• 【コラム】「キャラクターに集約されてしまった」話について

    2018-03-21 15:31
    TOKYO LOGICの村田さんがこんなこと書いてたので、久々にニコニコの方で書いてみようかと。

    嘘の上塗り、もうやめませんか? レーベル代表が音楽業界に物申す
    http://kai-you.net/article/39927

    --以下引用--
    僕はもともと、ボーカロイドが登場したときに、クリエイターがよりメジャーに注目される時代になるって信じてたけど、実際はそうはならなかったんですよね。結局は、ファンの興味や関心は「初音ミク」というキャラクターに集約されてしまったような印象がある。

    「supercellや米津(玄師)くん、livetuneとか、そこからアーティストとして知られるようになった人もいるけど、市場の大多数はクリエイターまで見てないなって思う。

    最近はCDを買うことも減ってるから、ますます作詞や作曲のクレジットが世に出づらい状況ではある。SpotifyやApple Musicで音楽を聞いてて「この曲、誰がつくったんだろう?」と思わないよね。
    --引用終わり--

    これについて以前から初音ミクを見続けてきた側から、キャラクターに集約してるわけじゃない、ちゃんとPも見てる!という反論が出ていて、僕自身も当然そう思っているわけだけど、村田さんが言いたかったことはちょっと違う気がする。

    そのあと彼自身が

    --以下引用--
    ……まぁネット発の人たちは、クリエイターの名前を出してて、健全だよね。
    --引用終わり--

    と言っている通り、ボカロ界隈自体はかなりP寄りになっている。
    というのも2008年頃だったか、ボカロが流行り始めた頃、一部P界隈から、
    「ミクで作らない曲は伸びない、つまり自分の音楽性が認められたわけではないってこと。やる気なくす。」
    って声が出てきていて、これに合わせて一部リスナーが、
    「ボカロ曲しか聴かない奴らがPのやる気を削いで界隈を衰退させる!」
    と大げさに煽っていた。そのせいで、ボカロ界隈には、
    「キャラベースで曲を掘ってるようなのは真剣にボカロ曲を聴く気がないにわか」
    という風潮ができた、と認識している。
    超会議のボカニコでも、お気に入りのPの曲がかかりそうなタイミングでボカニコエリアに行き、それが終わると離れる、という客が多いように見える。2017年に「息を吹き返した」と言われるボカロ曲の再生数も、つまるところファンを大量に抱える超有名Pが新曲作ったからその再生数が伸びた、というのが大半で、そこから他のPに波及する「スピルアウト」はわずかだった。

    しかし元記事を読む限り、村田さんたちが期待していたのはその程度ではないようで、歌手やバンドのブランドを差し置き作曲者が前面に出る状況に出ることを期待しているように思う。いわゆる90年代の小室哲哉のように、「TKサウンド」なら誰が歌ってても売れる、そういう注目のされかたしかされない時代が来る…と考えていたように読める。そして思ったよりそうもならなかったがゆえに、「キャラクターに集約している」という印象を持っているのだろう。

    この村田さんたちの期待、あまりにも過大だと感じる。
    歌手の歌声やバンドの演奏、アイドルグループのパフォーマンスにもそれなりの価値があり、十分な大きさがあればそれが一つのブランドとして確立する。そのブランドを常に作曲者が凌駕できる、と考えるのはそうしたブランドの価値を甘く見すぎている。
    VOCALOIDは「歌わせる人が必要」という構造上作曲者に目が向きやすいが、その歌声やビジュアルが無価値なわけではなく、ある程度そちらにフォーカスが向かざるを得ない。「初音ミクのあの声が好き」だから「初音ミクの曲を聴く」人はどうしたって現れる。「歌ってみた」となると「歌い手の歌声」へのフォーカスがさらに向く。そこに価値がある以上、仕方がない。
    そしてある程度ファンを持つ歌手や作品に曲を提供したのであれば、その歌手や作品の持つ価値を上回るネームバリューが作家側にないとフォーカスが当たらないのもしかたない。
    アニメでいえば菅野よう子だったり畑亜貴だったりの、作曲にクレジットされるだけでファンが騒ぐような、それほどのネームバリューが必要。
    「けものフレンズ」のキャラソンCDで40mPやemonさん、じんさんが作曲に参加するとなって話題になったのも、ボカロPとしてニコニコで有名であり、「けものフレンズ」がニコニコで配信されていたからであって、ニコニコの文脈がなければ「あぁ、なんかボカロの人?」ぐらいにしか思ってもらえなかったかもしれない。

