【東方SS】ミスティア「お店を開いてみたいです!」ダンッ 【第四話】
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【東方SS】ミスティア「お店を開いてみたいです!」ダンッ 【第四話】

2016-09-16 21:55
  • 4
三話構成にしようと思っていましたが書いてたら結構楽しくなってきちゃってだらだら続いてます。スパン長いけど、気づけば四話目。前編を第一話、中編を第二話、後編1を第三話と置き換えてお願いします。
勿論独自設定の嵐なのでご注意を。


簡易キャラ紹介(このお話の開始前時点)


ミスティア・ローレライ
ついに念願の店が開店! 初日は超多忙で終える事ができたけど、果たしてずっとこの調子で続けることができるのか……一抹どころか莫大な不安ばかりの毎日になりそうだけど、あげる悲鳴は嬉しい悲鳴に違いない。きっとおそらく。

東風谷早苗
実際に開店して大変な思いをしているが、初日を終え大きな達成感を味わっている様子。ただ、このまま期間が過ぎてしまうのは勿体無いと思ってか、色々と計画をしているようだが、果たして……

アリス・マーガトロイド
早苗の思いつきに呆れていたが、実際にこういった仕事をしてみて楽しいと感じている自分に気づき始めている。ひとり魔法の研究などに明け暮れるのもいいが、こういうチームワークを大切にしなければいけない仕事も悪くないと思ってきているようだ。

八雲藍
早苗が満足するまで無難に仕事をこなせばそれで問題ないと思っていたはずが、想像以上の苛烈さに驚きを隠せない様子。本腰を入れて仕事に当たらなければならないと俄然やる気を出してはいるが、他の面々には見えていない危機も同時に感じているようで、ミスティア同様不安が大きくなってきているようだ。

十六夜咲夜
紅魔館との仕事を兼任しながらの仕事になり、しかも想定以上に忙しい日々となっているが、心底楽しそうにしている。自己の充実と共に、普段働いている妖精メイドたちの労いもできて、今回の企画に参加してよかったと思っている。

蓬莱山輝夜
まさか自分がこんな大変なことをする羽目になるとは……心の底でそう思ってはいるが、何せ退屈を嫌う彼女の性格からして、楽しくて暇が無いというのは人生における最高のスパイス。ゲームする時間が短くなったのは痛いようだが、真摯に働く姿を見れば永琳も安堵の息を漏らすだろう。

古明地こいし
自分の思う『楽しいこと』が具現化したようでとても満足している。今までできなかったこと、ずっと我慢してきたことなどをやりきろうとする良い切欠にもなっているようだ。やはり姉の事などは心配だが、この分なら引き込んでいけるのではと思っている。

八雲紫
裏で色々協力をしてくれているが、懸念材料も多くある事に複雑な思いを抱いている。取り入れる食材を自ら提案しつつも、それらを仕入れる事で発生するリスクなどの帳尻を合わせながら彼女は彼女の仕事をこなしている。一番の目的は、こういう風に好き勝手する妖怪や神様達の見張りや観察を一番近い所ですることにある……のか? 本当の所は、彼女が一番働いているのかもしれない。

射命丸文
店の取材は勿論、食べているうちに彼女自身この店のファンになってきているらしい。自分の言葉も発端になっているので心配はしていたが、順調なようで笑みを浮かべながら頷いている。ただ、一つ気になる事があるらしく、近々悪いことにならないと良いのだがと少々考え込んでいるらしい。

河城にとり
経営や営業に関しては一切絡んでいないが、今は客として他の河童たちを引き連れて晩御飯を食べにくる計画など立てているらしい。ミスティアたちを見ていると創作意欲がわいてくるらしく、おなかも満たされて二つの意味で満足なんだとか。

洩矢諏訪子
温泉の管理をしながらも、忙しいときにはヘルプとして店に入るなんとも便利屋な立ち位置。彼女は彼女なりに諸々考えがあるようだが、その真意は誰にもわからない。紫が一番見張りや観察を行いたいのは、実は彼女かもしれない。

茨木華扇
早苗たちの計画に相変わらず不安を覚えてはいるが、楽しく、そして本気で取り組んでいる彼女たちを見ているうちに、これもありかと思い始めている。ただ、何かあってからでは遅いと常に周囲に気を配っているようだ。








第四話








ミスティア「お菓子も作らないかって?」

早苗「そうです。折角なんですし、色んな事に挑戦していきたいと思いまして。色んな事に挑戦していきたいと思いまして」

輝夜「大事なことだから」

アリス「また唐突に……そんな余裕ある?」

ミスティア「うーん、開店当初程の勢いはもう無いし、手が空く時間はそれなりに出てきてはいるけど……」

咲夜「大掛かりにやるとなると難しいと思うわよ。厨房事情からしても」

早苗「設備は問題ありません。その辺は営業時間外ににとりさんに頼みます。オーブンなどの新規併設くらいでしょうし」

藍「スペースの問題もあるだろう。そう広くは作られていないわけだし」

早苗「別室を作ろうかと思います。元々その辺のことは考慮して作ってあるので」

藍「抜かりないのか。末恐ろしいな……」

こいし「でも、誰が作るの? てか何を作るの?」

早苗「簡単なものでいいと思います。お菓子というか、デザートというか。昼間にも開店できればカフェのイメージで良いとは思いますけど……その時間帯は難しいですし食後のデザートくらいのノリで」

