• 夕日の町

    2017-03-12 23:17

    【シナリオモチーフ】

    ・『やすらぎの館』藤子・F・不二雄
    ・『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』臼井儀人

    【注意事項】

     このシナリオには「服装の変更」や「幼児退行」などが含まれます。
     RP重視の方が楽しめますし、PLによってロスト率が著しく変動します。
     KPは「ロストさせたい」か「クリアさせたい」かを事前に考えておくとよいでしょう。
     シナリオの性質上、情景描写や台詞回しなどは原則としてKPに一任します。
     各々が思う古き良き時代、ノスタルジックな雰囲気、人物像を描写してください。
     死亡・SAN直葬によるロストは原則としてありません。

    【推奨】

     人数:2~4人程度
     技能:交渉系全般だが、無くてもなんとかなる。

    【概要】

     桜野町――心のケアを目的とした療養施設。
     そこは昔ながらの町並みを再現した、郷愁漂う優しい空間である。
     古き良き時代の家があり、生活があり、頼りになる大人達がいる。
     利用者達は、そこで童心に返って束の間の時間を過ごすわけだ。

     原則として、出入りは自由。

     飽きたのならいつ帰ってもいいし、逆に帰らなくてもいい。
     だのに多くの人間は、一度また一度と利用する度に後ろ髪を引かれ……。
     ついには、帰ってこられなくなるという。

     探索者達は既に帰れなくなってしまったNPCを連れ戻すため、この施設を訪れる。
     目的は「連れ戻す」ことであるが、PC達が望むなら「帰らない」こともできるだろう。

     ちなみに利用料は安い。フリーパスは少々お高い。
     しかし、一度フリーパスを購入してしまえば入りたい放題である。

    【ハンドアウト】

     キャラクター作成時(継続でも構わないが)に、以下のデータを決めてもらう。

    ・子供の頃に好きだった食べ物(家庭の食卓に出てくるもの)
    ・同じく好きだったお菓子・駄菓子(駄菓子の方が雰囲気は出ます)

     PC1~PC4にはそれぞれ「救出すべきNPC」がいる。
     これらNPCのデータはいずれも一例である。
     KPはこれらを好きに改変・新規作成して構わない。
     どのPCに、どのNPCを割り振るのかはKPが自由に決めてよい。
     OP(オトナポイント)に関しては後述のギミックを参照のこと。

    NPC1(OP:6)

     30代。職場の環境孤独な一人暮らし寂しさを感じている。

    NPC2(OP:5)

     50代。人から頼られる立場だが、誰かに頼りたいという欲求がある。

    NPC3(OP:6)

     40代。冷え切った家庭生活、子供の問題などに頭を悩ませている。

    NPC4(OP:8)

     20代。家庭内暴力いじめトラウマから脱しきれていない。

     共通項として、NPC達は全員が「幼児退行」している。
     自分が本当に小学生だと思っているし、彼らの目には互いがそのように視えている。
     これは探索者に対しても変わらない。

    【ケア施設・桜野町】

     童心に返って住み暮らすことで疲れた心を癒やす、というのが趣旨である。
     そのためのルールとして、

    ・持ち物は全て入館時に預ける(後で返してもらえる)
    ・子供服に着替える(年齢を問わず小学生の服装にされる)
    ・指定された「おうち」で暮らすことになる

    ※探索者達はこの「おうち」で一緒に過ごすことになる。

     これらが設定されている。
     この施設は概要で前述したように、一つの古い町を模している。
     時代背景としては昭和中期~後期。或いは平成初期であろう。
    (PLの年齢層によって、このあたりは調整してほしい)
     ただし、その情景は少しだけおかしいものだ。
     全ての建物や家具・調度品――果ては大人役のエキストラまでもが一様に大きい。
     これは利用者が「子供の視点」で生活できるよう設定されているためである。
     前述したように、この施設からはいつ帰ってもいいし、帰らなくてもよい。
     なおエキストラ達はいわゆる巨人症であると説明されている。

    【シナリオの流れ】

     このシナリオは朝・午前・昼・午後・夕・夜の6フェイズで構成されます。
     そのうち朝・昼・夜は食事やお風呂、就寝がメインの時間です。
     なので実質的に(安全に)行動可能なのは、午前・午後・夕方となります。
     基本的なことは以下に示しますが、当然の如く自由に行動してもらって構いません。
     ただし、あまりにも子供らしからぬ行動をしますとエキストラに叱られます。

