【東方SS】ミスティア「お店を開いてみたいです!」ダンッ 【中編】
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【東方SS】ミスティア「お店を開いてみたいです!」ダンッ 【中編】

2015-11-02 00:50

    前編からの続き

    もちろん、二次創作なので色々とおかしなところもあるよ。その辺注意してくださいね
    これは「前回の続き」なので、詳細な注意書きは「前編」に書いてあります



    あらすじ

    お店を出したいと早苗に相談したミスティア。そしたら旅亭の食事処を任される事になった!
    建設を河童に頼み、従業員も確保して、材料探して色々と。
    果たしてみすちーは無事にお店を開く事ができるのか?






    簡易キャラ紹介(このお話の開始前時点)

    ミスティア・ローレライ
    屋台や出店もいいけど、期間限定で食事処開きたいと思って守矢に相談。あれよあれよと決まっていく話に少々困惑しているが、かなり楽しみにしている様子。
    お食事処おかみすちーで店主兼料理長を務める事に。

    東風谷早苗
    ミスティアの話を受け、自らも従業員になりお手伝い。様々な面でバックアップをし、その後の再利用まで考えている徹底ぶり。
    企画・運営に深く関わり、お店ではいわゆるサーバー(ウェイトレス)役に。

    アリス・マーガトロイド
    いつも通り早苗の暴走ストッパー役。が、意外にも?早苗がしっかり色々考えていて少し安心。ツッコミは健在。
    商品管理を主にする事になった。

    八雲藍
    こちらもいつも通り巻き込まれたが、今回は紫にしてやられた。そろそろ早苗も悩みの種になりそうで、相変わらずの苦労人。
    経理関係を担当する。

    蓬莱山輝夜
    文が新聞に仕込んだ従業員募集のチラシを永琳が見た事で、輝夜は働いてきなさいと言われてしまった。ゲームみたいで面白そうと言っているが、果たして……
    早苗と同じく、注文を受けたり配膳したりの役。

    古明地こいし
    どこからか話を聞きつけ、参加してくれることに。最近色んな事に興味を持ち、実際に自分でやってみているらしい。
    早苗や輝夜と役は同じだが、同時にお会計も担当。

    十六夜咲夜
    早苗から紅魔館に店の話がいき、彼女も手伝う事に。レミリアの命令だが、本人も割と乗り気の様子。
    サブ料理長として手腕を振るう。

    八雲紫
    ミスティアがお店を開くと言う事で、出雲蕎麦の提供を持ち掛けた。地元の宣伝という事らしいが、真意は相変わらず不明。
    こうして協力してくれているところを見ると、特に悪く思っているわけではない様子。

    射命丸文
    ミスティアから相談を受け守矢を紹介したが、深い理由はなかったりする。守矢なら何か思いついてくれるかもしれないという、ただそれだけ。陰でかなり活躍してくれている。

    河城にとり
    守矢から旅亭の建設を任された河童のリーダー。ギークのような河童達だが、今回は諏訪子の交渉(脅し?)もあり、比較的真面目に作業している模様。建設は専門外のはずだが、どうしてかできるようになっている模様。謎。

