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2014年10月第4週号
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2014年10月第4週号

2014-10-21 14:36
    めるまがアゴラちゃんねる、第114号をお届けします。
    配信が遅れまして大変申し訳ございません。


    コンテンツ

    ・今週の池田信夫
     アゴラ研究所所長、池田信夫のエントリーでアクセスが多かった記事、アゴラ・チャンネルの動画を紹介します。

    ・ゲーム産業の興亡(125)
    継続する「モンスターストライク」のヒット
    新清士(ゲームジャーナリスト)


    アゴラは一般からも広く投稿を募集しています。多くの一般投稿者が、毎日のように原稿を送ってきています。掲載される原稿も多くなってきました。当サイト掲載後なら、ご自身のブログなどとの二重投稿もかまいません。投稿希望の方は、テキストファイルを添付し、システム管理者まで電子メールでお送りください。ユニークで鋭い視点の原稿をお待ちしています http://bit.ly/za3N4I

    アカシックライブラリー(旧アゴラブックス)は、あなたの原稿を電子書籍にして販売します。同時にペーパーバックとしてAmazon.comサイト上で紙の本も販売可能。自分の原稿がアマゾンでISBN付きの本になる! http://bit.ly/yaR5PK 自分の原稿を本にしてみませんか?


    今週の池田信夫

    マルクス主義の亡霊
    http://agora-web.jp/archives/1617385.html
    歴史学研究会の声明が、ちょっと話題になっている。これは吉見義明氏もメンバーになっている唯物史観の学会なので、その主張は彼と同じく「女性の人権」を振り回す陳腐なナンセンスだが、科学運動というページがおもしろい。政府首脳と一部マスメディアによる日本軍「慰安婦...

    朝日新聞の第三者委員会の現状
    http://agora-web.jp/archives/1617540.html
    きのうの言論アリーナは、注目の朝日新聞の第三者委員会の委員になった田原総一朗さんの話。意外なのは、朝日の社内でまだ(社会部を中心に)徹底抗戦派が多数だという話だった。「強制連行はなかった」という点は彼らも認めるのだが、「強制性はあった」という。

    朝日新聞は北朝鮮の宣伝工作の尖兵だった
    http://agora-web.jp/archives/1612189.html
    きのうの言論アリーナの話は非常に複雑だったので、時系列的に整理しておく。
    1982年9月:清田治史記者が吉田清治の嘘を記事にする
    1983年11月:清田記者が「ひと」欄で吉田を取り上げる(慰安婦の話はない)...

    金がないと命も救えない
    http://agora-web.jp/archives/1615345.html
    先月27日のアゴラシンポジウムでは、政府事故調の委員長だった畑村洋太郎さんをまねいて、地震国日本のリスク管理を考えた。東日本大震災の教訓として学ぶべきことは多いのに、原発ばかりに関心が集中しているのは困ったものだ。

    平和憲法って何?
    http://agora-web.jp/archives/1616902.html
    今年のノーベル平和賞は、インドのマララ・ユスフザイさんなどが受賞しましたが、日本から「普通の主婦」が憲法第9条を保持している日本国民を申請し、受理されました。事前には「最有力候補」という話もあったようですが、候補は278もあり、これを「予想」したオスロ平和研...

    【アゴラVlog】真珠湾攻撃はルーズベルトの陰謀だったのか
    http://youtu.be/Xw7nZSnsEx4?list=UUJHLwoEJ55msgoxeiqJjOvA
    池田信夫氏のVlog(アゴラ読書塾「昭和史を考える 第2部」講義より)
    1941年12月8日未明、日本海軍が真珠湾のアメリカ太平洋艦隊を攻撃し太平洋戦争­が開戦しました。
    この真珠湾攻撃による日米開戦については、ルーズベルトの陰謀説や果てはコミンテルン­の陰謀説など、戦後70年経った今でも諸説語られます。
    果たしてこの戦争は、アメリカにとってみて戦略的に賢明と言えたのでしょうか? その必然性を考えます。


    特別寄稿:新清士(ゲームジャーナリスト)

    ゲーム産業の興亡(125)
    継続する「モンスターストライク」のヒット

    10月6日に、ミクシィは、スマホゲームの「モンスターストライク」の世界での累計利用者数が1400万人を超えたと発表した。ピンボールのように、自分のモンスターを引っ張り、画面内の跳ね返りやぶつかりなどを利用しながら、敵のモンスターを倒しながら進めていくというゲームで、RPGとしての育成要素も持たせている。昨年10月に国内での提供を開始し約1年で驚異的なダウンロード数を得た人気アプリとなった。

    調査会社AppAnnieによると、8月末頃から、日本のトップセールスランキングで、不動の1位だったガンホー・オンライン・エンターテイメントの「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」を抜いて、1位になるケースが増えており、今月は7日程度1位となっている。月商30億円は売り上げているとみられており、大ヒット状態が続いている。