    ・施設に行く(夕方の桜野町へ到着)
    ・おうちに集まった探索者は夕食を食べる。
    ・お風呂に入る。寝る。
    ・翌日の朝食を食べる。
    ・学校に行く/探索(遊び)に行く(日曜日だけの町、とするなら後者で良い)
    ・昼食を食べる(給食orおうちごはん)
    ・学校/探索(遊び)に行く
    ・おうちに帰る(夕食を食べる)
    ・お風呂に入る。寝る。
    ・翌日の……(以下繰り返し)

    【MAP】

    ・おうち
     探索者達が住み暮らす家。父と母のエキストラがいる。
     この両親にとって、探索者達は子供である。
     年齢に応じ、兄弟或いは姉妹として扱ってくる。
     そしてそれぞれを理解しようと務め、時に優しく、時に厳しく接してくる。

    ・NPCのおうち
     各NPCに一つずつでもいいし、一括に一つの家でもよい。
     やはりエキストラの父母がいて、NPCは幸せに暮らしているだろう。

    ・駄菓子屋
     エキストラのおじいさんが店主である。
     子供たちの――つまりは利用者の――憩いの場。

    ・小学校
     きちんと子供を見て、諭したり叱ったりしてくれる先生がいる。
     もちろん、時には一緒になって遊んでくれたりもする。
     家庭内で相談できないようなことも、嫌な顔一つせず聞いてくれる。

    ・幼稚園
     幼児退行が幼年レベルまで進んだ利用者達がここに通っている。
     もしかすれば、PCですらそうなる可能性はある。
     むろん救出対象のNPCとて、例外ではない。

    ・空き地
     子供たちの憩いの場、その2。主に男の子達の遊び場である。

    ・公園
     子供たちの憩いの場、その3。こちらは主に女の子達の遊び場。
     また小学生以下の園児らなどが、遊具で遊んでいることが多い。

    ・銭湯
     タイル絵の綺麗なお風呂屋さん。ケロリンと牛乳は標準装備。
     午後~夕暮れには、老若男女を問わず人が訪れ、賑わっている。

    ・町の出入り口
     桜野町から現実へ帰還する場所。
     入ってくる人間の数は多いが、出て行く人間の数は……。

    【ギミック】

     探索者達にはシナリオの最初に「10P」のオトナポイント(以下OP)が与えられる。
     このOPはSANやPOWなどのようなもので、幼児退行の程度を表すものである。
     減少イベントや救出NPCの説得の際にはOP×5(最大値50)でロールする。
     OPの減少に応じて、探索者やNPCには以下のようなことが起こる。

    ・自分や他利用者が服装に相応した姿に見えるようになる(-2)
    ・自分や他利用者が本当にここで暮らしている小学生なのだと思い込む(-4)
    ・幼児退行が進み、自分は園児なのだと思い込む(-6)
    ・更に退行が進み、辿々しい幼児言葉しか話せなくなる(-8)
    ・自らは赤子である、として一切の思考が停止する(-10)

     このOPを回復させる手段は「外に出る」ことのみである。
     桜野町の外で一日過ごす度、1D3だけOPが回復する。
     ただしNPCのOPは、この限りではない。
     NPCの回復には「帰るよう説得する」OPロールに成功する必要がある。
     このときの基本回復値は1+1D3である。
    (KPはロールプレイの内容によっては、ボーナスを与えてもよい)
     また、NPC達のOPは一日が終わる毎に-1ずつ減っていく。 

    【OP減少イベント】

    ・大人(エキストラ)に叱られる(-2)
    ・夕食の席にPCの好きなものが出る(-1)※1D(PL数)で決定するとよい
    ・おやつの時間/駄菓子屋で好きなお菓子を食べる(-1)※おやつの場合、同上
    ・PLが「減らしてください」と自己申告をした場合(-1)

    【クリアの方法】

     NPC達を捕まえて外に出してしまえば、基本的にクリアである。
     ただしNPCのOPが8以下の場合、彼らは幼児退行により精神病院に通うことになる。
     8以上に回復させてから外に出た場合は社会復帰が可能となる。
     ――それが、彼らの幸福かどうかはともかく。

    【真相】

     帰れない利用者は、本当に帰りたくないから帰れないのである。
     彼らの多くは社会や生活、或いは人生そのものに疲れ切っている。
     だから自分が子供に戻り、無条件に愛され、許される世界に耽溺しているのだ。
     それが現実逃避の結果であれど、彼らは幸せなのである。