    もちろんレーベルとして「どんな作品に出ようとも名前が前面に出てくるような作家陣を擁するレーベルとなる」ことを方針として活動するのは大いに行うべきだと思う。しかしボーカロイドだからといってその歌声やキャラクターが無価値になるわけでもないし、ましてや外に出て行けばパフォーマンス含めての勝負になるわけで、それに勝てなかったからと言って「キャラクターに集約」と言うのはいかがなものか。
    ボカロ以前だったら他の作品で20~30%も作家に注目なんてしてもらえてないよ?
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  • 【レポート】世界ボーカロイド大会に行ってきた7:PNT研究最前線(1)

    2013-07-08 12:05
    22:45。温泉から戻ってくると、部屋の前の廊下に張り紙が。
    「2704部屋 MK-PNT研究会」
     あれま、うちの部屋でやるのか。研究会主催のねぎもちさんと相部屋だからそうなんだろうな、と思いながら部屋に入ると、ねぎもちさんがフィギュアや資料用PCのセッティングをしていた。
    「部屋でやるって話は聞いていたけど、まさか自分の部屋でやるとは…」
    と困惑気味ながらも、精力的にセッティングを続けている。私自身、最初からMK-PNT研究会に入り浸るつもりでいたから、何の問題もなかった。

     都まんじゅうさんから「どんなメカな話をするんだろう」と恐れられていたMK-PNT研究会。ねぎもちさんを知っている人には、何を示しているかは自明だった。そう、パンツ。ねぎもちさんはミクさんパンツのデザイン研究の権威なのである!
     なんてことを書くとまるでねぎもちさんを変態として貶めてるような印象を与えてしまうが、下着もまたファッションのひとつであり、その研究もまた立派なデザイン・文化の研究である。実際、研究者が日本の下着のデザインの変遷をまとめた著書も出ている。ねぎもちさんは本当にまじめにミクさんのパンツを研究しているのだ。ねぎもちさん所蔵の、「パンツが見える」という下着文化研究の本につけられた大量の付箋が、ねぎもちさんがいかに文化研究としてしっかりと考察されているかを物語る。
     そんな人の開く研究会、どれだけ興味深い話が聞けるだろう…この期待は、予想を上回る形で叶えられることになる。

     開始時間の23:00を少しまわったあたりで、人が集まりだした。ねぎもちさんと私を含めて7~8人ぐらいだったか。シングルのベッド2つに大きなソファーが置いてある、そんな間取りにはこのぐらいの人数がちょうどいいように思えた。
     一人がビールの買いだしに行くことになって部屋を出て、戻ってきた頃には参加者は10人ほどに。多少狭いがまぁこんなもんだよね、ということで始めることになったのだが…おもむろに緑の縞パンを取りだし、それをかぶるねぎもちさん。
     さすがだ!さすがはねぎもちさんだ!

     無線のマウスを片手に、部屋のモニターに移した資料をめくるねぎもちさん。まずは研究会のオープニングとして、「研究会の目的」から入る。この辺りから、ねぎもちさんによる仕込みの質の高さの片鱗がうかがえる。
     まずは「MK-PNT」の説明だが、早速映し出されるパンツ映像と、
    みくぱんつですよ!大丈夫ですか?」
     早速盛り上がる参加者。もちろん!それが目的で来てますから!
     そして「討論会?何を?」というところから紹介される、2chの「パンツ派閥図」。これを討論しても決められないだろう。では何をするか、ということで、これまでのパンツ研究の経過と最新の研究結果について話をする、というところにつながっていくのだが、ここの流れがまた秀逸だった。

    当初はポスター展示でやるつもりだった
    →オープンスペースで卑猥なものは…と言われて夜の枠になった
    卑猥?ミクさんのパンツ卑猥じゃない!
     ファッションだ!アートだ!
    UGCだ!
    →ということで、ミクさんパンツの意識を変えるべく開催する

    マ ジ カ ル パ ン ツ 2 0 1 3 !