早苗「作るものはゼリーやアイスとかその辺になりますかね」

ミスティア「和菓子とかじゃないんだ」

早苗「できるのであればそういうのもアリだと思いますよ?」

こいし「できないの?」

アリス「なんであんたが残念そうなのよ……」

こいし「色々できれば、それはとっても嬉しいなって」

ミスティア「作れないこともないけど、いつもの作業考えると専門に人つけたほうがいいような」

アリス「(それに卵はNGでしょ? ミスティア的に)」

こいし「(あ、そっか……ごめん)」

早苗「ならアリスさんで決まりですね。では機材の方を……」

アリス「ちょい待て勝手に話を進めるな!」

早苗「え、だって一番適任ですし」

アリス「そう言ってもらえるのは嬉しいような気がしないでもないけど、せめて決定する前に話し通しなさいって……」

輝夜「作業的に厳しそう?」

アリス「そこは、どうかしら。今の調子で仕入れ関係に大きな変化や事故が無ければ安定して作ることはできると思うわ。初日みたいな感じで無ければ、だけど」

ミスティア「一人が何個も食べるようなものでもないしある程度は作り置きができるから、余裕のある時に作る感じになるかな? 心配ならその旨をメニューなりに書いておけばいいかも」

藍「ふむ。売り切れ御免での提供なら無理なくできそうではあるか」

咲夜「料理長がそう言うなら私はかまわないわ」

こいし「パフェとかつくろうよ!」

アリス「あんたは人の話聞いてなかったんかい」

早苗「え、割と強引に話進めましたけど、ほんとにOKなんです?」

藍「強引な自覚はあるんだな……」

ミスティア「私は良いと思うよ」

輝夜「アリス次第ね」

アリス「もしかしたら作れない日も出てくるかもしれない。それでもいいのなら、かまわないわ」

咲夜「なら決まりね」

こいし「わーいデザートだー!」

アリス「まかないで食べられる気満々でいるわねあんたは……」





夜 厨房にて



ミスティア「あら、アリスさん……と、藍さん?」

アリス「あ、ミスティア」

藍「料理長か、丁度よかった。少し話があるんだが」

ミスティア「うーん、なんかあんまり良い話じゃなさそうなのは気のせい?」

アリス「残念ながら気のせいじゃないわね……」

ミスティア「うえ、まじか」

藍「まだ早苗には話してないんだが……実は、予算的に菓子の製造は難しい事がわかったんだ」

ミスティア「あー、やっぱりそこ引っかかっちゃったか……」

アリス「やっぱりって、思い当たる節があるの?」

ミスティア「ううん、その辺何も考えず……ってわけでもないけど、ここまでほぼ詰まること無くきてるから、調子乗って増やしていくといずれぶち当たるだろうなぁと」

藍「まぁ、割と早い段階でわかってよかったが……」

アリス「提案が出ていきなりであれなんだけど……早苗の言ってた案は難しくなりそうね」

ミスティア「無理ってわけではないの?」

藍「設備費は守矢持ち前提で、材料費次第ではあるが不可能ではない。ただ、本当に数量限定になるがな」

アリス「それも、売り切れ御免ってレベルですらないわ。ロス皆無なの前提で、赤字を出さないようにと思うと大福サイズの饅頭10個が限界」

ミスティア「じゅ、10個かー……」

藍「客数にもよるが、メニューに載せるには些か心もとない数字だな」

ミスティア「うーん、別に10個限定って書けば良い気はするけど……ちなみに昨日で客数どれくらい?」

藍「団体も内訳一人ずつ数えて75人だ。客単価は約2400円」

アリス「売り上げは20万弱ってとこだけど……昨日は宴会客が多かったからね」

ミスティア「コースでもないけど、纏まった注文が多かったね」

藍「そういう所に10個限定はまぁ厳しい。それ以上の人数に対応できないのもあるが、一番の問題は昨日出た料理を考えるとわかるな」

アリス「一番よくわかってると思うけど、最効率で粗利が出せてるのって魔理沙の仕入れてくれる茸関係なのよね。仕入れ値がゼロに等しいし」

藍「対して、待遇良くしてもらっているとはいえうちは外からの食材が多いだろう? 早苗の方針もあって、その辺りは利益率があまりよろしくない」

ミスティア「ごめん、噛み砕いて話してくれると助かる」

藍「すまない……要するに、割に合わなさ過ぎる仕事というわけだ。こいしはまかないと言うが、まかないはロスに等しいからな……」

アリス「仕入れもどのくらいの量でできるかが現時点では不明瞭だし、10個っていうのも仕入れる食材の分量や価格を都合よく考えた末の数字なのよ」

ミスティア「うーん、なら早苗さんには悪いけど、中止の方向になるのかなぁ」

藍「いや、こういう話し方をしておいてなんだが……要は食材の入手法次第なんだ」

アリス「魔理沙の茸みたいな事ができれば、はっきり言って何の問題もないのよね」

ミスティア「まぁそうだよね。でも、そんな知り合いがいるかどうか……」

藍「餡子を工面してもらえばおはぎという手もあるな。そのくらい使用する食材が少ない方が数も作れるしやりやすい」

アリス「里の饅頭屋さん辺りに流通の云々を尋ねてみるしかないかしら」

ミスティア「えーそういうの教えてくれないと思うけど……」

アリス「そうよね……」

藍「かといって事情を説明するわけにもいかないからな……」

ミスティア「とりあえず明日色々探ってみるよ。明日は学校休みだし」

藍「私も都合をつけられるよう紫さまに相談してみる」

アリス「私は空いてるし、今取引してる業者にも訊いたりしてみるわ」

ミスティア「じゃあ、とりあえずそういう事で」

アリス「早苗にも言っておかなくちゃ……あの子流通の話も纏まらないうちからにとりに発注かけそうで怖いわ」

藍「否定できないのがなんともだな……」

ミスティア「あはは……」

ミスティア「……でも、いよいよこういう問題が出始めてきた」

藍「一ヶ月と期間は短くとも、幾らか壁にはぶつかるものだな」

