【脚本】けものフレンズR 2話「ゆめ」
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【脚本】けものフレンズR 2話「ゆめ」

2020-05-25 20:37

    作者のtaniです。

    この脚本は「けものフレンズR」がもしアニメになったら? という想定で書いています。
    20分×12話です。ニコニコ動画で「手書きけもフレR」としてのアップを予定しています。転載NGでお願いします。

    この脚本は第一稿です。
    実際に動画を作る際、細部の変更があると思われます。


    あらすじ
    ゴコクエリアから来たチンパンジーのパンジーとテンジクネズミのテン。ばすてきな乗り物の電池を充電するためにキョウシュウエリアに来た。かばんの話を聞いたともえはパンジーにゴコクへ誘われる。通信施設からかばんとお話できるかもしれない。しかしともえはハカセやミミ達と別れたくないから残ろうとするが、ハカセ達の言葉で夢を再認識して自分の意思でゴコクエリアへ旅立つ。


    タイトル「ゆめ」

    〇登場人物
    ともえ
    ハル
    ボス
    ハカセ
    ミミ
    パンジー
    テン
    アルパカ


    ■夜・図書館・炊事場

    ボス「初めまして。ボクはラッキービースト。君はともえの友達かな?
    ハカセ「ラッキービーストが!」
    ミミ「ハルに!」
    ともえ「喋ったぁ!!」
    ハル「え? え?」
    ハカセ「これは一体… 本当に自分が何者か分からないのですか?」
    ハル「すみません。普通はお話しないんですか?」
    ミミ「ヒトの緊急時以外で話しかけるなんて聞いたことが無いのです」
    ともえ「ハルちゃん実はヒトだったりして!」
    ハル「うー、よくわかんないです」
    ともえ「ボス! この子はハルちゃん! 私の友達!」
    ボス「わかったよ、ともえ。ハル、君は何を見たい?」
    ハル「私の見たいもの… なんだろう。あっ! かばんさんが見たいです」
    ボス「かばん。検索中…」
    ともえ「ボス。ストップストップ!」
    ハル「え、どうしたんですか?」
    ハカセ「かばんで聞いたらたらお土産コーナーとかいう所に連れていかれるだけなのです」
    ミミ「ともえが前に試したのです」
    ともえ「そうなの! もうすっごいガッカリしたんだー」
    ハル「そうなんですか? ごめんなさい。うーん、私の見たいものって何でしょう…」

    ■朝・図書館・中

    ソファーで目覚めるハル。ともえが本を読んでいる。

    ボス「おはよう、ハル」
    ともえ「おはよー」
    ハル「ラッキーさん、ともえさん、おはようございます。あれ、ハカセさん達は」
    ともえ「ハカセは四神のフィルターを見てくるって出かけたよ。昨日は結局見れなかったからって。はい、朝ごはんのジャパリまん」
    ハル「ありがとうございます。ししんとかフィルターって何ですか?」

    冷や汗を流すともえ。視線が泳ぐ。

    ともえ「えっとね、サンドスターっていうのがあって、それがフレンズのもとになるらしいんだけど、それが山から噴火して出てきて、あっ、でも空からも降ってくるらしいの! それでジャパリまんにも入ってて…」
    ハル「ちょっとストップ、ストップでお願いします!」
    ともえ「えーっと、ごめんね。私もお勉強中なんだ」

    ともえはサンドスターについての本を手に持っている。

    ボス「サンドスターについて知りたいのかな?」
    ハル「ラッキーさん。はい! 知りたいです!」
    ともえ「そっか! ボスに聞いたら良かったんだ!」
    ボス「まかせて」

