■消費者庁 森大臣 定例記者会見「少子化という問題が国家の危機である」(2013年4月5日)
2013年4月5日の消費者庁 森まさこ大臣定例記者会見の模様を書き起こしでご紹介します。
●春の全国交通安全運動
おはようございます。私から、3点ございます。
まず春の全国交通安全運動、および交通事故死ゼロの実施についてですね。本日の閣議において発言ををいたしました。4月6日から15日まで春の全国交通安全運動を実施するとともに、この期間ゼロのつく4月10日を特に交通事故死ゼロを目指す日として、交通事故でなくなる方がゼロとなることを目指します。今回の運動は子どもと高齢者の交通事故防止を運動の基本に据え、地方自治体や関係団体、多くのボランティアのみなさんと力を合わせて交通安全意識の高揚に努めます。詳細については事務方までということで。交通事故死、年々減ってはいますが、高齢者の事故等非常に多いなどまだまだ問題がございます。
●安倍総理に少子化問題についての報告
次にですね、官邸に昨日行きまして、安倍総理に少子化問題についての報告を申し上げました。私ですね、20年間ずっと政府が政策をやってまいりました少子化政策、効果が出ていないのではないかというお問い合わせが非常に多くて私自身も疑問に感じて、効果が全くとは申しませんが微増ということで最低1.26〜1.39にとしたところでございますのでこのまま1.39のままいきますと、2300年頃には日本人類が絶滅するという絶滅危惧種でございます。
このままではいけないと思いましてすべての政策を表に並べてみました。女性人生を横軸にして、出会い、結婚、妊娠、出産、育児と、そして家庭、会社地域の食事と並べますと一目瞭然でございまして、それを総理にお見せ致しました。育児支援の所に政策が集中しております。今までやってきた政策では前の部分、結婚、妊娠の部分にまったくない、スカスカでございます。私の少子化タスクフォース第1回で人口学者と産婦人科医の分析をしていただいてですね、結婚した女性は平均2人産んでおりますので変わらず産んでおりますが、結婚するかどうかというところで、結婚の年齢が遅くなっている、晩産化になっている、未婚の割合が多くなっているというところに問題があり、これがもし前倒しされた場合はですね、子どもの出生数も非常に多くなる 合計特殊出生率1.39ですね。2.0の時代をみますと、20代のときに多く生んでいるわけですね。
いま成功している諸外国もこのような傾向がございます。ところが日本の場合はいま初婚の年齢が29.9歳、つまり30歳。20代のうちに産めないわけですね30歳で結婚するわけですから。こういう問題がございまして、これを全部総理に説明をし、いままでやっている子育て支援・待機児童の解消はもちろん増強いたしますが、これに加えまして三本の矢として一本目が育児支援としますと、2本目が両立支援家庭と仕事の両立、3本目が結婚、妊娠の支援ということで三本の矢で協力を進めてほしいというご支持をいただいたところでございますので、これをもとに第2回からの少子化タスクフォース、そして妊娠の分野についてサブチームも作っておりますので不妊治療も含めてしっかりとした政策を打ち出してまいりたいと思います。最終的に骨太に上げて行きたいと思います、
●食品表示法案
3目は本日食品表示法案が閣議決定をされました。これは食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つを包括的かつ一元的にするものでございます。具体的には食品を摂取する際の安全性、および自主的功利的な食品選択の機会の確保この2つを目的として、これまでの制度を一本化してわかりやすくするとともに、現行任意制度となっている栄養表示についても義務化が可能な枠組みとしております。効果的効率的な法施行可能とするため不適正な表示に対する是正措置や調査権限の整備なども入れております。この法案は消費者事業者双方にメリットの有るものであり、早期成立にむけ引き続き努力をしております。
●質疑応答
記者:昨日、官邸で総理へ少子化問題についてご報告されたと伺ったのですが、同行されていた方がいらっしゃるということでその方がどなたで、タスクフォースのしたのサブチームの座長の方と行かれたということでしょうか?どういった目的なのでしょうか?