     卑猥じゃない!そうだそうだ!と盛り上がったところにこの企画タイトル。大爆笑と大熱狂に包まれないわけがない。

     その企画内容も、本当にしっかりと、かつ面白く練られていた。

    ミクさんパンツを2時間で楽しめるユーザー参加型文化祭
    マジコーナー:モニター上でマジな研究成果の発表
    カルコーナー:無地のパンツを着ているトルソーの絵が用意され、自分の思う「これぞミクさんのパンツ!」と思う柄を仕上げる。ユーザーの考える「理想のミクさんパンツ」カルチャーを明らかにするワークショップ。高級画材まで用意。
    パンツコーナー:実際のフィギュアの展示。のぞきこまずに見るための手鏡も。

     紹介のスライドはもちろん「アレ」をオマージュ。スチレンボードでそれぞれのコーナーの看板まで用意されている。このしっかりした用意もまた、参加者の爆笑と興味を引き出す。

     そして始まるマジコーナー。第一部では、これまでの研究の経過が紹介された。

     そもそものきっかけは「ツインテの森」と呼ぶ、ねぎもちさん所蔵の大量のミクさんフィギュア。これだけあればデータで研究できるんじゃないか?ついでにDIVAやMMDもやっちゃえ!ということで統計を取り、結果をブログに公開したところ…

    初音ミクみくさんに取り上げられ
    →Webメディア「kotaku Japan」に記事にされ
    2chに記事のスレが立ち、まとめサイトが大拡散
    →そして!海外では円グラフがパンツの柄になってるこだわり。

     この流れで参加者またもや大爆笑。まさに「どうしてこうなった」である。
     しかし「マジ」コーナー、ただ笑うだけでは終わらない。
     パンツ論はVOCALO CRITIQUE編集部からのオファーを経て、VOCALO CRITIQUE Vol.3に掲載されたのだが、タイトルが「草案」となっている。これは、調査期間の不足、文字数制限、そして「研究が進んでない分野」である、楽曲やイラスト、グラフィグや等身大像など特殊な造形物のパンツ、時系列での経緯など、数々の制約から語りつくしていない部分があるため、と語る。これらをまとめた物を、草案ではなく本として出したい!というところで第一部が終わるのだ。
     大爆笑だった参加者は、情熱を維持したまま、真剣な方向に引きつけられる。確かにまだ研究の余地は残っている。これをまとめたら本当に興味深い成果が出るのだ。これほどアカデミックな興味をかきたてられる流れもない。
     で、ふと思った。この話がVOCALO CRITIQUEがきっかけだったというなら…
    「『ぱんつクリティーク』ですな!」
     この発言はツイートされてましたw

     この流れのあまりの面白さにパンツすげえ!という参加者のツイートが広まり、それを見た他の部屋からの参加者が集まってくる。しっかり作られたスチレンボードに笑い、発表される内容に釘付けにされる。参加者は25人を超え、ベッドもソファーもカーペット敷きの床も人でいっぱい、立ち見まで出ている活況だった。

     さて、この時にこの部屋を訪れたのが「VOCALOID聴き専ラジオ」。な参加者に出迎えられて面食らうねずもずさん。目ざとくねぎもちさんがかぶっている「モノ」に反応。さらに参加者が差し出すスチレンボードの中身を読みながら爆笑。そして一言。
    「この部屋、酒臭くない。他の部屋は入ったとたん酒のにおいがしたけど、ここは酒臭くない!
     飲んでいないわけではなかった。あまりにも面白すぎる展開の数々に、まさに「ビール飲んでる場合じゃねえ!」だったのだ。それは聴き専ラジオでも放送された、ありらいおんさんの「パンツ面白いっすよ!」にも表れている。
     聴き専ラジオではこのあまりにも予想をつきぬけた流れに、kosyuさんが「どうしてこうなった」の選曲で応え、さらに爆笑を誘っていた。

     そしていよいよマジエリアの本題、データ研究会でも発表された、2012/2013年のパンツ動向へと進む。研究会はさらにマジな方向へ、そしてさらなる熱狂に包まれる。

     と言うことで、続きますw
     1記事に収めたかったんですが…推敲重ねて、まとめて、前半だけでこのサイズとなりました…。

     先に後半の様子をご覧になりたい方は、都まんじゅうさんのブロマガ記事
    「『第00回 世界ボーカロイド大会』にぼっちで参加してみた④変態淑女、覚醒編」
    をご参照下さい。

