以下、全て初めて書くことだ。血族の物語に、僕はかなり遅く登場し、実際にほとんどの人と関係がない。僕は血族の中の天使ようなもので、かつ、愚兄と同じで、一族の誇りのようになっているが、「小説家」という非常にわかりやすい仕事ではなく、僕の仕事の全貌が血族に知られることはもう未来永劫にわたってないだろう。「テレビに出た/ラジオもやっていた / 今年の正月にもテレビに出てた / 本も書いている」で、一体僕の何がわかるだろうか。
愚兄は僕とは違い、両親がまだ若い頃に生まれ、親戚たちとも付き合い、父親と、非常に健康な(オイデプス・コンプレックスとさえ言えなそうな)、父と長男の確執の果て、極端に血の気の多い父親と大喧嘩の末に2度勘当された末、一転して「ベストセラー作家」として、いきなり父親と長年の確執を霧消させ(あんな極端な手打ちは、あれ以前もあれ以後も見たことがない)、自慢の息子として、一転して