夕日の町
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夕日の町

2017-03-12 23:17

    【シナリオモチーフ】

    ・『やすらぎの館』藤子・F・不二雄
    ・『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』臼井儀人

    【注意事項】

     このシナリオには「服装の変更」や「幼児退行」などが含まれます。
     RP重視の方が楽しめますし、PLによってロスト率が著しく変動します。
     KPは「ロストさせたい」か「クリアさせたい」かを事前に考えておくとよいでしょう。
     シナリオの性質上、情景描写や台詞回しなどは原則としてKPに一任します。
     各々が思う古き良き時代、ノスタルジックな雰囲気、人物像を描写してください。
     死亡・SAN直葬によるロストは原則としてありません。

    【推奨】

     人数:2~4人程度
     技能:交渉系全般だが、無くてもなんとかなる。

    【概要】

     桜野町――心のケアを目的とした療養施設。
     そこは昔ながらの町並みを再現した、郷愁漂う優しい空間である。
     古き良き時代の家があり、生活があり、頼りになる大人達がいる。
     利用者達は、そこで童心に返って束の間の時間を過ごすわけだ。

     原則として、出入りは自由。

     飽きたのならいつ帰ってもいいし、逆に帰らなくてもいい。
     だのに多くの人間は、一度また一度と利用する度に後ろ髪を引かれ……。
     ついには、帰ってこられなくなるという。

     探索者達は既に帰れなくなってしまったNPCを連れ戻すため、この施設を訪れる。
     目的は「連れ戻す」ことであるが、PC達が望むなら「帰らない」こともできるだろう。

     ちなみに利用料は安い。フリーパスは少々お高い。
     しかし、一度フリーパスを購入してしまえば入りたい放題である。

    【ハンドアウト】

     キャラクター作成時(継続でも構わないが)に、以下のデータを決めてもらう。

    ・子供の頃に好きだった食べ物(家庭の食卓に出てくるもの)
    ・同じく好きだったお菓子・駄菓子(駄菓子の方が雰囲気は出ます)

     PC1~PC4にはそれぞれ「救出すべきNPC」がいる。
     これらNPCのデータはいずれも一例である。
     KPはこれらを好きに改変・新規作成して構わない。
     どのPCに、どのNPCを割り振るのかはKPが自由に決めてよい。
     OP(オトナポイント)に関しては後述のギミックを参照のこと。

    NPC1(OP:6)

     30代。職場の環境孤独な一人暮らし寂しさを感じている。

    NPC2(OP:5)

     50代。人から頼られる立場だが、誰かに頼りたいという欲求がある。

    NPC3(OP:6)

     40代。冷え切った家庭生活、子供の問題などに頭を悩ませている。

    NPC4(OP:8)

     20代。家庭内暴力いじめトラウマから脱しきれていない。

     共通項として、NPC達は全員が「幼児退行」している。
     自分が本当に小学生だと思っているし、彼らの目には互いがそのように視えている。
     これは探索者に対しても変わらない。

    【ケア施設・桜野町】

     童心に返って住み暮らすことで疲れた心を癒やす、というのが趣旨である。
     そのためのルールとして、

    ・持ち物は全て入館時に預ける(後で返してもらえる)
    ・子供服に着替える(年齢を問わず小学生の服装にされる)
    ・指定された「おうち」で暮らすことになる

    ※探索者達はこの「おうち」で一緒に過ごすことになる。

     これらが設定されている。
     この施設は概要で前述したように、一つの古い町を模している。
     時代背景としては昭和中期~後期。或いは平成初期であろう。
    (PLの年齢層によって、このあたりは調整してほしい)
     ただし、その情景は少しだけおかしいものだ。
     全ての建物や家具・調度品――果ては大人役のエキストラまでもが一様に大きい。
     これは利用者が「子供の視点」で生活できるよう設定されているためである。
     前述したように、この施設からはいつ帰ってもいいし、帰らなくてもよい。
     なおエキストラ達はいわゆる巨人症であると説明されている。

    【シナリオの流れ】

     このシナリオは朝・午前・昼・午後・夕・夜の6フェイズで構成されます。
     そのうち朝・昼・夜は食事やお風呂、就寝がメインの時間です。
     なので実質的に(安全に)行動可能なのは、午前・午後・夕方となります。
     基本的なことは以下に示しますが、当然の如く自由に行動してもらって構いません。
     ただし、あまりにも子供らしからぬ行動をしますとエキストラに叱られます。