    ■モンストは収益性にこだわり過ぎなかったことが成功要因

    結果論ではあるが、モンストが大きく成功した要因は、(1)無料で相当遊べるほどのボリュームを提供していること、(2)「4人対戦」を推奨する仕組みを展開したことで高校生などから口コミで急激に広がったこと、(3)ゲームがタッチパネルに適切なゲームシステムになっていたことといったことが上げられるだろう。

    モンストは、スマホゲーム全体の各社の戦略を大きく変えるきっかけとなった。現在、スマホゲームはDAU(1日にアクセスするユニークユーザー数)をいかに増加させるのかという点に力点が置かれた運営が行われるのが普通になっている。かつてのガラケー向けのソーシャルゲームでは、ガチャを通じて高額課金のユーザーを得るかという点に力点が置かれていたのと大きく違ってきている。

    スマホゲームは全体のユーザー数が、ガラケーよりも多く、多数のユーザーを抱えることがまず重要だと考えられるようになっているためだ。毎日プレイするユーザーを増加させ、その中で、数%の課金ユーザーがいるだけでも十分な収益が出るという考え方をする。

    仮にダウンロードしたユーザのうちの半分の700万人が毎日遊んでおり、そのうち2%が課金していると仮定しても、14万人になる。14万人が毎日1000円程度課金するだけで、月商は42億円になる。9月の売り上げの内訳はそれに近い状況であろうと考えられる。

    もちろん、収益の中心は、「ガチャ課金」と「モンスター」と戦っている際にゲームオーバーになったときに継続することをするかどうかを選択する「コンティニュー課金」の二種類だ。主に課金をしているユーザーは20代以降の社会人と考えられ、課金している数%のユーザーには月に数万円を課金する高額課金ユーザーも少なくないと考えられる。

    ただ、モンストは、ゲーム中のキャンペーンや、サーバトラブルなどが起きるたびに、「オーブ」と呼ばれるガチャなどをする際に必要となる通貨を無料でどんどん配布する。それもゲームの人気を広げた要因になっていると考えられる。


    ■モンストにとって成功要因となった4人対戦

    モンストは、他のユーザーを巻き込むことには、非常に力を入れている。口コミを引き起こした成功した要因は確実にいち早く4人で、顔を合わせている状態で一緒にプレイすることができるアドホック対戦の機能を入れたことにある。技術的には可能であることは、一昨年ぐらいの段階で考えていたゲーム会社は多かったようだが、ニーズと技術的ハードルを読み切れず、導入にまで踏み込まなかった。

    現在では、コロプラ「白猫プロジェクト」など他社も同じ機能を導入してきているが、昨年10月の段階で実現したのは圧倒的に早かった。それが、ゲームを遊ぶユーザーが多い高校生や大学生に爆発的な普及を促す要因になったと見られている

    その場でゲームをダウンロードして遊ぶことができるので、友達にインストールさせるのが非常に簡単だったというわけだ。ゲーム内でも、他のプレイヤーと一緒に遊ばないとクリアできないダンジョンが多く用意されており、十分にゲームを楽しむためには、他プレイヤーとのプレイはほぼ必須になっているとさえ考えてもいい状態だ。

    また、先月からモンストの人気を広げているのが、「LINEに対応したマルチプレイ機能」だ。これにより、LINEの友人であれば、場所の離れたユーザーとも対戦プレイができるようになったため、DAUの増加が見られ、新規ユーザーの獲得と、一度インストールはしたものの遊ばなくなっていたユーザーを呼び戻すことに成功したようだ。


    ■モンスト人気はいつまで続くか?

    「モンストの人気はいつまで続きますか?」と、最近聞かれることが多くなった。パズドラの人気がいつまで続くのかということも、私自身予測ができない。最近では、だんだんと陰りが出てきたようには思えるものの、それでもまだまだランキングでは1位か2位の状態が続いており、収益を生みだし続けているためだ。

    スマホゲームはヒットするゲームは上位集中をし、莫大な収益を生みだすという傾向は変わっていないが、1年でこれほどまでに状況が変わってしまうとはという驚きを隠せないというのが率直な感想だ。

    数多くのモンストに似た、ピンボール的なゲームシステムを持ったゲームは登場しているが、日本でモンストがナンバーワンの状態を続けている。人気の出る技術的なポイントも変化してきており、今から追従をしても、追いつけないだろう。


    □ご意見、ご質問をお送り下さい。すべてのご質問に答えることはできないかもしれませんが、できる範囲でメルマガの中でお答えしていきたいと思っています。連絡先は、sakugetu@gmail.com です。「新清士オフィシャルブログ」http://blog.livedoor.jp/kiyoshi_shin/ も、ご参照いただければ幸いです。

    新 清士(しん きよし)
    ジャーナリスト(ゲーム・IT)。1970年生まれ。慶應義塾大学商学部、及び、環境情報学部卒。他に、立命館大学映像学部非常勤講師。国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)名理事。米国ゲーム開発の専門誌「Game Developers Magazine」(2009年11月号)でゲーム産業の発展に貢献した人物として「The Game Developer 50」に選出される。日本経済新聞電子版での執筆、ビジネスファミ通「デジタルと人が夢見る力」など。
    Twitter ID: kiyoshi_shin

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