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先日niconicoサービス『ニコニコチャンネル』、そして『ブロマガ』に自身のページをオープンした漫画家の佐藤秀峰さん。26日(土)にメディアアートとクリエイターの祭典「eAT KANAZAWA」に出演し、ニコ生をしながら講演を実施。イベントの様子、今後の展望について話しました。

eAT KANAZAWAは、石川県金沢市が開催する、ジャンルの垣根を越えたクリエイターによる講演やイベント。今回は佐藤先生の他に、明和電機の土佐信道さん、特技監督・映画監督の樋口真嗣さんなどが出演しました。

紙媒体よりもネットでのマンガ公開に可能性を見出し、様々なアプローチをネット上で行っている佐藤先生は、先日もニコニコチャンネル内の公式チャンネル『佐藤秀峰ちゃんねる』にて漫画の作画シーンを公開。ブロマガ上では、1日1コマ連載の新作漫画となる『描男 kakuo』をスタートしています。

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講演前の楽屋で生放送を始めた佐藤先生はリラックスムードでトークを開始。ユーザーともコメント上で

ユーザー:金沢カレー食べた?
佐藤先生:お寿司食べましたよ。

佐藤先生:1人で30分も講演するなんて本当間が持たなくて緊張するので、今日はニコ生の皆さんとステージにあがりますよ。
ユーザー:俺もステージに\(^o^)/

ユーザー:Twitterの時の秀峰先生は飲んでるんですか?
佐藤先生:飲んでないですよ、平常運転で人の悪口も言いますしね。

などとコミュニケーションを楽しんでいました。

●講演のテーマは『ブラよろ』二次利用フリーへの反響
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今回佐藤先生が行う講演のテーマは「『ブラよろ』二次利用フリーへの反響」。ドラマ化もされ、大ヒットとなった漫画『ブラックジャックによろしく』は、2012年9月15日より著作権フリー化しており、あらゆる二次利用を自由にできるようになっています。画像の消しゴムハンコは、佐藤先生が二次利用によって生み出された作品を「いいね!」と認定した時に押してもらえるもの。この手作り感、とってもカワイイ。

●コメントも一緒に、いざステージへ!
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ドキドキの待機時間を経て(待ってる時間って本当長いですよね……)いざ、ステージへ。約300人の観客を前に、佐藤先生の講演がスタートします。

そもそも、『ブラックジャックによろしく』の二次使用フリーとは、「商用・非商用を問わず、作品を出版したり、小説化や映画化などを無料で自由に行うことができる」というもの。「ブラックジャックによろしく 佐藤秀峰 漫画 on Web http://mangaonweb.com/」と出典を記載すれば、自由に創作ができるというわけ。例えば筆者が登場人物のイラストをプリントしたノートを作ったり、吹き出しを利用して“ふせん”を作ることもできちゃうんです。

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これまでの事例としては、漫画のコマを組み合わせて新しい漫画を作ったり。

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新聞広告の素材として利用するなど。

(上記の画像はNAVER まとめ「『ブラックジャックによろしく』を二次利用フリーにしたらすごいことになった」より引用。http://matome.naver.jp/odai/2135055005120356501)

他にもスマートフォン向けアプリでゲームになったり、アロハシャツにプリントされたりと、色々な活用のされ方をしています。

そもそも、佐藤先生がなぜ二次使用フリーという試みを行なうことになったのか。そこには今話題となっている「自炊代行訴訟」にも関連した考え方があるのです。

●「自炊代行訴訟」について思うこと
「自炊」とは……自ら所有する書籍や雑誌を イメージスキャナ等を使ってデジタルデータに変換すること。

「自炊代行訴訟」とは……漫画家・弘兼憲史氏や、作家の東野圭吾氏が書籍をスキャンして電子ファイルを作成するスキャン業者に対し、行為差し止めを求める訴えを起こしている。2011年12月に最初の提訴が行なわれたが、現在も進行中。
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今もニュースで報道され、関心度が高い自炊代行訴訟。個人が自分の本や漫画をデータ化して楽しむのは著作権法上の“私的複製”として認められるが、そこに業者が介入することで、海賊版の乱立などが懸念されるとして、作家陣が集団で訴訟を起こしているものです。