    洩矢諏訪子
    早苗の話に同意し、裏で色々と動いている。早苗のアイディアはほぼ彼女のもので、こちらも相変わらず何をたくらんでいるのかわからない。

    八坂神奈子
    今回の話にはあまり絡んでいないが、それだけに色々と心配している様子。最近は早苗や諏訪子の動向を心配する事の方が多いらしい。

    霧雨魔理沙
    美味いキノコ料理にありつくため、ミスティア達に茸の提供を提案。松茸料理をメニューに加える事となり、見事彼女はタダで松茸料理を食べられる事に。

    秋穣子
    早苗達が持ってきた茸が食べられるかを鑑定。松茸もちゃんとあったが、中には毒キノコも割とあり、苦笑い。







    場面は、旅亭の建設現場の視察から



    中編、以下内容






    妖怪の山麓付近


    ミスティア「わぁ……」

    輝夜「すごいわね、もうほとんど完成してるじゃない」

    こいし「綺麗な旅館だね!」

    早苗「期待は勿論してましたが、これは想像以上ですね……」

    アリス「あ、来た来た。こっちこっち」

    早苗「あれ、アリスさん先に来てらしたんですか?」

    アリス「ちょっと前に来ただけだけどね。藍もいるわ」

    ミスティア「あ、にとりさんに何か説明を受けてるね」

    アリス「そうなのよ。にとりったら、私たちが来るなり興奮した様子で旅館の説明を始めるから、驚いちゃって」

    輝夜「説明って、どんな?」

    アリス「主にからくりについて……」

    ミスティア「え、カラクリ? ちょ、それって……」

    アリス「あぁ、大丈夫よ、忍者屋敷みたいにはなってないから」

    ミスティア「ならいいけど……心配だなぁ」

    アリス「ちゃんと普通の旅館だし、ちゃんと普通の食事処よ。原案に忠実」

    早苗「ふむ。自爆スイッチとかありそうですけど」

    輝夜「なにそれわくわくする」

    ミスティア「やめてー!」




    藍「お、来たか。河童よ、店主はこっちだ」

    にとり「やーやー、どうだいこの旅館、この食堂! もう8割方完成してるよ」

    ミスティア「すごいすごい!」

    早苗「ファンタスティックです!」

    にとり「それで、建物の説明をしたいんだけど、いいかな?」キラキラ

    アリス「私たちに散々したのに、またするの!?」

    藍「好きな事にはなんとやら、と言うが……」

    にとり「聞いてない人がいると困るでしょ。だから、一つ一つ説明したげる」

    早苗「あ、できれば案内してもらいながらがいいです!」

    にとり「お、そうだね。うーん、入れない所もあるけど、そこ以外ならいけるかな」

    ミスティア「なら、それでお願い」

    にとり「おーけー、まかせたまえ」



    おかみすちー正面

    にとり「ここが正面だよ。旅館とは別に出入口を設けてあって、お店単体としても活躍できる感じにしてある」

    にとり「勿論旅館側からも入る事ができるよ」

    ミスティア「わぁ……すごい! すごくいい!」

    こいし「雰囲気あるね~」

    輝夜「ゲームの舞台としてはばっちりね」

    アリス「ゲームじゃないから」

    にとり「気に入ってもらえたなら何より」

    にとり「さて、ここから入るとこんな感じかな」ガラガラ

    藍「ほう、入り口はスライド式か」

    にとり「指定が無かったからこれにしたけど、不満なら変えるよ?」

    ミスティア「ううん、不満なんてそんな。問題ないよ」

    にとり「そうかい。じゃあ、中いくよ」

    にとり「一応席数はそれなりに用意できる広さではあるけど……内装はそちらの好きなようにしてもらうから、あとは工夫次第かな?」

    にとり「ここから向こうが厨房ね。この辺がカウンターのつもりで作ってる」

    輝夜「生簀(いけす)とか無いの?」

    にとり「建物の構造としては考えてなかったけど、こっちの辺りでできない事もない……かな? こっちで用意してほしいならなんとかするけど」

    こいし「そういえば魚の話はどうなったの?」

    早苗「まだ交渉中ですので何とも言えません」

    ミスティア「また次回に言うね」

    にとり「あいよ」

    アリス「すごいわね、厨房も本格的で」

    にとり「そのように作ったからね。機材はまだできてないのが多いけど、置く場所も決まってるし、早苗に見せてもらった写真の通りにできてると思う」

    早苗「おお、流石ですね!」

    にとり「へへ、これくらいできて当然だよ」テレテレ

    にとり「二階席は宴会スペースかな。まぁ来るのが妖怪なら、一階だろうと二階だろうと宴会になるんだろうけど」

    アリス「でしょうね……今更だけど、ホール三人で足りる?」

    早苗「その時は藍さんが来てくれますよ」

    藍「…………まぁ」

    アリス「頑張って」ポンポン

    藍「腹を括るしかないか……」

    にとり「さて、こちらが旅館からの入り口。旅館運営するときに料理を部屋に運ぶのかここで食べるのかは知らないけど、行き来はできるようにしといた」

    にとり「この廊下を進んでいくと旅館側のエントランスに出る。その途中で分かれ道があって、そこを進めばお風呂だね」

    早苗「露天風呂もあるんですよね?」

    にとり「勿論さ。山を彩る自然、そこから流れる川を眺めながらの露天風呂……風流だねぇ」

    輝夜「普通にお客として来てみたいわね……」

    早苗「仕事が終わった後に入っていくのもありですよ?」

    輝夜「そうするわ!」

    早苗「というかそもそも、この旅館で寝泊まりする第一号は、私たちの予定です」

    アリス「っていうと?」

    早苗「お仕事しながらここで寝泊まりするんです。その方が、通うよりもやりやすいと思いますし」

    こいし「いいの!? なんか修学旅行みたい!」

    ミスティア「で、でも、朝と昼はどうするの? お店は夕方から、だよ?」

    早苗「いえいえ、何も朝から晩まで仕事をするというわけじゃないですよ。出勤は夕方でOKですし、単に寝泊まりできるというだけです」

    輝夜「朝と昼はひろーい旅館でごろごろできるってわけね。最高だわ」

    アリス「あんたは……でもまぁ、折角だし使わせてもらえるのはありがたいわね」

    早苗「お料理ほどは自分たちで用意する事になりますけど、ちょうどモニター役にもなれますし一石二鳥です」

    藍「折角だし、私もこちらで過ごせるよう頼んでみるか……」

    早苗「おっ! 紫さんを説得ですね! 協力しますよ!」

    アリス「ゴネられそうね……主に夕飯的に」

    藍「最悪用意だけしに行くさ……」

    輝夜「永琳、お皿並べる人がいなくて大丈夫かしら」

    アリス「あーうん、逆にお皿くらい並べてるのかって感心したわ」

    にとり「えっと、再開してもいい?」

    ミスティア「あ、ごめんごめん、お願いします」



    あらかた説明を終えて



    こいし「それにしても、思ってた以上にすごいね。本格的な温泉旅館だよ」

    アリス「ちょっとお店をしてみようかという相談が、まさかこうなるとはね……」

    早苗「実はこの旅館計画自体、無かったわけじゃないんです。だからこの話をもらった時、一緒にできないかなって思って、それでこうなったんですよ」

    藍「通りで手がはやいわけだ。仙人に話をしに行った時も、どこか知っている風だったしな」

    早苗「あー、華扇さんは所々で感づいていたのかもしれませんね。あまり表だって話はしてないんですけど……」

    輝夜「それで、今日のお仕事はこれで終わり?」

    ミスティア「建築具合の視察というか、どんなかな~って見にきただけだし、今日の目的は達成したかな?」

    輝夜「クエストクリアね!」テーテレッテー

    早苗「1分で村に戻りますよ」

    アリス「何を狩りに出てたのよ」

    藍「(アリスのツッコミの意味すらわからないんだが……)」

    こいし「ねえねえ、旅館の方ももうほとんどできてるんでしょ? 部屋割りとか決めない?」

    アリス「部屋割りってあんたね……」

    早苗「完全に旅行気分ですね」

    輝夜「どこでもいいのかしら? 私最上階角部屋とっぴー!」

    こいし「あ! ずるいー! 私もそこがいいー!」

    アリス「子供かお前ら」

    輝夜「こういうのは早い者勝ちなのよ」

    こいし「ぶー、じゃあ私は反対側の角部屋にする」

    藍「私は温泉に近い所にしておこう」

    アリス「あんたもしれっと場所取ってきたわね……」

    ミスティア「うんと、私は入り口が近い方がいいな。出入りする事多くなりそうだし」

    早苗「私は断然正面最上階です!」

    アリス「見事にばっらばら。それはそれで面白いかもしれないけど……」

    早苗「アリスさんはどこがいいんですか?」

    アリス「別にどこでも。空いてる所適当に使うわよ」

    こいし「しおりは? しおり作ろうよ!」

    アリス「作りません!」

    早苗「でも、纏め役というか、短い期間ですが仕事を共にする仲間ですし、勤務時間外のルールなんか欲しい所ですね」

    輝夜「期間限定で旅館に住む面々……ゲームや漫画にありそうだわ」

    ミスティア「旅館というか、寮みたいなイメージ?」

    輝夜「そうそう。あんたわかってるじゃない」

    ミスティア「妹紅さんが貸してくれた漫画がそんな感じの話だった」

    輝夜「む……それ今度諏訪子から借りる予定のやつ。もこたんめ、借りた物を人に貸すなんて」

    アリス「なんか知らない所で外の世界の物が出回りまくってるわね……」

    早苗「あはは……紫さんに怒られないように気を付けますよ」

    藍「それを私の前で言うのか……まぁ、いちいち告げ口などしないが」

    こいし「いいなぁ。うちにも漫画はあるけど、外の世界なんて勿論、地上からもほとんど出回ってこないからなぁ……」

    早苗「うちに来るか、紅魔館に行くといいですよ。沢山ありますから」

    こしい「そうするそうする! 是非ともそうする!」

    藍「何故紅魔館なんだ?」

    早苗「うちは神社ですし、本を片付けておくにはちょっと大変なんです。なので、寄贈してます」

    アリス「神社って言っても家は普通にあるでしょ。そこに入りきらないって、いったいどれだけの量の漫画があるのよ……」

    輝夜「うちもあんまり置いておけないからねー。紅魔館助かるわ」

    藍「パチュリーが若干気の毒だな……」

    アリス「流石に限度は超えてないみたいだけど……嘆いてたわね」