     また、MK-PNT研究会で発表されたスライドは、ねぎもちさんが
    「【WVC2013】 MK-PNT研究会 活動報告 」

    としてブロマガに挙げていらっしゃいますので、そちらもご参照下さい。
  • 【お知らせ】ブロマガ開始します。

    2013-07-05 00:33
    初めまして。Bukkoと申します。初音ミクさんが大好きな聴き専です。
    曲も作れない、絵もかけない、楽器もうまく弾けないということで、文章書いてます。
    これまでブログやmixi日記、twitterで文章を発表していましたが、せっかくニコニコに文章を書ける場所があるんだから、ということで、開始させていただくことにしました。
    よろしくお願いいたします。

    今後このブロマガでは、以下のような内容のレポート記事を投稿して参ります。
    • ボーカロイド関連イベントの参加レポート
    • 痛車・痛板関連イベントの参加レポート
    • Minecraftのプレイレポートおよびゲーム内実験レポート
    意見や論述については従来のブログ
    「ぶっこ旬報 Ver.4.5」
    にて掲載して参りますので、ご興味がある方はこちらをご覧ください。

    最初の記事ですので、これから書いていく内容に関連して、自己紹介をさせていただきます。こんな人間が書いてる、と思っていただければと存じます。

    <音楽・ボーカロイドについて>

    ボーカロイドの存在は、2007年9月上旬の「初音ミク」の記事で知りました。ついに人間の声を違和感なく合成させるソフトウェアが発売され、「ニコニコ動画」という場所で大変な人気である、というので、これは聴いてみなければ、とアカウントを登録しました。今までの合成音声のイメージを覆す、きれいなかわいい声で歌うミクさんのとりこになり、それからずっと聴きつづけています。
    母親が箏の師範だったことから、学生の頃は純邦楽の楽器を演奏してました。5歳から8歳までは母親と一緒に箏を習い、中学から大学卒業の前年まで、尺八を習ってました。大学のサークルでいろいろ面倒なしきたりに嫌気が差したのと、純邦楽そのものにも物足りなさを感じた結果、卒業以来全く弾いてません。
    その間、小学生の頃は父親の影響で西洋クラシックを聴き、中学でゲーム音楽とアニソンに傾倒。その後PCゲーム「天下統一」の差し替え用BGMを探しているうちにDTMの世界へ。平行して高校卒業の時の謝恩会で聞いたスピッツの「空も飛べるはず」でJ-POPSを聴くようになり、小室哲哉さんの曲を多く聴いていました。
    それがだんだんと自分の趣味に合わなくなったことから、高校時代に聴いていたゲーム音楽とDTMの世界に戻り、個人のサイトやmuzieから曲をダウンロードして聴く、というのを続けてました。ボーカロイドと出会ったのは、そんなタイミングでした。
    今はもちろんミクさん推しですが、キャラ関係なく何でも聴きます。スピード感や高い音圧、未来感のある曲が好きで、ジャンルで言えばハードロック、ラウド、ドラムンベース、ダブステ、トランス他テクノ、ジャズといったあたりをよく聴いています。

    <痛車・痛板・痛グッズについて>
    ミクさんのグッズがあまり出回ってなかった頃、「自分で作ってしまえ!」と、スターバックスの「クリエイトユアタンブラー」でボーカロイドのタンブラーを作ったのが最初だったと思います。そこから「車にもボカロを」「スキー板にもボカロを」「ヘルメットにも(ry」といろいろ作るようになりました。
    痛Gふぇすたには1度だけ、大規模痛板オフには2回参加しています。また各地のボカロ系イベントには痛車ででかけるので、見たという方もいらっしゃるかもしれません。

    <Minecraftについて>
    β1.5が始まる直前なので、2011年の4月頃、ニコニコ動画の「史上最大のMinecraft実況」を見て、これは面白そうなゲームだ!と始めました。レゴのように何でも建築できる一方、素材をちゃんと自分で集めなければいけない、という制約が大変面白いゲームです。
    その後マルチサーバーでのプレイをするようになり、最初はえきぞちっくわーるどで、2012年4月に閉鎖されてからは非公式日本ユーザーフォーラムマルチサーバーでプレイしています。ひたすら山を削り谷を埋めることと、ひたすら木を切ることが大好きで、ゲーム内では材木屋をやっています。

    次回更新から、本格的なレポート記事を投稿することになります。
    6月8日~9日に行われた「世界ボーカロイド大会」から、1日目夜に開催された「MK-PNT研究会」の参加レポートを投稿予定です。
    いつになるかはわかりませんが…気長にお待ち下さい。

    それでは、以後、よろしくお願いいたします!