アリス「まぁ、そもそも始まりが唐突過ぎたしね……」

藍「まぁ、まだ菓子の話でよかった。始まってもいない事だからな」

ミスティア「うー、いまさら不安が湧き上がってきた……」

アリス「大丈夫よ、なんとかなるわ。最悪、守矢がなんとかするわよ……」

藍「元々そのくらいのつもりでいる計画だからな。むこうもわかってるだろう」

ミスティア「まぁ、そうなんだけどね……」

藍「落ち込んでも仕方ない。明日良い結果を出せばいいさ」

アリス「問題が出てくれば解決すればいいだけ。それもまた楽しみの一つでしょう?」

ミスティア「うん……そうだね!」







次の日




輝夜「そういう話ならまっかせなさい」

アリス「え、心当たりがあるの?」

輝夜「いやあるわけじゃないんだけど……でもほら、私たちは薬を売って里を歩いてるから、そういう情報はすぐに手に入りそうじゃない?」

こいし「輝夜さんは歩いてないよね」

輝夜「うっさい」

アリス「でも……そうね、それは確かに期待できそう。でも、いいの? そういうのって話したりしちゃまずくない?」

輝夜「勿論、だから私が行くわよ。私じゃなくても、永琳に行ってもらう」

アリス「それはアリなのかしらね……」

輝夜「まぁ緊急事態だし、やむをえないということね」

こいし「作るものは何にしたの? 数少ないんだよね?」

アリス「そうだったけど、作るのが餡子を基盤とした和菓子ならある程度はって結論に落ち着いたわ。勿論、仕入れ状況次第だけど」

こいし「とちもち的な?」

早苗「わお、こいしさんとちもちをご存知でしたか」

アリス「あ、帰ってきた」

輝夜「おかえり」

早苗「ただいまでしっ!」ビシッ

アリス「……で、とちもちって?」

早苗「栃の実を使って作ったおもちです。某名探偵の生みの親ご出身の土地に有名なお城がありますね」

こいし「おしろ?」

早苗「お菓子を沢山売ってるところがあるんですよ」

輝夜「なにそれいきたい」

アリス「あーもう話を変な所に逸らしていかないで。それに外の世界のものならそれは作れないでしょう?」

早苗「まぁ、栃の木が幻想郷にあるかは知らないですし……」

藍「栃の木は、トチノキ科トチノキ属、落葉性の広葉樹だな」

アリス「こっちも帰ってきたか」

輝夜「おかえり」

藍「うむ」

こいし「それでそれで、とちもちは作れないの?」

藍「栃の木はあるとは思う。が、どの辺りかはわからない」

早苗「栃の木と言えばモチモチですね」

輝夜「あーなんか聞いた事あるわ。児童文学でしょ?」

藍「どうして現代の文学を聞いた事あるんだ……」

早苗「細かい事は置いといて、穣子さんに聞けばわかると思います

アリス「誤魔化せてないわね」

藍「まぁ、いいさ……」

早苗「とちもちも良いですが、現時点では確実性に欠けるので保留ですね」

こいし「ざんねーん」

早苗「まぁ候補には入れておきましょう」メモメモ

輝夜「それで、やっぱり話がそれちゃってるけど、お二人は成果どうだったの?」

藍「あぁ、そのことだが……一般的な流通しか把握できなかった。里の商売人達の流通だな」

アリス「それで充分な気もするけど……予算的にどんな?」

藍「無理難題というわけではないが……もっと上手くいく方法があるならそちらを取りたい、というくらいではあるな」

アリス「なるほど……早苗はどうだった?」

早苗「主に信者さん達を中心にそれとなく話を伺ってみたのですが、私の方も藍さんとあまり変わらないですね……」

輝夜「となると、ミスティア次第か……神奈子辺りはそういうの詳しくないの? なんか知ってそうなんだけど」

早苗「尋ねてみましたが、返事待ちの状態です。ただ、そう期待はできないと思います」

輝夜「なるほ」

こいし「んーでも仕入れ的に、もしうまくいけばとちもちが一番いいんだよね?」

アリス「細かい事は調べてみないとわからないけど、材料費を考えるとその方がいいかもしれないわね」

早苗「要するに、野生のものや拝借しても問題の無いものを探すって事ですよね?」

藍「確実性に欠けはするが……見つかれば大きいな。何年も続けるわけでもなし、見つかれば必要量くらいは確保できそうではある」

輝夜「ねーねー、でもそういうのって季節大丈夫なの? 今の時期は無い、とかない?」

咲夜「話は聞いたわ。でも、その話には問題があるわよ」

早苗「あ、おかえりなさいー」

輝夜「おかえり」

咲夜「え、ええ、ただいま」

こいし「輝夜さんおかえり係みたいだね」

輝夜「そのつもりでいたわ」

アリス「おかえり係って何よ……」ヤレヤレ

アリス「はぁ……で、問題って、どういう?」

咲夜「昨日出てたっていう話を今朝聞いた後パチュリー様に訊いてみたんだけど」

アリス「いつの間に聞いたのかしらね……」

藍「いや、ミスティアが早速話していた」

アリス「あぁそういうこと。てか咲夜今日の朝いたのね」

咲夜「ええ、早朝にね」

早苗「ひえー、それは気づかなかったです」

輝夜「どんだけ朝早くにいたのよ……私なんか勿論知らなかったわ」エヘン

アリス「威張って言う事か」ビシ

咲夜「それで問題だけど、とちもちを作るために準備するとちの実だけど、加工するのに時間がかかるのよ」

こいし「……まさか、何日もかけてってこと?」

咲夜「そうね。そもそもとちの実ってアク抜きをしないと苦すぎて食べられないわ」

輝夜「へぇ、そうなんだ」

咲夜「数日かけて水に浸して、それからカラカラになるまで干して、使う分をまた水で戻すのよ。だから短い期間でお店をやる私たちには向かないわ」

アリス「なるほど……どうしてもしたいならアク抜きしてあるとちの実を仕入れないといけないけど」

藍「そうなると普通の流通と変わらないな。自分達で収穫して仕入れ値を浮かせるという利点が全く無くなる」

早苗「くぅ、とち餅は無理かぁ」

パチュリー「話は聞かせてもらったわ!」バン!

