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田畑 佑樹さん のコメント

 ジョン・レノンのミドルネーム「ウィンストン」も、チャーチルからの直接由来ですね。私はこの、アイルランド系の子が戦中(チャーチルが何度でも戻りたいという1940年)に英国首相の名をもらった。という出目自体が、生まれながらにしてジョンのアンビバレンスへの耐性を形成したと思っています。
 マッカートニーは左利きだし双子座生まれだしで、アンビバレンス乗りこなしの才能があったことは作曲の内容からも窺えるのですが(クラシックの作曲技法に関して無知な身からすれば、西欧調性音楽内における対位法とは「アンビバレンス乗りこなし」か「アンビバレンス囚われ」のどちらかで、マッカートニーがポップスとロックンロールの作曲でやったのは前者の究極だったと思っています)、ジョンは単一楽曲内での調性の横断を理論ではなく(おそらくブルース概念のみをヒントとして)天然で突破している感があり、この「自身のアンビバレンスが無用な複合状態を招来していない」感は、生まれつきウィンストンと名付けられて特にそれを気にしていた様子もない彼の、マッカートニーとも全く別のアンビバレンス抗体によるものだったと思っています。菊地さんによる『I am the Walrus』アナリーゼを聴講していても同じことを考えました。
 そして、ウィンストンと名付けられたアイリッシュの戦後男性が、のちに日本出身女性(数年前、米国の原爆使用を許可する書類にチャーチルがサインしていた現物が公開されて、ちょっとした話題になりましたね)と結婚して『Imagine』とか『Give Peace a Chance』とかをやるというのは、凄い面の皮の厚さがなければできないことですね。これはもちろん賛辞で、この面の皮の厚さは「勇気」と呼び替えてもよく、ソーシャルメディア上のロック理想化世代からは全くと言っていいほど見逃されている側面だとも思います。

 ところで菊地さんは「好きなスラング」と「嫌いなスラング」を明確に持っていらっしゃいますが、「バキる」は「好きなスラング」のほうに入りますか? 以前にXで(近田さんや森高さんやBuck Tick の例を出しつつ)「マニエリストは目がバキっている」と書いてらした時から、この表現が気になっていました(笑)
 チャーチルはヒトラーと比べて戦時下での映像記録があまり残っていないと思いますが、チャーチルがラジオや議会で演説するときには目がバキっていたと思いますか?
No.1
2ヶ月前
このコメントは以下の記事についています
 寝ている間に9月になっていた感じだ、まだ還暦2年生とはいえ、還暦になって、いきなりいくつかの事故や怪我に恵まれてから笑(僕は「骨折」「靭帯損傷」「筋挫傷=肉離れ」「交通事故」を還暦になるまで一度もしたことがなかったのだが、60になった1年間で全部やった)、極端にいえば人生観が変わるぐらいのことになった。なんかどんどんパンキッシュになって行くのを感じる。少しずつ少しずつ壊れてゆく。少しずつ少しずつ壊れて行くのと並行して、少しずつ少しずつ賢者になり、と共に少しずつ少しずつパンクになっているのを感じる。62にもなって、脳内で呟く言葉で最多のものが「やっちまえ」になった。ひどい老人だと思う。トム・ウエイツは「オレの楽器と武器はボキャブラリーだ」と言った。    もちろん、世の中、下を見たらキリがないというか、様々な事故や病気によって、下半身付随の車椅子生活をなさっている方々を前に言えるか、と言えば、言えないけれども(僕は実の両親ともに、晩年が車椅子人生だったので)、下半身が孫悟空のように自由で、僕は40代ぐらいまで、部屋をダーっと走ってきて、そのまま壁を90度で駆け上がって、トンボは切れない(回転はできない)ものの、身長より高く駆け上がって、そのまま着地できたし、 DCPRG でオルガン弾きながら、あれ、ほとんど狂っているのと同じだが、昔の動画とかみると、我ながら凄い。30分ぐらい、機械かよっつうぐらい、同じ動きをして、目がバキっている。それでも頭の中はクリアで、誰が何をしているか、全部聞こえるし、見えた。演奏が終わってから、体のどこかが痛い。などということはなかった(音量で失神しそうには毎回なったが)。    もう、全力疾走もできないし、何せ困ったのは体が捻れないのだ。捻れないことがどれだけ僕にとってハンディキャップになるか理解できる人はいないと思う。僕は自分より身長が小さい女性よりも、さらに手が小さいのだが、フィンガースナップの音量は誰よりもデカい。サントリーホールに2回出たことがあるが、面白いのでどれだけ響くか鳴らしまくってみたら、残響がぐるぐる回って止まらなくなったのでやめた。    あれは、手首を捻っているのではない。肩からでさえない。どんな音も、全身を綺麗に使わないと音量と音質は稼げない。あれは、どこから捻っているかといえば、足の親指の付け根からなのである。でも今は、腰のところの回転がそのまま上半身に来ないで、一回制御がかかるので、最盛期の70%ぐらいの鳴りになっている。またこれは、我ながら書くに忍びないが、前歯をインプラントにしたら、口笛がほとんど鳴らなくなってしまった。  
ビュロ菊だより
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