【東方SS】ミスティア「お店を開いてみたいです!」ダンッ 【第六話】
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【東方SS】ミスティア「お店を開いてみたいです!」ダンッ 【第六話】

2017-09-29 02:08
    ここへきてブラゲ版東方饗夜雀の「トレジャー」や「クエスト」の回収。今話のみで引っ張るつもりはあんまりないです。次回からはおかみすちーの運営話に戻ります。
    そういうわけで、今回はいつもとはちょっとだけ違った感じのお話かも……だけど、全て繋がっているのですよ。ふふ。

    アニメやドラマだと折り返し地点ですが、今後の展開次第ではありますね。



    簡易キャラ紹介(このお話の開始前時点)


    ミスティア・ローレライ
    いよいよ迎えた夜雀デーも無事終わりひと段落……というわけにもいかなさそうな今日この頃。物盗り妖怪に悩まされ、出張調理を任され、いよいよもってただ料理をしていればいいだけではすまされなくなってきた。充実した毎日を送っているという実感と、これだけ各方面から助けてもらっていてもこんなに苦労があるんだと改めて厳しさを思い知っている。

    東風谷早苗
    ミスティアにマグロの解体ショーをさせるというとんでもない無茶ぶりをしているが、ここ最近は想定外の事態が続き、早苗も齷齪している。出張調理も相談してだが快諾したりと活動的ではあるが、ご本人的には少々物足りないとさえ思っているとかいないとか。

    アリス・マーガトロイド
    早苗の暴走にも慣れつつあるが、いよいよもって業務も忙しくなり早苗の言動をいちいち把握できなくなってきている。食材の提供をしてもらってる等、好条件で業務を行っている所が少々気がかりらしく、何か恩返しができればと内心思っているようだ。

    八雲藍
    このところはだいぶ大人しくしているが、盗人妖怪の件など、業務以外で気がかりな事が増えてきた事に厄介を感じている。池の主とやらの事も気になるようで、何か想像している以上に大きな異変が絡んでいるのではないかと、心配を募らせている。

    十六夜咲夜
    本人全く表に出しはしないが、ミスティアがいない状態での経営を少々心配している。当然彼女も腕は立つしそもそもこの店の料理人であることに変わりはないが、「ミスティアにしか出せない味」をどう表現したものかと悩んでいる。ただ同時に、単なる手伝い以上の責任感を持ち始めている様子。

    蓬莱山輝夜
    ここ最近は仕事にも慣れてはきているが、想定していた以上に働いている自分に自分が一番驚いている。ゲームのようだと思って始めた仕事も、やってみれば案外楽しいものだと満足そうだ。

    古明地こいし
    一生懸命皆と同じように働く事で一体感をひしひしと感じている。無意識のオンオフを切り替える事が多くなり、むしろ無意識を働かせる事のほうが少なくてもいいかもしれないとまで思ってきている……のかも。彼女がその場に溶け込むのが得意なのは、何も「無意識」だけの事ではないのかもしれない。

    八雲紫
    このごろはめっきり姿を見せなくなった大妖怪。廃村について調べるでもなく、物盗り妖怪を追いかけるでもなく、ただ幻想郷のどこかで何かをしている。ある妖怪にはたまに会って話をするようだが、今度は何をたくらんでいるのだろうか。

    射命丸文
    夜雀デーの日は取材を優先したため来ることができず、悔やんでいるらしい。妖狐デーには必ずやってきて様子を取材すると意気込んでいるので、藍にとっては厄介な存在になるかもしれない。例の記事が整ってきたようで、そろそろやって来るつもりのようだ。

    河城にとり
    早苗に依頼した件が通り、宴会が開ける事に大満足の様子。ただ、物盗り妖怪については何か知っていることがあるようで、誰かにそれを伝えようとしているらしいのだが……いわく、倉庫をあらされてしまっては大事な商売道具が大変なことになってしまう、とのこと。

    洩矢諏訪子
    毎日平々凡々と温泉の番台をやっている。開店からひと段落した今はお客もあまりおらず、隙を見ては温泉に浸かってきている。トレジャーについても、お遊び程度だが話を進めていて、既に色々なものを発見しているらしい。

    八坂神奈子
    時折早苗に何かを話したりしているようだが、基本的にこの所全く姿を見せる様子が無い。早苗にしても諏訪子にしても、本業そっちのけじゃないかと疑われても仕方が無いくらいの状態であるにも関わらず、彼女は苦言を呈さない。彼女たちのあまりの自由ぶりに、流石の神奈子も達観してしまったのかもしれない。

    茨木華扇(茨華仙)
    お店も温泉もだいぶ落ち着いた事もあってか、このごろは気を張り詰めることもなくなってきている。今までこちらにかかりっきりになっていたこともあり、里の情報があまり入ってこなくなっていたため、ここ最近は「自らの活動」に時間をあてているようだ。
    *何気無しに本名でずっと呼んでましたが、原作に忠実にするべく台詞に関しては俗称で呼称することにしました。ただし本名は本名ですので、キャラ名部(「」の左側の名前表示)は本名で書いています。


    *そういえば今更ですが茨歌仙の6巻に海老のてんぷららしき影がありましたが、海産物って存在しえないんちゃうんか……7巻で鯛の入手云々言ってたけど、海老はどういう扱いなんだ(ふるえ
    この辺忠実に作ってるつもりですが、原作(と準原作)最優先なのでほとんどがそちらの都合に合わせる形になります。
    もし、こここういう風に公式じゃなってたけど、等あれば教えてくださるとありがたいです。日夜調べてはいますが、見落としも結構あるので……勿論、二次創作というか好き放題やっちゃってる部分に関してはご容赦を。輝夜とかアリスとか……
    河童の発明は全て水が原動力って8巻で言われちゃったけど、ここは二次設定にするしかない……いやまぁ早苗さん達が外行き放題って時点でもう無茶苦茶なんですけどね

    鈴奈庵が終わってしまったり茨歌仙で新たな設定や事実がわかったりと、原作に合わせるために物語の途中から修正をはかる事があります。二次創作の範囲で色々はっちゃけはしますが、基本的な所は原作に忠実でありたいと思っています。

    ただ、私としては原作の状態があってその上に二次創作を乗せてる形です。決していちから二次創作にはしていないつもりです。
    忠実な所とはっちゃけてる所があるということで、ひとつ(´・ω・`)