    輝夜「それで、纏め役の話はどうなったの? 寮長は誰?」

    早苗「個人的には、背が小さくてオークション始めるようなお姉ちゃんがいいんですが」

    アリス「無視無視」

    藍「アリスでいいんじゃないか?」

    アリス「え、ちょなんで?」

    藍「常識人だからな……他に任せるとどうなるかわかったもんじゃない」

    輝夜「酷い偏見ね」

    早苗「全くです」

    こいし「それって私も含まれてるの?」

    藍「ミスティアは学業もあるし、私もここを空ける事が多いだろうからな。するとアリス、という事になる」

    早苗「ぐぬぬ……まぁ、こちらも反論できませんが」

    アリス「まぁ私は個人の事情で何かする義務とかはないし……空いた時間にお店の掃除でもと思ってたから、おそらくあまりここから動きはしないわね

    ミスティア「咲夜さんはここで寝泊まりがまず難しそうだしねぇ」

    アリス「むしろ主の方が泊まっていきそうだわ……飲み散らかした後で」

    藍「ん、そういえば営業時間はどうなっている? アリスの言うレミリアじゃないが、お客とはいえ奴らを放っておくと朝まで騒ぐぞ」

    ミスティア「あんまり考えてなかった……屋台の時は気まぐれだしなー。一応、夜の8時か9時から初めて、0時~2時くらいに終了とは思ってるけど」

    早苗「夜から深夜にかけてしか営業しないですし、終わりは遅くてもいいかもしれませんが……」

    アリス「料理長達の問題ね。あんまり遅いと次の日の朝に影響するわ」

    輝夜「その辺はきちんとしないとね。メリハリは大事よ」

    アリス「説得力が……」

    輝夜「あのねぇ。何か勘違いしているようだけど、私だって真面目な時は真面目なのよ?」

    アリス「まぁ、知ってるけどさ……私も里に買い物や人形劇しに行く事があるし、その時にあんたが子供達に読み聞かせしたりしてるのは見かける事もある」

    早苗「ちょっとふざけ過ぎちゃうんですよね。私にしても」

    藍「全然さりげなくないが自分の事もきちんと防衛してきたな」

    アリス「それで、咲夜は何時くらいまでいいのかしら?」

    ミスティア「朝が早いから日付またぐ前が限度だって」

    こいし「真面目だね。誰かに向こう任せちゃってもよさそうなものなのに」

    アリス「主はこっちで騒いでるだろうしね。ほんと、働き者だわ」

    藍「ならば閉店時間は深夜1時頃が妥当か」

    早苗「片付けなんかは私たちがすればいいですし、ラストオーダーを23時半~24時くらいにして、ミスティアさんと咲夜さんはあがってもらえばいいですね」

    ミスティア「なんか悪いね……でも、元々は一人でやるつもりだったから0時前にはお店たたむつもりだったし、ありがたいよ」

    早苗「なら、営業時間は20時~24時の4時間という事で」

    アリス「なんか思ったよりも短いわね」

    ミスティア「うーん、いじるなら始まりの方だけど……いっそ18時くらいからにする?」

    藍「やってくる面子を考えれば開始時間は何時でもかまわないような気はするが……」

    アリス「あんまり早くてもねぇ。19時でいいんじゃない? 5時間の営業って事で」

    ミスティア「うん、そうしよっか。夜の7時から12時まで」

    早苗「では、それで決まりですね!」

    輝夜「あれ? もしかして朝昼もいるのって私とアリスとこいしだけ?」

    早苗「私はできる限りこっちに来ようと思ってますけど、神社の仕事もあるのでつきっきりというわけにはいきませんね……」

    藍「私も言わずもがな、だな」

    ミスティア「お休みの日は朝でも昼でもめいっぱいここで働けるけど、平日は難しいよ」

    早苗「お店を閉めてる時にどういう事をするのかも考えないといけませんね。そうすると、掃除なんかは勿論、しこし作業とかも分担したほうがいいかもしれません」

    ミスティア「うーん、その辺はどうだろう。一緒に料理してないと勝手がわからないかも」

    アリス「それなら開店日までに覚えるわ。最後の方だけ、片付けも含めて任せてくれる感じでいいと思う」

    ミスティア「うん、そうね。それが助かる」

    輝夜「……私たちも何かしないといけない気になってくるわね」

    早苗「このままですと役割もてませんぞwwwww」

    輝夜「んんwwwwwボュウギョウインはありえないwwwww」

    アリス「いつもそのテンションで疲れない?」

    こいし「うーん、でも他に何があるかなぁ。やるべき事がわかれば、それ頑張るんだけど……」

    輝夜「確かに、どんなふうに動いていいかもわからないし、役割持ちようがないわね」

    ミスティア「あんまり深く考えなくても良いと思うけど……堅苦しいのは私も嫌だし」

    アリス「皆ができる時にできる事をすればいいのよ。たとえ途中で手が空いてしまっても、それを悪く言う人なんていないわ」

    こいし「そう言ってもらえると気が楽だよ」

    アリス「というか、開店してからは私よりも貴女達の方が忙しくなるだろうし、これでもまだ私の方が楽だと思うわよ」

    ミスティア「ほんとに、どれだけの人が来るんだろう……」

    早苗「文さんたちとレミリアさんたち以外だと、魔理沙さんくらいしか確約が全くありませんからね。本当に、先が読めません」

    藍「そういえば、温泉の方は誰が管理を行うんだ? あちらも開放するのだろう?」

    早苗「そこは大丈夫です。諏訪子様と、あと華扇さんにお願いしましたから」

    アリス「諏訪子はまぁわかるけど、華扇はよくうなずいたわね……」

    早苗「頼み込みました。前代未聞の頼み方で」

    アリス「どんな感じよどんな」

    藍「真面目にお願いされたら断れないタイプの印象は確かにあるが……」

    アリス「(前代未聞って、99%真面目じゃない気がするけどなー)」

    早苗「それに温泉はお店と並行してあけるので、朝昼は営業してませんし、そんなに長い事いてもらわないといけないって事もないです」

    アリス「数時間くらいなら、ってところね」

    こいし「あっ。ねえ、話は戻るけど、飲みに来た皆ってちゃんと家に帰るんだよね?」

    ミスティア「どういう事?」

    こいし「ううん、なんていうか、皆飲んで騒いでそのままそこで寝ちゃうイメージあるし……」

    輝夜「ねえ、そういう意味じゃ皆さんの方が私よりだらけてると思わない?」

    アリス「まぁ、行儀が良いとは言えないわね……でも、お店だとその場で寝ちゃう人がいたら困るわね」

    早苗「みんな子供じゃないんですし、そこは大丈夫と思いますけど……」

    藍「最悪私が送っていこう。どうしても無理な時は……旅館の一室を使うか」

    アリス「うーんでもそれ、一人赦したら他の人も赦さないといけなくならない?」

    藍「何とも言えない所だな……やむなく搬送したという扱いにした所で、やむなく搬送してくれと言われてしまいそうだ」

    早苗「私は、大広間辺りで雑魚寝してもらうのも良いと思いますし、最悪お店の宴会席で寝てしまっても良いとは思いますが……」

    こいし「ミスティアちゃん的にはどうなの?」

    ミスティア「うーん、それ自体はいいんだけど、次の日の朝には私いないから……」

    アリス「残留組が後始末からきちんとすればいい気はするけど……問題が起きたらまずいわよねぇ。それも、店主のいない間に」

    早苗「外の世界じゃ絶対ありえませんね。何かあれば店側の責任になっちゃいますし」

    輝夜「帰ってもらった方がいいんじゃない? むしろ、後先考えず馬鹿騒ぎするのを自粛してもらった方が良いと思うわ」

    ミスティア「うん……うん、そうね。その方向でいきましょ」

    こいし「閉店する事を頭に入れてもらう形で、馬鹿騒ぎすればいいよね」

    早苗「流石に、そこまで常識はずれな人はいないでしょうしね。いません……よね?」

    アリス「何とも言えないのがまた辛い……」

    藍「……まぁ、有事の際はなんとかしよう」

    輝夜「そうね。その時は私も本気を出すわ」

    こいし「最悪、相手の無意識に働きかけて追い出す事もできるよ」

    早苗「お休みになられてなければ諏訪子様や神奈子様を、可能であれば華扇さんも呼びます」

    ミスティア「よく考えたら、なかなかに怖ろしい面子が揃ってるのねぇ……」

    アリス「うん、なんか大丈夫な気がしてきた」

    輝夜「今日はこんな所? 次の集合はいつかしら」

    早苗「次はもう、開店一週間前ですね。その日からこの旅館で生活していただいて、開店に向けての準備をし始めます」

    ミスティア「食材なんかは私らでやるから、それ以外の所ね」

    こいし「一週間前って、いつだっけ?」

    早苗「食材の確保の関係上はっきりとは言えませんが、少なくとももう1~2週間後くらいですね」

    こいし「わぁお、結構もうすぐだね」

    アリス「あれよあれよと言う間にここまできたわね」

    早苗「工事なんかでも始まれば早いですからね。大抵は、『話し合い』に時間がかかるんです」

    ミスティア「あと話がまとまってないのは、何だっけ?」

    藍「酒類の確保は問題無い。仙人も全面的に協力してくれるという話になった。あとは運ぶだけだ」

    早苗「雀酒と松茸酒も良し、と。月のお酒はどうなりました?」

    輝夜「あー、それね、流石に店には出せないって言われちゃった。持ってって飲むのはかまわないけど、量は出せないし」

    早苗「なら、仕方ないですね。私たちがごちそうになりましょう」

    輝夜「そういう事」

    アリス「なにそのツーカー」

    早苗「焼かないでくださいよ」

    アリス「焼いてないし」

    早苗「むー」

    ミスティア「量がちょっとだけ心配だけど、ヤツメウナギもおでんもたぶん大丈夫。キノコもなんとかなりそうだし、調味料は咲夜さんが何とかしてくれるし……」

    早苗「豚肉の流通も確保しましたし、お蕎麦も大丈夫ですね。油の方も問題ありません。あとは海の幸くらいですっけ」

    藍「海の幸は難しいだろう……それ以前に、流石にそれは紫さまが持ち込みを禁止しそうだ」

    早苗「ふむ……となると入手は絶望的ですし、あきらめるしかなさそうですね……」

    こいし「残念……」

    藍「鮭くらいなら構わないかもしれない。蕎麦と一緒に頼んでおこう」

    早苗「天麩羅用のエビとイカもお願いします! でも、頷いてくれるでしょうか?」

    藍「鮭の刺身も中々のものだからな。紫さまが気まぐれで外から持って来る事があるし、大丈夫だろう。エビとイカはおそらくだが問題無い。特にエビは天麩羅蕎麦に必須だからな、むしろ無いと紫さまが怒るくらいだ」