アリス「ひっ」

藍「いきなり入って来るな、びっくりするじゃないか」

こいし「心臓ばっくばくだよ~」

輝夜「おかえり」

アリス「いやいやこいつ元々ここにいないから」

こいし「アリスさんツッコミ大変だね」

早苗「アリスさんのお仕事ですからね」

アリス「仕事ちゃうわ」

こいし「ほらまた」

アリス「…………」

パチュリー「相変わらず賑やかね……」

藍「まぁ、その辺はなんとも言えない……」

輝夜「どうして引きこもりが」

パチュリー「は?」

アリス「いちいち反応しないで、話が長引いて面倒になるから」

咲夜「パチュリー様、いかがなされました? わざわざここまでお越しになられるとは」

パチュリー「今朝咲夜に相談を受けてから少し考えてみたのよ。簡単に作れて材料費のかからないレシピを探してるって事で」

早苗「わお! もしかして素敵な解決策が!?」

パチュリー「素敵かはわからないけど、一つ案を持ってきたわ。これよ」

藍「どれ……これは、洋菓子のレシピだな」

アリス「チョコ……それもこれ、生チョコ?」

パチュリー「そ。チョコと生クリームで作る、簡単なレシピだけどね。これならお洒落だし簡単に作れるわ」

こいし「わぁ~! 私もチョコ大好き!」

輝夜「生チョコか……まるでバレンタインね」

パチュリー「……その節は迷惑かけたわね」

藍「あぁ、あの話か……」

早苗「忘れましょう」

咲夜「こほん。それでパチュリー様、材料の調達はいかがなされるおつもりで?」

アリス「まさか魔法で、とか言うんじゃないでしょうね……」

パチュリー「それでもいいけど、流石にそれじゃ嫌でしょう? こうしてお店を開いて頑張ってる所にそういうのはダメよね」

早苗「わかってますね、その通りです」

咲夜「ん、パチュリー様もしかして……」

パチュリー「その通り。アレを使うわ」

こいし「なになに? 何か秘密の手段があるってこと?」

パチュリー「ふふ、まぁ誰か代表の人ついてきなさい。面白いものを見せてあげる」

藍「ミスティアがいない今代行は咲夜だが、察するに別の誰かが良さそうだな」

咲夜「ええ、私は知ってるから勿論同行するし。そうすると、調理するであろうアリスがいいわね」

アリス「わかったわ」

早苗「じゃあミスティアさんが戻ってきたら伝えておきますね」

輝夜「ねえ、もしミスティアが何か良い情報持って帰ってきたらどうするの?」

アリス「そのときはそっち検討すればいいんじゃない? どうもパチュリーの件は身内の話みたいだし」

パチュリー「そうね、別に話が急に中止になっても何も困らないわ」

こいし「ちなみにどこに行くの?」

咲夜「まぁ紅魔館の近くね」

早苗「ならミスティアさん戻ってきたらとりあえず追っかけてもらいましょか」

アリス「それがいいわね。じゃあとりあえず行ってくるわ」








アリス「うわ、なにここすごいわね……」

咲夜「紅魔館自慢のカカオ農場よ」

パチュリー「ほら、レミィが食べるお菓子にはチョコも多いから、調達も大変だしもう自分達で材料育てようって話になったのよ」

咲夜「その方が時間もかからないし、何かと便利でいいしね」

アリス「やることの規模が違うわ……」

咲夜「専用の施設を設けて、温度や太陽光など品質管理をしっかりやってるから質の良いカカオが採れるわよ」

パチュリー「いわゆるハウス栽培みたいなもんだから年中収穫が可能なの。ここの部屋はちょうど秋に採れる調整ね」

アリス「すごいわね……今回ばかりは感服するわ」

パチュリー「まぁね」ドヤッ

咲夜「ところでアリスはチョコレートがどうやってできるかご存知?」