佐藤先生は、この訴訟について「自炊代行のせいで売り上げがさがったっていうデータが今の所ないというのと、業者に頼むと顧客データが残るので逆に海賊版を作成するのはやりづらい」として「自炊代行業者のせいで海賊版がでまわるという考え方は現実的ではないと思っています」と自らの考えを発言。「買った本を、部屋のスペースの問題とかでデータ化する人を、締め出すということはいかがなものかと思いまして」とも話しました。

また、この裁判が出版社の呼びかけで作家陣が集結した、“出版社発信の訴訟”となっている点にも疑問があると佐藤先生。「著作権は出版社じゃなくて書き手・作り手にしかないから、出版社は作家さんに原告になってもらうしかない」と説明し、出版社が著作物の伝達に重要な役割を果たしている者に認められた「著作隣接権」を声高に訴えていることに対しては「自炊代行裁判にのっかって、作品の権利を出版社のものにしたいんだなと感じました」と指摘しています。

著作隣接権の行使によって、書き手・作り手が作品を自由に出版することができなくなったりする懸念を説明しながら、「僕にはこの流れが間違っていると思えた。著作権というものを締め付ける方向じゃなくて、もっと解放して、たくさん使ってくれって言って良いと思っている」と話し、「その結果、続編が売れたりいい影響があるんじゃないかと考えていたら、色々な二次使用例が出てきたわけです」と自身の取り組みについて紹介しました。

●二次使用フリーが産んだ大ヒットアプリ
「無料で全巻!ブラックジャックによろしく 」というiPhone アプリ。その名のとおり、漫画『ブラックジャックによろしく』をアプリで全巻読むことが出来るアプリで、現在までに130万ダウンロード、AppStoreでランキング1位を獲得するなど大ヒットとなっています。

これは、佐藤先生の関係者では無い、いちユーザーが開発したアプリ。佐藤先生はその後、開発者に実際に会い

「『新ブラックジャックによろしく』もアプリにしませんか」と提案し、こちらも大きな反響を呼んでいます。

「二次使用フリーを発表した時は、結構批判されて今でもGoogleの検索窓に佐藤秀峰って入れると、“佐藤秀峰 クズ”とか出てくるんですよ」とぼやきながらも、「でも僕は自分が正しいことをしているって信じているから、これからもやり続けます」と今後の活動についてもやる気をのぞかせました。

●新作漫画『描男 kakuo』をブロマガにて連載中!
ブロマガ『少年 佐藤秀峰』
そんな佐藤先生は、現在ブロマガにて新作漫画となる『描男 kakuo』を1日1コマ連載の形式で公開中。メルマガで漫画のコマが届くという何とも続きが楽しみになる作品ですが、今回も二次使用フリー。

「画像を加工してニコニコ静画にアップして遊んでも良し、それをWeb上で公開しても良し、続きを勝手に考えても、ドラマ化できるんならそれもいいし、それでお金を儲けてもいいし、とにかく何をやってもOKです。僕は著作権を行使しません。利用規約も作りましたので、こんな感じでよろしくお願いします。」

と、また様々なコラボレーションが誕生しそうな予感です。ブロマガでは『描男 kakuo』の他にも佐藤さんの考えたこと、連載中の漫画の制作・進行状況、取材レポートなど、作家活動の報告も配信。今回の生放送の様に、インタビューや取材の模様のレポートなども、不定期ながら行う予定とのことなので、ぜひ公式チャンネル『佐藤秀峰ちゃんねる』とブロマガ『少年 佐藤秀峰』をチェック。

今回の生放送の様子は以下のリンクから視聴可能(講演部分のみ)。貴重なお話はもちろん、ステージ登場前のドキドキ感は味わう価値アリですよ。

『ブラックジャックによろしく』の二次利用について」 講演部分
http://www.nicovideo.jp/watch/1359969686

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↑オマケ。生放送中に、顔を見せてくれた明和電機の土佐さん。ナイス笑顔。

●関連リンク

ブロマガ「少年 佐藤秀峰」

http://ch.nicovideo.jp/blog/shuhosato

佐藤秀峰 公式チャンネル「佐藤秀峰ちゃんねる」
http://ch.nicovideo.jp/channel/shuhosato


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