    藍「今日中に訊いてみるから、明日には返事をする。ただ可能だとしても、満足いく数量が用意できるかはわからない」

    早苗「了解です。では、その辺りも候補と言う事で。またお伺いしますので、金銭的な事はその時にでも」

    藍「わかった」

    ミスティア「刺身と、あとは焼いたり?」

    早苗「この後鮭を使った料理のレシピ本をお渡ししますので、それを参考にメニューを決めましょう」

    ミスティア「うん!」

    アリス「機材も問題無いのよね? 食器とかは?」

    早苗「その辺りも問題ないです。内装や物に関しては滞りありません」

    こいし「それじゃあ、後は開店一週間前を待つだけ、かな?」

    ミスティア「接客の基礎は一応覚えてくれたんだよね?」

    輝夜「早苗が作ってくれたマニュアルは読んだけど……その通りいくかしら」

    こいし「まぁ、あまり堅苦しく考えなくてもいいのかもね。相手はほとんど顔見知りだし」

    アリス「それもそうね。料理やお酒を運ぶ役、というくらいでいいのかも」

    藍「むしろ、絡まれるのをどうかわすかがポイントになってきそうだな……」

    早苗「それは……何ともですね……」

    ミスティア「(いよいよ……もうあと少しで、お店が始まるんだ……! わくわくしてきたなぁ……)」






    そして開店一週間前




    早苗「ついに、今日から旅館生活が始まりますよー!」

    ミスティア「うう、開店まであと一週間……どきどきする」

    アリス「なんだかんだ、ここまで順調にやってこれたわね……実感全然ないわ」

    藍「守矢の行動力は侮れないな。実際にここまでやってしまうのが凄い」

    咲夜「今まであんまりこっちに来れなかったけど……改めて見ると、すごいわね」

    こいし「どこかでお姉ちゃん達も呼びたいなー! こんな楽しい事なかなか無いよ」

    輝夜「色々とやりすぎな気もするけど……最悪潰せばいいわね!」

    早苗「潰すなんて勿体ないです!」

    藍「まぁこの辺りは何ともな……諸々支障が出るようなら、仕方がないとだけは言っておく」

    早苗「まぁ……そうですよね。はい」

    アリス「それじゃあ、ざっとだけ旅館でのルールを説明しておくわね」

    輝夜「あら? 意外と寮長ノリ気?」

    アリス「寮長って呼ばないでよ……けど、やるからにはきちんとするわ」

    こいし「よっ、寮長!」

    アリス「あーもう……なんでもいいわ」

    アリス「それで、ルールだけど……」

    アリス「最優先は自分たちの通常業務と『お食事処おかみすちー』の仕事。旅館での生活はあくまでも勤務を円滑に行うための対策の一つであり……」

    輝夜「寮長、かたくるしいぞー」

    こいし「ぞー」

    アリス「うるさいわね……要するに、仕事に支障が出るような生活はしない事」

    早苗「かなり簡潔にまとめましたね」

    アリス「就寝時間なんかも別に決めてないけど、まぁ仕事に影響でなければ何でもいいとは思うわ」

    アリス「ただし、建物を傷つけたりそうなる恐れのある事は自重する事」

    アリス「朝昼のご飯は各自でだけど……厨房使ってもいいのよね?」

    ミスティア「うん。おかしな事にならなければ、自由にしていいよ」

    藍「大丈夫……だよな?」

    輝夜「お皿は並べるわ」

    こいし「机拭くよ」

    アリス「はいはい私が作ります」

    早苗「ぐぬぬ、アリスさんお手製のお食事……朝食は食べてから神社に行った方がよさそうですね」

    藍「私は朝が早いから必要無い。夕飯だけいただこう」

    早苗「先に予定のすり合わせだけします?」

    ミスティア「その方がいいかも」

    輝夜「私は暇人組よ~。しっかり働いてきなさいって言われてるし、ずっとここで過ごすわ」

    こいし「私も特に他に用事はないよ」

    アリス「たまに家に帰るかもしれないけど、基本的には私もこのお店が終わるまではここにいるから、私たち三人がお店と旅館を基本的に管理する事になるわね」

    藍「私は、その時々によるが、だいたい早朝に出かけて夕方に戻る」

    咲夜「私は夕方に来て、夜中に帰るわ。勤務時間に合わせて来る形になりそうね」

    早苗「私は朝ごはん食べたら神社に行きます。あちらの仕事が終わり次第こちらに来ますが、何時に戻れるかは、私もその時次第ですね」

    ミスティア「学校がある日は私も朝ごはん食べてから出るよ。夕方前には来れると思う」

    アリス「すると夕飯も私が担当になりそうね……」

    こいし「まかないは?」

    ミスティア「下ごしらえの段階で食べられなくもないけど……どちらかと言うと夜食って感じになりそうかな」

    早苗「開店時間考えるとその前に夕飯は済ませてしまう形になるでしょうし、夜はおなかすくでしょうからね」

    輝夜「そういえば休憩時間は?」

    ミスティア「一応だけど考えてあるよ。後で説明する」

    アリス「じゃあルールに戻るけど……温泉はもう沸かしてあるみたいだし、好きな時間に入ってもいいわ。休憩時間なら営業中でも良い事にする?」

    早苗「かまわないと思います」

    アリス「ただ、温泉は勿論、旅館も掃除しなきゃいけないし、この辺りをどうするか考えないとね」

    藍「これ程の規模だと掃除は業者に任せた方がいいだろうな。掃除だけで日が暮れそうだ」

    咲夜「そうなると思って、もう手筈は整えてあるわ。うちの優秀な妖精メイドを派遣するつもりよ」

    輝夜「手がはやいわね」

    早苗「旅館の管理の件については建設前から問題の一つでしたからね。早々に相談してたんです」

    アリス「そういう事は早く言いなさい」

    早苗「てへ、ごめんなさい」ペロッ

    ミスティア「なら旅館に関してはあんまり問題無いかな?」

    アリス「そうね。あとはまぁ、それぞれ協力し合う事、これに尽きるわ」

    早苗「次は勤務についてですね」

    ミスティア「えっと、営業中は各仕事に従事してもらえばいいけど、開店準備と閉店後の片付け、あとは休憩時間について触れておくね」

    ミスティア「開店準備は、掃除と料理の準備。料理の方は私と咲夜さんでやるから、お店の方をお願いしたいわ」

    ミスティア「休憩だけど、人の少ない時間を見計らって交代でお願い。誰かが休憩中にお客さんが沢山来ちゃったら、ごめんけどアリスさんや藍さんも対応回ってくれる?」

    アリス「わかったわ」

    藍「承知した」

    アリス「昼や夕方に関しては、私は食材の受け取りなんかを行うから時々抜けるかもしれないわね」

    輝夜「準備して、開店のちょっと前に夕飯、という感じかしら」

    ミスティア「たぶんそうなる、かな」

    藍「そうすると夕飯を作る時間帯にバタバタしそうだな。夕飯は私も手伝おう」

    アリス「助かるわ。場合によってはぎりぎりになるかもしれないし」

    早苗「それぞれの仕事をこなして、夕飯時には一同が会する格好ですね。そしていざ開店と」

    藍「今日からの一週間は、ある程度そのつもりで過ごした方がいいかもしれないな」

    ミスティア「開店してる風にして、慣れ始めておかないとね」

    咲夜「私も何回かはここで寝泊まりできるように調整したし、そうしたいわね」

    こいし「! 部屋どこにする? どこがいい?」

    咲夜「どこでもいいけど……強いて言うなら、中央辺りが良いわね。すぐにどこへも行けるように」

    アリス「そういえば藍はこっちに来れるのよね?」

    藍「予想通り食事の事でゴネられはしたが……説得の末許可はいただいた。ただ、戻った時が少し怖い……色んな意味で」

    アリス「(小言いわれそうな事と、ゴミ屋敷になってないかって事かな……?)」

    ミスティア「お店の事はもう始まってみないとわからないし、やれるようにやってみるつもりだけど……」

    早苗「それでいいと思います。まぁ、気を張り詰めすぎない程度に頑張りましょう!」

    一同「おー!」





    数時間後 夜


    ミスティア「…………」

    アリス「ん……何してるの?」

    ミスティア「あ……ううん、お店眺めてただけだよ」

    アリス「そう……」

    アリス「そういえば素朴な疑問なんだけど、ヤツメウナギってこの季節にも調達できるものなの?」

    ミスティア「それは企業秘密かな」

    アリス「かっこいい事言ってるけど、実際は?」

    ミスティア「ザ・養殖っ」グッ

    アリス「成程……場所の提供は、守矢っぽいわね……」

    ミスティア「頼んだわけじゃないわ。養殖しようと思った場所が、ちょうど守矢の土地だっただけ」

    アリス「まぁ、色々ありそうだけど……深くは聞かないでおくわ」

    ミスティア「それがいいわ。その方が世のため身のため」

    アリス「(世のため?)」

    ミスティア「んー……」セノビー

    ミスティア「……ふう」

    アリス「…………」

    ミスティア「…………」

    アリス「……なんか、ほんとに凄い話になっちゃったわね」

    ミスティア「あはは、今でもかなり驚いてる。それでそれが、もうすぐ始まるんだ、って……全然実感も無いし、なんだかヘンな気分」

    アリス「そうね……でも、何か大きく動く時って、意外とそうなのかもね」

    ミスティア「そういうもの?」

    アリス「さあ? なんとなく思っただけだけど」

    ミスティア「……正直ね、色んな気持ちがないまぜなの」

    ミスティア「最初は結構軽いノリで相談したけど、話がどんどん大きくなっちゃうし、勿論楽しみではあるんだけど……」

    アリス「当然不安になるわよね。それとも、ちょっと怖かったり?」

    ミスティア「……それはあるわ。だって、今まで道楽でしかしてこなかったもの。夜目にしてウナギで、って策略もあるにはあったけど」

    ミスティア「切欠もねー、たいした話じゃなかったのよ」

    ミスティア「文さんと、どうしても『屋台=焼き鳥』『飲み屋=焼き鳥』の図が人々の頭から離れないって話をしてる時で」