    ・施設に行く(夕方の桜野町へ到着)
    ・おうちに集まった探索者は夕食を食べる。
    ・お風呂に入る。寝る。
    ・翌日の朝食を食べる。
    ・学校に行く/探索(遊び)に行く(日曜日だけの町、とするなら後者で良い)
    ・昼食を食べる(給食orおうちごはん)
    ・学校/探索(遊び)に行く
    ・おうちに帰る(夕食を食べる)
    ・お風呂に入る。寝る。
    ・翌日の……(以下繰り返し)

    【MAP】

    ・おうち
     探索者達が住み暮らす家。父と母のエキストラがいる。
     この両親にとって、探索者達は子供である。
     年齢に応じ、兄弟或いは姉妹として扱ってくる。
     そしてそれぞれを理解しようと務め、時に優しく、時に厳しく接してくる。

    ・NPCのおうち
     各NPCに一つずつでもいいし、一括に一つの家でもよい。
     やはりエキストラの父母がいて、NPCは幸せに暮らしているだろう。

    ・駄菓子屋
     エキストラのおじいさんが店主である。
     子供たちの――つまりは利用者の――憩いの場。

    ・小学校
     きちんと子供を見て、諭したり叱ったりしてくれる先生がいる。
     もちろん、時には一緒になって遊んでくれたりもする。
     家庭内で相談できないようなことも、嫌な顔一つせず聞いてくれる。

    ・幼稚園
     幼児退行が幼年レベルまで進んだ利用者達がここに通っている。
     もしかすれば、PCですらそうなる可能性はある。
     むろん救出対象のNPCとて、例外ではない。

    ・空き地
     子供たちの憩いの場、その2。主に男の子達の遊び場である。

    ・公園
     子供たちの憩いの場、その3。こちらは主に女の子達の遊び場。
     また小学生以下の園児らなどが、遊具で遊んでいることが多い。

    ・銭湯
     タイル絵の綺麗なお風呂屋さん。ケロリンと牛乳は標準装備。
     午後~夕暮れには、老若男女を問わず人が訪れ、賑わっている。

    ・町の出入り口
     桜野町から現実へ帰還する場所。
     入ってくる人間の数は多いが、出て行く人間の数は……。

    【ギミック】

     探索者達にはシナリオの最初に「10P」のオトナポイント(以下OP)が与えられる。
     このOPはSANやPOWなどのようなもので、幼児退行の程度を表すものである。
     減少イベントや救出NPCの説得の際にはOP×5(最大値50)でロールする。
     OPの減少に応じて、探索者やNPCには以下のようなことが起こる。

    ・自分や他利用者が服装に相応した姿に見えるようになる(-2)
    ・自分や他利用者が本当にここで暮らしている小学生なのだと思い込む(-4)
    ・幼児退行が進み、自分は園児なのだと思い込む(-6)
    ・更に退行が進み、辿々しい幼児言葉しか話せなくなる(-8)
    ・自らは赤子である、として一切の思考が停止する(-10)

     このOPを回復させる手段は「外に出る」ことのみである。
     桜野町の外で一日過ごす度、1D3だけOPが回復する。
     ただしNPCのOPは、この限りではない。
     NPCの回復には「帰るよう説得する」OPロールに成功する必要がある。
     このときの基本回復値は1+1D3である。
    (KPはロールプレイの内容によっては、ボーナスを与えてもよい)
     また、NPC達のOPは一日が終わる毎に-1ずつ減っていく。 

    【OP減少イベント】

    ・大人(エキストラ)に叱られる(-2)
    ・夕食の席にPCの好きなものが出る(-1)※1D(PL数)で決定するとよい
    ・おやつの時間/駄菓子屋で好きなお菓子を食べる(-1)※おやつの場合、同上
    ・PLが「減らしてください」と自己申告をした場合(-1)

    【クリアの方法】

     NPC達を捕まえて外に出してしまえば、基本的にクリアである。
     ただしNPCのOPが8以下の場合、彼らは幼児退行により精神病院に通うことになる。
     8以上に回復させてから外に出た場合は社会復帰が可能となる。
     ――それが、彼らの幸福かどうかはともかく。

    【真相】

     帰れない利用者は、本当に帰りたくないから帰れないのである。
     彼らの多くは社会や生活、或いは人生そのものに疲れ切っている。
     だから自分が子供に戻り、無条件に愛され、許される世界に耽溺しているのだ。
     それが現実逃避の結果であれど、彼らは幸せなのである。

     施設の母体となっているのはシュブ=ニグラス系列の団体……かもしれない。
     或いは人を堕落させようというニャルラトテップ系列の何か、かもしれない。
     エキストラはおそらく神話生物であるし、おぞましい怪物が化けているのかもしれない。

     しかしながら探索者達にとって、そんなことは重要ではないだろう。

     この施設の優しさに溺れるか、未来を見据えて脱するか。
     その二択を迫られているのはNPC達と何ら変わりないのだから。


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