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現在上映中の映画『美女と野獣』。4月21日の公開から、5月17日(水)までに、動員593万1,500名、興行収入82億9,800万円を記録し、新規公開作を抑え4週連続№1を達成し、大ヒットを記録しています。

本作のファンは、字幕版、プレミアム吹替版を両方楽しむ人が非常に多く(時には字幕、吹替えと繰り返し観る方も!)、プレミアム吹替版の完成度の高さも見所の一つ。特にルミエール役を演じた成河(ソンハ)さんの演技は「最高すぎる!」「歌もお芝居も素晴らしい」「成河さんのルミエール大好き」と大きな話題に。

今回ガジェット通信では、成河さんご本人に作品について、アニメーションのアフレコ初体験の印象について、色々とお話を伺ってきました。

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―まず成河さんにお聞きしたいのが、アニメーションの『美女と野獣』はご覧になっていますか?

成河:たぶん中高生くらいだったと思うんですが、大変話題になっていて、家族で観に行ったことを覚えています。

―実写化のお話を聞いた時の率直なお気持ちはいかがでしょう?

成河:正直に言うと、大丈夫なのかな? とは思いました。観客のみなさんの中にもそう思った方って結構いらっしゃるんじゃないかなと思うんですが。実写化というのは必ずしも成功するわけではないですから。でも自分が声の演技を担当させていただくのだから全力でやろうと思って、本編を観たら、ひっくり返るほど驚きました。本当に疑ってすみませんでした、参りましたという感じで(笑)。

―映画を観てすごく感動されたと。

成河:泣いちゃいました。すごく感動しちゃって。役者さんも全員素敵で、演出もテンポも良くて。それも派手にするための演出だけではなくて、お話の骨格を浮かびあがらせるためになっているところが素晴らしいなと。高いテクノロジーを見せるだけの映画ではなくてね。別にそれでも良いと思うんですが、そうでは無いというところに感動しました。そして、これは吹替えを相当頑張らないといけないぞ、と。

―役が決まる前、オーディションはどの様な気持ちで挑みましたか?

成河:やったことの無いことだったので、逆に楽しんでやろうと。

―そして見事ルミエール役に決まった時のお気持ちは?

成河:現実感も無くて、本当に僕でいいのかなあ、という気持ちでいっぱいでした。他のプレミアム吹替版のキャストのみなさんは半分以上舞台で共演したことがある方だったので、本当に舞台陣で固めるんだな〜としみじみしました。

―ルミエールというキャラクターをどの様に演じようと意識されましたか。

成河:ルミエールは軽妙なでありながら、どっしり構えたところもあるキャラクターだと思うんですね。僕は実年齢に比べて、声も高くて外見も若く見られがちなので、そこが心配だったんですけど、実写のユアン・マクレガーさんの声がアニメーションより高めで若々しかったので「こういうやり方もあるんだ」と思いました。なので、あまりつくり込むというよりは、僕の声、声質、トーンを見ていただいた上でこの役をくださったのだから自分なりにやろうと思いました。

―確かにユアン・マクレガーさんの声が高めで、イメージを残しつつ新しいルミエール像も感じました。

成河:意外でしたよね! なので僕もあのフランスなまり感というか、鼻につくギリギリのキザな感じも出したいな、と(笑)。どっしりと落ち着いた執事というより軽妙さを大切にしようと、ユアン・マクレガーさんの演技を見て安心した部分もありました。

ディズニー映画には必ずルミエールのポジションがいるじゃないですか。お客さんと作品をつなぐ役、というか。最近でいうと「オラフ」なのかな。舞台でも映像作品でもそういったポジションのキャタクターって大好きです。

―映画の中でルミエールはとにかくよく動いていて、楽しかったです。

成河:すごいですよね! 僕もあの動きやりたいなと思って、動作をつけながらアフレコしていました。英語と日本語の違いってやっぱり難しくて。英語では「NOW!」というセリフと着地が見事にハマっているところを日本語でどうしようか、とか、ずっと収録でやっていました。ルミエールの動きをそのままやってみて声を出していました。

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―音響監督からのオーダー、要望はどんなことがありましたか?

成河:この秒数に入れてほしいとか、この手の動きと言葉を揃えてほしいとか、オーダーは厳密でたくさんあるので、しぶとく、粘り強く、一緒に頑張ってくださいました。一つのセリフでも10回、20回撮り直しましたし、最後まで付き合ってくださってさすがプロの方だと楽しい経験となりました。

―今回初体験となったアニメーションのアフレコは、新鮮でしたか? 面食らった部分があったりはしましたか?

