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このままではモテるどころか、評価が下がっていく一方だ。
歩きながら必死に改善策を練る。
次のアトラクションは、ワールド内にある河を船で回るツアー『エキサイティングクルーズ』
ツアー中はたくさんのアトラクションを背景に写真を撮ることができ、ゆったり楽しめるので、家族客にも人気が高い。
結局何もアイディアが出ないまま、20人くらいのお客さんと一緒に俺たちは船に乗り込んだ。
「それでは出航しまーす!」
クルーのお兄さんの声とともに、船が動き出した。
「あちらに見えますのがーー」
お兄さんのガイドに合わせて乗客みんなが視線を送り、写真を撮ったりしている。
「ねぇねぇ、私たちも撮ってよ」
のぼりが俺と武志にスマホを押しつけてきた。
「俺撮るよ。武志も入れば?」
「いや、俺はいいよ。自分で景色撮りたいし。お前こそいいのか?」
「あんまり撮られんの好きじゃないから」
「ちょっとー、早くしないとマウンテンコースターが写らなくなっちゃうよー」
のぼりがせかす。
「わかったわかった、はい、チーズ」
景色が変わる度に船の前方に後方に動き回り、ポーズを変えて何パターンも撮影した。
「かつてこれほどまでにチーズと言った日があっただろうか…」
そんなことをぼやいていると、
「あーいいですねー!ステキな笑顔だ!はい楽しんで〜!」
俺の後ろで他のお客さんに写真を撮ってあげているクルーのお兄さんの声が聞こえた。
……
「健斗ーっ、次こっちー」のぼりが呼んでいる。
……
「その表情いいですね〜、もっとピースお顔の近くに〜、はいオッケーでーす!」
「そ、その表情いいね!ピース顔の近くに…オッケー!」
俺は背中越しに聞こえたままに2人に言葉をかけた。
"はい、チーズ"一辺倒だった掛け声が、クルーのお兄さんのマネをしたことで、
スマホ越しに写る2人が、なんとなく最初より笑顔度合いが増しているというか、より楽しそうにしているように感じた。
その後も写真を撮り続け、最後のスポットでは俺たち4人もクルーのお兄さんに写真を撮ってもらった。
船を降り桟橋を歩いていると、のぼりが伸びをしながら、
「はぁーっ、ただぐるっと回るだけかと思ってたけど、
写真撮ってたらだんだん楽しくなってきたよ〜」
「山城君、盛り上げ上手だね。」
久しぶりに、というか初めて、2人から評価を受けた俺は、
緩む表情を必死に抑えながら船着き場を後にした。
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