    ボスの映像が壁に映る。絵本のような内容。

    ボス「サンドスターがどこから生まれたのか誰も分かっていないよ。サンドスターが生き物や、生き物だったものに影響してフレンズが生まれるんだ。サンドスターの影響は生き物だけじゃいよ。天気や気候、フレンズのエネルギーの維持など様々な影響があるんだ。ボクたちもまだサンドスターのすべてを解明できていないんだよ」
    ハル「フレンズのエネルギー、ですか?」
    ボス「フレンズ達はサンドスターを消費して生活しているんだ。サンドスターが無くなると、元動物に戻ったり、お話できなくなってしまうんだよ。ハルが食べているジャパリまんにもサンドスターが入っていて、食べることでサンドスターを維持しているんだ」
    ともえ「ジャパリまんってそんなに大事だったんだ」
    ボス「ジャパリまんはヒトが食べても大丈夫な食材で出来ている完全栄養食品なんだ。フレンズのいる所にボクたちが持って行っているんだよ」
    ハル「ラッキーさんって他にもいるんですか?」
    ともえ「いるよ。フレンズさんが多いところだと結構見かけるの」
    ハル「へぇー」
    ボス「まだ聞きたいことはあるかな?」

    ボスが首を傾げる。

    ハル「あの、ラッキーさんは何でボスって呼ばれているんですか?」
    ともえ「そういえば、何でだろ。私はパークのみんながボスって呼んでたから呼んでるんだけど」
    ハル「でもハカセさん達はラッキービーストって呼んでますよね」
    ともえ「うーん。なんでかわかる? ボス」
    ボス「検索中… 検索中… 検索中… アワワワワ」
    ともえ・ハル「わー! ストップストップ!」
    ボス「…まだ聞きたいことはあるかな?」
    ハル「いや、とりあえず、大丈夫です」

    なぜかしょんぼりしているように見えるボス。ハルは苦笑いしている。

    ハル「そういえば、ともえさんは何でともえさんなんですか?」
    ともえ「あー 私はね」

    バッグから紙の切れ端を取り出す。破れた手紙の一部。友へ、の書き出しだけ読める状態。

    ともえ「私が起きた時に持ってたんだ」
    ハル「手紙、でしょうか」
    ともえ「破れちゃって全然読めないけどね。きっと私の手がかりだと思うんだ。ハルちゃんはこっち」

    ハルが生まれる元となった赤い首輪を取り出す。ハルへ身を乗り出すともえ。

    ともえ「私思うんだ! 私とハルちゃんって絶対昔から友達だったんだよ! 同じ場所で生まれたんだもん。これはもう運命だよきっと!」
    ハル「私もそう思います! ともえさんといると、心が温かくなって、すごくしっくり来るんです」
    ともえ「でしょ! 私たち最強だよね!」
    ハル「はい!」
    ともえ「ハルちゃん! 私の事も『ともえちゃん』って呼んでよ!」
    ハル「はい! あえ?」

    即答してくれないハルにしょんぼりするともえ。

    ともえ「…いや?」
    ハル「嫌じゃないです! 絶対嫌じゃないです! 大好きです! だた何というか、私の中でともえさんは『ともえさん』が一番しっくりきて、なんというか、『ともえちゃん』は、恥ずかしくて… その…」
    ともえ「むー! じゃあ、いつか絶対ともえちゃんって呼んでもらうんだから!」
    ハル「はい! いやあの、頑張ります…」

    ジャパリまんを頬張るハル。

    ■四神の山・山頂

    ハカセとミミが上空から山頂にやってくる。間近で四神のフィルターを見る。

    ハカセ「昨日の噴火、結構大きかったですが、フィルターは問題なさそうですね」
    ミミ「ええ、博士。四神の位置がズレるほどの、山の地形が変わるほどの噴火が昔あったとすればどれほどのものだったのか。想像もつきませんね」
    ハカセ「あるいはヒトの手によって壊されたものか。今となっては確かめようがないのです」

    ハカセ達はフィルターの底を覗き込む。

    ハカセ「サンドスター、サンドスター・ロー。かばんを食べたあのセルリアンは、サンドスター・ローを食べて大きくなったそうですが、一体何なのでしょうかね」
    ミミ「サンドスター・ローが気にはなりますが、このフィルターは絶対に開けてはいけない物ですね」
    ハカセ「そうです。我々はこの島の長なので、長く守っていかねばならないのです。助手」
    ミミ「ええ、博士。我々はこの島の長なので」

