『スワロウテイル』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』など、数々の作品で世界中にコアファンが多い・岩井俊二監督。新作『リップヴァンウィンクルの花嫁』のBlu-ray&DVDの発売記念を記念して、漫画家の真鍋昌平先生とトークショーを開催しました。
繊細で柔らかな作風が印象的な岩井監督と、『闇金ウシジマくん』の真鍋先生の組み合わせって超意外! ですよね。実はこの2人、脚本家で映画監督の北川悦吏子さんを介して意気投合し、お互いをリスペクトし合う仲なのだとか。
また、岩井監督が大ヒットコミックである「闇金ウシジマくん」の大ファンであることを、本人の目の前で告白。「まるで奇跡のような作品」と大絶賛。さらに「ウシジマくんのエピソードの中には撮ってみたいものもある。ワンカットごとに丁寧に映像化してみたいですね」とラブコールが送られ「サングラスの下は泣いていますよ(笑)」と、真鍋先生が感激する場面も。
「主人公・皆川七海のキャラクターを通してみえることについて」について2人は、
真鍋:七海は主体性がない性格と環境的な状況で、綾野剛さん演じるなんでも屋の安室に巻き込まれ、良くない方向にどんどん 行ってしまう。お父さんの教育の一環で彼女にはモノを言わなかった上に母親は天然で、場の空気が読めない人だったから、そ こでバランスを取っていたと思うんです。そのまま世間に出て行ってしまうけれど、武器がないから生きていけないわけですよね。 だから、合わせることしかできなくて、翻弄されて、流されていく。それは誰にでも起こり得ることで、彼女が特別な子だからではないんですよね。
岩井:なぜ七海は、あそこまで主体性がないのか、観ていてイライラするとよく言われます(笑)。でも、僕が世の中を観察している限りでは、ほとんどの人が彼女のようだ、と思うんです。本当は要らないサービスとか、どんどん乗っていってしまうじゃないですか。彼女の場合も社会に出て引きずられてしまうけれど、人生のレールで重要なポイントに差し掛かっても、たとえば周りが就職 するから自分もするみたいな、よく考えなかったりして決めてしまうことってあると思う。それは大企業の社長や会長であっても、 自己判断に疲れていると、霊媒師に頼るとか、そういう話ってあるじゃないですか。だから、七海に限らず、そういう弱さは誰でも 持っていると思う。誰に起こっても、不思議なことではないんです。
とそれぞれコメント。映画公開当時、劇場では満席が相次ぎ、ロングランヒットとなった本作。筆者も大好きな一本ですが、観れば観るほど感じる部分も変化しますし、人と語りたくなるストーリーですので、映画館で見逃した方はぜひBD、DVDでチェックしてみてください。
『リップヴァンウィンクルの花嫁』Blu-ray&DVD発売中
舞台は東京。派遣教員の皆川七海(黒木華)は SNS で知り合った鉄也と結婚するが、結婚式の代理出席をなんでも屋の安室(綾野剛)に依頼する。新婚早々、鉄也の浮気が発覚すると、義母・カヤ子から逆に浮気の罪をかぶせられ、家を追い出される。 苦境に立たされた七海に安室は奇妙なバイトを次々斡旋する。最初はあの代理出席のバイト。次は月 100 万円も稼げる住み込 みのメイドだった。破天荒で自由なメイド仲間の里中真白(Cocco)に七海は好感を持つ。真白は体調が優れず、日に日に痩せ ていくが、仕事への情熱と浪費癖は衰えない。ある日、真白はウェディングドレスを買いたいと言い出して……。
(C) RVW フィルムパートナーズ
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