    第六話








    早苗「さぁ、皆さん準備はいいですか」

    輝夜「もちのろんよ」

    こいし「おー!」

    アリス「頭が痛い……」

    早苗「クエストのおさらいしますよ!」

    早苗「クエストの目標は、この山の奥にある湖に潜んでいる主(ヌシ)を倒すことです!」

    アリス「水汲みが第一じゃないの……」

    早苗「それはサブタゲ辺りですね。まぁ必須なんですが」

    アリス「……そう」

    早苗「はい!」

    こいし「ねー、目的はわかったけど、なんで藍さんとか来ないの?」

    輝夜「クエストに出られるのは四人で1PTと決まってるのよ」

    アリス「忠実にする必要なんてないでしょうに……」

    早苗「まぁ真面目な話をすると、私たちに関係なく、藍さんは水を汲んできてくださるのでその辺の支障はありません。単に別行動にしてもらっただけです」

    アリス「でも、うん、その方がいいか。藍なら確実に水運んでおいてくれるだろうし」

    早苗「ですね。さ、皆さん武器は持ちましたね?」

    輝夜「もち!」

    こいし「武器……私持ってない……」

    アリス「うん、無いのが当たり前だから。こいつらのノリに合わせる必要なんてないからね」

    諏訪子「え、別に貸し出すよ?」

    アリス「いいから!!」

    諏訪子「まぁ狩り云々はあれだけど、何かと戦うのなら相応の準備は必要じゃない?」

    こいし「弾幕とかで何とかならないの?」

    諏訪子「そういうのが通用する相手ならいいんだけどね」

    早苗「でも主っていったい何なんでしょうね。湖というからには、ガノさんみたいな巨大魚なのでしょうか」

    アリス「……あんなのと戦いたくないわ」

    輝夜「当たり判定むちゃくちゃだものね」

    アリス「そういう意味じゃない」

    諏訪子「私はナルガがいいな」

    アリス「あんなのが存在してたまるもんですか!」

    早苗「まぁ、とりあえず出発しましょう。真面目な話をすると、この先は森がかなり深まっているので注意が必要です」

    こいし「入ったら出られない的な?」

    アリス「何度も生還してるミスティアは何なの」

    輝夜「相変わらずツッコミに忙しいわね」

    アリス「…………」

    早苗「昼なのに霧が深まったりしますから、どうしてもという場合は飛ぶのもアリにしましょう」

    諏訪子「湧き地点のすぐ下流なら、たぶんあの辺かな?」ユビサシ

    アリス「結構遠いわね……」

    早苗「この山も霊峰(神体山)ですから、それなりの場所になっているんですよ」

    アリス「でも、あの辺りだとまず天狗達の集落を通ることにならない?」

    諏訪子「そうだよ。でもまぁ、正確に言えば集落のすぐ横を通っていくことになる感じ。遭遇はしないと思うよ」

    輝夜「なら、変なミッションが乱入することはなさそうね」

    こいし「でも、ちゃんとした道とかあるの?」

    諏訪子「そこは問題ないよ。あの湖は隠れスポットみたいになってるしね。夏でも涼しいから、獣道みたいなのができてる」

    アリス「色んな場所があるのね……」

    早苗「まぁとにかくです! 行ってみないことには何もわかりませんし、とりあえずまいりましょう」

    輝夜「いざ!」

    こいし「まいろー!」

    アリス「はぁ。何も無いといいけど……」

    ワーワー……

    諏訪子「……皆行っちゃった。さ、私は早苗の代わりでもしてようかな~」

    声「それは、どういう事をするのかしらね?」

    諏訪子「ん」

    諏訪子「なんだ、仙人か」

    華扇「仙人で悪かったわね」

    諏訪子「別に誰でもいいんだけどさ。どうしたの? 開店時間にはまだまだ時間あるよ」

    華扇「ちょっとお話がしたくて」

    諏訪子「ふ~ん。でも私は別にしたくないんだけど」

    華扇「嫌でも付き合ってもらうわ。少々強引な手を使ってでも、ね」

    諏訪子「……へぇ」

    華扇「勿論、抵抗しないのならこちらも何もしないけど」

    諏訪子「切羽詰ってるのね。まぁ私は別に戦いたいわけじゃないし、抵抗もしないよ? だから、後ろにひかえさせてる動物たちは逃がしてね?」ニコッ

    華扇「……なら助かるわ」サッ

    ガサガサ

    諏訪子「…………」

    華扇「…………」







    -妖怪の山 山中-

    アリス「……思ったよりも静かね」

    こいし「不気味ですらあるね……」

    早苗「この辺りは妖怪もあまり来ないみたいで、日中でもさびしげな感じなんです」

    アリス「静かってだけならいいけど、なんていうかこう、背筋が冷たくなるというか、変な感じね」

    輝夜「威圧感があるっていうの? まるでキュレムでも潜んでるみたい」

    早苗「確かに、あの草むら辺りのような感じですね……」

    こいし「?」

    アリス「うん、別に知らなくていい情報よ」

    輝夜「見て! 何か綺麗なきのこがある。特産キノコかしら」

    早苗「色の派手なキノコって毒のイメージありますけど」

    アリス「カエンタケ採ろうとしてたらしいわね?」

    早苗「や、やだな、聞いてたんですか……」

    こいし「見て! むこうにはしなびたカエルが!」

    輝夜「釣りカエルね!?」

    アリス「なんでそんなのがあるのよ!! というかあれ、諏訪子が聞いたら卒倒しそうよね……」

    早苗「あはは、実際最初色々おっしゃってましたね……」

    輝夜「諏訪子を餌にしたらガノス釣れるかしら」

    早苗「いくら死ななくても祟られるとキツいですよ」

    輝夜「じょ、冗談よ……」

    アリス「なんて喋ってるうちに例の湖に着いたわね」

    こいし「ご都合展開だー!」

    早苗「道中何も起きなかったのは驚きですね」ワォ

    輝夜「本来なら妖怪がうようよいる山なのにね……守矢神社のおかげかしら?」クスリ

    早苗「そうですよ! きっとそうです!」

    アリス「きっとってあんた……」

    こいし「それにしても……綺麗だねー!」

    アリス「ん……ほんとね。紅魔館の前の湖も結構綺麗だけど、ここはそこよりも素敵に見えるわ」

    早苗「スウェーデンの森の中って感じがします」

    輝夜「見て。水が透き通ってるから、底がはっきり見えるわ」

    アリス「こんな綺麗な水が流れてきてるんだから、これの湧き水はさぞ綺麗で美味しいんでしょうね」

    早苗「ちょっと飲んでみます?」

    こいし「ここのもいいけど、折角だし湧いてる所の飲もうよ」

    早苗「それもそうですね」

    輝夜「待って。それもいいけど、今は主を倒す事が優先でしょう?」

    アリス「でも……主っていったって、そもそもこの湖に魚の影もなさそうなんだけど」

    早苗「ですね……綺麗なのはいいですが、少なくともこの辺には何もいそうにないですね」

    輝夜「あっちに洞窟みたいな所があるし、そこにいたりしないかしら」

    早苗「ますますガノさんが出そうな所ですね」

    輝夜「懐かしき無印。説明書にチラッとだけ写ってたのは良い演出だと思うわ」

    早苗「私は当時オフラインでしかしてなかったので、ゲリョスとかすごい驚きました!」

    アリス「ええい勝手に盛り上がるな!!」

    こいし「それで、あの洞窟の中にいるかもしれない感じ?」

    早苗「わかりませんけど、湖が洞窟の中にも続いているので、可能性はあると思います」

    アリス「まぁ様子見はしに行かないとね。ミスティアも困ってるわけだし」

    輝夜「じゃあゆっくり近づいていくわよ! 勿論、その間も湖には注視すること!」

    早苗「はい!」




    -妖怪の山湖 洞穴-

    早苗「い、一気に気温が下がりましたね……ホットドリンク持ってきてないや」ブルブル

    輝夜「まぁ左側に水が河みたいに流れててその横の陸地を、洞窟の奥に向かって進んでるわけだし、MHのそれとは違うけどね」

    早苗「むしろあれですね、沼地の洞窟みたい」

    輝夜「これだとガノスじゃなくてフルフルが出てきそうだわ」

    ありす「はぁ……別にいいけど、初代好きねあんたたち」

    早苗「シリーズが進んでいくたびに、無印やら初期時代を懐かしみたくなるんです」

    輝夜「懐古厨とでも呼ぶがいいわ!」

    アリス「別に言わないけどね」

    こいし「でも、静かだね。私たちの喋り声を除けば、しずくが落ちる音と水が流れる音しか聞こえない」

    早苗「水が流れている音からして滞留しているわけではないみたいですが……奥は暗すぎてどうなってるか全く見えないですね」

    輝夜「こんな所に主が潜んでるのね……雰囲気があるだけに、なんだかちょっと怖いわ」

    アリス「確かに、ここで急にがっと来られたら……」

    こいし「ひえっ! む、無意識発動しとこうかな……」

    輝夜「隠密スキルどころか竜いても目のマークつかなそうね、こいし」

    アリス「いい加減ゲームから離れなさい」

    輝夜「しゅん」

    早苗「あはは……でも、岸の方は割と浅瀬でしたけど、この辺りになるともうどのくらいの水深かわかりませんね……」

    輝夜「底も見えないわね。明かりでもあればいいんだけど」

    アリス「というか、これ以上進むと光が届かなくなるから本当に暗くなるわよ」

    こいし「魔法で明るくできないの?」

    アリス「できるけど、急に明るくしたら主が襲ってきたりしないかしら……」

    輝夜「その可能性はありそうね……まぁ主に五感が満足にあるのかはわからないけど」

    こいし「とんでもない化け物みたいなのだったらどうしよ」

    早苗「鬼が出るか蛇が出るか……」

    アリス「というか、ミスティアはよくそんな中、その主とやらを目撃して逃げかえったわね」

    早苗「えっと、厳密にはかなり遠くから見ただけらしいですよ。それで、生態系を狂わせてる元凶かな? って思ったそうです」

    アリス「確証があるわけじゃないのね」

    輝夜「で、どうする? 引き返す? 明るくして先に進む?」

    アリス「一旦外に出て対策を考えましょ。仮にここに住んでるとしても、ミスティアが見たって事は洞窟の外に出る事もあるって事だし」

    早苗「そうしましょうか。危険を冒すにはまだ早いですしね」

    アリス「できればそういう事は無いに越したことないんだけどね」

    輝夜「そうと決まれば戻りましょう。これ以上震えているのも嫌だわ」

    こいし「……うん?」

    早苗「ん、どうしたんです?」

    こいし「何か来る」

    アリス「え、何かって何が……」

    こいし「すごい音、しない?」

    輝夜「音……?」

    ザザザザーーーッ!!!