    ハカセ達は遠くに見えるゴコクの島を見つめる。

    ミミ「かばんはいつになったら戻ってくるのでしょうか」
    ハカセ「かばんの事だから大丈夫でしょうが、まあ頼りないですがサーバルたちもいる事ですし。しかしいつになったら帰ってくるかは全然ですね」
    ミミ「もしかして帰ってこないこともあるかもしれませんね」
    ハカセ「助手。ともえの前でそういうことは絶対言っちゃダメなのですよ」
    ミミ「…無事だといいのですけどね」
    ハカセ「全く、心配かけるなです」

    図書館へ帰ろうと飛び立った時、日の出港に見知らぬ船のようなものが見える。

    ミミ「博士、あれは!」
    ハカセ「行ってみるのです」

    ■日の出港

    桟橋にスワンボートを掛けたパンジーとテンちゃんが息を粗く倒れこんでいる。近くに看板。Well come to Japaripark、ようこそキョウシュウへ! の文字。

    パンジー「ふふふ。ふはははは! 着いた! 着いたぞ! キョウシュウじゃ!」
    テン「つかれたー…」
    パンジー「テンちゃん! お宝は目前じゃ! 生きてる充電施設があるはずじゃ!」
    テン「ちょっと、ちょっとだけ休ませてパンジーちゃん…」
    パンジー「しかたないのう…」

    電池を持ったパンジーが頭をかいていると、ハカセ達がやってきた。

    ハカセ「お前たち何者ですか?」
    ミミ「見た事のないフレンズですね」
    パンジー「…あんた、アフリカオオコノハズクの博士。あんたは助手のワシミミズク、じゃろ?」
    ハカセ「何でわかるです!?」
    ミミ「怪しいやつなのです!」
    パンジー「あーすまんすまん。かばんが言っておった通りの見た目じゃったからな。ラッキーじゃ!」
    ハカセ「お前かばんを知ってるですか?」
    ミミ「もしかしてあの島から海を渡ってきたのですか?」
    パンジー「そうじゃ! ワシはチンパンジーのパンジー。こっちはテンジクネズミのテンちゃんじゃ」
    テン「ど、どうも」
    パンジー「かばんの話を聞いてばすてきの電池を充電しに来たんじゃけど、こうざんの場所はどっちかの? 分からなかったらハカセを頼ってみろと教えてもらったんじゃが」

    博士とミミは顔を見合わせる。うなずく。

    ハカセ「こうざんのカフェにあるのですが、特別に連れて行ってやるです」
    パンジー「本当か!?」
    ミミ「そのかわり、かばんの話を聞かせたい子がいるので待っていて欲しいのです」

    ■道中・日の出港~こうざん・空

    パンジーとテンを運ぶハカセ達。そこそこのスピード。

    パンジー「ふはははは! ツイとるのうテンちゃん!」
    テン「うん! 飛んでる! わたし飛んでる!」
    パンジー「ふはははは!」
    ハカセ「…我々、騒がしいのは苦手なのです」
    ミミ「もうちょっと静かに喋るです」
    パンジー「すまんすまん! 風でよう聞こえんからの! それにしてもハカセはサーバルから聞いた話とずいぶん違う印象じゃの!」
    ハカセ「サーバルが? なんて言ってたですか?」
    パンジー「こはんちほーって所にビーバーがおるじゃろ! そいつがハカセに家の作り方を聞いたら、ジャパリまん3ヵ月分とられたらしいから、お願いには気を付けろって言われたぞ!」

    ハカセ達のスピードがゆるむ。

    ハカセ「ぐぬぬ。嘘ではないですが、誤解なのです」
    ミミ「その件は我々がバスを改造するとき、ビーバーに頼んだのでチャラにしてやったのです」
    ハカセ「ほとんどビーバーとプレイリーが改造したのですから。当然です」
    パンジー「そういう事か!」
    ハカセ「ビーバーが有能なのは知っているのです。我々は賢いので」
    ミミ「できる子には仕事を与えるのです。我々は賢いので」
    パンジー「なんとも言えない話じゃのう!」