アリス「カカオの実からできるんでしょ?」

パチュリー「その通りだけど、正確には豆からできるのよ」

アリス「え、豆? あのでっかい実を使うんじゃないの?」

咲夜「ふふ、まぁ見てなさい。ねえ、ちょっと」

妖精メイド「はい」

咲夜「今収穫できるカカオあるかしら」

妖精メイド「今でしたら、C-29辺りが最適かと」

アリス「木ひとつひとつに番号振ってるわけ?」

パチュリー「当然よ」

アリス「ほんとに格が違うわね……」

咲夜「じゃあこっち、ついてきて」




アリス「この木が、C-29?」

咲夜「C-29はこの区画ね。正確に言えば、C-29・T-03、この木よ」

アリス「わけわからんわ」

パチュリー「まぁ、わかる必要は無いわね」

アリス「あ、カカオの実。結構でかいわね」

パチュリー「カカオはアオギリ科のカカオ樹で、その実はだいたい15cm以上にもなるわ」

アリス「んで結局あの実を使うんでしょ?」

咲夜「そうだけど……ふっ」

アリス「ナイフ投げて収穫とか」

パチュリー「瀟洒ねぇ」

アリス「そうかなぁ?」

咲夜「さあアリス、この実を割ってごらんなさい」

アリス「何よその喋り方……てか素手で割れと?」

パチュリー「人形が切ればいいじゃない」

アリス「はぁ、たく……」

上海「シャンハーイ」スパッ

アリス「ん……実から豆が出てきた」

パチュリー「そう。この豆を使うのよ。実の中に豆が入ってるの」

アリス「そういう事だったのねぇ……」

咲夜「この豆を醗酵させ乾燥させて、不純物を取り除いた上で焙煎するの」

パチュリー「焙煎する前に皮や胚芽を取り除いたものをカカオニブというわ

アリス「ん、ちょっと待って。醗酵に乾燥って、それじゃ結構時間かかるんじゃないの?」

パチュリー「数日はかかるわね」

アリス「じゃあ折角だけど意味ないわよ。とちの実もそれで諦めたんだから」

パチュリー「だから、レミィのお菓子のために栽培してるって言ってるでしょ? レミィが今食べたいって言った時すぐに出すにはどうしてると思う?」

咲夜「勿論私やパチュリー様がご不在時の事も考えて、ね。魔法や能力で作る事もできるけど、それ以外にも方法を確立させてあるのよ」

アリス「ふむ……あー、あ、はい、理解したわ。木と同じく、常にどこかで用意がしてあるのね?」

咲夜「ご名答。年中収穫が可能という事は、年中加工が可能な状態になってるということ。保管場所はこっちよ」

アリス「チョコレート工場開けよもう」





パチュリー「ここが保管庫ね。ここから焙煎したり配合したりするわけだけど……」

アリス「そんな大掛かりな機械は流石に無い……ってことは、その部分は魔法で?」

咲夜「まぁ、半分正解ね」

パチュリー「豆に手をかざせばチョコに……とまではしなくても、製造工程を魔法で行う事はできるわ」

アリス「それはまぁわかるわ。焙煎も配合も、確かに魔法で代用できるわね」

パチュリー「そ。例えば不純物を取り除いたり焙煎したりは、別に人の手でも出来ることでしょう? その人の手でできる部分を魔法で行うのよ。勿論妖精メイド達が手作業でもやってるわ」

咲夜「これならある程度チョコの形にして納品ができるから、商品化は店でできるし問題無いわ。普通にチョコ仕入れるのと変わらないから」

パチュリー「魔法で材料を作るのは反則でも、材料を魔法で整えるくらいはいいでしょう?」

アリス「まぁ、例えば仕入れた魚の生い立ちを最初から確かめたりしてるわけじゃないし、何も不正行為してるわけじゃないしね。確かに良い考えだと思う、けど……問題はコストよ」