    アリス「この音って……」

    早苗「まさか……」

    輝夜「すごい波が来てるわ!!」

    こいし「ひっ!」

    アリス「い、急いで入り口まで逃げるのよ!!」

    早苗「急にこんな展開にいいいい!!!」

    アリス「っ、間に合わないっ……!」

    早苗「なら、ここは防いで……」

    アリス「もう波が目の前に!?」

    早苗「思ったより速っ……」

    ザバーン!!

    ゴボゴボ……ゴボゴボ……

    早苗「~~~~~」

    アリス「(暴れちゃだめ!)」

    輝夜「(くるしい……)」

    こいし「><」

    早苗「!!」

    主「」スィーッ

    アリス「(あ、あれは……)」

    輝夜「(長い竜みたいな……)」

    早苗「」ゴボッ

    アリス「!」

    アリス「(まずいわね……いずれ水は引くだろうけど、早苗が空気吐き出しちゃった……)」

    アリス「(それにあの、主……今は私たちに興味を示してないのか気づいてないのかこっちに来ないけど……)」

    アリス「(ちょっとやばいかも……)」








    -守矢神社 守矢索道前-

    諏訪子「話って何? つまんない話だったら帰るよ?」

    華扇「貴女にとってはそう面白い話ではないかもしれないわね」

    諏訪子「じゃーねー」フリフリ

    華扇「今回の件は索道の件と似ているのだけど」

    諏訪子「さよならが聞こえなかったのかな」

    華扇「ふふ、本当に帰りはしないと思っていたもの」

    諏訪子「そういう事言ってると本気で帰るよ」ムッ

    華扇「まぁ聞いて。いつも自由奔放な貴女達だけど、今回の件については随分とやりすぎなところがあると思うの」

    諏訪子「やりすぎって言われてもなー」

    華扇「確かに『あの妖怪』に繋がっていたりするし、なんだかんだ言っても里や妖怪達のバランスに悪影響は出ていない……見事なものね」

    諏訪子「いつもどおり、回りくどいなぁ。だから聞きたくないんだ」

    華扇「何事にも裏がある。そう河童は言っていたわね」

    諏訪子「何の話だか」

    華扇「今回の目的は何? やっぱり『世のため人のため』ってやつなの?」

    諏訪子「だから前から言ってるじゃない。ぜーんぶ、信仰のためだって。それ以上でもそれ以下でもないんだから」

    華扇「そのためには身内でも利用するって?」

    諏訪子「人聞きが悪いなぁ。そういうのは利用とは言わないよ。なるようにしてなっただけなんだから」

    華扇「否定まではしないのね」

    諏訪子「否定する要素ないもん」

    華扇「あっさり認めるか……私にはバレでも問題ないと思ってるの?」

    諏訪子「貴女が何と戦ってるのかは知らないけど、私たちに他意は無いんだから肯定も否定もないわよ」

    華扇「なら結局のところ、この件に関しても参拝客を増やすとか信仰を高めるとか、そういう所に持っていくためのことなの?」

    諏訪子「あれ、早苗から聞いてないかな? 旅館はいずれ人間に開放するつもりだし、そうなれば索道と合わせてツアーも組めるって話」

    華扇「本当に、ただそれだけだといいのだけどね」

    諏訪子「疑り深いなぁ。他に何があるっていうのさ」

    華扇「……もう一人が静かなのが気がかりなのよ」

    諏訪子「もう一人って、神奈子?」

    華扇「この前だって、一番の首謀者は彼女でしょう? それも、早苗も知らなかったみたいね」

    諏訪子「また何の話をしてるのやら……そもそも、何かを考えたり実行に移したりするのは、元より神奈子の方が多いよ」

    華扇「じゃあこの件も彼女の差し金なのね」

    諏訪子「大事な事忘れてない? この話って、そもそもミスティアからしてきたんだよね」

    華扇「そう。そこから疑問に思うべきだった……悪いけど彼女は、そう力を持つような妖怪じゃない。だから、貴女達の助力あっての事とはいえ、ここまで大それた事をそもそもしようと思うかしら」

    諏訪子「つまり、そそのかしたのも私たちじゃないかって?」

    華扇「そう思ってるわ」

    諏訪子「あははっ、なんていうかもう、小説でも書いたらいいと思うよ」ケロケロ

    華扇「でも、あながち間違っていないでしょう?」

    諏訪子「あのね、一つだけ忠告しておくけど、あなた物事を真剣に捉えすぎなのよ」

    諏訪子「何かを始めました、でもそれは実は参拝客を増やすためでした。それで、何か問題になるの?」

    諏訪子「そりゃあその為に悪い事してたら話は別だけど、むしろ周りも活気付くようなやり方しかしてない。確かに、物事には裏があるよ。けど、それって物事を円滑に進めるためのいち手段でしかない」

    諏訪子「それとも……」スッ

    華扇「!」

    諏訪子「私たちに、幻想郷が支配されそうで怖いの?」

    華扇「そ、それは……」

    諏訪子「あはは、でも、それこそ勘違いよ。この世界には、絶対の主がいる。本当にここをどうにかしたければ、彼女を何とかしなきゃいけない」

    諏訪子「そんな面倒なこと、誰も好き好んでやらないでしょ?」

    華扇「…………」

    諏訪子「まぁ、それに紫だって多少は協力してくれてる。ただ監視してるだけかもしれないけどね。どちらにせよ彼女が強硬手段に出てるわけじゃないんだし、それは大丈夫って事ね」

