波平さんの毛を守るたった一つの冴えたやり方

今回は中川聡@やたナビさんのブログ『やた管ブログ』からご寄稿いただきました。

■波平さんの毛を守るたった一つの冴えたやり方
また、桜新町の波平像の毛が抜かれた。

「波平さん像、また髪の毛抜かれる…3度目」 2012年12月9日 『YOMIURI ONLINE』

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20121209-OYT1T00307.htm?from=ylist

東京都世田谷区の東急田園都市線・桜新町駅周辺に設置され、地元住民らに親しまれている漫画「サザエさん」一家の銅像のうち、波平さんの1本しかない髪の毛がなくなっていたことが分かった。

5月にも2度抜かれており、像を設置した桜新町商店街振興組合は「故意に抜いたことが分かれば警察に被害届を出す」と憤る。

こうたびたび抜かれると、日本人のモラルがどうのとか、大変ウザい話がでてきたりもするが、三回抜いたのが全部別人だとしても三人、全部同一人物だったら一人。アホが一人~三人いればこんなのはできてしまうのである。そんなのに日本人のモラルを問うてもしょうがない。

とはいえ、抜かれては植えるのいたちごっこじゃ話にならない。3回あれば4回目もあると考えるべきで、今後どうすればいいのか対策を考えてみた。

まず、毛がどのように生えているかである。現物を見ていないので詳しくは分からないが、上のYOMIURI ONLINEの記事によると「頭頂部にねじ込んで接着剤で固定していたワイヤ製の髪の毛(長さ約10センチ)がなくなっているのに気がついた。」と書いてあるので、頭頂部のネジ穴に髪の毛がねじ込んであるのだろう。

まず考えられるのが、溶接してくっつけてしまう方法。ねじ込みとは違い、簡単に抜くことはできない。

しかし、この方法ではホームセンターでごく普通に売っているカナノコやヤスリで切れてしまう。太さによってはペンチとかニッパーで切ることもできるかもしれない。

そこで、もっとスマートな方法を考えてみる。

抜かれて困るのは、第一に損害が発生するからである。これに着目してみる。

波平さんの毛の原料は、上の記事によるとごく普通のワイヤーらしい。おそらく短く切った既製品のワイヤーにねじ込み用の金具を付けてねじ込んであるのだろう。だとすれば、原料そのもののコストはそれほど高くないはずだ。

これがそれなりにコストがかかってしまうのは、一品物だからである。ならば量産すればいい。もともとの原材料が安いのだから、1000本も作れば、一本数十円から100円ぐらいにはできるはずだ。

しかし、ねじ込む方の波平さんは一人しかいないから、一本のコストは下がっても全体のコストは上がってしまう。第一、これ以降抜かれなければ999本は無駄になってしまう。それでは999本をどうすればいいか。

そこで、波平さんの毛を売るのである。桜新町商店街や、長谷川町子美術館でお土産として売る。携帯ストラップにしてもいいし、キーホルダーでもいいし、本のしおりでもよい。安く見積もっても一本300円ぐらいで売れるだろう。今なら話題になっているし結構売れるんじゃないだろうか。

あとは抜かれているのを見つけ次第、すかさず商店街の人がねじ込むだけである。その代金は波平さんの毛の売り上げで十分まかなえるだろう。なにしろ1本売れれば2本抜かれても損害はでない。これで損害は限りなくゼロに・・・どころかプラスになる。

量産の効果はもう一つある。それは波平さんの毛の希少価値が減ることである。アホ犯人がアホ友達に「オレ波平の毛持ってんだぜー」と自慢しても、桜新町に行けばいくらでも買えるのだからなんの自慢にもならなくなるのだ。

こういう犯罪は、実際には波平さんの毛が欲しくてやるのではない。話題になるから面白がってやるか、人を困らせたくてやるのである。

ならば、話題にできなくするか、誰も困らなければいい。上記の方法なら、話題にもならなくなるし、誰も困らない。仮に繰り返し植えたそばから抜かれて話題になっても、商品としての波平さんの毛の宣伝になるだけだ。

いずれ波平さんの毛を抜くやつはいなくなるだろう。

執筆: この記事は中川聡@やたナビさんのブログ『やた管ブログ』からご寄稿いただきました。

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