     施設の母体となっているのはシュブ=ニグラス系列の団体……かもしれない。
     或いは人を堕落させようというニャルラトテップ系列の何か、かもしれない。
     エキストラはおそらく神話生物であるし、おぞましい怪物が化けているのかもしれない。

     しかしながら探索者達にとって、そんなことは重要ではないだろう。

     この施設の優しさに溺れるか、未来を見据えて脱するか。
     その二択を迫られているのはNPC達と何ら変わりないのだから。


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  • 【CoC】シナリオに思うこと【雑感】

    2016-12-23 01:12

     かつて、周囲でシナリオ不足を嘆く声があがったとき、
    「じゃあシナリオの製作講座でもやろうか……」
     そんなことを、つらつらと考えたことがありました。
     はい、考えただけです。やってません。思うところあって取りやめたんですね。
     今回はそのあたりの死蔵ネタや思うところについて、つらつら書いてみようと思います。


     さて、まず最初に断言しておきますが。

     シナリオを作成すること自体は、ごく簡単にできるものです。

     それこそインスマス探偵の人だとか、どこぞのTRPGお化け様だとかがご自身のブロマガで述べているように――簡単な作り方といいますか。
     シナリオを作るためのコツ、のようなものは確かに存在しております。
     やろうと思えばササッと作れる。これは現実の手法としてあるわけなんですな。
     例えば、そのあたりのことでよく言われるのは、
    (我々はプロではないのだから……)
     という戒めであり、かつこれを自覚をしておこうね、てなことなのですけども。
     ぶっちゃけ、これは(私の解釈からすれば)

    「一から綿密に作ろうとするな」

     こうした定石に繋がるものなんですね。
     実際、このことを念頭に置いておけば、それだけで随分と楽になります。
     素人が、やれ推理だギミックだ面白さだと考えていっても、キリがないんですよ。
     そもそも様々な要素を組み合わせ・想像していくだけで、

     遊ぶに足り得るシナリオは作れます。作れちゃうものなんです。

     シナリオという単語を思い浮かべるだけで「難しそう」だと感じる人は多いかと思いますし、私とて「そういう気分」にはついついなりがちであるんですが……。

     実際のところは、そう難しいものではありません。

     なんでかって――あえて語弊のある言い方(個人の解釈)をしますけれども、

     TRPGって要は「ルールのあるごっこ遊び」なんですよ。

     むろんシステムによっては、そのルールが保証してくれるシステマチックな部分が肝だったりはしますけども、基本原則という意味ではそのシステムも大差はありません。
     何故ならTRPGってのは ○○ごっこするもの、この指とーまれ! てなものなんです。
     勇者ごっこというなら、パッと思いつくのは『ソードワールド』あたり。
     超能力者ごっこというなら『ダブルクロス』なんかがそうでしょう。
     陰陽師なら『鵺鏡』があるし、妖精さんなら『ウタカゼ』がある。
     大人気の『CoC』というなら、探索者や狂信者ごっこ……というようにです。
     それらをより面白く、没頭できるようにして遊びたい。
     だからこそのルールなわけですし、データでもあるわけですね。
     もちろん、ここで私が言いたいことは、

     TRPG=ごっこ遊び=つまり児戯?

     ということではありません。

     何がしたいのかを明確にさえすれば、人が集まってくる。
     その基本構造が、ごっこ遊びと同じように確実に存在している、ということなんですな。

    「私は○○ごっこがしたいッ! 誰か一緒に遊ぼうぜえええええッ!」
    「俺もやりたい! 具体的には△△のポジションで××って言いたい!」
    「僕も僕も!」

     これは一例ですが、非常にわかりやすいことじゃないかと思います。
     実際、テンションが上がってさえいれば、大人でも概ねこんなものだったりします。
     なのでこのことを踏まえると、シナリオを作る際に重要なのは、

    「みんなと○○ごっこがしたいなぁ……」

     という動機になってくるとも言えるわけですよ。
     好きなドラマなり映画なりアニメなり、モチーフは山のようにありますから。
     美少女なり、格好いいおっさんなり、テンプレのような会話なり、色々あるわけです。
     だからこそですね、シナリオを作るのは簡単なんです。