    華扇「……あなたも、あちら側、なのね」

    諏訪子「あちら側? よくわからないけど……私たちは『私たち側』だよ。それ以外の何者でもない」

    華扇「そう……」

    諏訪子「で、疑問は解決した? もう話は終わりでいいかな、これでも忙しいのよ」

    華扇「ええ。時間取らせて悪かったわね」

    諏訪子「さーて、お仕事お仕事」スタスタ

    華扇「…………」

    華扇「(これがいつもの通りだとしたら……旅館を建てたのも、居酒屋を開店させたのも、ミスティアをそそのかしたのも……)」

    華扇「天狗と守矢は繋がってるのも確認してるし……事の発端は天狗の記者らしいしね」

    華扇「まぁ、それで霊夢がどうにかなるわけでもなさそうだし、別にどうでもいいといえばいいんだけど……これじゃますます守矢に人が取られちゃうわね、はぁ」





    -河童アジト 宴会場-

    ワーワー ガヤガヤ

    にとり「いやー、ほんと助かったよ! 宴会できなかったらどうしようかと」

    ミスティア「役に立てたのなら光栄だよ」

    にとり「へへ、中々面白いことを言うじゃないか。鼻高くしてもいいんだぞ」

    ミスティア「んーなんかそれもなぁ」

    にとり「まぁ宴会はまだまだ続くからね。引き続き、料理の方頼むよ」

    ミスティア「うん、それは任せてよ。材料さえあればいくらでも作れるから」

    にとり「頼もしいねぇ……んく、ぷはぁ。次の料理までまだ間があるし、少し話でもしようか」

    ミスティア「え、話? 何の?」

    にとり「何って、他愛ない世間話ってやつさ」

    ミスティア「はぁ」

    にとり「私らはね、物を作る事にプライドを持ってる。あんたで言う、料理みたいなもんさ」

    ミスティア「うん」

    にとり「それとは別にね、商売にも力を入れてる。金になりそうな事にはいち早く気がつき、いち早く取り入るのさ」

    ミスティア「すごいねそれも」

    にとり「まぁね。でも、だからあんたたちに協力したんだぞ?」

    ミスティア「成功すると思ってたから?」

    にとり「まぁそうなんだけど、正確に言えば、きっちり報酬が入ると見込めたから、かな」

    ミスティア「まぁそうか。極端に言えば、報酬がちゃんと入れば後はどうなってもいいもんね」

    にとり「いや、それは違う。確かに誰がどうなるとかには興味ないけど、私たちが作ったものがそこに残るだろう」

    ミスティア「発明とか、お店とか?」

    にとり「そうそう。まぁあそこまで大規模なのは初めてだったけど……あれはね、私たちの魂なんだ。それには最大限責任を持つつもりでいるのさ」

    ミスティア「責任……すごいなぁ。てことはつまり、お店が失敗して建物ごと潰されるようにはならないと踏んでた? もしくは、機材が原因で何か起きたりはしないと?」

    にとり「そういう事。現に、そう失敗続きってわけじゃないだろう? 不具合も無い」

    ミスティア「うん、雨の日は厳しい事もあったけど、良い感じにやらせてもらってるよ」

    にとり「そうだろそうだろ、そう思っていたのさ」バシバシ

    ミスティア「痛い痛い」

    ミスティア「(相当酔ってるなこれは……)」

    ミスティア「でも、今回私たちのお店が成功したとして、にとりさんたちはどこで儲けになるの? 早苗さんから報酬もらったり?」

    にとり「そりゃ守矢からはもらうけど……その辺の契約どうなってるんだっけか。あんたもお金は出してるんだろ?」

    ミスティア「建設費と材料費に全部消えたけど、それでも普通なら全然足りないよね」

    にとり「そりゃそうさ。守矢の口ぞえが無けりゃ悪いけど協力なんて絶対してないよ、正直」

    ミスティア「まぁ、そこはなんとも……」

    にとり「いいかい? あいつらには、色々と計画ってもんがあるんだ。ただお店を作ってはいおしまい、では終わらない」

    ミスティア「それって、後で旅館を人間に開放するとかそういう話?」

    にとり「あはは、そうそう、そういう系。でも、そっかそっか、それしか知らないのか」

    ミスティア「他にも何かあるの?」

    にとり「いやぁ、うん、まぁそういうのは本人の口から聞きなよ」

    ミスティア「話してくれる流れじゃなかったんだ」

    にとり「いや、要はあれよ。その話でいえば、後の修繕費や維持費なんかが私たちの所に入ってくるからね、それで乗ったのさ」

    ミスティア「なるほど」

    にとり「あとはまぁ、キミの目でたしかめろ! ってやつかな」

    ミスティア「なにそれ?」

    にとり「よく知らないけど、早苗さんがそう言ってたからまねしてみただけ」

    ミスティア「早苗さんは物知りだなぁ」

    にとり「お気楽巫女だしね。外来語も聞きなれてみりゃ案外に面白い」

    ミスティア「そういうもんか」

    にとり「いやはや……そういやあれだ、盗人妖怪については何か進展あった?」

    ミスティア「え、なんで私に聞くの?」

    にとり「そりゃあんた、緑の巫女がいるからじゃないか」

    ミスティア「私時々思うんだけど、霊夢さんと早苗さんでは活動内容が違うんじゃないかなぁって」

    にとり「あん? じゃあ早苗さんは妖怪退治とかはしてないのか?」

    ミスティア「むしろこんなに友好的じゃん」

    にとり「それは裏ではってやつで、霊夢さんだって同じだろ」

    ミスティア「うーん、そういうのじゃなくて……妖怪退治はあくまで霊夢さんが専門っていうか、霊夢さんがするべきっていうか……あれ、自分でも何言いたいのかよくわかんないや」

    にとり「よくわかんないけど、早苗さんは妖怪退治はあんまりやってないのか」

    ミスティア「布教とかが主だと思うよ」

    にとり「いつもくそまじめに里で演説してるね。ふっ、くそまじめに」

    ミスティア「?」

    にとり「あぁなんでもないよ。それで?」

    ミスティア「いや、それだけ」

    にとり「そっか。まぁお店にも被害出てるみたいだし、進展あるのかなと思ってね」

    ミスティア「情報を集めてはいるけど、全然見えてこないね。たぶん妖怪の仕業、ってくらいしかわかってない」

    にとり「私らもなぁ、調理器具盗まれたのにはまいるよ。即席で作れないこともないけど、手に馴染んでるものがいいだろう?」

    ミスティア「まぁ、そうだね。どれ使っても作れるけど、自分に合ったやつ使うのが一番だよ」

    にとり「本当にすっかり料理人だなぁ。今度からことあるごとに頼もうかな」

    ミスティア「じ、時間あいてたらね……」







    -妖怪の山 洞穴-

    ポツッ ピチョーン

    アリス「…………ん」

    アリス「!」ガバ

    アリス「いたた……ここは……?」

    アリス「洞窟の中ね……入り口に向けて波にさらわれたと思ったけど、返す波に連れられて奥まできちゃったかしら……」

    アリス「だけどこの辺りは割と明るい……天井に僅かにだけどいくつか隙間があるのね。けど、あの狭さじゃ飛んで出ることもできない」

    アリス「そして……どっちが出口かもわからない……」

    アリス「参ったわね、本当にまずいことに……他の三人ともはぐれたみたいだし、困ったわ」




    -妖怪の山 湖畔-

    輝夜「けほけほ、はぁ……厄介なことになったわね。まさか、洞窟の外まで流されちゃうなんて……こんなことなら波が来た時に能力使えばよかったわ」

    輝夜「しかし……あれは何だったのかしら。竜……ではなかったと思う。ガノスみたいな魚類でもなさそうだったし……」

    輝夜「今じゃさっきの波が嘘みたいに静まり返ってる。湖にも見える範囲には何もいないし、波ももう穏やか……あんな大きいのが動いたら絶対波立つしね」

    輝夜「とにかく皆を探さなきゃ。たぶん洞窟の中に取り残されてるんだわ」

    輝夜「だけど、洞窟にいるのはあの主も同じ…………」



    -妖怪の山 洞穴-

    こいし「う……あう……」

    こいし「!」ガバ

    こいし「ここは……洞窟の中か」

    こいし「はうぅ、パンツまで全部びしょびしょだよ。風邪ひいたらどうしよ」

    こいし「どれだけ流されたんだろう。周りに川さえないんだけど……でも波にさらわれてここまで来たって事は、近くに川はあるよね」

    こいし「……でもどっちにあるのかわかんないや」

    こいし「うう、かなり暗いし、歩くだけでもなんかなぁ……無意識発動しとこ」スウッ





    -妖怪の山 洞穴湖畔-

    早苗「えーっと……この状況は……」

    主「Zzz」

    早苗「急に波が来て主らしき生物が目の前を通ったと思った。私は空気吐いちゃって気絶しちゃいましたけど……」

    早苗「奇跡的に生還です。そういう能力です」ドヤッ
    *諸説あります

    早苗「それはいいのですが……ここは、洞窟の中みたいですね。でも、岩の隙間から光が漏れてるので明るいです」

    早苗「洞窟の奥地でしょうか。中央は小さな湖みたいになってて、その周辺の陸地に草木が結構生えてますね」

    早苗「そして……その湖で眠る、主……」

    早苗「間違いないです。これは、ヤツメウナギ」

    早苗「どういうわけか異常成長したみたいですね……10Mくらいあります。しかもめっちゃぶっといです」

    早苗「さて、ご存知ヤツメウナギは寄生型と非寄生型が存在し、寄生型は魚に喰らい着いて血を吸ったり肉を溶かして食べたりします」

    早苗「もしこの主が寄生型であれば、あの気持ち悪い口に噛み付かれてしまいます。それもこの大きさなら、吸われるどころか丸呑みされるでしょう」

    早苗「日常が一瞬にして非日常に……これは本当にモンスターハントになってしまいました」

    早苗「だけど、今は私一人……ゲームならソロでも突っ込むところですが、リアルファイトとなると、手の見えない相手に一人で挑むのはちょっと怖いですね……」

    早苗「ただ、もしこれがミスティアさんの言ってた主だとすると、こいつが生態系を崩してることになる……ううん、これだけ大きければ魚なんて丸呑みでしょうしね。確かにそうなのかも」

