韓国発のスパイアクション映画『ベルリンファイル』が公開されます。
舞台となるベルリンは、東西冷戦時代に各国スパイが暗躍した都市なのだそう。主人公は北朝鮮の工作員ジョンソン。闇の裏取引を誰かにリークされ、命の危機にさらされることに。裏切ったのは誰か? まさか彼の妻が!? というのが導入部分のストーリーなのですが、韓国情報局、アメリカのCIA、イスラエル、アラブ系の組織にロシアの武器ブローカーなど、各国の思惑が入り乱れ、その後の展開はとても複雑。裏切りにつぐ裏切り、という頭脳戦がたっぷり味わえるスパイ映画です。
見どころは、主人公のジョンソン演じるハ・ジョンウのアクションシーン。『ボーン』シリーズのジェイソン・ボーンを思わせる超人的な強さですが、ハリウッドのスパイ映画よりも痛そうなシーンが多くて、さらに凄味を感じます。落下シーンも落ちてきてガラスが割れる程度では済まず、その後、壁にあたってバウンドしてさらにワイヤーに絡まって......といった激しさ。カーチェイスでも、銃撃戦でもかなり痛手を負って痛そう! ですが黙々と闘う。最強です。
これまでも『チェイサー』『哀しき獣』などで追われる役を演じたハ・ジョンウが、今回も、国家への忠誠心と妻への愛で揺れながら、追い詰められていく。寡黙な追われ役が似合うんですよね。
彼の妻を演じるのは『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョン。明るくセクシーなイメージを封印して、哀しきスパイの妻を熱演。ほかに、『シュリ』のハン・ソッキュ、『クライング・フィスト 泣拳』のリュ・スンボムなど、韓国実力派のキャストがそろっています。
複雑に絡み合う各国の攻防合戦は正直1回観ただけでは追えない部分もありましたが、キム・ジョンイル体制からキム・ジョンウン体制に変わったことで外国公館の締め付けが厳しくなったとか、隠し資金の存在が噂されるといった、現実にリンクしそうなエピソードがさりげなく盛り込まれていて、実はかなりリアルな話!? なんて想像が膨らみました。
韓国と北朝鮮のスパイが強く敵対しながら、どこか共感もしている。そのあたりも、南北間にある感情なのかなと興味深く観ました。
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『ベルリンファイル』[公式サイト]監督・脚本:リュ・スンワン
出演:ハ・ジョンウ、ハン・ソッキュ、チョン・ジヒョン
7月13日(土)新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
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(文/ミヤモトヒロミ)