• 【動画設定資料】リジュリュア・ヴォーフによる『青髪優遇令』演説

    2019-11-26 20:11
    ――以下の文言は、実際の演説を文章化したものである――


     諸君。

     我々が“帰り得ぬ地”を立ちて、幾年の時が流れたであろうか。

     いにしえに歌われた如く、さざれ石が巌となり、苔むすような年月を経ている。

     にも関わらず、我々は未だ新天地を見ぬ。

     天の川を流浪し、我々は一体何を得たのか。

     “星々の眷属”と出会い、我々は死と隣り合わせの冷凍睡眠から開放された。

     だが、我々は湖の民である。

     星々の間を巡ることは、手段に過ぎぬ。

     我々の目的は、新天地を得て、畏れ多くも――

     Mother Lake

     ――と、再び相まみえる事である。

     千代に、八千代に、いたずらに年月を過ごすには、我々は余りにも脆弱だ。

     受け継がれし我ら母なるリジュ号は、決して永遠に安穏をもたらす揺り籠ではない。

     我々は、安寧を捨て、ここから出ねばならぬ。

     “星々の眷属”より長寿を、不老を譲り受けたのは、何の為であったのか。

     目的地へ達する為だ。

     しかるに、手段に過ぎぬ技術を目的とはき違えてはならない。

     私のように“星々の眷属”に敬意を払い、青髪を選ぶなら、よい。

     だが、私利私欲の為に技術を用いる者は、どうか。

     かような敬意など考えも寄らぬ者は、私欲に従った色を選んだのではないか。

     その様な漫然とした私欲が、今、リジュ号を蝕んでいるのだ。

     私は今ここに、宣言する。

     全ての青髪は、その高い志をもって、優遇されるべきである。

     未来へ進撃する意志なき、敬意も分からぬ髪色どもよ。

     自らが選びし停滞の髪色を恥じ、青髪を称えることによって自省とせよ。

     とりわけ、緑を選びし者は、猛省するべきである。

     緑は青の近似色ではあるが、聡明な人民ならばすぐに気付くであろう。

     “みどり”とは、本来、色の名前ではない。

     “帰り得ぬ地”にありし、失われし大自然の恵みを示す言葉である。

     緑を選びし者は、暗に自らが畏れ多くも――

     Mother Lake

     ――と並び立ち得る者であると、傲慢にも考えているのだ。

     これは断じて許される行為ではない。

     恩義と敬意を忘れぬ青髪よ、立ち上がれ、進撃せよ。

     傲慢な緑髪に、身の程をわきまえさせよ。

     全ては、我らがMother Lakeの為に!!


    淡海歴■■年1■月■6日 リジュ号 総帥公邸にて行われた演説の速記より
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  • 【宣伝】二次創作小説を書いた

    2019-11-18 23:03

     相互フォローのredeyesersが執筆なされたオリジナル小説の二次創作を執筆し、カクヨムに投稿してみました。
     原作未読であっても読めるよう配慮はしておりますが、原作読了後の方が分かりやすい点もあります。
    今日も経済戦争という名のFPSが、現実で始まる。 生命工学とナノマシンの功績で、兵士達はクローン体に記憶を受け継がれる形で“リスポーン”していく。 事実上、人命喪失が無くなった戦争は、巨大な消費を生み出す歪な経済活動の場と化した。

    傭兵の“俺”は、ある日、駄賃稼ぎの戦場掃除で珍品銃に遭遇し、そして“彼”と邂逅する。

    https://kakuyomu.jp/works/1177354054892257112
     お読み頂ければ幸いです。
  • 【FTD二次創作】Second Interlude【小説】

    2018-11-29 22:19
    【小説】※不定期連載※
    この作品は[Interlude]の続編になります。
    単体でも読めないことはありませんが、前提作品をお読みになった方がより意味が分かりやすいかと思います。