    ■こうざん・カフェ

    遠景。草むしりをしているアルパカ。博士達に手を振る。

    ■図書館・中

    階段で本を読むともえ。ソファーでボスを抱えてかばんの映像を見るハル。

    ハル「ともえさん」
    ともえ「んー?」
    ハル「かばんさんに会いに行きたいとは思わないんですか?」
    ともえ「んー」

    指でページを挟み本を閉じるともえ。

    ともえ「会いに行きたいけど、どこにいるのか分からないし、すれ違っちゃったら嫌だし、それに…」
    ハル「それに?」

    ハッとした顔をするともえ。

    ともえ「それに、かばんさんだもん! きっと帰ってくるってハカセも言ってたからね!」
    ハル「そうですか…」

    動揺するともえを不思議に思うハル。ハルのけもの耳が動く。ハカセ達が帰ってくる。

    ハル「おかえりなさいハカセさん。ミミさん」
    ともえ「おかえりー フィルター大丈夫だった?」
    ハカセ「フィルターは問題なかったのですが、ともえ。ゴコクエリアから海を渡ってきたやつが来ました」
    ともえ「えっ!」
    ミミ「かばんの知り合いです。カフェで待たせているから来るのです」
    ともえ「ほんとに! やった!」
    ハカセ「ハルも来るのです。お前も話を聞いておくです」

    よろこぶともえと対照的に真剣な眼差しのハカセとミミ。

    ハル「…わかりました!」

    ■カフェ・中

    カフェの扉を開けるともえ。アルパカに抱き着く。

    ともえ「アルパカさん!」
    アルパカ「おぉともえちゃん! ひさしぶりだねぇ!」
     ともえ「モフモフ!」
    アルパカ「ともえちゃん。ちょっと大っきくなったぁ?」
    ともえ「えー ぜんぜん変わんないよー」

    笑いあうともえとアルパカ。テラスからパンジーとテンちゃんが出てくる。

    パンジー「ふははは! キミがともえ君か!」

    見知らぬフレンズに委縮するともえ。

    ともえ「あ、はい。パンジーさんと、テンさん、ですよね」
    パンジー「まあそう硬くなるな! 改めて自己紹介しとこうかの。ワシはパンジー。ゴコクエリアでサンドスターを研究しておる。こっちは助手のテンちゃんじゃ」
    テン「よ、よろしく」
    ともえ「サンドスターを!」
    パンジー「おう! キミもサンドスターを研究しとるとハカセから聞いての! それにかばんの話も聞きたいそうじゃな! 仲良くしよう!」
    ともえ「うん!」
    パンジー「じゃが、その前にひとつ問題があってのう…」
    ハカセ「問題?」
    アルパカ「前にかばんちゃんがバスの電池持ってきたじゃない? パンジーちゃんが持ってきたのも同じようなものだから、充電ってのができると思ったんだけどね」
    パンジー「上の充電器、と言ったらいいのかの。あれがちっとも動かんのじゃ」
    テン「ゴコクにも同じやつあったんだけどね」
    パンジー「ワシの仮説じゃが、ヒトかラッキーじゃないと充電できないのかもしれん。来てくれんか?」

    ■カフェ・屋上

    屋上に上るハル、ボス、パンジー。ボスが信号を発すると電池の充電中の赤いランプが付く。

    ボス「ハル、これで充電できるよ。1時間ほどかかるよ」
    ハル「ラッキーさん。ありがとうございます」
    パンジー「ラッキービーストが話しかけるフレンズ!? お前何者じゃ!」
    ハル「えへへ、自分でもまだよく分からなくて…」
    パンジー「ふはははは! やっぱり旅はいいのう! 面白いものがいっぱい見れる!」

    ■カフェ・テラス

    テラス席に座る一行。<ともえ、ハル、パンジー、テン、ハカセ、ミミ、アルパカ>。アルパカがお茶を持ってくる。

    アルパカ「お茶作っておいたんだぁ。はい、どぉぞ。はいどぉぞ」
    パンジー「んーー! やっぱりお茶は何度飲んでも旨いのぉ」
    テン「ラボで飲んだきりだったからねー ひさしぶりー」
    ハカセ「お茶… 電気が使える施設があったのですか?」
    パンジー「そうじゃ。しかし電池の充電はラッキーが必要だったのかもしれんな。かばんが言っておったが『船』とかも動かすのにラッキーが必要だったのじゃろ?」
    ミミ「施設の何かを動かすときのカギ、というわけですか」
    パンジー「多分な」