    アリス「それで最初の相談相手が文だったのね」

    ミスティア「うん。それで文さんが、もっと踏み込んでこの図式を破壊しにかからないといけないかもしれないって」

    ミスティア「勿論二人とも酔っぱらいながら冗談で言ってたんだけどね」

    ミスティア「ほら、私ってすぐ何でも忘れちゃうし。その話も笑い話で終わるはずだったんだけど……」

    アリス「けど?」

    ミスティア「たぶん、無意識のうちに、お店やってみたいって思ってたのかな。どうしてもその時の話が忘れられなくて」

    ミスティア「忘れられないというよりは、ふとした拍子に思い出すって感じだけど」

    アリス「わかるわ。私もそういう事あるもの」

    ミスティア「それで、なんだろう。この変な感じというか、気持ち忘れたくなくて、気付いたら行動に出ちゃってたというか……」

    ミスティア「らしくない、って言われそうだけどね。自分でもそう思うわ」

    アリス「まぁ、ずっと同じ調子を続けられる人や妖怪の方が少ないわよ。多かれ少なかれ、誰しも何か変わっていくでしょうし」

    ミスティア「そういうものかな? よくわかんないや」

    アリス「他人は勿論、時に自分ですらもその変化を否定しちゃいたくなるからね。そのくらいデリケートな話ではあるけど」

    アリス「未知の事に挑戦するって、かなり勇気がいるし」

    ミスティア「そうね~。まぁ今回の話は、覚悟する前にどんどん進んでっちゃったけど」

    アリス「早苗の良い所であり、悪い所ね……今回の話でも、一部から『また守矢か』って言われそうだわ」

    ミスティア「あはは、なにそれ」

    アリス「色々あるのよ……」

    ミスティア「でも、こうなって良かったと思ってる」

    ミスティア「怖いし不安だけど、同時に楽しみでもあり、今からワクワクしてる」

    アリス「たまにはこういうのも良いと思うわ。毎日だと大変だけど……」

    ミスティア「たまの刺激、ね」

    アリス「ええ、そうね」

    ミスティア「…………」

    アリス「…………」

    ミスティア「……でも、いいのかな」

    アリス「何が?」

    ミスティア「早苗さんたちの事を思えば小さな事かもしれないけど……なんていうか、好き勝手しすぎてる気がするというか」

    ミスティア「妖怪らしくないような気もするのよね」

    アリス「うーん、その辺はまぁ、別にいいんじゃない? 少なくとも、本当にまずかったら紫が何かするだろうし。むしろ協力してくれてるじゃない」

    ミスティア「まぁ、ね……」

    ミスティア「んー、でも屋台の時はまだ、夜道を歩く人間たちにちょっかいは出せてたのよね」

    ミスティア「突然夜目にされて困ってるところに、ぼうっと見える屋台の光が……ありそうな話でしょ?」

    アリス「雰囲気はあるわね」

    ミスティア「けど、今回のこれはもう完全に娯楽だからさ……この辺どうなのかなぁって気はしないでもない」

    アリス「……貴女本当は賢かったりするんじゃないの?」

    ミスティア「えー? 別に馬鹿なつもりはないけど……ちょっと読み書きが苦手だったり、すぐに物事忘れちゃったりするだけで」

    アリス「なんていうか、失礼な言い方になるけど、そういう事情というか関係をきちんと考えてるなんて思いもしなかったわ」

    ミスティア「うーん、考えてないわよ? ただ、おどかす事をしなかったら妖怪は妖怪じゃなくなっちゃうのかなぁって思うだけ」

    アリス「まぁ、勝手気ままという意味では妖怪のそれっぽいけど……別に諸々義務じゃないし。むしろ好き勝手してる方が妖怪っぽいんじゃない? 少なくとも、幻想郷では」

    ミスティア「そう……なのかな? うーん、難しい話になってきたな……」

    アリス「こういう事言っていいのかわからないけど……妖怪らしい事してれば問題ないと思うわよ? 何も役者ってわけじゃないんだし」

    ミスティア「まぁ、そうなんだけどね」

    ミスティア「んー……あーっ……」

    ミスティア「難しい話はやめやめ。頭こんがらがっちゃう! きっとすぐに忘れちゃうわ」

    アリス「ふふ、そう」





    藍「……盗み聞きとは、あまり感心しないな」

    早苗「ひぅ」

    早苗「そういうつもりはなかったんですけど、何となく出て行くタイミングを失ったんです」

    藍「そうか……まぁ、私もちらっとは聞いてしまったが。そんな早苗に声をかけるタイミングを掴み損ねていた所だ」

    早苗「なんていうか……実際の所、よくわからないんですよね」

    藍「……幻想郷の事か?」

    早苗「はい……暗黙のルールがあるのもわかりましたし、幻想郷について理解はしてるつもりなんですけど……」

    藍「まぁ、言わずとも何が気になるかはわかるよ。ただ、それについて答えを出す事は、少なくとも私にはできそうにない」

    藍「もしかしたら、紫さますら、その答えは出せないのかもしれないな」

    早苗「そうなんですか?」

    藍「わからん。あるいは、全て掌の上かもしれない」

    早苗「霊夢さんもはっきりした事ご存じないんですよね。ほんと、不思議な世界です」

    藍「深く考えない事もまた、この世界のルールなのかもしれないな」

    早苗「そう、ですね……うん、そう思う事にします」

    藍「それより、温泉はもう入ってもいいのだろう? 各自落ち着いたようだし、可能なら堪能してきたいのだが……」

    早苗「もう大丈夫だと思います! お掃除も終わってますし、お湯も問題無くたまってると思います」

    藍「そうか。ではゆっくり浸かってくるとするか」

    早苗「きっと満足できますよ! もう少ししたら、私も入りに行こうかな」





    咲夜「……ほんと、貴女達は元気ね」

    輝夜「うん?」

    こいし「呼んだ?」

    咲夜「ええ。何故か私の部屋に集まってまくら投げを始める、貴女達二人の事よ。そもそも貴女達以外にいないわよ」

    輝夜「照れるわよ」

    こいし「修学旅行と言えば、まくら投げとコイバナだよねぇ」

    咲夜「まぁ実際そうなのかもしれないけど、他人の部屋にやってきて突然始めるのはおかしいと思うわ」

    輝夜「だって咲夜の部屋が一番広いんだもの」

    こいし「ずるいよー」

    咲夜「いや貴女達先に部屋選んだんだんでしょ?」

    こいし「選んだ部屋がたまたまそう広い部屋じゃなかったんだよ」

    咲夜「知らないわよそんなこと……」

    輝夜「まぁ、堅い事言わずに。早苗ももうすぐ来るから」

    咲夜「まだ増えるの……場所移動しようかしら」

    咲夜「というか、貴女達もう寝間着姿だけど、お風呂はもう入ったの?」

    輝夜「一番に入ってきたわ」

    こいし「私もー」

    咲夜「そうなの……私はまだだから、私が戻るまでの所で違う部屋に移動しておいてね」

    輝夜「けちだなー」

    こいし「けちー」

    咲夜「あんたらね……」

    早苗「早苗さんの登場ですよー!」

    咲夜「(もう放置するか……)」パチン

    早苗「……あれ? 咲夜さんがいた気がしたんですけど」

    輝夜「行ってしまったわ……玄関の理に導かれて」

    早苗「あ、ちょそれ良いのかな……」

    輝夜「これ見た時めっちゃ上手いなと思ったわ」

    早苗「同意します」

    こいし「何の話?」

    輝夜「円環の二次の話」

    こいし「ますますわからない……」

    早苗「それより、アリスさんたちはまだですかね」

    輝夜「呼んでたの?」

    早苗「皆で集合してお話でもしようと思ってたですし」

    こいし「まだお風呂じゃない? ここに来る時、お風呂の方に行くの見たよ」

    早苗「藍さんはまだお風呂でしたね。随分気に入ってるみたいです」

    こいし「家じゃのんびりできないのかな……」

    早苗「そこはなんとも……」

    輝夜「みすちーは?」

    早苗「ここに来る途中で声をかけましたので、もうすぐ来るかと」

    こいし「でも、流石に咲夜さん怒るかな? さっきもちょっと怒ってたし」

    輝夜「怒ってるというより、呆れてたわね。流石にあんまり悪い事はできないし、移動しましょうか」

    早苗「大部屋に布団敷きますか? たまにはみんなで雑魚寝も良いと思うんです!」

    輝夜「初日なんだけど……でも、そうね、そうしましょう」

    こいし「誘っておいてなんだけど、雑魚寝する姫……うーん」

    輝夜「ずっと大事に育ててもらってきてるから、こういう事に憧れるのよ。庶民の生活に興味があるってやつ?」

    早苗「お嬢様属性もあるなんて、輝夜さん羨ましいです」

    輝夜「まぁ自分で言うのもなんだけど、幻想郷って身分相応な言動してる人少ないわよね」

    こいし「えらいひと多いね、そういえば」

    早苗「そういう意味でも、枠にとらわれないと言うか、自由なんですよね」

    輝夜「あははーっ」





    咲夜「あら、本当に移動したみたいね。枕も片付けてるし」

    咲夜「ん? なにかしらこれ、果たし状?」

    -一階大広間『真紅』にて待つ-

    咲夜「…………え、部屋にそういう名前ついてたの?」







    次の日


    輝夜「ん、う……えーりん、もうおなかいっぱいよぉ……うみゅ」ゴロン

    輝夜「…んふふ…ダガセラ出たぁ、二本同時に出たぁ……んゆ……」ゴロン

    輝夜「……………んあー」

    輝夜「!」ガバッ

    輝夜「……あれ、もう朝?」

    輝夜「皆は……誰もいない」

    輝夜「あっれー?」

    こいし「あ、起きた」

    輝夜「うん? こいし?」

    こいし「そうだよー、こいしちゃんだよー。輝夜さんやっと起きたんだね」

    輝夜「やっと?」

    こいし「うん。もう皆出かけちゃったよ?」

    輝夜「あー……」

    輝夜「やらかしたか……」ガックリ

    こいし「ま、まぁ朝は別に仕事あるわけじゃないし」