咲夜「現場の総監督は私だけど、品質管理を担当していただいているのはパチュリー様なのよ」

パチュリー「私としては別に何もいらないけど、商売上そういう話ばっかりというのも困るでしょう?」

アリス「ありがたいし綺麗事言ってる場合でも無いけど、その辺はちゃんとしたいわね」

パチュリー「ならチョコの売り上げの1割でどう? 売り上げ無しなら無しでいいわ」

アリス「物凄い優遇条件ね。それでいいなら、そうしたいけど……」

パチュリー「私はかまわないわ」

咲夜「なら決まりね。どの道そんなに量作れないでしょう?」

アリス「納品量にもよるけど、この分なら20~30セットくらいかしら」

咲夜「充分ね。時間的余裕は?」

アリス「大丈夫。2,3回戦で全部仕上がりそうだし特に問題ないと思うわ」

パチュリー「何とかなりそうでよかったわ」

アリス「ありがとね」

パチュリー「いいのよ、別に」

アリス「妙に素直で優しいわね、なんかちょっと気持ち悪いわ」

パチュリー「何とでも言いなさい」

咲夜「(お嬢様があのお店気に入ったからまた行きたいって話して、デザートもあればいいのにって言ってたからね……)」

ミスティア「うわ、なんだここ!」

アリス「あ、料理長」

咲夜「間に合ったみたいね。丁度いいからここで説明するわ」








ミスティア「というわけで、デザートの商品化が決定したよ」

早苗「いよいよそれっぽくなってきましたね!」

藍「いや、居酒屋でデザートというのもそれっぽいかどうか……」

こいし「こういうのは雰囲気とノリが大事だよ。特にノリの方」

藍「なるほど」

アリス「にしても怖いくらい順調ね。何も起きないといいけど」

輝夜「アリス、だめ。それフラグ……」

アリス「?」

咲夜「今夜は試作という形にして、明後日くらいから提供開始かしら」

アリス「それがいいわね。今日明日は様子見くらいでお願いするわ」

ミスティア「じゃあ今から早速準備に取り掛かろっか」

早苗「今晩の用意はもう完了してるんです?」

ミスティア「今日は休みだったからね。早いうちからやっておいたよ」

こいし「じゃあお店にご~♪」

輝夜「ふっ、私はもう出口の近くにいるわ!」ヒキドガラガラ

輝夜「あ」

アリス「? どうかした?」

こいし「うわ、なにこれ……」

藍「雨、だな……それも土砂降りだ」

ミスティア「いつの間に……」

早苗「夕立でしょうか……えらい急ですね」

咲夜「さっきまでそんな気配もなかったのに」

アリス「ねえ、これ今日の営業大丈夫?」

ミスティア「どうだろう……屋台の時は、雨の日は止めてたけど……」

早苗「ここは屋内ですし大丈夫……といいたいですが、この店は辺鄙な山の麓にあるわけで里の中にあるわけじゃないし、そこが心配ですね」

藍「妖怪達がわざわざ傘をさしてここまで歩いてくるとは思えないな……」

こいし「えっ、これやばげな状況?」

輝夜「かなりピンチな感じね……いっそ今日は休みにしちゃう?」

ミスティア「お店として構えちゃってるし定休日決めてないのに急に休んだらまずい気もする……」

早苗「それこそ、雨の中楽しみにやってきて休みだったらとてもガッカリですよね……」

咲夜「まぁチョコの試作もあるし、今日くらいは暇な感じでいいんじゃない? 総利益的にはどうなの?」

藍「一応雨天時や有事を考慮して予算を組んではいるが、正直どこかで大きな黒を出せる山が無いと厳しくはあるな」

こいし「ねーねー、赤字で終了したら大失敗ってことになるの?」

ミスティア「ううん、そうじゃないけど……でも、大成功とは言えなくなるかなぁ」

アリス「これだけ各方面から優遇してもらった上でやってる事だしね……」

輝夜「じゃとりあえずお店は開けて、ゆったりやりましょうよ」

アリス「ま、休んだって仕方ないしね。材料もある程度は用意しちゃってるし」

咲夜「沢山余っちゃいそうね……廃棄になる分は、今日の夕飯にでもする?」

こいし「さんせー!」

藍「致し方あるまい」






早苗「お客さん、来ませんねぇ……」

輝夜「まぁ、勢い弱まってきたとはいえこうも雨降られたらねぇ」

こいし「ふわ……流石に暇だよ」

早苗「でも……雨の降る中こう、一人でカウンターに座って飲むのもオツじゃないです?」

輝夜「わかるわ。でもそういうのって居酒屋よりバーじゃない?」

早苗「確かにそうですね。いっそバーにしちゃいます?」

アリス「何勝手な事言ってるのよ」

こいし「あ、お菓子できた?」

アリス「それなりにはね。ちょっとした生チョコのデザートだけど」

輝夜「居酒屋でチョコ……なんていうか、確かにちょっと変な感じね」

早苗「回転寿司でプリンが流れてくるんですからなんかもうどこで何が出てきても驚かない自信ありますね」

アリス「回転、寿司……?」

こいし「なにそれお寿司が回転してるの?」

早苗「ふふっ……あ、いや、失礼。想像したら面白くて」

アリス「知らないんだから仕方ないじゃない」

こいし「何かちょっと興味ある。回転寿司ってなーに?」

早苗「こう、お寿司の乗ったお皿が決められたルートを回り続けるんです。なんて言ったらいいかな……例えばこのテーブル全部に一つのレールが走ってて、そこをお寿司を乗せたお皿が通っていくんです」

アリス「え、じゃあそれ勝手に取っていいの?」

早苗「ですよ。欲しいのが来た時にさっととって食べます」

こいし「なんかすごいねそれ。でも、誰が何食べたかわからなくない?」

早苗「その辺はお寿司の乗ったお皿で判別します。お勘定するときに店員さんを呼んで計算してもらうんですよ。まぁどのお皿が何円かは書かれてますから、食べながらだいたいいくらってわかりますけど」

