『ファインディング・ドリー』
【ストーリー】
カクレクマノミのマーリンが、ナンヨウハギのドリーと共に愛する息子のニモを人間の世界から救出した冒険から1年。3匹は平穏な日々を過ごしていたが、ある晩、ドリーは忘れていた両親との思い出を夢に見る。昔のことはおろか、ついさっき起きたことも忘れてしまう忘れん坊のドリーだが、この夢をきっかけに、忘れてしまったはずの両親を探すことを決意。「カリフォルニア州モロ・ベイの宝石」という唯一の手がかりから、人間たちが海の生物を保護している施設・海洋生物研究所に、両親やドリーの出生の秘密があるとを突き止めるが……。
【スタッフ】
監督:アンドリュー・スタントン
共同監督:アンガス・マクレーン
製作総指揮:ジョン・ラセター
原案:アンドリュー・スタントン
【キャスト】
ドリー:エレン・デジェネレス(室井滋)
マーリン:アルバート・ブルックス(木梨憲武)
ニモ:ヘイデン・ローレンス(菊地慶)
ハンク:エド・オニール(上川隆也)
デスティニー:ケイトリン・オルソン(中村アン)
タコのスピンオフ作品を切望している件
ドリーが主人公と聞いて、一抹の不安を抱いたのはきっと私だけではないハズ。「忘れん坊」とは控えめな表現で、「3秒前に言ったことすら覚えていない」かなり特殊なキャラだからです。言葉に責任感がなく、ストーリーの進行を妨げ、常にイライラとさせられる存在をメインに置くのは相当なチャレンジと言えるでしょう。
しかし、物語が進むに連れてそのイライラ(確かにちょっとはイラっとした)はいつしか応援に変わり、なんだかんだで最終的には涙を搾り取られましたよ……はい。それを成し遂げたピクサーのストーリーテリング力は今回もハンパなく、『ファインディング・ニモ』で描かれたストーリー以前も以降も、彼らはちゃんとそこに存在していたんだな、と想像力をバシバシと刺激されました。
ドリーをサポートするサブキャラたちの活躍も忘れてはいけません。その中でも、タコがとにかくイカしたキャラなんですよ。もう一度言います、タコがイカしてるんです! タコのハンクは、ピンチとなればカモフラージュで身を隠し、スミを吐いて相手の目をくらますユニークな能力の持ち主。ハンクが日本のタコ忍者集団にスカウトされて大活躍するスピンオフの妄想だけでご飯3杯はいけますね。『トイ・ストーリー3』のロッツォ(ピンクのクマ)的なキャラかと思いきや、「イイ奴、イイ奴、イイ奴、イイ奴、イイ奴!」ってな展開でますます大好物になりました。
さて、私は字幕版で鑑賞したワケですが、日本語吹替版のパンチ力が凄まじいとのウワサを耳にしています。夏休み直前のキッズたちよ、君はシガーニー・ウィーヴァー派か? それとも八代亜紀派か? どっちなんだいッ!!??
【プロフィール】よしだたつき
PR会社出身のゆとり第一世代。『Variety Japan』(http://variety.co.jp/)のシニア・エディターとしても活動中。ピクサー作品は『トイ・ストーリー3』と『モンスターズ・ユニバーシティ』が好き。
日本語吹替版の謎の八代亜紀祭りは、本作をピクサー史上N0.1のカルト作にした!
最初に言っておきますが、筆者は八代亜紀さんが好きです。
日本国内のピクサー/ディズニー作品No.1の興行収入(110.0億円)を記録しているという『ファインディング・ニモ』。てっきり一位は『トイ・ストーリー』だと思っていたので、これもビックリでしたが、でも確かに公開された13年前のカクレクマノミブームって凄まじかった! みんなニモニモ言ってたもんな〜。
最高の作品が最高の興行を生むわけでは無い、というのはこの『ファインディング・ニモ』に限った事では無いんですが(いや、ニモも好きだし最高のアニメーションだとは思うんですが、正直筆者の中では思い入れ薄め)、それだけキャラクターが素晴らしいだなあと『ファインディング・ドリー』を観て、改めて思いました。
そして、監督自身が「『ファインディング・ニモ』を撮り終えた後、ドリーについてちゃんと描かなくてはいけないと思った」と語っているとおり、ドリーってあんなに目立っててあんなにイカすキャラなのに、突然出て来てマーリーンを手伝った(イラつかせた)だけなんですよね。なので、今回こうしてドリーが主役になっただけで、素晴らしい映画だなって思っちゃうワケです。
フタをあけてみると、感動よりギャグが多めの夏に家族や友人と観るのにピッタリの「お魚大ぼうけん」になっていたワケですが、筆者個人的には前作より好きです! 日本語吹替えで観ましたが、ハンクの上川隆也さんと、デスティニー役の中村アンちゃんの声が本当に素晴らしかった。この2キャラ(他にもアシカとか楽しいのはいたが)はぜひディズニーリゾートに何らかの形で参加して欲しい!
また、オリジナル版ではシガニー・ウィーバーが本人役で演じていた「海洋生物研究所」の音声ガイドを、日本語吹替版では八代亜紀さんが演じているのですが、これがめちゃくちゃカルト度満載で! なぜそこでも八代亜紀?! ここでも八代亜紀か! と、映画観ている間に全然肝心な所に集中出来ず……。嗚呼、面白かった! これ、高度なギャグですよね? そう私は捉えましたよ!
【プロフィール】藤本エリ
映画・アニメ・美容に興味津々な女ライター。猫と男性声優が好きです。
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