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全世界で戦える日本発CGアニメーション作品とは、エミー賞受賞CGプロダクションのポリゴン・ピクチュアズが描く劇場アニメ『BLAME! ブラム』
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全世界で戦える日本発CGアニメーション作品とは、エミー賞受賞CGプロダクションのポリゴン・ピクチュアズが描く劇場アニメ『BLAME! ブラム』

2017-06-09 12:30

    『スター・ウォーズ:クローン・ウォーズ』、『トランスフォーマー プライム』、『Lost in Oz: Extended Adventure』で、デイタイム・エミー賞を4度受賞した日本のCGプロダクション、ポリゴン・ピクチュアズ。『シドニアの騎士』や『亜人』を手掛け、日本的アニメをNetflixで全世界に向けて発信する。ポリゴン・ピクチュアズの最新作は映画『BLAME!』。日本では劇場公開、そしてNetflixにて2017年5月20日より世界同時配信されている。日本の劇場公開においては、「体感できる映画」として4種類の音響フォーマットが話題。5.1ch、7.1ch、低音を強化した7.1ch爆音ミックス、日本のアニメとしては初のドルビー・アトモスが準備され、オーディエンスは、聞き比べのために映画館を「ハシゴ」する現象も起きている。

    入門編と位置づけ。映画版『BLAME!』

    『BLAME!』 The Movie Trailer 1

    映画版『BLAME!』は、弐瓶勉のカルト的な人気を誇るコミック原作とする。そのアート集のような構成から一転して、映画版はコミックの世界観をベースにしつつも、より多くの人が共感できるストーリーとなっており『BLAME!』入門編と言える。

    「分からない人には分からなくて良い芸術性の高いアート映画にしてしまうと、原作ファンから視聴者を広げられない。今回はNetflixでの世界配信も決まっていたので、商業的な点だけでなく、制作者としても映画を1人でも多くの人に観てもらうことを考えました。弐瓶先生も『原作を読んでいなくても、分かりやすい内容にしよう』と賛同してくださり、総監修としてストーリー構築やデザイン設定をしてくださいました」(守屋秀樹氏/エグゼグティブ・プロデューサー&ポリゴン・ピクチュアズ取締役)。

    守屋氏率いる『BLAME!』チームが目指したのは、『マッドマックス』や『スター・ウォーズ』のシリーズのように、間口は広いが深堀も出来るようなエンターテインメント。原作ファンに響くセリフやシーンも散りばめられ、深く世界に入っているトリガーも埋め込まれている。

    2Dアニメ超の3DCGが生み出す日本的アニメの表現力は、ポリゴン・ピクチュアズが世界市場で競争力として使う大きな武器。3DCG界とセルアニメ界で研鑽を積んだスタッフにより「説得力のある細やかな設定の上で展開される、誰もが共感できる王道のストーリー」を目指す。本作で監督を務める、瀬下寛之氏は元スクウェアで『ファイナルファンタジー』などのゲームの設定やデザイン制作に深く携わってきた3DCG界のトップランナー。「瀬下さんがポリゴン・ピクチュアズにジョインした時に連れてき来たのが元スタジオ・ジブリの田中直哉氏(PD/『もののけ姫』の美術監督)、そして同じく元スタジオ・ジブリの片塰満則氏(DOP/『千と千尋の神隠し』のデジタル作画監督)。彼らの知識量は半端ないし、世界観設定やデザインのモチーフに対するこだわりがもの凄い。この3人が集まって試行錯誤することで、知識に裏付けされたアニメでの世界設定が更にきめ細やかになっていく。それは、映像に説得力を持たせます。また瀬下さんは、原作を大切にしつつも、ギリシャ神話などを参考にした王道のストーリーを考えるのが得意なんです」(守屋氏)。

    独自開発ツールで効率化を図る

    『BLAME!』のコアテクノロジーとして、ポリゴン・ピクチュアズの子会社であるJ CUBE社によるmanekiの開発には片塰氏(DOP)が大きく貢献した。きっかけは、アニメ作品の宣伝用ポスターデザイン。映像本編の絵に手描きで陰影などのタッチを足し込んでデザインされるポスタークオリティを本編に活かすべくmanekiは開発された。これまでキャラクターに対して一カ所からのみ当てられなかったライトが、同時に何種類も当てられ、陰影の表現が格段に向上した。前作『シドニアの騎士』や『亜人』よりも『BLAME!』は、映像の情報量が圧倒的に増大している。「CG=“コンピュータを使ったグラフィックス”なので、コンピュータの進化にあわせて表現も進化しないと視聴者だけでなく我々も面白くないですからね」(守屋氏)。また、ポリゴン・ピクチュアズ開発による、データベースシステムPinocoにより、ツールを効率化しプリプロダクション管理にかける時間を短縮。その分、付加価値の高い作業に時間を当てることを実現した。

    コミック大国日本の強みで勝負する

    日本はコミック文化大国だ。週刊や月刊で発売されるコミック雑誌は、毎月1500万部以上。それらが、男性、女性、少年、少女と細分化されたターゲットに向け発行されている。またテレビをつけると、3か月おきに新作アニメが50作品程オンエアされている。守屋氏は日本のコミックやアニメの文化を財産だと考える。「我々は日本にオフィスを構え、こうした文化に子どものころから触れていて馴染みが深いぶん、ピクサーのようなCG作品を目指すよりも、日本の文化であるコミックや2Dアニメの表現を活かしたCGを研究したほうがグローバル市場で個性が出ると思っています。『BLAME!』の製作費もハリウッドのCGアニメ映画の3~5%くらいのコストで完成していますから、制作面の競争力も高いです」。グローバル規模で配信サービスを提供するNetflixやAMAZONプライム・ビデオに「日本的大人向けアニメ」というジャンルの確立に期待は隠せない。

    守屋氏はこれからのポリゴン・ピクチュアズの方向性について以下のように語る。「映画ビジネスのノウハウが積めたので、徐々に映画の制作割合を増やしていきたいと思います。映画とテレビアニメを比較しても1分あたりの制作コストはそれほど大きくは変わらないし、テレビシリーズに比べ、尺が短いので早く完成できるという利点もあります。今秋には劇場アニメ『GODZILLA』3部作がリリースを控えています。日本のCGスタジオならではの映像作品に、ぜひ期待ください」。

    新しい世界観を得た『BLAME!』は、映画版『BLAME!』と世界配信を中心に、小説やグッズなどの販売も好調だ。

    『BLAME! ブラム』

    全国公開中/上映時間:105分/配給:クロックワークス/http://www.blame.jp

    (C)弐瓶勉・講談社/東亜重工動画制作局

    RSSブログ情報:http://getnews.jp/archives/1773058
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