アリス「何だか面白そうね。行ってみたい気もするわ」

早苗「まーでも実際のところ回ってるお寿司は取らずに注文して流してもらうんですけどね」

輝夜「なんていうか、流れてるやつは飾りてか雰囲気みたいな……」

アリス「世知辛いというか、複雑ねぇ……」

ガラガラ

早苗「あ、お客さんだ! いらっしゃいませー!」

魔理沙「おーおー、こんな雨でもちゃんと営業してるんだな」

こいし「魔理沙さんだー」

魔理沙「ん、なんだ私しかお客はいないのか……」

輝夜「この雨だしね、仕方ないね」

魔理沙「まぁ少ない方が静かだし、たまにはそういうのもいいな。じゃあ、とりあえず……梅酒にしとこうかな」

こいし「ふふ、今日はなんだかろまんちっくだね」

魔理沙「どこでそんな言葉覚えたん……早苗がいたか」

早苗「どんどん色々浸透してるみたいで嬉しいです」

魔理沙「嬉しいのかよ」



魔理沙「んで、お店は順調か?」

早苗「まぁ、それなりですね。魔理沙さんをはじめ、各方面で色々よくしてもらってますから純粋に順調とは言えないかもしれませんが……」

魔理沙「まぁな。でも、そういうのは別に悪いことじゃないと思うぞ。言ってしまえば人望のなせる業だ」

早苗「そう受け取ってもらえるとありがたいですね。でもまぁ、真面目にイチから頑張ってる人には悪い気がします」

魔理沙「んー、まぁ、確かにその辺考えるとな……ってか私と喋ってていいのか?」

早苗「他にお客さんいないですし、その辺は柔軟に対応しますよ」

魔理沙「なんて都合の良い店なんだ……でもまぁ、話し相手がいるとありがたくはあるかな」

早苗「今日霊夢さんはいないんです?」

魔理沙「今日は依頼があって里に行ってるらしい。晩になれば戻ると思うが、どのみち暫く金が無いらしいから来れないな」

早苗「なるほど……霊夢さんも大変ですね。ていうかいつも不思議なんですけど、稼いだお金はどこに消えてるんでしょうね? 贅沢してる感じもないですし」

魔理沙「大方は神社の修繕費なんかだろうな。酉の市の時だって売り上げ全部パーになってるし」

早苗「あれはヤバかったですね……でも、私たちの知らない所で似たような事が何度もあって、そのたびにお金が無くなるんですかね」

魔理沙「なんじゃねーの? 詳しくは知らないけど、使い道聞くときはだいたいそんな返事だからな」

魔理沙「そういう早苗んとこは沢山金持ってるよな。今回の話だって、元の出資は守矢だろ?」

早苗「うちはまぁ、お金自体はあんまりないんですけどね」

魔理沙「ホントかぁ~? 毎度毎度なんかやらかす時って大規模じゃねーか」

早苗「その辺はまぁ、色々とやり方があるんですよ」

魔理沙「なんか怖いなおい……」

早苗「あんまり口外しないで欲しいんですけど、要は『報酬』という形で諸々支払っているので、そこまで苦労しないんです」

魔理沙「ふむ。お金でなくとも物で交渉したり、か」

早苗「そういう事です。例えば、お金なんて全く必要ない妖怪に力を借りたいときはそうするしかないですし」

魔理沙「そりゃそうだな。でも、お前達はどうしてるんだ? 日々の生活を同じようにはできんだろ」

早苗「その辺は勿論、普通に里で買い物したりしてますよ?」

魔理沙「でも、お金ないんだろ?」

早苗「無いとは言ってません。これほどの規模を補える程は無いと言ってるだけで」

魔理沙「訊いたらまずいのかもしれないけど、実際のところ早苗たちみたいなやつらってどうやって稼いでるんだ?」

早苗「ううん、確かに人に言うような話ではないですね……まぁ、簡単に言えば、お賽銭がまずそうですよね」

魔理沙「でもあれってそんな大した額にならないだろ?」

早苗「実情を言ってしまえば、神社の経営・管理ってとても厳しいのが現実なんですよ。大金持ちでもない限り非営利の慈善事業なんて無理に等しいです」

魔理沙「まぁ、経営って言っちゃってるしなぁ」

早苗「なのでお賽銭の使い道はと聞かれれば、それこそ神社の修繕費に使われたり、私たちの生活費になったりします」

魔理沙「なるほど。まぁその辺は霊夢見てても同じか。額に差があるだけで。ありすぎるだけで」

早苗「あはは……あとは、神社での売り上げですね。お守りやおみくじなんかが良い例です」

魔理沙「あぁ、そういやそういうのもあるよな。博霊神社でそういうのが売れてるとこほとんど見たことないから忘れてたぜ」

早苗「れ、霊夢さんほんとに大丈夫なんですかね……」

魔理沙「ま、まぁあいつには一応、妖怪退治って依頼があるし」

早苗「そ、そうですよね」

魔理沙「そこを行くと、守矢も里の人たちからの依頼が結構あるのか?」

早苗「実はこれが結構多いんですよね。内容は伏せますけど、この辺りも、言い方あれですが、資金源になってます」
*この辺り、実際の設定と異なっていたらすみません。かけ離れない程度には原作に沿って作ってますが、見落とし等あるかもしれません。その場合は独自設定ということで