     PL「杉○右京、マジ格好いいんですけどぉ……」
     KP「じゃあ、例の刑事モノみたいなシナリオにしましょうねえ」

     これだけで、大体どーいうシナリオを作るかの方向性は決定します。
     ましてここまで決まってしまえば、シナリオの製作者は、

    「○棒みたいな刑事モノやるぜ!」

     ……なんて、うっかりと卓仲間に言うだけでいい。

     これだけで、だいたいみんな何をして遊ぶのか瞭然となります。
     熟練刑事・新米刑事・鑑識・元同僚の探偵……なんてハンドアウトを用意してあげると、ここぞとばかりにキャラ設定だの口調だのを妄想し始めたりもするでしょう。
     これで掴みはバッチリというわけです。
     大丈夫、その「ごっこ遊び」をしたくない人は(普通は)そもそも参加しません。

     あとは刑事モノということなので、殺人事件のお約束――犯人・被害者・目撃証言など――を用意してやれば、シナリオの殆どは完成するわけです。
     ましてこれらも全部、わざわざ考える必要はありません。
     好きなエピソードなり、作品なりから、ありがちなものを拝借してくるだけでいい。
     ああ、密室殺人などのギミックを「やりたいけれど、思いつかない」場合も簡単です。

     神話生物とかモンスターとか魔法とか。
     魔術師とかアーティファクトとか神サマとか。
     そういうものを代役として用意してくれば事が足ります。


     大抵のシステムには、超常現象か非日常が設定されております。
     或いは常識そのものが「剣と魔法」であったりするわけですから。

     なので、困ったことは全部、超常系の仕業であるとすればいいんですよ。


     それはそのままトリックにもなりますし、ギミックにも成り得ますから。
     まとめていきますと、

    1:遊びたいシステムを決める。
    2:そのシステムを使って遊びたい「○○ごっこ」を設定する。
    3:PL連中に「○○ごっこしようぜ!」と伝える。
    4:必要ならハンドアウトを配布して、より雰囲気を明確に。
    5:MAPとかNPCとかアイテムとか用意しましょう。
    6:黒幕? 真相? たぶん悪い魔法使いか、神話生物のせいだよ!

     だいたいこんな感じです。
     TRPGにおいて、シナリオとは雰囲気・筋書き・状況設定さえあればいい。
     芝居台本を用意するわけではないので、非常にコンパクトなものでOKなんですな。
     なんと言っても、物語の中身はPLの皆さんが勝手に作ってくれますので。
     エンディングだって、PLと一緒になってその場で作っちゃえばいいんですよ。

     というわけで、ですね。
     このようにシナリオを「作る」だけなら、非常に簡単なものです。
     もしクオリティを求めたいというのなら、それはもう「慣れる」しかありません。

     文筆・会話・演技・即興……
     このようなスキルは、全て「慣れ」からくるものです。

     皆さんの周囲には、やたら卓を回すのが――面白い卓を創り上げるのが――上手なKPさんやPLさんがいるかもしれませんが、それらも「積み重ねた経験によるもの」です。
     そこのところを忘れず懲りずに、卓の回数を愉快に重ねていきたいところですね。




    【――以下、蛇足めいた思うこと――】

     繰り返しになってしまうのですが、TRPGは「ごっこ遊び」です。
     目の前の人間と場を共有し、共に遊び、盛り上がる。
     それはひとえに、リアルな人間関係に基づいた遊戯である、という証左でもあります。
     なので、KPやPLの心にクリティカルヒットを放った方が――或いは、自分に向けて放たれた方が――面白くなる、というのは当たり前のことなんですね。

     おれによし、おまえによし、全部よしってなもんで。

     理想的な卓というのはそういうものです。
     CoCのルールブックをお持ちの方は、ちょっと紐解いてみてください。
     30P『プレイヤー間の協力』という項目に、きちんと書いてあります。

     TRPGは、社交そのものである。
     ロールプレイをすることは、複数の人間が集まって共同の世界を築くことだ。
     一人で想像するよりも、ずっとフレッシュで豊かな世界が開けるはずである。

     当たり前の文言ですが、とても重い金言ですな。
     TRPGは「ごっこ遊び」ですが、遊ぶ人間はけして幼児ではありません。
    (幼児の頃から家庭内で親や親戚と遊んでいる、という人もいるかもしれませんが)
     ゆえに、だいたいは気性の合う仲間同士、友人連中でつるんでやるものです。
     昨今はネット環境の発達によって、見ず知らずの人と卓を囲む時代になりましたが、

