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記事 2件
  • 目ざすはニートかナリワイか。非バトルタイプにお奨めのお金がかからないライフスタイル。(2445文字)

    2013-05-13 11:59  
    53pt

    ○この記事の内容。○
     個人でできるスモールビジネスである「ナリワイ」の話です。グローバリゼーションとか帝国企業の話が微妙に絡んできたりしています。まあ、「支出削減スキル」はとても大切だよね、という話だと受け取っていただいてもかまいません。いや、ほんとにね。



     伊藤洋志『ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方』を読み終えた。「ナリワイ」とは聞き慣れない言葉だが、「個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのではなく、やれやばるほど頭と体が鍛えられ、技が身につく仕事」のことだ。漢字なら「生業」と書く。「生きるための業」である。
     著者は語る。

     また、現代社会に生きる私たちは、生活を時給する能力がかなり衰えている。何も考えずに暮らしていると、たいしたことをしてなくても支出が高い。だから、稼ぐのを一休みして、立ち止まる余裕がない。考える余裕がないから、妙な住宅ローンを組んだり、目先の運転資金のために不利な仕事も請け負ってしまう。
     これでは、人生を盗まれている。

     で、人生を盗まれないためにナリワイをしましょう、ということになるわけだ。ナリワイには、以下のような特徴がある。

    ・やると自分の生活が充実する。
    ・お客さんをサービスに依存させない。
    ・自分で考え、生活をつくれる人を増やす。
    ・個人ではじめられる。
    ・家賃などの固定費に終われないほうがよい。
    ・提供する人、される人が仲良くなれる。
    ・専業じゃないことで、専業より本質的なことができる。
    ・実感が持てる。
    ・頑張って売り上げを増やさない。
    ・自分自身が熱望するものをつくる。

     ちょうど松井博『企業が「帝国化」する』を読み終えたばかりなので、ナリワイがAppleやAmazonなどの「帝国企業」の仕事と好対照であることがわかって面白かった。
     帝国は可能な限り「お客さんをサービスに依存させ」ようとしているし、「頑張って売り上げを増や」そうとしているのだから。
     それも当然といえば当然の話で、著者が読者にナリワイを勧めるのは、やはりグローバリゼーションと企業の帝国化が背景にあるのだ。
     『企業が「帝国化」する』や『ワーク・シフト』といった本では、グローバリゼーションに伴い、ほとんどの仕事の価値が安価になっていく未来が提示されていた。



    企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン~新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)

    松井博 アスキー・メディアワークス  2013-02-12売り上げランキング : 1811Amazonで詳しく見る by G-Tools







    ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉リンダ・グラットン 池村 千秋 プレジデント社  2012-07-28売り上げランキング : 111Amazonで詳しく見る by G-Tools



     これは日本などの先進国の視点から見ると「仕事報酬の空洞化」であるが、新興国から見れば「世界平準化」であるに過ぎないので止めようがない。
     それでは、これから仕事を奪われる旧先進国の人間はどのようにして生きていけばいいのか。この疑問に対し、『企業が「帝国化」する』では「アート」という答えが用意されていたし、『ワーク・シフト』では「複数のスキルを組み合わせることによってオリジナルなスキルを生み出す」ことが推奨されていた。
     で、『ナリワイをつくる』では「ナリワイをやればいい」と記されているわけである。
     個人でできるスモールビジネスであるナリワイは、あまりお金にならない。そこで著者は複業ならぬ「複業」を勧める。これは文字通り複数の仕事を持つことを意味する。マルチワークというわけだ。
     著者によると、「月3万円ビジネス」を10個持てば年収は360万円になるはずだ、ということである。楽観的に過ぎる計算と思われるだろうか。また、360万円ではとても足りないと考えられるかもしれない。そこで支出削減の話になる。
     
  • 【有料記事】2025年の世界はどうなっているのか、『ワーク・シフト』で未来を覗く。(2018文字)

    2012-09-19 20:07  
    53pt
    リンダ・グラットン『ワーク・シフト』の書評です。いやあ、この本は素晴らしかった。2025年の世界を展望する未来社会予測本なのですが、きわめてリアルな内容だと思います。じっさい、本書に書かれているとおりになるかどうかはともかく、たしかにこういう時代が訪れてもおかしくないな、と思わされます。ハードカバーで少々お高いですが、ぜひ、読んでください。