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小飼弾の論弾 #107 「秘密を守るコストと、書評『天皇メッセージ』」
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小飼弾の論弾 #107 「秘密を守るコストと、書評『天皇メッセージ』」

2019-04-18 10:50

    「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
    2019年2月5日(火)配信の「小飼弾の論弾」の後半をお届けします。

     次回は、2019年5月7日(火)20:00の配信です。

     お楽しみに!

    2019/02/05配信のハイライト(その2)

    • 秘密を守るコスト
    • GAFAと「個人情報の価値」
    • 中国は「Facebookしかない世界」
    • カナダの仮想通貨トラブル
    • 大量虐殺が引き起こした気候変動
    • 『天皇メッセージ』で語られた天皇の真意

    秘密を守るコスト

    【00:00:00】

    山路:ではダークウェブの話なんですけども。22億件のメールアドレスとかそういった情報とかかなり流出して、世の中の人で一つも自分の情報が流出してない人っていないんじゃないかっていう気が。

    小飼:いないんじゃないかという気がしますよね。

    山路:弾さんのデータも絶対入ってますよね。

    小飼:いやもう、それはもうだってWikipediaにだって個人情報ずいぶん書いてありますよ。僕がExplicitに公開していいよっていう情報以外も入っていますからね。たとえば生年月日とか。だから、それを公表していいよなんて誰にも言ってないですけれども、でも公然の秘密なので、そこはWikipediaに書かれちゃったことというのは、もう秘匿しようがないですよね。

    山路:これさっき弾さんがちょっと、どういうふうに情報を出すかとか、そういうことも大学なんかでは基本的なことを学ぶみたいなことを言いましたけど、これからこれだけ情報が当たり前に流出する時代に、皆なにを気をつければいいのかなというのが、どんどん難しくなってないですか。

    小飼:だからその意味で、アメリカ合衆国がやっているポリシー、永遠の秘密というのはない。秘密というのは、いつかバレるものだと。

    山路:もう個人に関してもそうなんだと。

    小飼:そう。たとえば住所がバレても、引っ越した後で、引っ越し先をトレースできないような形であれば、それはもうバレちゃってもいいわけじゃないですか。かつてここに住んでたというのは。

    山路:なるほどね。

    小飼:充分長い間、秘密にできればいいわけです。でもまず始めに問うべきは、それはそもそも秘密にするべきか。秘密にするのであれば、どれくらいの期間、秘密にするべきか。秘密を守る上で1番大事なことって、皆さん何だと思います?

    山路:え? 1番大事なこと?

    小飼:そう、秘密を守る上で、点で1番大事なこと。

    山路:何だと思います? コメントでなんか。1番と言われると何だろう? え? もうそれは何というか、書かないとか、人に言わない。でも人に言わないことだったら、サービスとか使えないこともあるわけだしな。

    「秘密を秘密にする」(コメント)
    「秘密にしないことは公開する」(コメント)
    「嘘をつく」(コメント)
    「本当の秘密は隠さず、嘘で公開する」(コメント)
    「選別する」(コメント)

    小飼:あのですね、存在そのものを悟らせない。そもそもそんな秘密がどこにある? っていう。そんなものがあるか? 世の中にあるのか? と。そもそも、隠すべきものがあるということを悟らせない。
     普通の人がそのレベルの秘密を持たなければいけないっていう状況になるかっていうと、それはちょっとあれなんですけども。その秘密を守ることが、その人にとってどれだけ大事かということなんですよ。だからバレた時に失われるものと、それを隠した、隠すコストっていうのを、ちゃんと天秤にかける。

    「個人だと浮気とか」(コメント)

    小飼:これがたとえば浮気でも、何でしたっけ? はあちゅうさんの旦那。

    山路:はい、しみけんさんでしたっけ?

    小飼:とかっていうのは、初めからするというのはわかっているので、致命傷にはなりにくいですよね。でもアメリカ人の場合というのは、ものすごい浮気に対して厳しかったりもするので、だから同じ浮気というのも、人によって違うわけですよ。そう隠さなければいけないレベルっていうのが。

    山路:浮気、バレちゃう人はそういう、その存在を気取らせないという覚悟が足りないのかもしれないですけどね。

    小飼:これ、またアメリカの事例なんですけども、ローゼンバーグ事件というのがありました。ローゼンバーグ事件というのは、要はアメリカの原爆の秘密をリークしたと。嫌疑がかかって、そうローゼンバーグ夫妻に。両方共、死刑になったんですけども。その時に冤罪じゃないか? と言われてたんですよ。

    山路:その時点で? 何年くらいなんですか?