森大臣:1人は内閣官房参与の吉村教授です。不妊治療の権威で産婦人科学会の先生です。この少子化問題のアドバイザーとして総理が内閣官房参与に採用したということです。安倍総理の内閣官房参与はずっと、沢山いらっしゃいますが、ご覧になってわかる通り経済の関係の方が非常に多いのですね。それから、国土強靭化の参与もいらっしゃいますけれども、産婦人科の先生というのは初めてでございまして、少子化問題のために特に安倍総理が最近選んだ参与です。それで、私の少子化タスクフォースに事務局として、わたくしと一緒に関わっていただいておりますので、昨日も一緒に行って医学的な見地から「女性の子どもを産むという機能で”適齢期”が、だいたいいつ頃なのか」というお話をしていただきました。具体的には25歳〜35歳ということで、やはり不妊治療をするにも、高齢になってから不妊治療をすると非常に難易度が高いと、成功率が低いということをお話になって、そういったことも女性に若いうちから啓蒙をしていくことが必要だと、そういったところにも力を入れようと。高校生くらいの頃から、今は避妊をするということの教育はしておりますが、実際に好きな人ができて、家庭を持って、子どもを産みたいと思った時に、いつ頃自分の身体として(出産に)いいのだろうかというようなことを教育していくというような話がありました。
それから、わたくしのほうで『少子化危機突破タスクフォース』このサブチームで「結婚・妊娠チーム」というのをつくっておりますが、その座長の明治大学の安藏教授も同行いたしまして、安藏教授は”日本人口学会”の会長でございます。人口の動向について、詳しい資料を沢山もってらっしゃいまして、それを見ると様々なことが浮かび上がってくるのですが”人口学”の学者さんは今までは”政策提言”というのをほとんどしてこられませんでした。つまり分析がお仕事でございました。しかしですね、安藏教授はこのままでは、日本の人類は絶滅するということを特に”人口学者”ならば皆わかっていると、これを政治にいま提言をしないでどうするんだ、という思いから、今回このタスクフォースに入っていただいた訳でございまして、そういったことを、昨日安倍総理にも”グラフ”を示して詳しくご説明を申し上げたということです。
記者:食品表示法案について。枠組みは出来たものの具体的な細かい中身などは、これから詰めていくのだという印象を受けているのですが、施行までの2年間に、まだ法案成立前ではありますが、特にどういったところに力を入れながら準備していきたいのか、その辺りのお考えを伺いたいのですが。
森大臣:”食品表示法に基づく食品表示基準”これを交付後2年以内の施行のときまでに策定する必要があります。法律の成立後速やかに策定作業に着手したいと思いますけれど、それにあたって、消費者委員会の意見を聞くこととなっておりますのでしっかり、消費者委員会の意見を聞きながら、または有識者・消費者団体・事業者をはじめとする様々な立場の方のご意見を広く伺いながら、やはり「消費者にとってわかり易い表示」そういうものを策定するというところにいちばん重きをおいて進めてまいりたいと思います。
記者:少子化対策の三本の矢の対応ですが、”結婚・妊娠・出産”補助金とかを盛り込むという方向なっているのでしょうか?
森大臣:わたくしは、その方向で全力を尽くしていきたいと思っております。”補助金・税制(減税)”などの各支援策を考えたいと思います。例えば、中央区の区長・矢田さんに大臣室へ来ていただいて、中央区は人口がガーッと減少して、矢田区長が”人口回復対策本部”をつくってから、”V字回復”しているのです。その1つの政策はやはり”結婚・妊娠”のところにまず、矢を打ち込んだということで、国よりも、地方自治体のほうが、もう先進してやっているんですね。それから婚活支援などもやっているのもありますね。具体的にどういうことをしたかというと、中央区は都心に区営住宅をドンドン建てて、銀座の中にも3棟建てました。そこに35歳未満の方は他の方よりも、競争率を3倍優遇する、当時3倍で、今は2倍になりましたけれども。それから、新婚さんには更に3倍にする。35歳未満で新婚だとしたら6倍になるのですよ。ということをして、若い人をドンドン入れていった。そしてそれと同時に保育園も整備していった。そこで、子どもを産んで、産婦人科の病院も聖路加の病院の日野原委員長と連携して整備し、充実して子どもを産んで、そして保育園も預かることをしたら、倍増した、というんですね。
日本の人口の場合は、”倍増”ということは大変困難であるということは”人口学”の見地から伺っております。現在、未婚の方が非常に多いのですが、この中にも未婚の方が何人いるのかな、未婚の方のうちの9割が「結婚したい」と思っている、本当は。結婚したいと思っているのに、ずっと未婚なんです。その結婚の希望をすべて国があらゆる政策で叶えてあげたとします。例えば、新婚に優遇税制を入れたりして。9割が結婚、そしてでは結婚したら「何人子どもが欲しいですか?」というアンケートに「2人以上欲しいです」と皆さんが答えています。じゃあ、女性も働きながら子どもも産める、そしてまた会社にまた戻ってくるような環境整えて”2人産んでもらった”とします。9割が結婚して(子どもを)2人産んだら合計特殊出生率今の
1.39→1.75に上がるという試算があります。1.75です。1.75に上がっても、「人口は減るのが緩くなる」だけで「回復はしない」んです。回復するには2.06にしなくてはいけない。
今のご希望を全部叶えても1.75ですけれども、まずはそこまでわたくしは頑張りたいと思います。そしてもっと産み育て易い世の中、そして昨日ですね、総理ともお話したのですが私が海外にいた時に、大学に保育所がありますけれども、大学に保育所があるような環境を整えていって、女性が、男性もですが、学びながら、子どもを産める、研究職になるとしたら、大学院まで行って30歳近くまでずっと大学にいるとすると、結婚適齢期が来て、その時に結婚して子どもを産んでも学べるようなそういう環境にして、結婚したい人、子どもをもっと欲しい、その数も3人以上になってくれば、2.06も夢ではない”射程範囲に入って”くると思います。現状は非常に厳しいということを申し上げて、その危機意識を国民全体で共有していただきたいと思います。つまり、経済成長にもマイナス、”生産年齢人口”が減る訳ですから、今から50年後に50%に下がります。15歳から64歳までの働き手が半分になってしまう、50年間でですね。ということですから”少子化という問題が国家の危機である”という認識を、昨日総理とともに認識したということでございます。
<質疑応答は一部省略しています。>
[取材・撮影:古街]
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