    輝夜「でも朝ごはんの時間決まってきちゃうでしょう? アリス、今から用意とかしてくれそうにないし」

    こいし「(気になるのそっちなんだ……)」

    輝夜「しかし……このだだっ広い空間に一人で布団敷いて寝てる光景って、何か……」

    こいし「結局昨日はみんなろくに話もしないで寝ちゃったね。雑魚寝した意味あんまりなかった」

    輝夜「一応一区切りついて一休みって感じだったし、みんな緊張の糸が切れたのかもしれないわね。なんだかんだ、早苗一番寝るの早かったし」

    こいし「人でも妖怪でも、そうやって無意識を無意識で使い分けてるんだよ~」

    輝夜「誰よりも説得力あるわね」

    輝夜「さて、布団片付けるわ」

    こいし「起きたら呼んでってアリスさんに言われてるし、待ってるよ」

    輝夜「今日からの流れでも説明してくれるのかしら。じゃ、ちょっと急ごうかしら」ヨイショ

    こいし「……でも、輝夜さんって綺麗だね。寝起きも美しいとかずるい」

    輝夜「あら、ありがとう。でも、褒めてくれても何も出ないわよ」

    こいし「正直な感想を言っただけだよ。さすが、色んな人に求婚されただけの事はある」

    輝夜「ちょっと、ほんとにやめて? 何かそういうの同性からは言われ慣れてないのよ」

    こいし「あっ照れた、かわいー」

    輝夜「もう! さっさとアリスのとこ行くわよ」

    こいし「はぁい」






    輝夜「おはよ」

    アリス「おそよう。やっと起きてきたのね」

    輝夜「うん、流石に寝すぎたわ」

    アリス「もう朝ごはんないわよ?」

    輝夜「ですよねぇ」

    アリス「……あるわよ、ちゃんと。今日はパンにしといたからいつでもどうぞ」

    輝夜「きゃはっ、気が利くぅ~」

    アリス「目玉焼きくらいは作ってあげるから、パン焼いて食べてて」

    輝夜「流石アリスね、なんて優しい子……」

    アリス「はいはいどういたしまして」

    輝夜「じゃ、お皿並べてくる」

    こいし「お皿並べるの好きだね」

    アリス「いや、ここにあるしその必要すらないから……」

    ~姫様食事中~

    こいし「ねー今日はどうするの? お掃除とかする?」

    アリス「実際どんなふうになるかはわからないけど、立ち上げの準備は済ませておかないといけないわね。今からしなくても間に合うけど」

    輝夜「あら、意外と暇だったり?」

    アリス「どうかしら。実際に商品の搬入とか始まってきたら案外忙しいかも」

    輝夜「ふみふみ。んー、どうしようかしらね」

    こいし「えっと、開店準備って店内を綺麗にする事くらい?」

    アリス「厨房の方はあんまり触れないし、そうなるわね」

    輝夜「それなら、お店の方は私たちに任せてくれていいわよ? 食材関係で色々しなきゃでしょ?」

    アリス「あんたからそんな殊勝な言葉が聞けるとは……まぁ、商品管理が必要ない時間は暇になるし、あんまり気にしなくてもいいわよ。食事の準備とかの時は抜けるし」

    輝夜「そう」

    こいし「ねえねえ、お客さん集めたりしない? ぼーっとしてるのも勿体ないよ」

    アリス「集めるったって、どうやって?」

    こいし「営業に回るとか」

    輝夜「営業て」

    こいし「知り合いに声かけるとか、折角だしやれることはやってみたいな」

    アリス「良いとは思うけど……相手はだいたい限られてくるし、あとはご来店の頻度の問題じゃない?」

    輝夜「二、三日やって終わりってわけじゃないものね。一月となると、多少波があるとしても、誰も来ない日とかあったら困るし」

    アリス「売上もそうだけど、その日用意した食材が無駄になるのも嫌よね」

    こいし「ナマモノ使う仕事って難しいね。足りないとそれはそれで問題だし」

    アリス「中には食べなくたって生きていけるやつもいるしね。その辺りの連中も来てくれるかどうか……」

    輝夜「従業員に既にそういうのが何人かいるしねぇ。まぁ私の場合は食べなくてもいいけど、食べないと苦しいわ……」

    アリス「感覚は以前と同じなんだっけ。けど、それを我慢し続けるとどうなるの?」

    輝夜「そんな、某吸血鬼学園ものAVGの生徒会長なお兄ちゃんみたいな事言わないでよ」

    アリス「何言ってるのかさっぱりだわ」

    輝夜「まぁとにかく……我慢してればいつかはおさまるわ。脳って不思議なもんで、自己防衛のために感覚を次々と潰すらしいわね」

    アリス「なんか怖い話ね……」

    こいし「無意識もそういうものだよ」

    アリス「んなアホな」

    輝夜「吸血鬼みたいに衝動が~って感じの話じゃないからまだいいのかもしれないけど、たぶん苦しいまま放置したら、脳が融けて、死なないってだけの廃人になるわね」

    アリス「そ、そうなの……」

    輝夜「実際そうかは知らないわよ? えーりんがたまに、私がぐーたらし続けてるとそんな風に言うから」

    こいし「脳が融けて廃人に?」

    輝夜「うん。ゲームじゃ既に廃人です(キリッ て返すけど」

    アリス「それで働けって言われたのか」

    輝夜「違うわよ、社会勉強のためよ。働く必要なんて、実際の所別にないもの」

    アリス「うーんまぁそれを言われるとそうなんだけど……」

    こいし「どこからつっこんでいいか悩むね」






    輝夜「んー」ゴロン

    輝夜「あー」ゴロゴロ

    輝夜「やばい、超暇だわ」

    輝夜「アリスは商品管理を想定して受け取り確認のシミュ始めるし、こいしはどこかに出かけるし……」

    輝夜「私は何をしてようかしらね……」

    輝夜「予定としては、昼過ぎくらいから店の掃除とか始めて、夕飯食べてお仕事って流れだけど……」

    輝夜「こんな事なら昼過ぎまで寝てればよかったわね……」フワァー

    輝夜「こういう時、AVG的な展開が起きないかしら。空から女の子が降ってくるとか」

    輝夜「えっ? ゲームは持ってきてないのかって?」

    輝夜「来る前にえーりんに没収されたから無いのよ……」

    輝夜「あら?」

    輝夜「向こうに見えるのは蛙と仙人……あぁ、温泉の方管理するとか何とかいう話になってたわね。この部屋からだと窓から温泉の方がよく見えるわ」

    輝夜「それにしても、あれね。仙人の方はきっと、守矢の様子見をするために引き受けたんでしょうねぇ。てゐが言うに、間欠泉の事とか気にしてたみたいだし」

    輝夜「そういえば外の世界に諏訪湖の間欠泉センターってあるけど、何か関係あるのかしら」

    輝夜「二人は打ち合わせに来てるのかしら。あの二人って仲が良いのか悪いのかよくわからないけど……」

    輝夜「ちょっと盗み聞きしてみましょう」




    諏訪子「良いアイディアだと思うんだけどなぁ、勿体ないよ」

    華扇「だから、管理できる保証がないでしょう? 二人ともが毎日いるわけじゃないんだし」

    諏訪子「その辺はきっと大丈夫だよ。そこまで繁盛しないって」

    華扇「それはそうかもしれないけど……」

    輝夜「(一体何の話をしてるのかしら?)」

    華扇「だいたい、そういうのは旅館として機能させてからでもいいんじゃないの?」

    諏訪子「それまでの所でもやってみたいの。商品入れ替えだけすれば、特に違和感ないからさ」

    輝夜「(商品? もしかして、何か売るつもりなのかしら?)」

    華扇「どうあってもやりたいみたいね……」

    諏訪子「だってそれっぽくなるじゃん。そういうの大事」

    華扇「はぁ、もう何でもいいわ……」

    諏訪子「えへへ~、それでいいんだよ」

    華扇「……ただ、この温泉については精査させていただきますからね」

    諏訪子「まだ疑ってるの? 別に何の変哲もない、ただの温泉だよ」

    華扇「例の間欠泉の問題に絡んでいるのだとしたら、非常に困った事になるから言ってるのだけれど」

    諏訪子「何が困るのさ。怨霊がどうこうの話?」

    華扇「……それ以前に、温泉の話はパラ……なんとかで何とかなったはず」

    諏訪子「パラジウム合金ね」

    華扇「……それで何とかなったのに、どうしてまた八咫烏の力を借りる話になっているの?」

    諏訪子「はぐらかすのヘタねぇ。まぁいいわ。特別に教えてあげる」

    華扇「是非とも教えて欲しいわ」

    輝夜「(あれ、何か込み入った話になってるわね……)」

    諏訪子「まず合金の話だけど、実験に成功したはいいけど実用化にはまだまだ遠いというのが一つ。あの程度のエネルギーじゃ、エネルギー改革なんてとても起こせないからね」

    華扇「でしょうね。正直、あれだけの実験で何かが変わるとはあんまり思えないわ」

    諏訪子「まぁ合金を集めて温泉の近くに仕込めばここの温泉くらいは何とかなるけど……わかるでしょ? 私たちはそういう事がしたいわけじゃないの」

    華扇「何を目論んでいるわけ?」

    諏訪子「目論むだなんて人聞きの悪い。単に、幻想郷の未来を考えて新しいエネルギー開発を行ってるだけよ」

    華扇「そうする事に何の意味が?」

    諏訪子「意味、ねぇ。意味なんて必要なのかしら。何をしたって何を作ったって、意味があると思う人にはあるし、無いと思う人には無いんだけど」

    華扇「はぐらかさないで」

    諏訪子「はぐらかすのがヘタな子は今のがはぐらかしに聞こえちゃうのね」

    華扇「結論を言いなさいよ」

    諏訪子「なんでそう怖い顔するかなぁ。安心してよ、別にあんたが気にしてるような事態にはならないんだから」

    華扇「それはわからないでしょう。だいたい、貴女達がどういう風に言われてるからくらい自覚してるでしょ?」

    諏訪子「そうだね。けど、そういうのに怖れてたら先には進めない。新しい事をするのに批判はつきものさ」

    華扇「……そういう話じゃなくて」

    諏訪子「はぁー、外の世界も幻想郷もこの辺は同じねぇ。目的は大概同じなのに、アプローチが違うだけでこうもぶつかり合う。そんな事をしてしまうような現実の先に美しい未来なんて無いのに」

