」「うーん」「そうね」「まあまあ」のどれか
・彼→私への日常連絡やデートの誘いはほとんどナシ(常に私→彼)
・誕生日のおめでとうLINEが一度もナシ。私から言わないと何もしてくれないので「祝ってくれ」と毎年志願
・ドタキャン大魔王。約束の時間をだいぶ過ぎた後にドタキャンLINEが来た事例、デートの誘いそのものを既読スルーされた事例アリ
・家に来ても9割帰る。次の日予定がなくても帰る。「泊まってくれないのさみしいな」と言ったり、「どうして帰るの?」と聞いたりしても、返事ナシ。ガン無視。セックスだけして帰るのがルーティン
・旅行先などからお土産を買ってきてくれたことが一度もナシ(私は毎回彼にお土産をあげており、彼は当然のように受け取っていた)
・社会人1年目で仕事帰りに痴漢に遭ったことを話すも、慰めの言葉ひとつなく、心配してくれなかった。警察署にも私一人で行った
「そんなに気になること?」と思う部分もあるでしょう。
が、↑とは正反対の言動あふれる今の彼氏と付き合ってはじめて、「うっわ私めっちゃ傷ついてたんだ」と自覚できました。
でも、その頃の私は「彼はそういう男の子なんだからしょうがない★ワガママ言う女の子は嫌われちゃうぞ♪」と、自分に言い聞かせていました。
何度ドタキャンを食らっても「そうなんだ!楽しんできてね〜」「え〜残念!次楽しみにしてるね♪」と、物分かりのいいフリ。
セックスだけしてさっさと帰る彼にハグとキスをして「またね♡」と笑顔で見送るのがイイ女だと思ってた。
今ならば「不死身メンタルを偽装演出して、やせ我慢してたんだね」と素直に認められます。
そして、とうとうその日がやってきました。
別れの予兆です。
頑なに会ってくれようとしない彼に対してメンがヘラヘラになった私は「どうして会ってくれないの?私のことどう思ってるの?」と電話しました(会ってくれないんで。電話のアポも『2日後ならいいよ』という日付&時間指定でした)。
「俺は別れたい」
一言、そう告げられました。
「なんで?」
「……楽しくなくなった」
「なんで楽しくなくなったの?」
「……うーん。……わかんない」
ずっしりと胸にのしかかってきたものがデカ過ぎて、その場で受け止めきれなかった私は、「自分を見つめ直したいし、あなたとの関係も見つめ直したい。時間が欲しい」と言って、3ヶ月距離を置きました。
案の定、フラれて別れました。
フラれた日、私は彼にこう伝えました。
「あなたと離れてる間、気づいた。
私、あなたのこと全く信頼してなかったって。
一度もあなたに本音を話せなかった。
あなたには初めて言うけど、私は毒親育ちで、虐待も受けてたの。
不安障害と発達障害(ADHD)も抱えてて、治療が必要だって医者に言われてる。
職場にも発達障害者だって伝えたし、今は精神科のカウンセリングに通ってる。
私さ、こういう自分の背景とか抱えてるものの話、あなたに一度もしなかったよね?
恋人って自分に凄く近い存在だから、言ってもいいはずだよね?
でも、私あなたに絶対に言えなかった。
言ったら嫌われると思ってたから。
毒親育ちのメンヘラ女なんか面倒くせーって、見捨てられると思ってたから。
ただ、私は今自分の課題と向き合わなきゃいけないんだって思い始めてる。それがこの3ヶ月で考えたことだった。あなたは?」
自分の深刻な問題を彼に伝え、自分自身がこれから克服したいと思っていることを、私は恋人として、彼に誠意を込めて伝えたつもりでした。
それに対し、返ってきた彼の返事はこうです。
「…………うん、そうね。うーん、そうね……………」
真偽のほどは分かりませんが、毒親育ちは、自分の親のように自分を大切にしてくれない人を恋人に選ぶ傾向がある、という話を聞いたことがあります。
その話に一理あるのだとすれば、私は自分と親との関係を、見事なまでに元彼との間に再現していました。
自分を大切にしてくれない人に愛情を求め、見捨てられるのを恐れ、自分さえ我慢していれば傷つかなくて済む(暴力を受けずに済む)と思い込む。
そんな風に、親から受けた自己肯定感を育むことへの軽視や侵害が、見方によっては血縁以上に近い存在であるはずの恋人との間に再現されていたのです。
知らない間に身につけてしまった、主張しない・本音を言わない・貶められてもヘラヘラ笑って流す、という毒親からの自衛法の効力が、よりによって大増幅されてしまう人を、私は初めての恋人に選んだんですね。
まあ、私自身も同じ穴のムジナで、基本的に自分の意見や主張は隠して生きてきたし、他人に本音を伝えた記憶もほぼないので、ある意味私と彼は似ていたのかもしれません。
彼は最後まで彼自身の内面的なものを何も教えてくれませんでしたが、何かしら彼も人間関係において深刻なものを抱えていたのかもしれません。
でも、そんなこと知る由もないです。
唯一分かるのは、自分が恋愛ひいては他人との関係づくりにおいて、どんな問題と向き合っていかなければならないのか?
という課題の引き出し役が、元彼だった事実。
そんな元彼に、現在、嫌なことも楽しいことも共有できるパートナーとの暮らしを送れている私から伝えたいことがあります。
元彼よ、ありがとう。
男を見る目とは何か? 考えさせてくれてありがとう。
どんな関係性が不健全な恋愛関係を作るのか、身を以て教えてくれてありがとう。
何よりも、私をフッてくれて、ありがとう。
君が私をフッてくれなかったら、私は今の彼と出会えていなかったから。
だから、本当にありがとう!!!
さてと、鉄仮面メンタルクソ野郎のうんこエピソードはこの辺にしといて(フってくれてありがとうとは思ってっけど悪口は言い続けるかんな)、私は今の彼氏と、元彼のときとは正反対の恋愛ができています。
だからこそ童貞マインド卒業への道が見えてきたんですが、どんな付き合い方にシフトしたら卒業証書がチラつき始めたのか? 後編ではそのあたりをお話します。
―後編に続く!(同時更新しています)
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