    主「Zz……?」

    早苗「はっ……目のマークはついてないですが、敵の頭上に『?』が浮かんでる気がします……」

    早苗「においを嗅がれたら困りますが、とりあえず木陰に隠れましょう……」

    主「…………」ザパァ

    早苗「うう、起きたみたい……見つからないといいけど。お願い、エリア移動して!」





    -妖怪の山 水源-

    藍「ここで待っててくれと言われたが……中々来ないな」

    咲夜「そうね……狩りとやらに苦労しているとか?」

    藍「そもそも主なんていたのか」

    咲夜「わからないけど……」

    藍「お前たちの所の湖にはそういう類のものは出現しないのか?」

    咲夜「巨大魚が世間を騒がせたなんて事はあった気がするけど、まぁそれくらいね」

    藍「ふむ。その生き残りかもしれないな」

    咲夜「まさか。あれは全部駆除したわよ」

    藍「そもそも紅魔館前まで降りてきていなかったのかもしれない」

    咲夜「出所が不明だからなんとも言えないけど……」

    藍「というか元より怪魚が噂になっていただろう」

    咲夜「あら、もしかして意外とネッシーなんて信じてたりするの?」

    藍「そういう話だったのか……」

    咲夜「にしても、生態系を崩しているかもしれない相手ならちょっと大変かもしれないわね」

    藍「相手にもよるが……そう問題もない面子だろう」

    咲夜「意外にかってるのね、彼女たちを」

    藍「私情が入る事はあれど、正確な情報は冷静に分析できるつもりだからな」

    咲夜「それって輝夜のこと?」

    藍「まぁ……」

    咲夜「嫌っているの?」

    藍「いや……正直、輝夜についてはもう慣れてしまった……」

    咲夜「まぁ、この頃はいつにも増して自由奔放だものね」

    藍「ええい、そういう話はいいだろう。とにかく、水を汲んで帰るぞ」

    咲夜「待たないの?」

    藍「お前もそう暇ではあるまい。様子見がてら、後でまた来るさ」

    咲夜「最悪精一杯動くわ」

    藍「それもいいが、ここまで来たんだ、私もやるさ」

    咲夜「面倒見がいいのね。どこかの主様のせいかしら」

    藍「否定はするまい……」







    -旅館-

    華扇「……あれから諏訪子は戻ってきていない」

    華扇「早苗の代わりをすると言っていたけど、まさか彼女が里へ降りて話をしに行くの?」

    華扇「どちらにしても好都合かも……この旅館を精査する、いい機会だわ」ババーン


    -旅館 1階-

    華扇「この旅館は三階建て。元々そう人が来ることを想定していないからか、客室は割りと少ないわ」

    華扇「1階は玄関周りに、大広間……いわゆる宴会場かしら? が三つと、温泉ね。あと、温泉の周りにも休めるところがいくつかある」

    華扇「どこにでもありそうな、ごく普通の温泉旅館ね……先に上の階から回ってみましょうか」



    -旅館 3階-

    華扇「ここにあるのは客室がほとんど。あとは、従業員専用部屋、布団部屋、用具室と……いわゆる電気室ってやつかしら」

    華扇「従業員専用部屋は部屋の向こう側に廊下が伸びてて、階段に繋がってるわ。そこから、2階、1階と行き来もできる」

    華扇「屋上はないし、ここには何もなさそうね……裏から降りましょうか」


    -旅館 2階-

    華扇「ここもほとんどが客室ね。唯一つ違うのは、二階の奥には外へ出られる大きなスペースがあるということ」

    華扇「完成はしてないみたいだけど……架空索道でここまで来れるようにするつもりかしら。だとしたら、とんでもない計画……ん」

    華扇「あれは文と神奈子……どうしてこんな時間にこんな所で話してるのかしら。ちょっと身を隠していましょう」


    文「もし叶ったならそれはすごい事になりそうですねぇ。是非とも記事にしたいものです」

    神奈子「そうしてもらってかまわないわ。むしろ、騒いでくれた方が嬉しいわね」

    文「先日もお世話になっていますからねぇ、お互い様ではありましたが」

    神奈子「損をする人がいないやり方……無限エネルギーの考え方と同じよ」

    文「合金の話ですか?」

    神奈子「それも同じ。誰かが、何かが犠牲になるのではなく、誰もが笑える結末を望んでいるの」

    文「その為には裏工作が欠かせないと。末恐ろしいですね」

    神奈子「それよりも、あの記事はできたの? 特集を組むって言ってたけど」

    文「今朝がた完成したので配ってきましたよ。読んでくれてる人は読んでくれてるはずですけどねぇ」

    神奈子「あれだけ話題になれば、見出しだけで読もうという気になる妖怪は多いと思うわ」

    華扇「(話題に? 何の話かしら……)」

    文「そうだといいんですけどねぇ。まぁ、霊夢さんたちに悟られないようにのらりくらり書いてありますので」

    神奈子「さすがね。とても助かるわ」

    華扇「(霊夢に悟られないように? なんだかキナくさくなってきたわね……)」

    文「では、私はこの辺で。今日はミスティアさんのお店に食べにいくと決めているので。本当は真っ先に行きたかったのですが、中々時間が取れなくて」

    神奈子「ふふ、盛況なようで何よりだわ」

    文「ふ、貴女が言いますか」バサバサ

    神奈子「さて、私は私で準備しないとね……」スッ

    華扇「…………」

    華扇「……二人とも飛んで行ったわね」

    華扇「とても怪しい会話だったけど、何を話してたのかしら……新聞に何が?」

    華扇「この旅館、新聞取ってるわよね流石に。ちょっと見てこよう……」



    -旅館 1階-

    華扇「あったわ。えーっと……」

    華扇「こ、この記事は!!」






    -妖怪の山 洞穴-

    早苗「……行っちゃいましたかね」ソー

    早苗「いない……エリア移動してくれたみたいですね。水音もしたし、間違いないはずです」ヒョコ

    早苗「さて、なんとか脱出したいですが、どうやらここから出るには水の中を進むしかなさそうです」

    早苗「時間帯によったら水がもう少し引くのかもしれませんが、とりあえず今は立ってる所にしか陸地がありませんね。ルネシティみたいです」

    早苗「光が漏れているという事は突き破れば洞窟を出る事ができそうですが……他の皆がどこにいるかもわからないのに、崩れたら大変です」ムムム

    早苗「ダイビングして進んでもいいですが、たぶん少し進んだら真っ暗でしょうし、主と遭遇するかもしれません。気づいた時には食べられちゃってた、なんてこともあるかもしれないです……」