    華扇「やり方が乱暴なのよ。そういうの嫌う人はいるでしょう?」

    諏訪子「全員の合意なんて絶対無理だよ。それより、自分から話を変えていってるけど、いいの?」

    華扇「…………話を戻しましょう」

    諏訪子「変わらないものなど何もない」

    諏訪子「多かれ少なかれ、必ず何かが変わっていく。人も、妖怪も、世界も」

    華扇「……暴論よ」

    諏訪子「そうかな。きっとあなたは勘違いしてる。そういう意味じゃないのよ」

    華扇「全くわからないわ」

    諏訪子「世界を変えようだなんて、まぁ思ってない事もないけど、そんな大それたことをしようとしてるわけじゃないわ」

    諏訪子「だいたい、そういうのは紫が赦しそうにないし」

    華扇「まぁ、確かに」

    諏訪子「効率とか便利って、多くの人が求めるものだけど、究極に言ってしまえば、人も妖怪もそれだけで成り立つわけじゃない」

    諏訪子「自動で料理を作ってくれる機械があるとすれば、人は料理をする必要が無くなる。でも、きっと人は料理を作る事をやめないと思う。最後はどうなるかわからないけど、当面はやめない。どうしてかわかる?」

    華扇「……わかるような、わからないような」

    諏訪子「『手料理』だからだよ」

    諏訪子「実際外の世界には、機械を使うだけで簡単にご飯が作れるシステムがある。近いうちに、本当に機械に任せるだけで食事が全て賄えるようになるだろうね」

    諏訪子「だけど、飲食店は沢山あるし、家庭では誰かが料理を振る舞う。どんなに面倒でも、大変でもね」

    諏訪子「人の手が入る、って何にも代えられない価値があるんだよね」

    諏訪子「作る人は料理が好きで作ったり、食べる人が美味しいって言ってくれるのが嬉しくて作ったりする。食べる方も、愛情込めて作ってもらうものがやっぱり良いと思うんだよ」