     ロレンツォは落ち着かない気分で椅子に座っていた。
     あてがわれた貿易船の船橋にある船長席に座ったまま、何をする訳でもなくただ船橋の様子を見ている事しかできなかった。
     船長と船員という関係であれば何かしら指示を与えるべきではあったし、ロレンツォもかつては船長を務めていたから何も分からないという訳でもない。だが、事実上ただの飾りに過ぎない名ばかり船長であるだけに、下手なことはしたくなかった。
     あれからと言うもの、ロレンツォの預かり知らぬところで着々と準備は進行し、気がつけば貿易船と乗組員が仕立てられ、ロレンツォ自身は船長という事になっていた。
     しかし、乗組員としてサファフスが連れてきた現地志願兵は、全員が総帥警護隊特殊調査部においてサファフスの配下として働いていた要員で、従ってロレンツォは全く面識が無かった。それに加えて、彼らの階級は最低でも一等従士であり、大半は上等従士だった。現地志願兵は、原則として一等従士止まりがせいぜいであるのだが、サファフスの配下にいる者達は扱いが別格な様だ。
    「船長、もっとどっしり構えてくれよ」
    「あ、え、はい……」
     椅子に座ったロレンツォの方に、無骨な手が乗せられる。髭面で海賊の親分めいた風格を漂わせる、そろそろ初老の域に入ろうかという男だった。
     今、この船でロレンツォが最も苦手としているのが、この男、ゲオルギリュア・アルセニルだった。オニキスウォッチ出身で元々の名前はアルセニー・ゲオルギエヴィッチというのだが、志願の時に改名したそうだ。彼は特例中の特例でサファフスの配下において列線沼士(フェクトダイ)――つまり士官――の階級を与えられており、この行動に関しては実質的に指揮官だ。
    「お前さんが船長らしく振る舞ってくれないと、困るからな」
    「そう仰いましても……」
     二等従士という最下級の者が士官に横柄な口を利く訳にはいかない。しかし、この任務の最中は二等従士であるロレンツォが船長として振る舞い、アルセニルがその部下としての立場を演じなければならないのである。とりあえずは、アルセニルは元々この船を所有していた年季の入った船乗りだが借金があり、ロレンツォは借金を肩代わりする事で船長の権利を買い取ったという事にしてあった。但し、問題はアルセニルが全く船の事を知らないという事である。
     アルセニルはオニキスウォッチ出身で商売の経験こそあったが、陸の事が専門で海は全くの門外漢だったのだ。これでは嘘がばれてしまう。その知識不足を補佐するのもロレンツォの役目なのだが、いろいろなところで役割と実際があべこべになってしまっていて、本当に上手くいくのかどうか怪しい雰囲気が漂っていた。
    「まあ、そう緊張するなよ。休憩でもしようぜ」
     そう促してくるアルセニルに対し、ロレンツォは不安げに窓の外を見た。
     この船はバーシュ・フスレー泊地を発してコールドロン・オブ・エリウィック海域を通り、フィッシュボーン・アイランドへ向かう最中である。今のところ時化てはいるものの、船が転覆するほどのひどい嵐ではない。
     ただ、いつ事態が急変するか分からない。そんな状況で指揮官と船長の両方が抜けてしまっていいものか、ロレンツォには判断がつきかねた。
    「なんだ、嵐が心配か? 大丈夫だ。そろそろコールドロン・オブ・エリウィックを抜ける。ここから先は穏やかになるさ」
    「はあ、まあ」
     アルセニルはそう言うものの、彼が船に詳しくないことは先述の通りだ。天候ばかりは絶対という事は無いのである。ロレンツォには難破の経験があるだけに、不安は拭えなかった。
    「船長と食堂に居る。当直、任せたぞ」
     そういう事にされてしまったので、ロレンツォも渋々船長席から立ち上がって、アルセニルの後に続いて船橋を後にしたのだった。



