【特撮】鏡には歪んだ自分の姿が映っている ~弐~
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【特撮】鏡には歪んだ自分の姿が映っている ~弐~

2018-04-01 12:50

    ~壱(ビルド)~

    http://ch.nicovideo.jp/cafe_ratte_notlatte/blomaga/ar1462475


    自分の中の闇にどう向き合うか

    (ウルトラマンオーブサンダーブレスター)


     主人公たちを責め立てる闇は外部にのみ存在するものではない。自らの内面の闇に苦しめられたヒーローとして代表的なのはクレナイ・ガイが変身するウルトラマンオーブだろう。

     ウルトラマンオーブの物語は挫折の物語である。宇宙のさすらい人、クレナイ・ガイ。激しい戦いで疲れ果てた彼を助けてくれた大切な人を、自らの戦いに巻き込み失ってしまったところからその物語は始まる。深い絶望と悲しみに包まれ、彼はウルトラマンとしての本来の力を失ってしまう。それでも地球の危機を救うため、彼は他のウルトラマンの力が封じられたカードの力を借りてなんとかウルトラマンに変身(フュージョンアップ)して戦うのだ。

     サンダーブレスターは、光の国の宇宙警備隊の隊長ゾフィーと、強大な帝国を築いた唯一の悪のウルトラマンであるウルトラマンベリアルの力を借りて変身する、ウルトラマンオーブのフュージョンアップ形態のひとつである。通常、ウルトラマンオーブが使用するフュージョンアップは、歴代のウルトラマンの力が宿る光のカードであるが、このサンダーブレスターで使用するウルトラマンベリアルのカードは邪悪なる力、闇のカードである。

     先述の仮面ライダービルドハザードフォームよろしく、サンダーブレスターもそのベリアルの闇の力に支配され、圧倒的で激しい力に飲み込まれ暴走してしまうフォームである。強大な敵との戦いで追い詰められた彼は、サンダーブレスターの力で敵を撃退するもその過程でまたも大切な人を傷つけてしまうことになるのである。

     自らの力が周囲の人を傷つけてしまうことに絶望した彼はいかにその闇に向き合ったのか。そのヒントとして彼にはこんな言葉がかけられた。

    「科学と同じだ。強力なパワーを創り出した途端、破壊と暴力に飲み込まれてしまう。その闇に、制御が効かなくなる。自分の闇ってのはな、力づくで消そうとしちゃいけないんだ。逆に抱きしめて、電球みたいに自分自身が光るんだ。そうすりゃ、ぐるっと360度、どこから見ても闇は生まれねえ。」

     ヒビキ隊長…じゃなかった小舟社長のこのセリフは非常に印象的である。光と相反する存在としての闇に対して「倒し」「打ち克つ」といったそれ自体を否定する表現でなく、「認め」「抱きしめる」といった肯定的な表現を用いている。「闇を抱きしめる」という表現の仕方がまた絶妙である。自らの一部として闇に寄り添うというイメージがすっと伝わってくる。また、「自分が闇を生まない」と同時に、「周りからも闇が見えない」形になるという点も重要だ。

     闇を持つことがいけないのではない。それは誰の心の中にもあるものだからだ。大切なのはその闇とどう向き合うか、自分の心をどう制御するか、ということである。一見明るく清く正しく振舞っている人でも実は内面に闇を抱えている、しかししっかとその闇を抱きしめて包み込んでいるからこそ周りにはそれを感じさせず、輝く人に見える、ということなのだ。

     闇との向き合い方を知ったガイは最後に仲間たちから大切な勇気をもらい、サンダーブレスターを制御、そして失った己自身の力を取り戻すことができたのである。

     なお、このセリフはウルトラマンオーブという作品全体にとっても重要なメッセージ性を持っており、オーブ本人だけではなく、彼のライバルであるジャグラス・ジャグラー、本作のヒロインである夢野ナオミのエピソードにも関係してくる。彼らもまた闇に飲まれ、暴走をしてしまうが、闇を抱きしめ、光を得るに至るのである。ウルトラマンオーブの主題歌にある「二つの力で戦えウルトラマンオーブ!」という歌詞が「2枚のウルトラマンのカードで変身して戦う」という意味のみならず、「自分の中の光と闇、両方の力を使う」というダブルミーニングじみたものになっているというのは割と知られている話(さらにダブルどころではなく…というのは別の話)。

     余談だが、この作品においても「科学がもたらすものは正義か悪か」といったテーマの話があり、先の小舟社長の名言がここでも炸裂しているので、ぜひ本編を見てほしい。


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