    ともえがワクワクした目でパンジーを見る。

    パンジー「ふははは! そう急かすな! かばんの話じゃな。あいつはゴコクエリアにある橋を抜けてアンインエリアに向かったわ」
    ともえ「アンインエリア?」
    パンジー「えーっと、アルパカ、地図はあるかの?」
    アルパカ「あぁ、それならぁ」

    カフェの店内に飾られていた紙飛行機を持ってくるアルパカ。

    アルパカ「ちょっとごめんねっと」

    紙飛行機を広げるとキョウシュウエリアの地図が描かれていた。

    パンジー「うーん。これはキョウシュウだけの地図じゃな。ちょっとお茶を貸してくれ」

    テーブルに地図を広げて、それぞれのエリアを位置付けるためにカップを置く。

    パンジー「今いるのがココ、キョウシュウじゃ。ゴコクがここで、上にアンイン・サンカイ、こっちにナカベ・ホクリク、カントー、ホートク、ホッカイじゃ。キョウシュウのこっちにリウキウとかもあるのう」
    ハル「こんなに!」
    ともえ「すっごーい!」
    ハカセ「パンジーはどこでこの情報を手に入れたのですか?」
    パンジー「ワシのラボ、研究所がゴコクにあってそこにパーク全土の地図があったんじゃ。かばんもそれを見てヒトのナワバリを探しにいったわい。当分は戻ってこんじゃろう」
    ともえ「やっぱり、かばんさんはカッコいいなぁ!」
    パンジー「ふはははは! さすがワシの友達じゃ! そうじゃろう! ともえ君はかばんに会ったらどうしたいんじゃ?」
    ともえ「んー お話してみたい!」
    パンジー「そうか! なら来るか? ワシのラボに」
    ともえ「え?」

    お茶を飲むパンジー。一呼吸つける。

    パンジー「通信装置というものがあってな、かばんが、というかラッキービーストが使ってヒトのそばにいるラッキーに語り掛けたんじゃ。その時は何も反応がなかったが、まだともえ君が生まれていなかったのじゃろう。だが今ならかばんに通信ができるかもしれん。あいつ、喜ぶじゃろなぁ」
    ハル「ともえさん! やりましたね! かばんさんとお話できますよ!」
    ともえ「え、あ、うん。そうだね」
    ハル「…どうしました?」
    ともえ「ちょっと、急で、びっくりしちゃって。あの、パンジーさん、ちょっとだけ考えさせて!」
    パンジー「あ、ああ。それはかまわんが…」

    早足でカフェを出るともえ。

    ハル「え、ちょ、ともえさん!」
    ボス「ハル。充電が終わったよ」
    ハル「あ、はい。ありがとうございます。えっと、すみませんハカセさん! 私行ってきます!」

    ハルは走ってともえを追いかける。

    ミミ「…行くって飛びつくと思ったのですが」
    アルパカ「ともえちゃん、大丈夫かねぇ」
    ハカセ「……」

    悲しそうな目でハルの背中を見るパンジー。

    ■こうざん・ロープウェイ乗り口

    ロープウェイの乗り口付近で景色を眺めているともえ。ハルが走ってくる。

    ハル「ともえさん! ともえさん! どうしたんですか」
    ともえ「ハルちゃん…」

    ともえの横に座るハル。

    ともえ「…どうしてか聞かないの?」
    ハル「…ともえさんが話したいなら」

    静かな時間が流れる。

    ともえ「ハルちゃん。私ね、すっごく嬉しかったの。かばんさんとお話できるかもしれないって分かって。でも、なんか、怖くなっちゃって」
    ハル「…ハカセさん達と離れちゃうからですか?」
    ともえ「…うん」