     食堂と言っても、貨物船の事だから五人も座ったらいっぱいになってしまうような狭い部屋だ。当然、専属の調理人などいるはずもなく、交代で切り盛りしていた。
     ロレンツォが厨房に入ろうとするのを、しかしアルセニルが手で制してくる。
    「今は、お前は船長なんだ。自分の役割を守れ」
    「は、はあ。はい」
     士官に給仕をさせるという事実に、軍事教練で叩き込まれた兵士としての本能がむずむずして落ち着かない。
     厨房に入ったアルセニルは慣れた手つきで湯を沸かし、ドリップコーヒーの準備を始める。その仕草は堂に入ったもので、コーヒーショップのマスターだと言われても違和感は無さそうだった。その内に、焙煎した豆が熱湯をかけられた時の、香ばしい匂いが漂ってくる。
     ロレンツォが居心地の悪い様子でしばらく待っていると、アルセニルがマグカップを二つ持って厨房から現れ、ロレンツォに片方を手渡した。揺れる船内では、迂闊に机の上に物を置けない。まして、熱湯が入っているのならば尚更だ。
    「いただきます」
    「おう。遠慮するな」
     役割を守れと言った割にはぞんざいな喋り方をするものだ、と思いながらマグカップに口を付けたロレンツォは、その意外な味に目を見開いた。その様子を確認したアルセニルが、悪戯を成功させた子供のように笑っている。
    「どうした、ロレンツォ船長」
    「いや、これは……」
     マグカップの中身は確かに黒い液体だったが、コーヒーであってコーヒーではなかった。
     ネター南方、ディープウォーターガードの支配領域辺りのジャンウェルやエリウィックは温暖な気候で、嗜好品としてコーヒー豆が栽培されている。琵琶湖の遊底部(ピファーク・グレイヴ)に加わってから、ロレンツォもコーヒーを飲んでいた。
     しかし、それ以前に彼が飲み付けていたのは、煎り大豆を使ったコーヒーだった。オニキスウォッチは寒冷な気候で、コーヒー豆などまず育てられない。仕入れる事はできるのでコーヒー豆を使ったコーヒーというものの存在こそ知られていたが、零細商人の一家で育ったロレンツォがおいそれと気軽に飲めるような代物ではなかった。
     今、マグカップに入っていたのは、まさにオニキスウォッチの人間が慣れ親しんでいる、大豆コーヒーだった。久しく忘れていた味である。さほどうまい訳ではないが、とりたててまずい訳でもない。これをコーヒーとして親しんできたロレンツォは、しばし望郷の念に囚われ、目頭が熱くなった。
    「どうだ、懐かしいか」
    「ええ、はい……」
    「やっぱり、お前はどうしようもなくオニキスウォッチの人間なんだよ。どう言い繕っても、な。機会を見つけて、帰りな」
     アルセニルは近所の悪ガキでも諭すような口調でそう言うと、一口、マグカップの中身をすすった。その視線は食堂の壁に向けられているが、アルセニルはどこか遠いところを見ている様だった。
    「あの、ゲオルギエヴィッチさんは……帰らないんですか?」
    「……今はゲオルギリュアだ。その名前は、故郷と一緒に捨てた」
    「捨て……た」
     ロレンツォは故郷に帰る手段を失って、今こういう立場に収まっている。しかし、それは故郷を捨てたとかそういう話にはならない。
    「お前にはまだ故郷があるだろう。帰れるよう、俺からも掛け合ってやるから」
     アルセニルの方は、事情を話すつもりは無い様だ。
     それにしても、なぜロレンツォにこうも帰郷を促してくるのかが、よく分からない。しかし、大豆コーヒーをすするうちに、はたと思い至った。
     ロレンツォがサファフスに要求した“青髪の女”について、ロレンツォもまた、アルセニルと同様に琵琶湖の遊底部(ピファーク・グレイヴ)に帰化しようと考えているものと、勘違いされているのではないか。
     確かに“青髪の女”を嫁に取れば、自動的に帰化するような体裁になる。だが、ロレンツォはほんの軽い気持ちでそれを口にしただけであって、本気で嫁として迎えられるなど考えてもいなかった。
    「あの、ゲオルギリュアさん、俺は別に帰りたくない訳じゃ……」
    「噂は聞いてるぜ。青髪様を嫁に欲しいんだってな」
    「いや違うんです……」
     嫁と言うよりは、一晩、商売女を抱ければそれでいいぐらいのつもりだったのだ。それが、サファフスは変に生真面目なのか、どうもロレンツォの言った『欲しい』の意味を配偶者の意味合いとして捉えてしまって、それが一人歩きしだしている様である。
    「俺は、嫁だなんてそんな大それたこと――」
    『船長、隊長、船橋へ! 船長、隊長、至急船橋へ!』
     弁解をするロレンツォの言葉を、伝声管からの言葉が遮る。ゲオルギリュアはまだ熱いとも言える大豆コーヒーをぐいと一息に飲み干すと、マグカップを洗い場に溜められた海水に放り込み、急ぐ様に訴えかける視線をロレンツォに向けてきた。
     ロレンツォも仕方なく――火傷しそうになりながら――大豆コーヒーの残りを飲み干した。