成河:どちらもありますね。新鮮ですごく勉強になったし、難しくて戸惑うこともあって。これは教えていただいた話なのですが、アフレコといっても色々なやり方があって、ディズニーの日本語吹替えはある意味特殊なやり方をしていると。完全に一人ずつ別録りで音をとっていくので、その日はとことんその人のアフレコが出来るわけです。これが全員で録っていると、誰かのために2時間3時間費やすことがストレスになってしまうと思うんですが、一人ずつのアフレコだと一つのセリフが完成するまでずーっとやり続けることができる。

もちろん、そのメリットを採用している分、共演者との呼吸を損なうという演じて側のデメリットがあって。これは演じて側のデメリットですが。僕みたいな舞台でしかやっていない人間にとっては慣れるまでがまあ大変で。英語で話しているコグスワースに日本語で返して会話をするので、最初はちょっとしんどかったですね。

―特にルミエールとコグスワースは掛け合いが多いですものね。

成河:そうなんですよ。小倉久寛さんが先に録音している分を聞かせてもらったりもしていたのですが、一緒に録るのとは全然違って。僕さえ納得できちゃえば、その後の編集で上手に合わせていただけるのでしょうけど、僕もそこはとことんこだわりたかったので。色々な面でアニメーションのアフレコはとても楽しかったし勉強になりました。

―今後も声のお仕事はやってみたいですか?

成河:もちろん! 声だけでキャラクターを演じるのってすごく面白いなと思い、今現場で古田新太さんと一緒なんですが(※)、古田さんも声のお芝居が大好きだそうで、色々と教えてもらっています。
※舞台『髑髏城の七人』。

―観客のみなさんも成河さんの次の声の出演、とても楽しみにしていると思います!

成河:あはは、そう思っていただけると一番嬉しいですね。

―劇中ではもちろんサントラでも聴かせていただきましたが、ルミエールが歌う『ひとりぼっちの晩餐会』は、とてもファンが多くて人気の曲です。歌うことにプレッシャーはありませんでしたか?

成河:まあ一曲だけでしたから助かりました(笑)。ルミエールは「しゃべってしまっていいキャラクター」だったので、流麗に上手に歌いきる必要がなく、語る様に歌う歌だったのでお芝居に近かったです。

―『ひとりぼっちの晩餐会』は映像も素晴らしいですが、成河さんとの声のマッチングも最高に素敵で楽しいシーンなのに感動して泣いてしまいました。

成河:いやあ、ありがたいです。たぶん、音響監督さん、スタッフさんが上手に合わせてくださっているんですよ。コンマ1秒ずれてやり直し、とかの世界ですから。本当にこれは僕の力だけではなくてみなさんのおかげで作れたチームワークの賜物なので。

―先ほど古田新太さんのお話が少し出ましたが、現在舞台『髑髏城の七人』に出演されていて、『美女と野獣』が公開中と、成河さんファンにとっては悪いキャラクターと良いキャラクター2つの成河さんが楽しめるとても幸せな時期なのではないかと思うんです。

成河:あっち(『髑髏城の七人』)は悪い役ですからね〜、ダース・ベイダーですから(笑)。一番嬉しいですね、そうして対極にあるキャラクターを演じることができて、「同じ人がやっているとは思えない」と言っていただけるのが。その役にしか見えなくて、僕だって気付かれないくらいが正しいんじゃないかと思う時もあるので。声の仕事もまさにそうですよね。その役者さんの声そのものだったらファンの方は嬉しいでしょうけど、作品にはあまり良くないかなとか。舞台もアニメーションも役柄と本人のバランスって非常に難しいですけど、僕としてはキャラクターの方を大切にしたいと思っています。

―最後に、まだプレミアム吹替え版をご覧になっていない方にむけて、映画の見所を教えていただけますでしょうか?

成河:いっぱいありすぎて迷っちゃいますけど、役者さんがとにかく本当にみなさん素晴らしい! ちょっとした表情から細かいお芝居から、密度が濃くて。ディズニー映画があまり好きでは無い方でも必ず入り込んでしまうだろうという作品だと思います。僕は『美女と野獣』というお話は、つまはじき者同士が居場所を見つける物語だと思っていて、どんな人でもベルや野獣の様な気持ちを味わうことってあると思うんです。子供の時は特にそうかもしれない。でも、周りと違っていてもいいんだって、とても勇気をもらえる作品だと思うので。性別、年齢、国、すべての境界線をこえて全員が感動できる最高の映画だと思っています。

―今日は楽しいお話をどうもありがとうございました!

『美女と野獣』
http://www.disney.co.jp/movie/beautyandbeast.html

【動画】『美女と野獣』昆夏美&山崎育三郎が主題歌&ダンス生披露!
https://www.youtube.com/watch?v=iPYL2-UGpKE&lc [リンク]

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