    うつむき涙をこらえるともえ。笑顔のハル。

    ハル「ともえさん。私、何が見たいのかわかりました」
    ともえ「え?」
    ハル「私はともえさんが見たいものを見たいんです。きっと。ともえさんがパンジーさん達と一緒に行っても、キョウシュウに残っても、わたしはともえさんのそばに居たいんです」
    ともえ「…ハルちゃん!」

    抱き着くともえ。

    ともえ「でもハルちゃんだって自分の事知りたいでしょ? かばんさんとお話できたら何か分かるかもしれないでしょ。いいの?」
    ハル「確かに自分が何者か知りたい気持ちはありますが、それはかばんさんが帰ってきてから、また今度でいいです」
    ともえ「ごめん。ハルちゃん。ありがとう…」
    ミミ「本当に良いのですか? ともえ」

    崖の下から現れるハカセとミミ。驚きののけぞるハル。

    ともえ「ハカセ… ミミちゃん…」
    ハカセ「かばんが帰ってこない事だってあるのです。本当に残って良いのですか?」

    無言で顔を伏せるともえ。

    ミミ「ともえの夢は何ですか?」
    ともえ「…かばんさんと、お話すること…」

    うつむくともえをハカセとミミは見下ろす。顔を見合わせ、うなずく。

    ハカセ「ともえ、前を向いているだけでは夢に近づけないのです」

    目を見開くともえ。

    ミミ「欲しいもの待っているだけじゃ、パークでは生きていけないのですよ」

    ともえは顔を上げる。ハルの顔を見るともえ。うなずくハル。

    ともえ「私! ハルちゃんと一緒にかばんさんに会いに行きたい!」
    ハル「ともえさん!」

    ハカセとミミは微笑む。

    ハカセ「その言葉を待っていたのです」
    ミミ「パンジーにお願いしに行くのです」
    ともえ「うん! ハルちゃん行こ!」
    ハル「はい!」

    カフェの外でパンジーとテンちゃんが立っている。笑顔で走ってくるともえとハル。パンジーは微笑む。

    ■数日後・日の出港・桟橋

    スワンボートに電池とじゃぱりまんや水を詰め込んでいる4人。見送りに来たハカセ、ミミ。

    ともえ「じゃあ行ってくるね!」
    ハル「行ってきます!」
    ハカセ「ともえ、この島の長として命令するのです」
    ミミ「かばんと一緒に必ず帰ってくるのです」
    ともえ「うん!」
    ハカセ「ではパンジー、テン、2人をよろしく頼むです」
    パンジー「あー そのことなんじゃがな…」

    ばつが悪そうに頭をかくパンジー。

    ハル「?」
    パンジー「お前たち、2人で行ってこい!」
    ハカセ「は?」
    ミミ「は?」
    ともえ「え?」
    ハル「え?」
    パンジー「ワシも色々考えたんじゃがな、テンちゃんとも相談したんじゃが、旅は知らないところを行くから楽しいんじゃ!」
    ともえ「…いいの?」
    パンジー「ああ! ワシらがおると2人旅に水を差しちまうわい。ワシはテンちゃんとこの島を見て回る。ラボにバビルサってやつがおるから、よろしく言っておいてくれ」

    パンジーに抱き着くともえ。頭をなでるパンジー。

    パンジー「ゴコクにヌシ様って奴がおる。ワシのラボはヌシ様に聞け。ヌシ様の場所は島のみんな知っとる。ああそれと港の近くにばすてきなやつがある。それも使っていい」

    泣いてうなずくともえ。笑顔のハル。

    ともえ「うん! ありがと! 行ってきます!」

    出発するともえとハル。手を振るパンジーとテンちゃん。見守るハカセとミミ。

    ハカセ「本当に良かったのですか?」
    パンジー「旅はヒトを成長させるって言うじゃろ? ともえ君はワシの研究仲間じゃからな! 成長したともえ君と語りたいんじゃ! ふはははは!」

    水平線に消えていくボート。いつまでもパンジー達は見ていた。

    パンジー「かばん。面白いやつが来るぞ!」


    <了>



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