    早苗「……あれ、何気にやばくないですか?」

    早苗「こうなったら最終手段を使うしかないですね。ほんとは使うつもりなかったんですが……」

    早苗「諏訪子様へるぷ~」テッテテテッテッテー





    -どこかの森-

    諏訪子「あ、早苗がピンチだ」ピコーンピコーン

    マミゾウ「なんじゃ話の途中で」

    諏訪子「早苗から緊急要請が出たんだよ」

    マミゾウ「その面妖な明かりがそうなのか?」

    諏訪子「そうだよ」

    マミゾウ「じゃが、知らせがあったとて、今どこにいるかわかるのかえ?」

    諏訪子「早苗の巫女装束には発信機がついてるからね」

    マミゾウ「お、おう……」

    諏訪子「いやうん、半分冗談だからね」

    マミゾウ「(それでも半分かい)」

    諏訪子「じゃあ、話は後で……っても、もうほとんどしなくていいかな?」

    マミゾウ「もともとわしらは暇つぶしみたいなもんじゃからな。あとは気楽にやるさ」

    諏訪子「そうだね、そのほうがこっちとしてもありがたいかな。じゃ、よろしく」

    マミゾウ「任せておけ」

    諏訪子「ハンティングって事は、双剣の出番かな?」シャキン テーテレッテー

    マミゾウ「……いったい何をしにいくのやら」




    -妖怪の山 湖畔-

    輝夜「あ、カエル」

    諏訪子「あれ、早苗たちは? 一緒じゃないの?」

    輝夜「あの洞窟に入ったら主にタイダルウェーブされて、皆ばらばらになっちゃったのよ」

    諏訪子「サンゴの指輪つけてないからもー」

    輝夜「私はしてたから無事なのよ」エッヘン

    諏訪子「用意周到だね」

    輝夜「諏訪子は……とくせいがちょすいか」

    諏訪子「うん、だから水は平気だね」

    輝夜「用意の必要すらないとは」

    諏訪子「カエルだからね~。ってか、早くみんな助けにいこか」

    輝夜「そうしましょう」




    -妖怪の山 洞穴-

    諏訪子「うわ~こここんなに深かったんだ」

    輝夜「入ったことなかったの?」

    諏訪子「ここにはあんまり用事なかったしなぁ」

    輝夜「でも、巨大な謎の生物が出現してるのよ?」

    諏訪子「たぶんそれ、巨大ヤツメウナギでしょ?」

    輝夜「え、そうなの?」

    諏訪子「うん、たぶんだけど。元々この湖ってあんまり魚とかいないんだよね。代わりじゃないけど近くに別の池があってさ、そっちの方が生き物は多い」

    輝夜「その池ってもしかして」

    諏訪子「うん、ヤツメウナギがいる池だよ。ミスティアもよく採りにきてる」
    *勝手な設定です

    輝夜「ここだったのね~」

    諏訪子「養殖もしてるからね。まぁ、ここと違ってあっちはかなり彼らにとって環境がいいんだ」

    輝夜「で、なんで巨大化してこっちに?」

    諏訪子「巨大化したの、誰の仕業だと思う?」

    輝夜「えっ、知ってる人なの?」

    諏訪子「よーく知ってる人だよ。でも、まだ巨大化した生き残りがいたんだね~」



    -永遠亭-

    永琳「くしゅっ」

    鈴仙「あれ、お師匠様風邪ですか? 珍しい」

    永琳「そうじゃないけど……誰か噂してるわね」




    -妖怪の山 洞穴-

    輝夜「疑問なんだけど、そんなに落ち着いてるって事はそこまで害とか無いってこと?」

    諏訪子「ん~そりゃ溺れさせられたり押しつぶされたりはするだろうけど、他には特にないよ」

    輝夜「え、でもヤツメウナギって吸血したりするんじゃ……」

    諏訪子「それは寄生型ね。あこにいるのは全て非寄生型。巨大化してもその性質に変化はないよ」

    輝夜「なんだぁ。食べられたりしちゃうかと思った」

    諏訪子「あーでも大きさ次第では丸呑みされたりはするかもね」

    輝夜「……はやく助けに行かないと」

    諏訪子「呑まれてたらおなか引き裂かなきゃね、かわいそうだけど」

    輝夜「それだけ大きいと味もよろしくはなさそうね」

    諏訪子「うん、美味しくないと思う」

    アリス「あんたら、ほんと緊張感ってもの持ち合わせてないのね」

    輝夜「遭難者発見」

    アリス「無闇に動かずじっとしてて正解だったわ」

    諏訪子「流石だね」

    アリス「んであんたはしっかり双剣持ってるし……」

    諏訪子「あはは、まぁ形からっていうしね?」

    輝夜「ローゼンの双剣が似合いそうだわ、形状的に」

    諏訪子「懐かしいなぁそれ」

    アリス「こいしと早苗がどこにいるかわからないわね」

    輝夜「それに、主の居所も不明。ここずっと行ったら行き着くのかしら」

    諏訪子「どうだろ。途中で道が分かれてたりしたら……」

    アリス「でも、中が意外と明るいのは幸いね。入り口を少し進んだ辺りから結構天井に亀裂が入ってるし」

    輝夜「みたいね。意外と暗いのは入り口ちょっと進んだ辺りだけとか?」

    諏訪子「逆に言うと、ふとした瞬間に崩れる可能性はあるからね。特に、主が大波を押し寄せてるのならその衝撃やらで崩れたって不思議じゃない。亀裂がそもそもそれのせいでできたのかもだし」

    アリス「そう思うと怖いわね……」

    輝夜「主に危険性はそう無いみたいだし、案外そっちの方がしんp」

    諏訪子「しっ! 待って、動かないで。何かいる」

    アリス「何かって、主?」

    輝夜「しかいないわね……いるって、そこの水の中よね」

    諏訪子「うん。今、ゆっくり移動してる」

    アリス「っても水の方は暗くてよく見えな……っ!?」

    主「」スーッ ザバザバザバ……

    輝夜「…………」

    諏訪子「………」

    アリス「………」

    輝夜「……いま、通ったわね」

    アリス「ちょっとなにあれ、普通に戦慄したんだけど……」

    諏訪子「サイズがサイズだからね。水の方は暗いし、巨大な何かが動いたってだけでも恐怖心あおられるね」

    輝夜「さっき見えたのって頭の方? なら、まだ胴体か尾の方は目の前を通過中?」

    諏訪子「たぶんね。ここからじゃ見えないけど」

    アリス「当たり前だけど、ゲームで見るのと実際見るのでは全然違うわね……」

    諏訪子「そりゃそうだよ。迫力から何から違いすぎる」

    ジャバッ

    輝夜「ん、今跳ねたのは尾?」

    諏訪子「そうみたい。てことは、通り過ぎていったね」

    アリス「あっちは洞窟の外だわ。そのまま出てくれるといいんだけど」

    諏訪子「洞窟の中じゃ戦いにくいからなぁ。陸地に出てきてくれるわけもないだろうし……」

    <●>

    諏訪子「!」

    輝夜「なっ、なにこの威圧感、まさか……」

    アリス「戻ってきたっていうの……?」

    諏訪子「みたいだね。目のマークついてると思う」

    輝夜「ってことは……」

    ザバ… ザザッ…

    アリス「ちょ、ちょっと、波の音が」

    輝夜「っても、水の方は暗くてよくわからないからどこにいるかわかんないわ」

    諏訪子「ちょっとやばいかも。このエリアにいるのは確かだけど、どこから来るか……」

    ザザザザッ… ザパァ…

    アリス「一気に照らす?」

    諏訪子「攻撃パターンもわからないのに閃光はまずいよ。真っ先に狙われるかもしれないよ?」

    アリス「そうだけど、このままじゃ急襲されるかもしれないわよ」

    輝夜「いっそエリア移動して体勢立て直すとか」

    諏訪子「それが最適解だけど……物音に敏感かもしれないし」

    アリス「なら、あっちに石を投げ込んでみましょ」シュッ

    ポチャ

    主「!!!」ザバアアアッッッ!!!

