人間ド失格_殺人者の仔【閲覧注意】
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人間ド失格_殺人者の仔【閲覧注意】

2019-10-24 00:00
    蛙の子は蛙ではなくおたまじゃくし

    うまい表現で好きだ。私は好きだ、この言葉。言い得て妙、だ。そうであって欲しいし、そうであることが素晴らしく素敵なことだと思うんだ。

    おたまじゃくしは蛙になるのだろう、だが、アノ形。蛙らしい蛙にならないかも知れないじゃないか。足が生えてこなければ、尾がそのままであったなら…。そこに、私には一筋の希望がみえるんだ。だから、それだから、蛙の子は蛙でなくてもいい、そう思ってしまう。



    両親に捨てられた人間には、親を知らない者と知っている者がいる。

    毒親だった場合は知らぬが幸い、いくらか傷が少く済むだろうから。日常的に虐待を受け、死なない程度で育ってきた者がどんな人生を歩むのか、簡単に語れない。オゾマシイ体験談合戦になる。

    親を見て子は育つ、と言うが、これはまさしくそうだろう。どんな動物だって育て親に倣うのは当然、遺伝子さながら見事に似るものだと思う。誰に似たんだが、と愚痴る親の子ほどその子は親のことを良く知っていて、似てない素振りを見せる人前ではね。

    親子、家族、何故血縁で縛られるのかと、就学前から考えていた。こんなところは嫌だ逃げたい、冒険に出よう、一人でいろんなところで生きていこう、常にそう考えていたから叱られ出て行けと言われたら即座に家を飛び出した。だが、連れ戻されこっぴどく叱られ抓ったり叩いたりされたものだ。

    私を産んだ人の血縁に育てられ常に暴力を目の当たりにしてきた。隠れてアノ人はアノ人を蹴り続けていたのだろうけれど、蹲るアノ人をタンスに手をかけて蹴り続けるアノ人の姿を鮮明に覚えている。

    アノ人は、情深く人助けする人でホームレスに財布ごとくれるような人だった。葬式には一般人とは思えないようなメンツが続々参列し、近所でも有名な人だったようだ。

    だが、隠れてアノ人はアノ人を蹴り続けていた。

    いくら幼子と言えども、自分の居るところが普通でないことは知っていた。アノ人に蹴られ続けていたアノ人は日常的に叩く人で、言葉よりも手が、早く私へ届く。冬場でもよく玄関先で素っ裸にされ沸かしたお湯を混ぜつつホースで水を浴びせられ体を洗われた。小学生の頃などは砂遊び、公園で滑り台で滑っているのを見つかると、恐怖で足がすくんだ。喚き散らしながら捕まえにやってきて髪を引っ張られたまま家まで引きずり歩かされるから。

    アノ人達の子が私を捨てたのだから可哀想に思って育ててくれ、本当に可愛がって我儘に育てられたと、特にアノ人を蹴り続けたアノ人には特別に可愛がられていた、と親類には言われたが、覚えもない私には得体の知れない怖い人だった。だから、アノ人を見かけると私は路地裏に隠れたものだ。

    一体誰の記憶が正しいんだ。

    だが、怖い人だった、と思い出したのは、そうはっきりと認識しだしたのは大人になってからではないだろうか。そう思いたくなかったのだ、誰にも愛されず育ったと思いたくなかったのだ認めたくなかったからだ。

    アノ人を蹴り続けたアノ人よりも、アノ人に蹴られ続けたアノ人の方が恐ろしかったからだ。

    女だからか、口と手、が汚い。女独特の意地悪というか。アノ人を蹴り続けたアノ人がいないところでは特に…、口汚く罵られていたからだ。怖ろしく目ン玉をグリッと見開きツバを飛ばしながら、大袈裟に私を指しあらゆる俗語で罵る人だった。それに、陰部を触られのが苦痛だった。ここをよく洗え!よく洗え!汚い汚い!そう言いながら指で穴まで扱くように洗われた。痛かった、痛くて痛くてヒリついた陰部。

    理由はとうに知っていた。よくこう言われたからだ。

    「おまえはあのパンパンそっくりや!」

    私はパンパンから生まれた。だから、憎まれるほどに汚れている、そう教え込まれたしそれは至極当たり前に成功していた。


    私の陰部を汚いと扱くように洗ったアノ人の子は殺人に関与し実刑を喰らった。アノ人を蹴り続けたアノ人が召されて…どれくらい経ってからだろうか…。裁判所へ連れて行かれた記憶がある。後に、アノ人の子は私に話した、どうやって殺したのかをどれだけ愉しんだかを。

    手錠をシた人を初めて見た。



    蛙の子は蛙…なのだ



    ぼんやりと確信していた。さもあろう、アノ人達の子なのだから、人を殺すこともあるだろう、と。

    ならば。

    アノ醜悪な蛙に成り、いつか、蛙の子は蛙なんだと実証することになるのか、


    ワタシモ。
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