     だから、なおのこと「社交のスキル」が求められる。

     自分が何をやりたいのか。相手がどういうことをしたいのか。
     それを最低限、互いに気遣った上で場の空気を読み、
    「みんな仲良くはっちゃけて遊びたいね」
     というのは、どうしたところで意識せねばならなくなってくるんですね。
     卓を囲んで遊ぶ以上、納得できないことはいくらもあることでしょう。
     なんたって、目の前で対応してくれているKP・PLは生身の人間です。
     個人差は当たり前のようにあるし、思考や気性の合う・合わないだってある。
     であればこそ、言って(やって)許される分水嶺は見極めておかねばならない。
     なんといっても大抵の場合、TRPGのシステムは、

    「目の前の『生身の人間』と、仲良く気安く遊べる方が楽しい」

     このことを前提として設計され、世に提供されているものですから。
     自他がストレスを抱えぬよう、心を配って遊ぶゲームなのだと考えた方がいいでしょう。
     自分勝手になりすぎてもいけないし、卑屈になりすぎてもいけない。
     そういう意味では、ひたすらに良い人間関係を構築していくこと。
     これこそが、TRPGにおける最良の攻略手筋……なのかもしれません。


     まぁ趣味が合うほうが楽しいし、かつ仲良くなった方がお得ですよってことで。
     ついでに言うなら、人間はイラッとくればぶん殴りたくもなるもんです。致し方なし。
     言っちゃえば、ただそれだけの話っちゃそうなんですが、これが存外にむつかしいんですなー。


  • 蘇る魚人症

    2016-04-02 06:06

    ――胸糞シナリオです。ご注意ください。

    「CoCは、ラヴクラフト御大の作品群を根幹とするものである」
     その思いを新たにし、勢いで書き上げたものです。
     例によってシナリオというよりも、フックに近い構成です。
     流用・改変などは、ご自由にどうぞ。

    【注意事項】

     PL人数は3人~4人を推奨。
     キャラクターロストの可能性有り。
     戦闘は(発狂を除けば)発生しない。
     神話生物や魔術師は登場しない。

    【推奨ハンドアウト】

    ※PC達(NPC含)は全員、親しい間柄であることが望ましい。

    ・PC1:NPCの配偶者

    ・PC2:PC1の義弟/義妹など(NPCの血縁者)

    ・PC3:医療関係者

    ・PC4:職業は問わない(関係性/親しい友人)

    【推奨技能】

     図書館 医学 人類学 精神分析 など

    【NPC】

    ・奇病の罹患者

     探索者との関係は「患者」或いは「知人」である。
     セッション中、このNPCの奇病は、徐々にステージが進行していく。
     ステージ5に到達すると、このNPCは窒息死してしまう。

     ステージ1:身体の一部に「鱗」が疎らに生えている。
     ステージ2:件の「鱗」が増殖している。手足の指間に「水掻き」が生じる。
     ステージ3:ほぼ全身を「鱗」が覆う。首筋に「エラ」が生じる。
     ステージ4:頭部の変形しカエルのようになる。殆ど魚人そのもの。
     ステージ5:完全な魚人。陸上では呼吸困難から死に至る

    ・PC1の配偶者(PC2の血縁)

     PC1の夫/妻であり、かつPC2の血縁者。
     過去、献血に協力したことがある。
     奇病の原因であろう情報をこのNPCに告げた場合、自殺してしまう。

    ※このNPCとPC1の間に子供がいるかどうかは、自由にしてよい。

    【筋書き】

     ――皮膚に鱗やエラのようなものが浮かび上がる。
     ――やがて、呼吸困難を引き起こして死に至る。
     ――まるでポンプを停められた、水槽の魚のように……。

     そのような病が、世間を騒がせ始めている。
     探索者の身の回りにも、この奇病の罹患者(NPC)が現れた。
     探索者達はこの奇病の正体を突き止めるべく行動を開始する。

    【情報】

    ・奇病の前例

     アメリカはマサチューセッツ州・エセックス郡にて1846年に確認されている。
     インスマスという漁村では、住民の半数がこの奇病で死亡したという。
     医療記録などは残されておらず、インスマス自体も過疎化で消滅している。