    ザッパァーン

    諏訪子「こ、これは」

    輝夜「何か動いたの見えたわ」

    アリス「というか頭だったのか尾だったのかわからないけど、すごい動きしてたわね……」

    諏訪子「一気に巻きつけたか叩きつけたか……なんにせよ、走ったりなんかしたら確実に狙われるね」

    輝夜「そろりと移動しましょ」

    アリス「石ころ蹴っちゃいそうね……」

    諏訪子「これは思った以上に怖いね……刺激しすぎると天井崩れそうだし」

    輝夜「ああ、ゲームならなりふり構わず走るのに」

    アリス「出方がわからない以上そうとも言い切れないでしょ。初見からそうするの?」

    輝夜「それが私のプレイスタイル(キリッ」

    諏訪子「輝夜は戦闘以外にも大胆だからね、その辺が妹紅と違う」

    輝夜「あんなとりあえず突っ込んで死ぬのと一緒にしないで」




    -妖怪の山 洞穴-

    輝夜「何とかエリア移動できたみたいね」

    アリス「普通に聞き流してたけど、リアルだからエリアも何もないからね」

    諏訪子「でも、とりあえず離れることはできたね。急襲されるとつらいけど」

    輝夜「はやいとここいしと早苗を見つけて湖畔まで出ましょ。ここじゃほんとに分が悪いわ」

    アリス「二人ともどの辺りまで行っちゃったのかしら……」

    こいし「わたしこいしちゃん。今、あなたの後ろにいるの」

    アリス「ひっ!!」ゾクゾク

    輝夜「いたいた」

    アリス「あんた急に声かけるんじゃないわよ!」

    諏訪子「ちょ、大声出したらまずいって」

    <●>

    輝夜「こっちきたわ!」

    アリス「ご、ごめん」

    諏訪子「これはもう腹くくってここで戦うしかなさそうだね……」

    輝夜「それか班を分ける? 早苗も探さなきゃだし」

    諏訪子「早苗は……たぶん洞窟のずっと奥にいる。最奥かも」

    アリス「あの子そんなところまで……」

    輝夜「よし。じゃあ、ここは私と諏訪子で引き受けるわ」

    諏訪子「おっけーそれでいこう」

    アリス「だ、大丈夫なの?」

    諏訪子「巨大うなぎくらい、なんとかなるよ」シャキン

    輝夜「私は出てきた瞬間を狙うわ」

    こいし「い、急いで探してこなきゃ!」

    アリス「そうね。じゃあ任せるわ。私たちは奥へ」

    諏訪子・輝夜「おっけー」

    諏訪子「さて、どこからでもかかってきなよ」キジンカ

    輝夜「ちょ、鬼人化も再現できるのすごい」

    諏訪子「訓練したからね~」

    輝夜「なにそれ私もしたい」

    諏訪子「生きて帰れたらね」

    輝夜「帰れるに決まってるでしょ」

    諏訪子「それもそうk……くる!」

    主「ゴガァァァアアア!!」ザバァ

    輝夜「っ、す、すごい勢い!」バッ

    諏訪子「真正面から突っ込んできたね」ヒョイ

    ズルズルズル ザバァ

    輝夜「地面を這ってまた水にもぐったわ」

    諏訪子「頭だけじゃなくて胴体から尾も水にもぐるまであたり判定あるねこれ」

    輝夜「見極められれば後は楽勝よ」

    諏訪子「心強い。じゃ、私はダメージ蓄積していくかな」

    輝夜「どうするの?」

    諏訪子「速度はかなりのものだけど、あれだけ大きいからどうしても無防備になるよね。なら、刃を押し当てるだけで大ダメージのはず」

    輝夜「なるほど」

    諏訪子「さあ、またくるよ!」

    主「グォォォオオ!!」ザバッ

    輝夜「くっ、こっちに出てこない!」

    主「ガバァ!」ブシュウウウウウウ

    諏訪子「っ、水ブレスか……まるでガノスだね」ザッ

    輝夜「水面から顔を出してると思ったら、こいつほとんど潜った状態で狙ってきやがるわね」

    諏訪子「結構知能があるのかな。案外に倒しにくい相手かも」

    輝夜「水中じゃ能力使ってもあんまり意味ないし……おびき出す必要があるかしら」

    諏訪子「んじゃやってみるよ」

    輝夜「ちょ、カエルが囮ってそれシャレになら無い事にならない?」

    諏訪子「反応速度が遅れたら、いくら私でもやばそうだね」

    輝夜「私だって、あいつが出てきた瞬間狙うの難しいわよ? それも、囮のあんたがやられないようになんて」

    諏訪子「せめて明るければなぁ」

    輝夜「水深さえわからないのに、こんなの水に落ちたらおしまいね……」

    諏訪子「まぁ丸呑みされちゃうね」

    輝夜「地獄のような苦しみを味わうことになりそうだわ……やっぱり囮はダメよ。他の方法を探しましょう」

    諏訪子「ん、案外優しいね」

    輝夜「何かあったら後味悪すぎてでしょだって」

    諏訪子「って話してるうちにまたくる!」

    主「ガァアアアア!!!」ザバァ

    諏訪子「突進だ!」

    輝夜「なら今のうちに……」

    諏訪子「っ、しぶきが強い!」

    輝夜「っ、きゃ!!」ビシャ

    諏訪子「尾が暴れてる! っち!!!」ザッ

    輝夜「きゃう」カカエラレ

    ザバァ……

    輝夜「あ、ありがと」

    諏訪子「相手が動いてからじゃ間に合わないね。予測してやらないと」

    輝夜「手当たり次第にやってみようかしら」

    諏訪子「それならありがたいけど、大丈夫? 体力的な問題とかない?」

    輝夜「めっちゃ疲れる。以上」

    諏訪子「んじゃ問題ないか」

    輝夜「鬼」

    諏訪子「鬼人化してるからね」

    輝夜「強壮状態の鬼人化は途中から仕様変更になったはずよ!!」

    諏訪子「ランナーもついてるに決まってるでしょ~」

    輝夜「まぁなんでもいいわ。最悪の事態を考えて、髪の毛を渡しておく」

    諏訪子「……本気なんだ?」

    輝夜「長引くの嫌だし。まぁ呑まれて溶ける、なんて事はないと思うけど」

    諏訪子「おとりはダメとか言う割に、無茶しようとするなぁ」

    輝夜「まぁ、たまにはね? って、突っ込んでくる! はっ!!」シュッ

    -集めた須臾の中-

    輝夜「うわ、間近で見るとこれめっちゃグロいわね……ぬめぬめしてそうだし」

    輝夜「薄暗いからはっきりは見えないけど身体真っ黒……あれ? こいつちょっと色が薄いような……」

    輝夜「……え、まさか!」





    アリス「奥まで着いちゃったけど……」

    こいし「行き止まりだね……」

    アリス「ここまで分かれ道はなし……でも、早苗はいない」

    こいし「水路がだいぶ広がってるし、水のある方はまだ奥があるみたいだよ」

    アリス「そうは言うけどこれ以上は水に入って、潜って進まないと無理よ」

    こいし「ええ、だって水の中真っ暗だよ?」

    アリス「しかも水の中の洞窟を進むとなると、視界はゼロでしょうね。見た感じ、もうちょっと深いところからしか進めなさそうだし」

    こいし「……行くの?」

    アリス「どうしようかしらね……水に流されたのなら、この向こうに行っていてもおかしな話じゃないけど……それ以前に、どこまで水中を進まなきゃいけないかわからないし、視界ゼロの状態でマトモに泳げるとは思えない」