    小飼:ずいぶん昔です。ちょっと待ってね。死刑判決が出たのが、1951年なので。

    山路:わりと戦後すぐなんですね。でも死刑は執行されちゃった。

    小飼:ってずーっと思われてたんですけども、機密公開されたら、確かにスパイだったんですよ。だから死刑というものが妥当かどうかっていうのはおいといて、冤罪ではなかったと。じゃあ、なんでそのことを秘密にしたのか。
     もしそれを公開すると、その証拠というのは、どうやって得たのか、その情報はどうやって得たのかと、それを隠したかったんですね。だから冤罪だという嫌疑も甘受したわけですよ。
     だから後ろ指を刺されるコスト以上に、その諜報ネットワークを守るっていうことを、当時の米国政府は優先したわけです。

    山路:へえ、もうそれは何というか、善悪の問題というよりは、それを重視したっていう事実っていうことですよね。

    小飼:そういうことです。でもこれもし永遠に秘密にしようとしたらどうなります?

    山路:そうか、結局検証され。

    小飼:そうだから秘密を秘密のまま保っておくというのもコストがかかるんですよ。
     秘密のコストっていう考えはこれ個人レベルでも応用が出来ると思います。たとえば宅ファイル便と他ではパスワードを変えるというのは、宅ファイル便のパスワードというのはバレてもしゃあないなっていう形はとれるわけですよ。

    山路:それを大抵、面倒臭がって皆やんないんですけどね。

    小飼:その面倒というのも、やっぱりコストですよね。だからあまりに回しにくいロックをつけちゃったら、それが億劫になってドアを開けっ放しにしちゃいませんか?(笑)

    山路:私は、有料の1Passwordっていうアプリを使っています。

    小飼:だからそれがバレると、あなたは何を失いますか? っていうのを常に考えていいと思います。というのか、それが根本だと思います。そう永遠の秘密はないというのと、秘密が秘密でなくなった時に、あなたは何を失いますか? という。

    山路:私はビビる性質だから、本当にパスワードマネージャーとか真剣に使いますけどね。

    小飼:秘密を守るというのもコストがかかりますよと。

    山路:はい。なんか有料のアプリ使ってるんですけど、月に300円位かかってますもんね。それですめば安いもんですけど。

    小飼:そういうコストだけではなくって。

    山路:心理的なものだったりとか、日々どれくらい自分の頭使うかっていう手間っていうことも含めたコストっていうことですよね。

    小飼:そうそう。じつは真実を真実のまま保っておくというのだって、コストがかかるわけですよ。たとえば、人間の記憶っていうのは、けっこう簡単に化けちゃいますよね。だから化けないように、保全するためにはどうしたらいいのかっていう。

    山路:すごく記憶力に自信のある人って、自分の頭で抱え込もうとして、でもそれって逆に他のことに使えるメモリが減っちゃうっていうことでもありますもんね。それは結局コストはかかってるんですよね。

    小飼:はい。

    GAFAと「個人情報の価値」

    【00:11:13】

    山路:じゃあちょっと個人情報絡みで、これも弾さんに聞きたいと思ってたんですけども、最近こうApple VS Google&Facebookのガチンコ対決っていうんですかね、けっこうガチな争いが。

    小飼:ガチというのか、ちょっとFacebook、ヤバいね。

    山路:これ、要はですね、AppleはApple Storeでこうアプリを配信するのに審査をやってるわけですけども、その抜け道を突いたっていうことなんですよね。GoogleとFacebookが。

    小飼:そういうことです、はい。

    山路:エンタープライズ契約、エンタープライズの契約で、そのアプリStoreで配信するということも出来るんですけども、その場合っていうのは、あくまでもその企業の社内で使うアプリを使用できるっていうような、そういう特別、特例といえばいいのかな、別のそういうプランがあるんですけど。FacebookとGoogleは、自分の社員じゃない人の情報を収集するために、そういうエンタープライズ特例みたいなことを利用して、アプリを配布してた。

    小飼:そういうことですね。

    山路:そういう個人のユーザーに対して謝礼を払って、すごい普通のアプリでは得られないような情報を収集してて、それに関してAppleが激おこで。

    小飼:ブロックしちゃったんですよね。

    山路:FacebookとGoogleが社内アプリ用に使っているライセンスも全部遮断して、GoogleとFacebookは社内アプリも使えなくなったという、これ相当すごいことじゃないですか。普段の業務に使っているアプリがもうぜんぜん使えなくなっちゃって、そこまでやるかね? というくらいの手段をとったと思うんですけど、これはAppleをやり過ぎと見る人もいるし。

    小飼:えー? それはないだろう。

    山路:Appleはあまりにも、その正義を振りかざしてないかみたいなふうにいう批判もちょっと出てたりもしたりする。Facebookがもちろんえげつないことをしてるというのは当然にしても。

    小飼:じゃあ中間の手段ってとれるの? この場合。中間の手段ってあるの?警告すればやめるの?
     これは警告じゃなくて、いきなり射殺が正しい。

     
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