日本で今年最大の興行収入1億5000万ドルを上げ、現在も記録を伸ばし続けている新海誠監督のアニメ映画『君の名は。』は、舞台となったロケ地に観光分野の成功をもたらしている。
ストーリーは、田舎に暮らす10代の少女が、東京にいる10代の男の子と夢の中で性別が入れ替わるという、新海監督のイマジネーションから生まれた物語だ。新海監督とそのチームは、少女が暮らす街のモデルを岐阜県飛騨市に設定した。その詳細な描写により、ブログやメディアが「巡礼ルート」と呼んでロケ地を取り上げるようになった。
拡大し続ける『君の名は。』のファンが、映画の舞台となった場所を探すのを手助けするため、また、可能であれば長く滞在し、地元経済を後押してもらえるように、飛騨観光協会は「巡礼マップ」をウェブサイトに掲載した。2017年1月から2月にかけて、飛騨市は作品のストーリーボードや資料を展示する。
アニメ・ツーリズムは、目新しいものではない。日本のファンは 数10年前からお気に入りのアニメ映画やテレビ番組のロケ地を探している。その最もよく知られている場所のひとつは、1988年に公開された宮崎駿監督のアニメ映画『となりのトトロ』の舞台となった、多摩地域にある狭山丘陵だ。8650エーカーもある『トトロの森』に、ハイキング目的だけではなく、作品のファンが訪れている。狭山丘陵を都市化の動きから守るため、宮崎監督らが1998年に設立した財団には、多くの人たちが貢献している。
また9月には、旅行代理店のJTB、日本航空、アニメーションのプロデューサーでもある大手出版会社のKADOKAWAが商業的な取り組みを始めた。
一般社団法人アニメツーリズム協会を設立し、アニメの聖地を88ヶ所の「聖地巡礼ルート」にまとめ、日本や海外からのアニメファンを取り込もうとしている。ファンは12月まで、聖地となる候補地を日本語と英語を含む5か国語によって投票できる。協会は2017年末までに最終的な選別を行う計画で、2020年までに年間400万人が聖地を訪れることを目標としている。
その時までに、新海監督と同僚のアニメーターらは、再び実在する場所を舞台とする大作を作り上げるかもしれない。88ヶ所では足りなくなるだろう。