――'07年の創業から法人向けサービス『Sansan』を提供し、'12年から個人向けサービスとなる『Eight』を開始した背景を教えてください。
日比谷 実は創業時から、個人向けサービスの構想は常にあったのですが、スマホもクラウドも一般的ではない状況で個人向けサービスを提供するのは時期尚早と判断しました。まずは、ニーズの顕在化とマネタイズしやすい法人向けを提供し、環境が整ってきたところで個人向けを開始したという流れです。
――法人も個人向けも、オペレーターによる手入力がサービスの特徴ですが、その理由は?
日比谷 データ入力の精度を重視しているためで、OCRとの組み合わせなどの方法は今のところ予定していません。ただ現状では、入力スピードの面でユーザーさんの期待に応えられていない部分もあり、そこは改善していこうと考えています。
↑同社は法人向けには社名と同じ『Sansan』という名刺および顧客管理ツールを提供している。――アプリのUI/UXなどで、特にこだわっている点は?
日比谷 例えば、ARで凝った演出をするなど〝遊び〟の要素を追加することも技術的には可能です。しかし、名刺の情報をスマホで効率的に管理できることこそがユーザーにとって最重要の機能だと考え、極力シンプルなつくりにしています。Eightが目指しているのは名刺から新たなビジネスのつながりを生み出すことで、まずは基礎となる〝名刺のデータ化〟というステップをきちんと提供することが大切だと思っています。
――ユーザーからの要望の多い機能は何でしょうか?
日比谷 登録した名刺データをダウンロードし、メール配信やDM発送などに活用したいという要望ですね。それに応えるため、2月に有料の〝Eightプレミアム〟の提供を開始しました。名刺データをCSV形式でダウンロード可能になるほか、優先入力によるデータ化のスピードアップや全項目入力のサービスも提供しています。ユーザーからの反応も良好で、ダウンロードしたデータを活用するた
めのツールやサービスを望む声もいただいています。我々としてもそこは力を入れたいところで、他社サービスとの連携も含め、さまざまな可能性を探っていきたいと思います。
――最後に、今後のサービス展開について教えてください。
日比谷 ユーザーの利便性をさらに高める方法をいくつか考えていて、そのひとつが、PC用連携ソフト『Eight scan』でモバイルスキャナー『ScanSnap iX100』へ対応したことです。もうひとつは、昨年から開始した〝どこでもスキャン計画〟の拡充です。Eight専用スキャナーを開発し、提携の大手喫茶店チェーンやコワーキングスペースに設置することを計画しています。
↑Eight専用スキャナー(一般販売の予定なし)は各店頭に設置され、自分のスマホで読み取り結果をサーバーに送れる。続報に期待。関連記事
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