     船橋に戻った二人に対し、当直が双眼鏡を二つ差し出してくる。
    「七時の方向、約六〇ウェスダージュ、ガスフ型です」
     ウェスダージュは琵琶湖の遊底部(ピファーク・グレイヴ)で使っている距離の単位だ。この場合は六キロメートルほどだろうか。ロレンツォは言われた通りの方向に双眼鏡を向けて、覗き込んだ。その隣では、アルセニルもまた同様に双眼鏡を使っている。
     風雨が吹き荒れ、高波が舞う海の向こう側に、かすかに船影が見える。よくよく目を懲らすと、船首に特徴的な紅白模様があるのが認められた。
    「ガスフだな、間違いねえ」
    「あの、どういう事ですか。我が軍の警備艦が、護衛に来てくれたのですか?」
     ロレンツォがアルセニルに尋ねると、彼は双眼鏡から目を離して、呆気にとられた顔を向けてきた。それからばつが悪そうな顔になると、双眼鏡を当直に渡す。
    「そういや、説明してなかったか」
    「気付いたら船長ということで乗せられて、それっきりだったもので」
     目的地に到着して上陸したあとの事は、サファフスから嫌というほど教え込まれた。しかし、道中については他人任せでもどうにかなると考えられたのか、教えられていたのは船に乗るという程度だった。
    「今から、一芝居打つんだよ」
    「芝居……ですか?」
    「通信入りました! 広域一般周波数! 誰何しています!」
    「おいでなすった」
     誰何(すいか)とは『何者か』と問い質す行為だ。友軍に対して行うこともあるが、今の場合は普通に返事ができない。なぜなら、ロレンツォの船はホワイトフレイヤーズに対して秘密工作を行う船だからだ。琵琶湖の遊底部(ピファーク・グレイヴ)所属だと返すことなど、できようはずもない。
    「オニキスウォッチ旗を掲げろ」
    「了解しました!」
     アルセニルが当直に命じると、すぐに旗流信号係がオニキスウォッチの旗を取り出してメインマストに走る。船橋の戸が開閉される度に風雨が吹き込み、外の過酷さが伺い知れた。
    「その、つまり……この船はオニキスウォッチの船に化けて、追われてホワイトフレイヤーズ領に逃げ込む、と……」
    「察しがいいじゃねえか」
    「音声通信始まりました。こちらに定型文で呼び掛けています」
     通信担当員が無線機に向き合いながら報告してくる。
    「船橋に流せ」
     アルセニルが命じると、通信担当員はうなずいて機械を操作する。しばらくもしない内に、放送装置から雑音混じりの声が流れてくる。
    『――こちらは、ディープウォーターガード所属ピファーク・グレイヴ、ガスフ号である。現在、ディープウォーターガードとオニキスウォッチは交戦状態にあり、貴船はオニキスウォッチ旗を掲げつつ航行している。ただちに停船し、臨検を受けよ。繰り返す、こちらは――』
     数分は同じ内容が繰り返されただろうか。さすがに飽きたな、などとロレンツォがのん気な事を考えていると、放送内容が変わった。
    『――停船しない場合、交戦規定に基づき撃沈する。繰り返す、停船しない場合、交戦規定に基づき撃沈する――』
    「なんとも念の入った演技だ……」
     独りごちて、ロレンツォは持ったままだった双眼鏡を覗き込んだ。ガスフとの距離は格段に縮まっており、もう三キロメートルにもなっているだろうか。ネター基準ではまだ遠目の距離だが、いつでも間を詰められる距離とも言える。
     ガスフの船首部、特徴的な紅白模様のすぐ後ろに据えられた主砲塔は、しかし待機位置になっていなかった。砲身を振り上げ、射撃姿勢にある。
    『――これより警告射撃を実施する。繰り返す、これより警告射撃を実施する――』
     嘘だろ、とロレンツォが呟く間も無く、双眼鏡の向こう側で煙と炎が爆ぜた。短砲身の三四糎ガスフ砲から放たれた低速砲弾は、ぎりぎり視線で追いかけられる速度でもって、ロレンツォの乗る船の近く、進行方向左側に着弾して水柱を作った。
    『――ただちに停船せよ、さもなくば撃沈す』
     このままでは本当に撃沈されてしまうのではないか。ロレンツォの背筋に冷たいものが走った。たまらずアルセニルの方を見るが、泰然自若として動かない。芝居を打つとは言ったが、大砲まで撃つとは念を入れすぎではないか。
    『――こちらホワイトフレイヤーズ沿岸防衛隊、ディセクター26号。接近中の船舶に告ぐ。貴船はホワイトフレイヤーズ領に許可無く接近しあり。直ちに引き返されたし――』
     唐突に、放送機から別の声が割り込んできた。
    「きました!」
    「よし、船長。ビビってるな。任せたぞ」
    「え、あ、は?」
     ロレンツォの前に、急に通話機が差し出される。通話ボタンを押している間だけ喋れるもので、ロレンツォも自前の船を持っていた時は、この程度の無線機は扱った経験があるので、使い方は分かる。しかし『ビビっているから任せる』とは、一体どういう事か。
    「早くそいつで、宗教家どもに助けを求めるんだよ。早くしねえと、ガスフが攻撃されちまうだろ」
     促されたロレンツォは、慌てて通話ボタンを押した。
    「た、助けて下さい。海賊に追われているんです! 交易許可証は持っています、後から見せます!」
    『所属を述べよ』
    「オニキスウォッチ、ライゼル商会商船、エレーナ号」
    『貴船を目視で確認した。商船で間違いないようだ。海賊船はこちらが追い払う、領海内への退避を許可する』
    「あ、ありがとうございます」
     意外とすんなり騙されてくれたようだ。
     これで計画の第一段階はうまくいったが、この先も上手くいくのかどうか、ロレンツォには全く分からなかった。
     一つだけ分かっている事は、ここから数日はホワイトフレイヤーズ領内で生活するため、言動に細心の注意を払わなければならない、という事だった。