魔理沙「なるほど、なんだか見えてきたな」

早苗「あ、断っておきますけど、お布施の類はいただいてませんからね」

魔理沙「想像もしなかったけど、人によっちゃそういうのもあるなそういえば」

早苗「たまに納めに来てくださる方もおられますが、丁重にお断りしてます。どうしてもと言う場合は、別な措置をとらせていただく事にしてます」

魔理沙「その別な措置ってのは気になるけど訊けないんだよな」

早苗「これはご勘弁ください……」

魔理沙「いやいや、気にすんな。その辺まで訊こうとは思わないさ」

早苗「恐縮です」




輝夜「なんだか話に花が咲いてるみたいね」モグモグ

こいし「でも、他にお客さん来ないし?」モグモグ

アリス「食べるならフロア出るなっての」

ミスティア「でもこのチョコ良い感じだね。これなら食後のデザートとしても良いと思うよ」

咲夜「お嬢様みたいな方には最適ね」

藍「おかげで利益率もハネ上がる。今ある設備で何とかなるのも大きい」

アリス「それは言えてるわね。わざわざ別室で作業するのが悪いくらい」

ミスティア「まぁ冷蔵庫とか冷凍庫の位置的に最適だし?」

こいし「そういえば地下にも倉庫ってあるんだよね? 私行った事ないんだけど」

輝夜「そういや私も無いわね……地下とか響きだけでわくわくする」

アリス「なんでよ」

輝夜「だって地下倉庫よ? 二人で閉じ込められるとか鉄板じゃない」

アリス「誰が誰と閉じ込められるのよ……」

輝夜「いやそういうのはダメ。リアルに置き換えたら気持ち悪い」

アリス「ようわからんわ」

こいし「ねーねー、地下倉庫行ってみていい? お客さんもいないし、ちょっとだけ」

アリス「別にいいけど……」

咲夜「何も面白いものはないわよ? 資材なんかが置いてあるだけだし」

輝夜「それでも、知らない場所って行ってみたくなるものよ」

藍「そこをいくと、旅館の方はまだまだ見ていない場所が沢山あるな」

こいし「確かに! 秘密の部屋とかある?」

アリス「いやそれはないでしょ……」

ミスティア「旅館を探検か……ちょっと興味あるかも」

こいし「でしょー?」

アリス「ミスティアまで……はぁ、こういう場合は誰が保護者になるのかしら?」

藍・咲夜「」ジー

アリス「なんで私を見るのよ……」







ミスティア「この分ならチョコも作っていけそうだね」

早苗「元の仕事との兼ね合いとしてはいかがです?」

アリス「まぁ私の仕事って営業が開始してから忙しくなるようなものじゃないし、大丈夫ね。けど、ヘルプに回れなくなる可能性はあるかもしれないわ」

咲夜「その辺りは私たちで何とかするしかないわね。いくらか慣れてもきたし、開店初日なんかよりはうまくできるはず」

藍「当時勝手がわからなかった事も今ならある程度各々の判断で動けるからな」

こいし「じゃあ明日からもうチョコも開始?」

アリス「でいいんじゃないかしら」

輝夜「なんか、話が出てほんとあっという間ね」

早苗「これもめぐり合わせ。普段の行いが今の私たちを作り上げているのです」

こいし「おー、なんかそれっぽい」

藍「ぽいというか、まさに巫女なんだが」

アリス「うーん、納得できるようなできないような……」

輝夜「なんで私を見るの?」

ミスティア「と、とにかく今日も無事に営業が終わったし、また明日だね」

咲夜「天気次第ではあるけど、明日はほぼ一日空けてあるから昼頃から来るわ」

早苗「お、なら私も頑張って早めに来ます! それに、なにせ明日は夜雀デーですからね、張り切って営業しないと」

ミスティア「ほ、ほんとにそれやるんだね……」

早苗「もちろんですよ! 忙しい所あれですが、一度だけミスティアさんにはホールに登場してもらいます」

ミスティア「え、え~? それ聞いてないんだけど……」

早苗「まぁ料理長の挨拶みたいなもんですよ。それでお客さんにヤツメウナギを振舞ってあげてください。いらっしゃる皆さんに、一切れずつサービスです」

ミスティア「ひえー」

アリス「それで予算案に『各種感謝祭』ってカテゴリがあったのか……」

早苗「そうですよ。既に予算に組み込んであるので、これで計算が狂うことはないはずです」

藍「抜かりないというか、なんというか……」

早苗「来週は妖狐デーなので、藍さんよろしくお願いしますね」

藍「…………」

こいし「なんだか色んな計画があってすごいね。私なんかはただ手伝いに来たみたいな感じだけど、早苗さんたちは色々計画からやってるし」

早苗「こういうの計画するのも楽しいんですよ! 半分くらいは計画する楽しみが占めてると言ってもいいくらいです」

輝夜「ま、当日より準備してるときの方が楽しいって話もあるくらいだしね」

咲夜「さ、話もいいけど、そろそろ片付けましょ。あとは温泉なり部屋でなり話すといいわ」

アリス「そうね。それじゃ、片付けや仕込みといきますか」

ミスティア「今日は私もやるよ。いつもまかせっきりで悪いし」

こいし「じゃあ私ホール片付けてくる~」

輝夜「私は二階やるわ」

藍「今日は厨房をやろう」

アリス「んー、人手があるならもう仕込みの方に回っちゃおうかしら」

早苗「いいと思います。じゃあ私はお店の外ですね」

咲夜「冷蔵庫と冷凍庫周りと品質管理をしようかしら。料理長はどうする?」

ミスティア「仕事残ってないんだけど……お皿でも洗うかー。藍さんここやるよ」








早苗「ふう……」

早苗「この暖簾を下ろす作業がなんといいますか、営業が終了した! って感じですねぇ」

早苗「雨はもう止みましたけど、明日はどうでしょう。降らないといいんですが……」

早苗「おや?」

早苗「なんだろこれ、こんな所に落ちて……」

早苗「これは…………チョコの、包装紙……? なんでこんなところに……」












第五話へ続く








だらだらと不定期に書き続けていますが、まだまだ続きます。
次回は何だか事件の予感……?(予定は未定)
書ける時に一気にがっと書く感じなので要は頻度の問題なのですが、少しずつ動画含めニコニコの更新の方も再開していきたいと思いますので、またよろしくしてやってくださると大変喜びます。
ではまた次回!
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次回も楽しみに待ってます。
50ヶ月前
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ペポさん
ありがとうございます! 鈍行ペースですが、少しずつ書き溜めているのであまり間があかないように投稿ができたらと思います。投稿した際は、よかったらまた見てやってください!
50ヶ月前
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今回も面白かったです!また気長に待ってますので次回も楽しみにしてます!
49ヶ月前
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のあさん
お読みくださり感謝です! 動画等含め諸々ニコニコでの活動を以前程度までは戻していこうと思うので、またよかったら更新の際見てやってください。どこまで続くかはわかりませんが、それなりに話の筋ができてきて大まかに先まで展開を想像し始めているので、それに沿って筆を乗せていきたい所です。
49ヶ月前
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