    こいし「そ、それに主が来たら……」

    アリス「二人がしとめてなければ、こっちまで逃げてくる可能性はある。泳いでる最中に追いつかれたら……」

    こいし「無理無理無理! 潜って進むなんてやっぱり無理だよ!」

    アリス「現実的な話じゃないと思うわ。だけど、もし早苗がこの向こうにいるのだとしたら……」

    こいし「に、にとりさん辺り呼んできたほうがよくない?」

    アリス「そうね、水のエキスパートがいた方がいいわ。ここまでそう距離なかったし、一旦戻りましょう……」

    こいし「え、なに、どうしたの?」

    アリス「しっ」

    こいし「なん……!!!」

    主「」ザパァ

    アリス「(こっちまで逃げてきたか……なら、だいぶダメージを与えた? 相手が弱ってるなら逃げ切れない事も無いかも……)」

    こいし「(怖い怖い怖い)」

    アリス「あんたは無意識発動してなさい」

    こいし「」コクコクコク

    アリス「(私は最悪見つかったら魔法の残像人形を囮にするしかないわね……)」

    主「」スィー

    アリス「(……水路を進んでいく。やっぱりこの向こうはどこかに繋がってるのね)」

    アリス「……今のうちに行くわよ」

    こいし「う、うん」





    諏訪子「やあっ!」ズバズバズバ

    輝夜「っ、く……はぁ、はぁ」

    諏訪子「どう? なんとかなった?」

    輝夜「とりあえずよく観察して刃を突き立ててみたわ。でも……」

    諏訪子「やっぱり手ごたえ薄い?」

    輝夜「ええ。まるでゼリーを切ってるみたい」

    諏訪子「私も今のでだいぶ斬りつけたけど、手ごたえほとんどなかったよ」

    輝夜「……それより、ちょっとまずいかも」

    諏訪子「え、何かあった?」

    輝夜「このうなぎ……色が薄いのよ」

    諏訪子「ふむ。それが、何かあるの? 生態系的な話?」

    輝夜「いや、私の見間違えでなければだけど……私たちが見た固体は、もっと真っ黒だった気がするの」

    諏訪子「え、ちょっと待って。それってつまり、複数いるってこと?」

    輝夜「もしかしたら、だけどね……」

    諏訪子「だとしたらアリスたち大丈夫かな」

    輝夜「見てこようか? ちょっと疲れるけど、頑張ってみる」

    諏訪子「うん、できればそうしてほしいかな」

    輝夜「見てきたわ。うん、丁度もう1匹が水路通って奥へ向かってた。アリスたちは、こっちに向かってる」

    諏訪子「てことは最低でも2匹いるのか……早苗はいなかった?」

    輝夜「早苗の姿は見てないわね……」

    輝夜「ふう、またウナギが突っ込んできてたわ」

    ザバアアアアア

    諏訪子「おお、立ち位置がかわってる。いつ見ても思うけど、すごい能力だね」

    輝夜「疲れるからあんまりやりたくないんだけどね」

    諏訪子「須臾を操るんだっけか」

    輝夜「そ。沢山の一瞬を集めるの。その中で動くから、他の人に私が動いた事はわからないのよ」

    諏訪子「でも、それなら疲れないことない?」

    輝夜「動くんだから疲れるわよ。歩いたら足が痛くなるでしょ」

    諏訪子「う、うーん」

    輝夜「まぁ須臾の中を歩くだけだから、肉体的疲労はそんなにないけどね。咲夜とか大変そうだわ」

    諏訪子「向こうは超高速で動いてるんだっけ」

    輝夜「みたいね~。でも、あれだけ動いて息きらしたりしないんだし、相当鍛えられてるわね」

    諏訪子「だろうね~、って雑談してる場合じゃないよ」

    輝夜「バリケード貼っておいたわ」

    諏訪子「おおう、用意がいいね」

    輝夜「割かし今頑張ってる」

    諏訪子「姫様とは戦って勝てそうにないなぁ」

    輝夜「死なないしね。でも、あんたが相手だったら逆効果ね。永遠に苦しめられそう」

    諏訪子「死ぬほうが楽なこともあるよね、えへへ」

    輝夜「笑いながら言うことですか、全く」フウ

    ザバザバザバ

    諏訪子「手ごたえがないとはいえ、ダメージは与えられてると思うし、一気にやっちゃおうか」

    輝夜「そうね。次でなんとかしましょう。ちょっと剣片方かして」

    諏訪子「片手剣盾なしになっちゃった」

    輝夜「私のはさっき突き刺したから手元にないのよ」

    諏訪子「まぁいいけど……くるよ!」

    輝夜「おっけー」

    シュッ

    諏訪子「やあっ!!」ザクザクザク

    諏訪子「よし、尻尾切った! って、あれ」

    輝夜「剥ぎ取りはなさそうね」

    諏訪子「というか、うわぁ……」

    主「」グチャ

    輝夜「ふふ、なんとか討伐できたわ」

    諏訪子「見事に真っ二つ。いやぁ怖ろしいねぇ」

    輝夜「あれだけすごい速度で突っ込んでくればね。地面に刃さしとくだけで勝手に切れていくわ」

    諏訪子「私の功績がかすんでいくよ」

    輝夜「いや、胴体の後ろの方は削ってくれなかったらどうにもならなかったわよ」

    諏訪子「えへへ、ならよかったよ」

    アリス「あ、二人とも! って、あれ?」

    こいし「うわ、すごい倒しちゃってる」

    輝夜「私にかかればこんなもんよ!」

    アリス「え、でも主はさっき……」

    諏訪子「うん、どうやらもう1匹いるみたいだね。巨大ウナギは1匹じゃなかったんだ」

    アリス「そんな……そうそう、それで奥まで行ったけど行き止まりだったの。でも、水の中には道があるみたいで……」

    こいし「潜って進むのは怖すぎるから、にとりさん辺りを呼ぼうって話になったんだ」

    輝夜「え、でもみすちーが今日行ったのって河童の宴会でしょ? にとり、酔ってるんじゃないかしら……」

    諏訪子「うーん、困ったな……私も流石にこの真っ暗な水の中を泳ぐのは……」

    こいし「誰かいいひといないかな……」

    輝夜「洞窟が崩れないように壁掘り進めるとか」

    諏訪子「とりあえず上に出てみて、奥がどうなってるか見てみようか」

    アリス「そうね。もしかしたら地上に出てるところがあるのかもしれない」

    こいし「でも、もし何にもなかったら?」

    輝夜「最悪あの水路はずっと水路なのかも。しかも、早苗がそこに流されてたら……」

    諏訪子「ううん、早苗は生きてるし動いてる。それがわかる以上、そんなことにはなってないはず」

    アリス「なんでわかるの?」

    諏訪子「外の世界にはね、GPSっていう便利なものがあるんだよ。河童が簡易基地局を作ってくれたから、それで居場所がわかるんだ」

    アリス「それ先に言いなさいよ。なら、上から探すほうがいいわね」






    -妖怪の山 水源-

    藍「ん、誰か来るな……あれは、諏訪子たちか」

    咲夜「やっと来たみたいね。それじゃ、水汲み開始しましょうか」

    アリス「ん、藍と咲夜か。あれ、もしかしてこの辺なの?」

    諏訪子「うん、ちょうどこの下だね」

    輝夜「水源の少し下の所……やっぱりあの水路の奥みたいね」

    こいし「隙間から中が見えるよ! うん……陸地も見える!」

    諏訪子「よかった、水の中じゃないみたい」

    藍「話が見えん」

    咲夜「中に何かいるのかしら」

    アリス「藍、ねんりき的な力を使ってこの辺の岩の重力さえぎったりできる?」

    藍「な、なんだ急に。宙に浮かすという意味なら、できないこともないが……」

    アリス「ならやって! ここ壊すから、壊してから!」

    藍「わ、わかった」

    諏訪子「ありがと。じゃ、後は一気にやるだけだね」

    輝夜「私もやるわ。力技は実は結構得意なの」

    アリス「魔法で応戦する。上海もいくわよ!」

    上海「シャンハーイ」

    諏訪子「やあっ!」

    輝夜「せいっ!」

    アリス「ふっ!」

    上海「デヤー」

    バコォ! ボコォ! ドゴォ!



    早苗「……あれ、上の方がなんだか騒がしく」

    ガラガラガラッ

    早苗「えぇ!? 急に天井が崩れて、しかも宙に浮いてる……?」

    諏訪子「あ、早苗いた!」ヒョコ

    早苗「! す、諏訪子さまー!」

    アリス「たく、心配かけて」

    早苗「アリスさん! よかった、来てくれたんですね!」

    早苗「よかった、一時はどうしようかと……猛烈に感動してます! 頭の中で『最終決戦』流れまくりですよ!」

    諏訪子「さ、飛んでおいで」

    早苗「はいっ!」スーッ

    主「ガァッ!」ザバァ!

    こいし「早苗さんうしろ!!」

    早苗「えっ」

    ジャキ ズバァッ!

    主「」ドシャッ

    咲夜「よくわからないけど……こういう事でいいのよね?」

    輝夜「ぐぬぬいいとこ取られた」

    諏訪子「さ、さすが色々さばいてるだけある……見事な三枚おろし」

    早苗「こ、こわかったぁ……」

    諏訪子「おーよしよし」

    アリス「はぁ……まぁ、一件落着?」

    輝夜「かな? しかし、案外きつい任務だったわ」

    こいし「思ってたよりすごいウナギだったね」

    咲夜「えっ、あれウナギなの?」

    藍「ミスティアが言っていた化け物とはこれのことか……随分と大きなウナギだ。こんな生物が幻想郷にいたんだな」

    輝夜「……あっ」

    アリス「どうかした?」

    輝夜「う、ううん、なんでもない。なんでもないですわよ?」

    アリス「喋り方変になってるわよ……」

    輝夜「(あちゃー、これもしかして釣りした時に永琳が使ったらしい、アレの影響……?)」

    諏訪子「とりあえず、クエストコンプリートだね!」

    藍「水を汲んで帰ればな」

    咲夜「そうね、この人数なら1往復で足りるかしら」

    アリス「入れ物とかは?」

    藍「ここに沢山あるぞ。これを持って待っていろと言われたからな……」

    早苗「あ、そうでした。じゃあ、もうひと頑張りしますか!」







    -旅館 1階-

    華扇「これは、大変なことになったわね……」

    華扇「もしこれが事実なのだとしたら、流石に口を出さずにはいられない」

    華扇「ちょっとお灸を据えてやらないといけないかしら……」


    新聞「」ヒラヒラ

    『食料等を盗む妖怪が出現! 限定特大号!』








    第七話へ続く
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