     日本の東北地方に「蔭洲升」なる寒村が存在するという情報も得られるが……。
     こちらは前述の奇病を題材にした都市伝説であり、実在のものではない。
    (むろんKPの好みによっては、実在するとしてもいい)

    ・奇病罹患者の共通項

     一ヶ月以内に何らかの理由で輸血を受けている。

    ・輸血した血液について

     原因と断言できるような情報(証拠)は出ない。
     ただし、輸血に使用された血液が誰のものであるかは調べられる。
     PC2とその血縁者(NPC)の血を受けたものは、全員が罹患していると判明する。

    ・奇病の研究

     症例と酷似する魚人を扱った学術論文(後述)が存在する。
     水棲人類は異種交配――人類との交配が可能であると記される。
     むろん、その混血児の身体特徴なども事細かに描写されている。
     これをPCが読んだ場合、
    「水棲人類なるものが、本当に実在するのではないか」
    「交配せずとも遺伝子情報が体内に入れば、混血化するのでは」
     という疑念を抱くことになる。

    ・奇病からの回復

     罹患者(NPC)の奇病は、PC1の血縁者(NPC)が自殺すると快癒する。
     つまり血液の提供者が死亡すれば、その影響から開放される。

    【SAN減少】

    ・PC1とその血縁者(NPC)の血液が異常の原因だと知ってしまう(1D6/2D6)

     奇病の罹患者において共通しているのが、
    「PC達の血液を輸血されたこと」
     であると判明した場合に行うSANチェック。

    ・水棲人類なるものの存在を知る(1/1D4+1)

     後述の学術論文を読んだ(情報を取得した)際に発生。

    ・PC2やその血縁者(NPC)が純粋な人間ではないことを知る(1D10/2D10)

    「PC2とその身内の血液が奇病の原因であると判明する」
    「後述の学術論文を読んでいる」
     これら両方を満たした場合に、発生する。

    ・PC1の血縁者(NPC)の自殺(1/1D6)

     前述の通り、輸血に関する情報を知らせると自殺してしまう。
     これを阻止するには、目を離さずに行動を共にするしかない。

    ・罹患者(NPC)の回復(1D10/2D10)

     前述の血縁者の死亡によって、罹患者はたちまちに快癒する。
     つまり治療するには「血液提供者が死ぬしかない」と判明する。

    【学術論文と著者について】

    『ルルイエ異本を基にした後期原始人の神話の型の研究』

    (原題:An Investigation Into the Mythpatterns of Latterday Primitives With Especial Reference to the R'lyeh Text)

     著:ラバン・シュリュズベリィ(Laban Shrewsbery)

     1900年代初頭、アメリカで著された学術論文。言語は英語。
     シュリュズベリィ博士が上梓した最後の論文である。
     公表から70年以上経過している為、著作権は既に喪失している。
     その為、インターネット上の論文サイトにアクセスすれば誰でも閲覧が可能である。
     原稿そのものはミスカトニック大学にて保管されている。

     東アジア圏における原始宗教とその神話について事細かに述べられている。
     題名通り、ルルイエ異本なる書物が参考文献として挙げられているが、
    「原本は人類以前の言語で書かれている」
    「ムー大陸、及び水棲人類の実在を仄めかす」
    「水棲人類の血脈(予想)分布図」
    「彼らの信仰対象である“Cthulu”という神について」
     ……など、その内容は荒唐無稽さが際立つ。
     身に覚えがある者ならいざ知らず、常人にとっては絵空事であろう。

    ・ラバン・シュリュズベリィ博士

     その当時、哲学・人類学の分野における権威であると目されていた人物。
     ただ、晩年は隠秘学や神智学などに深く傾倒し、奇行が多かったと伝えられる。
     放浪癖(隠遁癖)があり、何度か行方知れずになることもあったという。
     1938年以降、消息を断つ。(その後、既に死亡したものと判断された)
     未完の論文に『ネクロノミコンにおけるクトゥルー』がある。
    (原題:Cthulhu In the Necronomicon)
     こちらもミスカトニック大学に保管されている。
     未完ゆえか、現在のところデジタルデータ化されていない。

    【クリアの報酬】

     基本的に、用意されていない。
     もし報酬を用意したい場合は、エンディングの描写で、
    「探索者は心の傷を癒やすため、長い休養を余儀なくされた」
     という理由などをつけて、メンタルケアに時間を費やした――と、すればよい。
     その後、KPは報酬として適当だと思える回復量を提示すること。