    華扇「言いたいことはわかるわ」

    諏訪子「なら、後はもうわかるでしょ?」

    華扇「つまり、世のため人のため、と言いたいわけね?」

    諏訪子「そうね。特に人のため。そもそも信仰なんてもの自体『繋がり』なんだから」

    華扇「漸くつながった……回りくどすぎるわ、全く。けど、それは貴女達の意図があっての事なんじゃないの?」

    諏訪子「そりゃ、当たり前だよ。お互い何らかの意図があっての事だもん」

    華扇「相手はそれを望んだの?」

    諏訪子「こいしを見ればわかると思うけど。今回の話にも参加してくれてるでしょ?」

    華扇「まぁ」

    諏訪子「みんな心配なのよ。身も心もずっと箱の中に籠らせた存在が」

    華扇「……そういえばお姫様も来てるわね」

    輝夜「(え、呼ばれた? 私普段からちゃんと外出てるんですけどー!)」

    諏訪子「ま、余計なお世話かもしれないけどねぇ。うちとしては、こうして商売させてもらえるから丁度いいし」

    諏訪子「だから余計な心配はしなくて大丈夫。それより、問題になりそうな事があれば言って? その方が助かるわ」

    華扇「…………そうね。睨み合っても良い事ないし。わかったわ」

    諏訪子「わかってくれて何より。貴女を誘った甲斐があったわ」ニッコリ

    華扇「はぁ。私をここに起用したのはやっぱりあなたの策略だったのね、こういう話をするところまで想定して」

    諏訪子「何の事かなぁ。早苗の独断だと思うけど~」

    華扇「まぁ、何でもいいわ」



    輝夜「なんか、思った以上に真剣な話だったわね……盗み聞きなんてするんじゃなかったわ

    輝夜「うーん……諏訪子の言ってるのって、地底のあの子の事よねぇ……」

    輝夜「ま、たまにはいいか」





    地霊殿

    さとり「ふーっ……」

    さとり「たまにはこうしてロビーでお茶するのもいいわね……」ズズーッ

    さとり「毎日同じことの繰り返し……変化の無い日々なんてうんざりだけど……」

    さとり「それで安寧の時が過ごせるのなら、それも仕方ない事……」

    声「何自分に酔ってるんだか」

    さとり「……誰?」

    輝夜「ここでお姫様の登場です」

    さとり「…………」

    輝夜「まぁまぁそう睨みなさんな。今日の私は、ちょっとお節介焼きたい気分なのよ」

    さとり「……そう、こいし達が。全く、あの子達ったら……」

    輝夜「うーん、勝手に読んで話を先に進めないでほしいわね……」

    さとり「最近お空が見当たらない事があると思ってたら、そんな事してたのね」

    輝夜「まぁ、あんまり人の事は言えないけど……みんな心配してるのよ」

    さとり「…………わかってる、つもりだけど」

    輝夜「あんたが何を抱えてるかなんて知らないし興味も無いけど、ここはもう昔あんたがいた場所とは違うんだから」

    さとり「それも、わかってる……」

    輝夜「私が思ってる事読めるのなら、いちいち説明しなくてもわかるわよね?」

    輝夜「それと、こいしが面白い事を言ってたわ。無意識オフモードに切り替えたりできるんですってよ?」

    さとり「…………不安なのよ」

    輝夜「ふーん?」

    輝夜「(心を読む事に慣れた今、それをしなくなると、怖くて仕方ないのね……)」

    さとり「っ……どうして貴女は、さとり妖怪でもないのに私の心を見透かせるの?」

    輝夜「あーもう話しづらいわ……」

    輝夜「漫画とかゲームでよくあるのよ、そういうの。あんたみたいなキャラ結構見てきたわ」

    さとり「確かに、創作の世界ではそういう人物が登場人物にいたりするわね……」

    輝夜「時間はかかるかもしれないけどさ。勿体ないと思うわよ? もう舞台は整ってるってのに」

    さとり「そう簡単に割り切れたらいいんだけど……はぁ、何であなたなんかに話してるのかしら」

    輝夜「小さな親切、大きなお世話……だったかしら?」

    さとり「別に、そこまで思ってないわ。ただ……」

    輝夜「うん?」

    さとり「……ありがと」

    輝夜「気まぐれよ、ただの気まぐれ」

    さとり「……そっか。あなたも、幻想郷に逃げてきたんだったわね」

    輝夜「なにそれ? 重ねてるとか思ったのなら大間違いよ。私は退屈を埋める為に今日この時まで生きてきたんだから」

    さとり「退屈を埋める、か。私も埋めたいな……」

    輝夜「だったら、する事は二つしかないわね」

    さとり「え、二つ?」

    輝夜「読まれる前に言ってやるけど、こいし達の好意をそのまま素直に受け取る事と、人の心を読まずにいる訓練をする事ね」

    さとり「さらっと難しい事言ってくれるわね……」

    さとり「でも、まぁ……」

    さとり「それもいいかもしれないわね……」

    輝夜「ま、私は帰るわ。久々にこんなに歩いたし、足が痛いから帰って寝る」

    さとり「旅館? いったい何をしてるの?」

    輝夜「仕事よ仕事。居酒屋のね」

    さとり「?」






    早苗「いやぁ、アリスさんの作ったご飯は美味しいですね!」

    アリス「いやまぁ、特別な事は何もしてないんだけど」

    ミスティア「でも、ほんとに美味しいよ! 私は作っても和食が基本だし、洋風はあんまり作れないなぁ」

    藍「私も洋風なものには縁がないな。紫さまがたまに無茶ぶりしてくるが……」

    咲夜「すぐに慣れるわよ、貴女達なら」

    こいし「そういえば輝夜さん、今日は何してたの?」

    輝夜「んー? ちょっとボランティア」

    こいし「?」

    アリス「そういえば諏訪子と華扇も来てたみたいだけど、何も言わずに帰っちゃったわね」

    早苗「お二人は今日打ち合わせをする予定でしたけど、別にそれだけですからね。話が終われば特にする事はありませんし」

    輝夜「(諸々聞こえた事は、まぁいちいち話さない方がいいわね。早苗なら知ってるでしょうし)」

    ミスティア「さて、お店が始まってからは、夕飯がだいたいこの時間で、この後から営業開始だけど……」

    咲夜「今日は少し遅めね。実際に開店したら、今くらいの時間には厨房に入りたい所だわ」

    アリス「ふむ。ならもう少し早めに作るわ」

    こいし「材料は順調? 今日見てたんだよね?」

    アリス「商品管理してるつもりで、自分の家から食材持ってきてお昼と夕飯作ったけど……実際は業者が持ってくるし、相手の都合や事情にもよってくるわね」

    早苗「ミスティアさんに藍さんはいつ頃お戻りになられてたんです? 今日は私が一番遅かったですよね」

    藍「私は、実は15時頃に戻っていたな。今日はあまりする事がなかった。早ければこの辺りに、遅くとも17時にはここへ来れると思う」

    ミスティア「私は4時過ぎ。だいたいずっとこの時間だと思う」

    アリス「開店時間から人が来るかどうかにもよるわね……今更だけど、間に合うか心配になってきたわ」

    早苗「作り置きするわけじゃないですし、その辺は大丈夫では?」

    ミスティア「おでんなんかは用意しておくけど、キノコ料理とかは注文もらってから作るからね」

    輝夜「じゃあ準備時間はそんなに必要無いの?」

    ミスティア「しこしもしてあるから大丈夫そうだけど、それでも1時間は欲しいよ」

    咲夜「諸々考えると、早すぎて困る事はないわね」

    こいし「咲夜さんは何時に来たの?」

    咲夜「私は藍とミスティアの中間。15時半くらいだったわ」

    アリス「夕飯が17時半だから……場合によっては急いで食べないといけないのか」

    こいし「あんまり早い夕飯だとお腹すいちゃうよ……」

    ミスティア「休憩時間使ってまかない食べてもらうしかないね」

    こいし「おおっ!」

    輝夜「でも、そういえば貴女達調理組って休みあるの?」

    ミスティア「あー、うん、あるようなないような……」

    咲夜「忙しさにもよるけど、そう注文が多く入ってなければどちらか片方だけでもやれるし、交代して休憩するわ」

    ミスティア「厨房内に座れるような所作ってあるし、そこで休むから大丈夫だよ」

    早苗「まぁ5時間の事ですし、一気にできなくもなさそうですけど」

    藍「外の世界では、短時間勤務の目安だったか」

    早苗「会社によりますけどね。税金の絡みで、時間がだいたいそのくらいになるはずです。まぁ近いうちにまた変わりますけど」

    アリス「よくわからないけど、いけそうなら休憩入れずに働いてもいいのよね?」

    咲夜「状態によるわね……私は特に休むつもりはないし」

    輝夜「身構えてたけど、5時間くらいなら頑張ってもいい気はするわね」

    こいし「一日ずーっと働きっぱなしってわけじゃないもんね」

    早苗「確かに、休憩は不要のような気がしてきましたね……」ウーム

    ミスティア「その辺は実際やってみて考えればいいと思うよ。疲れて休んだって誰も文句言わないよ」

    アリス「そうね。お互い考えてやればいいだけだし、あんまり事前に考えすぎない方がいいのかも」

    咲夜「なんて言ってるうちに、もう時間ね……厨房に行くわ」

    ミスティア「一つ二つくらい何か作ってみる?」

    咲夜「そうね、そうしましょうか」

    こいし「はいはーい! 私お店の準備するから、できたやつ食べたいなぁ」

    早苗「私も食べたいです!」

    アリス「え、夕飯食べたのにまだ食べるの?」

    藍「でも、そうだな、準備等済んだらお客役になってもらうといいかもしれない」

    ミスティア「今ある材料は限られてるから、作る物はこっちで決めるよ?」

    こいし「うん! それでいいよ!」

    アリス「私はこの時点で材料の点検まで済ませてあるはずだから……材料と数と金額を書いて、藍に渡せばいいのね」

    藍「私はそれを基に、材料の使用状況と売り上げを比較して利益を算出する。あとは、注文の傾向や材料のロス率を考え、数値化する。それをまたアリスに渡す」

    アリス「それを仕入れ状況と照合して、ミスティアや咲夜に提言すればいいのね」

    ミスティア「増減の判断は私か咲夜さんでするから、それをまたアリスさんに言うよ」

    アリス「それをうけて、私は業者に次の発注をしたり確認をしたりする、と……忙しいんだかそうでもないんだか」

    早苗「突然の事態が怖いですね……実際は何が起きるかわかりません」

    ミスティア「とりあえず、予行演習しよ? それでまたわかる事があるかもしれないし」

    早苗「では、まいりましょうか! いざ、戦場へ!」

    アリス「なんで戦場」






    ミスティア「はい、一品目はこちら。早苗の言ってたとんかつを作ってみたよ」

    早苗「おお! これはまさしくとんかつですね!」

    アリス「へ~、これが……」

    藍「本当に初めて作ったのか? 調理工程が単純とはいえ、綺麗に仕上がっているな」

    ミスティア「えへへ、ありがと。まぁ正確に言えば今日が初めてってわけじゃないんだけどね」

    咲夜「練習の段階で一通りは作ったわ」

    藍「にしてもすごいな。色合いも綺麗だ」

    早苗「完成度高いですね!」

    ミスティア「味付けの方は塩コショウだけだから、ソースをお好みでかけてね」

    こいし「美味しそう! ねえねえ、もう味見とかしたの?」

    咲夜「今日はしてないけど……」

    輝夜「うん、美味しいわ」モグモグ

    アリス「食べるのはやっ。なんで一人だけもう口にしてるのよ」

    輝夜「グルメ番組じゃないんだし、喋り終わるの待つ意味もないでしょ?」

    アリス「それはまぁ、そうだけど」

    早苗「! これは良いですね! かなり美味しいです!」

    輝夜「ソース無しでもいけるわね。まぁ一度ソースつけちゃうと、もう無しじゃいられなくなるけど」

    アリス「なにそれ?」

    早苗「んーまぁやってみればわかります。まずはそのまま食べてみてください」

    アリス「ん……ほんと、すごく美味しい」

    こいし「揚げ物! って感じだけど、何だろう、奥深さを感じる」

    早苗「アンデス高原の景色が見えてきそうですね」

    咲夜「国産よ」

    早苗「イベリコ豚と迷ったんですけどねぇ。素材は国産推しにする事としました」

    アリス「何言ってるのかさっぱりわからないけど、ほんとに美味しいわね」サクサク

    ミスティア「さあ、次いくよ」

    咲夜「鮭の刺身とホイル焼きよ」

    早苗「おおお!」

    こいし「これ凄い! 中には……茸も入ってるんだ」

    ミスティア「松茸の他にも幾つか茸もらってるからね。それぞれ単体だけじゃなく、こうやって複合させるのもいいかなって」

    咲夜「結構お手軽に作れるし、酒の肴にも良いと思うわ」

    輝夜「確かにこれはお酒が進みそうね~。ん~っ、今も欲しいくらい」

    早苗「まぁまだ明日も何もないですし、飲んじゃっていい気はしますけど」

    アリス「そうね、折角だし飲みながら食べてみてどうか、っていうのを確かめるためにも」

    輝夜「ふふ、それなら是非とも月のお酒を」トン

    こいし「なんて贅沢!」

    ミスティア「ん、それならいっそのこと松茸焼いちゃおうか?」

    アリス「あるの? でも、無理して作らなくてもいいわよ?」

    ミスティア「一昨日取りに行った残りがあるから大丈夫」

    アリス「ならいいけど」

    早苗「く~、贅沢すぎます! 贅沢すぎます!」

    こいし「でも、余ったら食べちゃうんでしょ? 毎日結構贅沢できそうだね」

    アリス「良いんだか悪いんだか……」

    藍「紫さまにバレたら凄い勢いで怒られそうだな……何で自分も呼ばないのかって」

    アリス「気難しいわねぇ……」

    こいし「ねえねえ、このホイルの中に入ってるのは鮭としめじ?」

    ミスティア「うん、そうだよ」

    咲夜「椎茸やエノキなんかでもいいわね」

    早苗「ホイル焼きも鮭の代表的なお料理ですからね~、バリエーションも結構あります」

    輝夜「……ぷえ。お酒もお料理も美味しいし、言う事ないわね」

    アリス「料理を楽しむ事がメインになりそうだし、意外とみんな騒がないかもしれないわね」

    早苗「まぁ普段は呑んで騒ぐ事がメインですしね。呑んで食べる事がメインなら、そういう流れになるかもしれませんね」

    藍「来る人物に寄りそうではあるがな……」

    こいし「今日はこれで終わり?」

    ミスティア「かな。天麩羅は使う油が違うから今日はしないし、作ってもキノコ料理になりそうだけど」

    輝夜「今日はこのくらいにして、明日に期待すればいいわ」

    咲夜「毎日試食するつもりなのね……」

    ミスティア「まぁ開店日までずっと何等か作るつもりだし、良いけどね」

    ミスティア「(もう、いよいよか……準備も整ったし、ほんとに後は開店するだけなんだ……)」

    ミスティア「(この調子で、成功するといいな!)」






    -続く-

    予定以上に時間がかかってるので、後編(仮)はまだ少しかかりそうです。。。
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