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水晶の左右判定 ― USB顕微鏡のアップグレード
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水晶の左右判定 ― USB顕微鏡のアップグレード

2020-04-20 00:57

    概要

    USB顕微鏡の鉱石観察手法をアップグレードするため、偏光板を試した結果を報告します。またその成果として、手持ちの水晶玉の左と右を判別できましたので、どんな風に撮れたかを、ゴミがいっぱい映り込んでる写真でお見せします。

    背景

    COVID-19のせいでいろんなイベントに参加できず、新しい標本などを探せなくなっています。でも、観察する時間はいっぱいあるということで、新しい観察手法を試したくなりました。そこで、偏光板に目を付け、偏光板の威力を見るのに手ごろな、水晶(α石英)の左右の判別を行ってみることにしました。

    偏光板ってなんだ?

    という疑問がある方は、偏光板の特徴をわかりやすく実験で示している、すばらしい動画があるので、一度ご覧になってください。NGワード:TDNTUHU(神社アレンジが使われている、八雲紫がいるので実質クッキー☆)

    偏光顕微鏡ってなんだ?

    動画で示すことができればよかったのですが、残念ながら、ニコニコには偏光顕微鏡の動画はないみたいです。偏光顕微鏡とは、試料に偏光を当てて観察できる顕微鏡で、偏光が物質の中を通過すると偏光の向きなどが変わることを利用して、観察しているものの特性を調べられるものです。幅広い用途がありますが、もともとは、岩石の”組織”の観察に用いるものです。岩石は、いろいろな鉱物の粒が寄り集まってできているもので、そのいくつも鉱物の形状、大きさ、配置などの状態を組織と呼びます。組織は、その岩石がどのように生まれたかが推測する手掛かりになるので、とても重要です。そこで、鉱物の粒がそれぞれ何の鉱物かを判別する必要があります。こんなときに、偏光顕微鏡を使えば、これは石英だなとか、角閃石だなとか目星をつけられるのです。どんな風に使われるかわかりやすい動画が、Youtubeにありました。
    動画リンク:偏光顕微鏡による造岩鉱物の同定ポイント:黒雲母

    観察方法

    用意したもの:

    • 偏光板 2枚
    • 円偏光フィルター 1枚
    • 水晶玉(φ12mm) 2個
    • ライトステージ 1台
    • USB顕微鏡 1台

    偏光板なしでの観察

    通常のカメラで撮影した場合、2つの水晶玉はまったく同じに見えます。また、透明な球体で、中に何も入っていないので、特定の方向に偏りがあるようには見えません。ただ、そんな水晶玉も、もともとは縦長に尖る水晶を磨いてつくったものですから、実は向きがあるのです。偏光板を使えば、そのことを確かめられます。図1 水晶玉の写真

    直交する偏光板2枚に挟んでの観察

    偏光板に挟んだ水晶に白黒の十字模様と、同心円状の虹が現れました。この模様は水晶玉の向きに対応して動きます。写真の十字の交点の反対側にも十字と虹が出ますが、他の場所には出ません。黒い筋のことを、アイソジャイヤーと呼びます。虹は、干渉光です。十字の交点、虹の出る方向は水晶の尖る方向を指します。この方向は、光学軸(光軸)と呼ばれ、この方向に進む光は複屈折しません。逆に言えば、水晶の中を通る光は水晶の結晶の向きとの関係によって異なる影響を受けることを示しています。
    図2 直交偏光板にはさまれた水晶玉の写真

    右水晶と左水晶

    顕微鏡に近い側の偏光板をとり外し、代わりに円偏光フィルターを顕微鏡に装着しました。すると、同心円状の虹が出ていた場所に、虹色の渦巻きが現れました。2つの水晶玉を比較すると、渦巻きの向きが違うことがわかりました。これは、水晶のらせん状結晶構造に、右巻きと左巻きの違いがあることから生まれた結果です。渦巻きが右巻きの水晶が右水晶、渦巻きが左巻きの水晶が左水晶ですが、肝心な結晶構造のらせんの方向は呼び名とあべこべになっているそうです。
    図3 右向きの渦巻きが現れる右水晶

    図4 左向きの渦巻きが現れる左水晶

    感想・まとめ

    マインドシーカーをノーミスクリアできる人を除いて、人間には目視で水晶玉の光軸を見つけたり、水晶玉の右左を判別することは全然できません。そんな不思議な光の世界をちょっとだけ暴き出す偏光板を使えば、もっと興味深い観察ができそうです。もし、USB顕微鏡をお持ちの方は、偏光観察を試してみてはいかがでしょうか。なお、当記事で紹介した、水晶の左右の鑑別まで行いたい場合、偏光板だけでなく、円偏光板(ちょっと高い)が必須ですので、お気をつけください。安く手に入れようと思うと、カメラ用のCPLフィルターを使うのが良いと思います。
    実は、当初は水晶玉とガラス玉の鑑別をする予定でした。熔練石英(石英ガラス)と考えて買ったものが、結局結晶性のα石英だったで、水晶玉が2つになってしまったのが誤算でした。ただ、偶然にも、それぞれ左水晶と右水晶でしたので、比較的面白い観察ができました。

    参考文献

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