「未来フォーラム『インターネット選挙運動』~ネットと政治のこれから~」

現行の公職選挙法では認められていない、インターネットを活用した選挙運動。2012年12月の第46回衆議院議員総選挙では主要政党の多くが「ネット選挙解禁」を公約に掲げ、2013年夏の参議院選挙からの解禁に向けて各党間で議論が進んでいました。しかし、電子メールの使用をめぐって、政党と候補者に限定する自民党・公明党などと、有権者を含めて全面解禁を主張する民主党・みんなの党で意見が分かれたため、民主・みんな両党が共同で法案を提出。国会の委員会で審議が行われることになりました。

「夏の参議院選挙での解禁は難しいのではないか」という声が与党から聞こえる中、ネット選挙解禁に向けて議論してきた与野党の実務者が出席した『未来フォーラム「インターネット選挙運動」~ネットと政治のこれから~』が2013年2月28日にデジタルハリウッド大学御茶ノ水キャンパスで開催。『ニコニコ生放送』の中継が入る中、自民党の平井卓也参議院議員・民主党の鈴木寛参議院議員・みんなの党の松田公太参議院議員が、今まさに進行中の法案について議論を交わしました。

平井卓也参議院議員

自民党のIT戦略特命委員長・ネットメディア局長を務め、ITの世界にも精通する平井議員。「公職選挙法は議員立法。これまでも変えようと思えば変えられた。安倍首相が『Facebook』を使うなど、ネットに理解があるので、機が熟した。ネット選挙運動解禁は時代の要請。できるだけ早く国政選挙で解禁させたい」と切り出し、今国会での改正成立に意欲を示しました。

ネット選挙が解禁されることのメリットとして、「政治や政治家が親しみやすくなる」とした上で、「サイトに全部公開するのはしんどいけれど、それでも私が『Facebook』に食事の写真をアップしているのは、政治家が未だに料亭で食べていると思われているから。オープンガバメントというならば、政治家もオープンにしたらどうだ、というのが考え方」と述べ、選挙期間中だけでなく、日頃からの政治活動を有権者に知ってもらうためにネットを活用する重要性を強調しました。

鈴木寛参議院議員

「2010年にも(公選法改正が)ほぼまとまりかけて、鳩山さんの辞任でリセットされてしまった」と無念さを語った民主党の鈴木議員は、マスメディアに頼らず発信ができる必要性を力説。「マスメディアが取り上げるのは、本当に現場が議論したい事とはかけ離れている。一つの国会で約100本の法案が審議されているが、報道されるのは与野党が対決する法案ばかり。大事だけれど激辛ではないテーマにアクセスできるようにする。今は政治家と現場が遠く、国会で話しているテーマがずれていることもあって、政治不信の悪循環になっている。ネット選挙解禁を消費される政治から熟議される政治に変えていくきっかけにしたい」とします。

松田公太参議院議員

「自分が当選したらまずインターネット使えるようにしたいと思っていた」というみんなの党の松田議員。「ネットでは、いろいろな情報をタイムリーに発信できる。選挙期間中に政治談義が盛り上がるのに、オフにするのには違和感がある。一般有権者には政治に対して諦めムードがあるが、傍観者から真の参加者になるためにもネットを利用してほしい」と述べたほか、「ビックデータを集めて相関性を調べ、有権者を分析することが可能になる。ネット投票も将来的には是非実現したいと思っている。アメリカのネット請願システムもチャレンジしたい」と、ネット選挙解禁から先の展開にも触れます。

今まさに審議中のメールについての議論では、「いろいろなリスクがあるというのを承知している。我々はネットの有権者を信じている。各党間の議論はリアルタイムでは分からない。国会の審議を早くやろうということで法案を出すことにした」という鈴木議員、「オープンな場で議論を。しがらみの中できた成果物ではなく、国民のための法律をしたい。一般有権者へのことを考えるとメール解禁はマスト」という松田議員に対して、平井議員も「平成22年に出した法案はメールも解禁だった。個人的にはメールを解禁すべきだと思っている」と本音をのぞかせる場面も。しかし、「他の政党と心配されているところも考えると、段階的に進めないといけない。一歩でも二歩でも進めるのが大事」と、次期参院選での解禁にこだわる姿勢を見せました。鈴木議員も「民主党も参院選でネット解禁するというのがプライオリティ」と述べるなど、各党間の駆け引きを垣間見える内容になりました。

合間には、山田肇東洋大学教授がネットでの誹謗中傷を心配する意見に対して「安心して下さい。もう既に誹謗中傷されています」と述べて、各議員が苦笑する場面も。ディスカッションの最中も、2万8000人以上が視聴した『ニコニコ生放送』に流れるコメントを横目にしながらの進行になりました。

イベント終了後に「メール解禁がされなかった場合でも法案に賛成するのか」という質問すると、鈴木議員は「メール解禁が筋だと確認されることです。近い将来担保されることができることがポイント」と述べ、松田議員も「法案を提出すれば3月中に委員会で話し合うことになる。参院選で解禁ということが前提なので、自民党・公明党案になっても賛成するのが通常の考え方では」と話すなど、総論で与野党一致していることが確認された『未来フォーラム』。今後は議論の内容が国会の場にどう引き継がれるのかに注目が集まりそうです。

【ニコニコ×デジハリ】未来フォーラム「インターネット選挙運動」~ネットと政治のこれから~ - ニコニコ生放送

http://live.nicovideo.jp/watch/lv127486094

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